「さて、嬢ちゃんの宝具も解放できたことだし……ヒット、お前さんの力について聞かせてもらおうか?」
あれから、マシュと立香はキャスターと戦い、見事に宝具を解放させた。それについては俺も素直に祝福した。そして今度は俺の番か。そんなに気になることか?できれば自身の手札は隠しておきたいんだがな
「俺は自身の手札は隠しておくべきだと思うんだが?どこで誰に聞かれるかも分からないからな」
『近くに生命反応は無いから安心して話しても大丈夫だよ。ボクもヒット君の驚異的な戦闘能力は気になるからね』
ロマニめ、余計なことを。後でしばいておこう。だがこれで言い訳ができなくなったな……いや、よく考えれば時飛ばしは種を明かしたところで対応のしようがないんじゃないのか?現に今まで対応されたこともなかったからな。それにここにいるのは味方だけ──仕方ない、話すか
「分かった。話そう」
「よし来た、じゃあまずはお前さんの身体能力についてだ。お前さんの身体能力は普通の人間のソレじゃねえ。どうやってそこまで鍛え上げた?」
「あ、それは私も気になるかも」
「素手でサーヴァントにダメージを与えるほどですからね……」
「貴方ほんとに一般枠なの?」
「身体能力に関しては生まれつき高い方だった。まあ多少鍛えてはいたがな。だが一番の理由は“気”だな」
「気、ですか?」
「ああ、まあ簡単に言えば体内エネルギーみたいなものだ。お前達魔術師やサーヴァントが扱う魔力と似たようなものだがところどころ差異はある」
「へえ?じゃあその気ってやつで一体何かできるんだ?」
気で何ができるか、か……空中浮遊やエネルギー弾の射出、身体の強化……色々使い方はあるな
「実際にやってみせたほうが早いか。例えばこんな感じだ」
俺は近くの地面にエネルギー弾を放つ。着弾した地点は小さなクレーターができていた
「こんな風にエネルギー弾を放ったり──」
今度は空中浮遊を見せる。俺はこれを舞空術と呼んている。舞空術を見せれば全員が驚いた顔をしている。特にオルガマリー所長はすごい顔をしていた
「ちょっと待ちなさいよ!なんで貴方飛べるのよ!?人を浮かせるのなんてどれだけ魔力が必要だと思ってるの!」
「気は魔力とは似て非なるものだ。体内で気をコントロールすることで空中浮遊が可能になる。これに気を大量に消費するということはない。そして俺はこれを舞空術とそう呼んでいる。その他にも身体強化や気の受け渡しで相手の体力の回復などもできる」
「ヒットさんって色々と規格外だよね……」
「そりゃあ強えわな。人間か疑っちまうぐらいには」
「俺は正真正銘人間だ」
「ま、そういうことにしといてやる。それで次だが……どうやってあんな風に攻撃できる?俺にはお前が攻撃した瞬間が全く見えなかったんだが」
『確かに、攻撃が当たっているところは見えるのにその攻撃までの動作が全くと言っていいほど見えない。一体どういうことなんだい?』
「それは俺の時飛ばしによるものだ」
「時飛ばしだと?」
「ああ、時飛ばしは自分以外の時間を0.1秒だけ止める技だ。その0.1秒の間に敵に攻撃しているというわけだ」
「飛行魔術に加えて時間操作まで……ああダメ、頭が痛くなってきたわ」
「ちなみに時飛ばし自体はただの技だから気の消費なんかはないぞ」
「聞いてないわよ!!」
「それにそもそも俺が使ってるのは魔術ではないからそんな事を言われても困る」
「ええ……?0.1秒だけって、普通0.1秒じゃ何もできないと思うんだけど……」
『まあ攻撃できているということはその0.1秒でも充分なほど超高速で動けるということだね。実際に言葉にしたら意味がわからないね』
「聞けば聞くほどヒットさんの底が分からなくなってきました。ていうか人間ですか?」
「お前もか」
俺は正真正銘人間だ。少し力が使えるだけのな。さて、そろそろ質問はいいだろう。さっさと聖杯のもとに向かおう
「そろそろ聖杯の元に向かわないか?」
「そうだな。聞きたいことは聞けたし、早速案内してやるよ」
「しっかり頼むわよ」
─────────────
キャスターの案内で俺たちは今洞窟にいる。オルガマリー所長によれば、半分天然で半分人工な魔術師が拡げた地下工房らしい。
「そういえばキャスター、貴方に聞きたいことがあるのだけど」
「なんだ?」
「セイバーのサーヴァントの真名は知っているの?何度か戦っているような口ぶりだったけど」
「ああ、知っている。ヤツの宝具を食らえば誰だって真名、その正体に突き当たるからな。他のサーヴァントが倒されたのもヤツの宝具があまりにも強力だったからだ」
「その宝具って一体──」
「お前達、話はそのあたりにしておけ。敵が来た」
「ほう、気配は隠していたつもりだったが、気づかれるか」
「アーチャーのサーヴァント……!」
「どうやら信奉者のお出ましみたいだな。相変わらず聖剣使いを護ってんのか、テメェは」
「……ふん、信奉者になった覚えはないがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ」
ここでアーチャーのサーヴァントの登場か。セイバーのサーヴァントまでの最後の砦といったところだな。そしてここにいるということはそれなりに実力もある……か。次のセイバー戦のためにできるだけ体力は温存しておきたい。それはマシュもキャスターも同じはずだ。ならここは俺が出るか
「マシュ、キャスター、アーチャーの相手は俺が引き受ける」
「へぇ?まぁお前さんなら負けるとは思わねえが、油断はするんじゃねえぞ?」
「ヒットさん。頑張ってください」
「ああ、お前達は先にセイバーの元に向かっていろ。すぐに追いつく」
「ヒットさん!無事に追いついてきてね!」
「負けるんじゃないわよ!」
誰に言っている。さて、アーチャーか。クラス名から考えるに弓などの飛び道具を使ってくるだろう
「一人で残るとは、よほど実力に自信があると見える」
「お前を倒せるぐらいにはな」
「ふ、その自信かどこまで続くかな?」
そう言ったアーチャーの手に弓が現れる。そしてその弓を俺に向けて矢を放つ。俺は放たれた矢を片手で掴みそのまま放り投げる
「ほう、まさか掴み取るとは思わなかったぞ」
「避けるまでもないと思ったからな」
「一人で私を相手にできるだけの実力は備えているという訳か。厄介な相手だ。しかし、恐らく接近戦を挑んでも私が不利になるだけだろう。その立ち姿を見れば分かる」
「サーヴァントとやらはどいつもこいつも実力を見る目はあるようだな。だが、実力を理解したところでその差が埋まるわけじゃない」
「こんなふうにな」
──ドゴォ!!
「──ぐッ!?」
「お前から近づかなくとも、俺から攻撃すれば何の問題もない」
「……いつの間に私に攻撃を?攻撃までの動作が何一つ見えなかった。一体どんな手を使った?」
「敵に手の内を晒すような真似はせん」
「それもそうだな……ではこれならどうだ!」
アーチャーの手から弓が消え、次は二振りの剣が出現する。そして俺にその剣を振るう。だがその攻撃も時飛ばしを使い当たり前に攻撃を与える。そしてもう一度時飛ばしを使いこめかみのあたりを攻撃する
(一体なにがおきている!?なぜ私はここまで打ち込まれている!何度受けても攻撃の瞬間がまるで見えない。何か対策を考えなければ!)
「どうした、もう終わりか?」
「……いや、まだ終わらんよ!」
「!」シュン!
(ギリギリだが回避の動きは見える──ガッ!?)
アーチャーの攻撃をかわした俺は時飛ばしを使い首を攻撃する。攻撃を受けたアーチャーは首を押さえながら後方に飛ぶ
(手加減しているのかもともと攻撃力が低いのかは分からないが攻撃は軽い。あと数発は耐えられるはずだ。それまでになんとか攻略を……)
「作戦はまとまったか?」
「まだお前の攻撃は見えないが、やりようはある。それを見つけるまで攻撃を耐えるのみだ」
「そうか──」
「──ぐはッ!?」
「お、重い……!?」
「耐えられると思っていたか?どうやら考えが甘かったようだな」
「……まさか君のような人間が存在するとはな。まだまだ世界は広いと言うわけか──」
そう言いながらアーチャーは消えていった。さて、俺も奥に向かうとするか
気を扱わせるのはいいけどまだ戦闘で一回も気弾などの攻撃を使用してない件について