ゼンレスブレイクアウト   作:エイジャックス

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特殊選抜隊

 拘束が解除されて、俺は用意された防衛軍の宿舎のうちの一つの部屋で考えていた。防衛軍として協力するとは言ったが、俺はどうなるんだ。懲罰部隊のように最前線で酷使されるわけないだろうな…。

 

「なるようになるか…。」

 

 そう呟いて布団を被る。ここ数日は硬い地面の上で寝ることが続いていたから、柔らかいベッドの上で眠れて少し感動だ。

 

 夢の時間すぐに過ぎていった。ラッパの音とともに目が覚めた。ラッパの音はあまり、良い思い出がない。辛かった海兵隊のときの記憶がよみがえる。この世の地獄のような戦争のことなどは忘れてしまいたいと思ってしまう。

 

「集合時刻に遅れちまう」

 

 ミリタリーフリースジャケットに急いで着替えて、ミーティングルームに向かう。それはもう大急ぎだ。軍は時間が命と言っても過言ではない一分一秒でも遅れたら、いかにも軍人な11号やローランドに叱責されるかもしれない。いや、確実にされる。

 

「三秒遅刻よ、ジャックス。なにをしていたの」

 

 俺がミーティングルームの入って、すぐ11号は言った。たった三秒すら見逃してはくれないようだ。他の兵士の顔に同情の表情が浮かぶ。

 

「腕立て三十回よ、ミーティングを聞きながらしなさい」

 

 嘘だろ、海兵隊でもそれは無かったぞ。

 

「なにか文句でもあるって顔ね」

ネガティブサー(いえ、ありません)

 

 急いで敬礼する。そして、腕立て伏せを始めた。11号はそれを確認すると本当にミーティングを始めた。半分冗談だと思っていたが本当に始めるとは…。

 

「今から三時間前、ゼロ号ホロウ内のエーテル濃度が突如異常なほど上昇したわ」

 

 スクリーンにホロウと呼ばれる場所の内部の画像が出される。そこにはあの怪物もといエーテリアスが大量にいた。

 

「エーテル濃度の上昇を伴いエーテリアスが活発化しているわ。今回の作戦は大量発生したエーテリアスの排除よ」

 

 作戦の説明が始まった。どうやら、エーテリアスが発生した場所を四人一個小隊で包囲して各個撃破するようだ。

 

「今から十五分後に作戦を開始するわ。各自準備して」

 

 俺はどこの部隊に配置されてるか説明を受けていない。つまり、どうすれば良いかわからない。その場でたじろいてしまう。

 

「ジャックス、あなたはここに向かって」

 

 11号がスクリーンに地図を出す。色が塗られた部屋が俺が行くべき部屋だろう。

 

「あなたは特別選抜隊に選ばれたの」

「なんだよ、それ」

 

 11号は一つため息をつく。説明しなければいけないのかという感じで話し始める。

 

「いい、特別選抜隊は対ホロウ特別行動部、治安局、防衛軍から合同部隊よ」

「待ってくれ、対ホロウ特別行動部ってなんだ?」

 

 11号は呆れたように口を開く。

 

「いちいち説明しなきゃいけないかしら?」

 

 そう言って鋭い目つきでこちらを見る。

 

「とにかくこの部屋に向かって、返事は」

了解しました(イエッサー)

 

 指定された部屋はミーティングルームから一番離れている。それなのに作戦開始は十五分後、間に合うか?

 

「間に合わすんだ俺」

 

 もし作戦開始時刻に遅れてみろ、11号に首チョンパされるかもしれん。小走りで部屋に向かう。

 

「ここか」

 

 ドアの手すりには若干埃がかぶっていた。おそらく長い間使われてなかったのだろう。早速ドアを開ける。

 

「君が最後の一人か」

 

 低い声が俺の方に飛んでくる。その声の主は額に大きな古傷が入った五十くらいの男だった。

 

「俺は対ホロウ特別行動部四課のロバートだ、よろしく」

 

 ロバートと名乗った男は握手を求めてくる。俺は差し出された手を掴んだ。彼の手は岩のように硬い。

 

「残りの二人にも挨拶させよう」

 

 ロバートはそういって奥にいる残りの二人のほうを見る。

 

「私は防衛軍所属のエミーであります!!」

 

 金髪の俺より十センチほど小さい女が敬礼する。彼女も11号と同じ防衛軍の兵士のようだが彼女と違って優しそうだ。

 

「ジェイコブも自己紹介するであります!」

 

 ジェイコブと呼ばれた男はパーマがかかった青年だった。彼は気だるそうに自らを名乗る。

 

「治安局出身ジェイコブ、よろ」

 

 話しかけんなというオーラが彼から溢れ出していた。ロバートが次は俺だと視線を向ける。

 

「俺は…」

 

 その時、俺はこの部屋に向かう前に11号最後に言われた言葉を思い出した。

 

『もし、別世界から来たことを他の人に言ったらあなたを治安局に引き渡す』

 

「俺も防衛軍所属…、ジャックスです」

 

 その言葉を聞いてエミーは俺を怪しそうな顔で見る。

 

「あなた、本当に防衛軍所属でありますか?」

 

 俺は肩をビクッとさせてしまった。もしや、勘付かれたか…。

 

「あ、もしかして特殊部隊出身とか!でありますか!?」

 

 エミーは途端に目を輝かせて俺の手を握る。

 

「おぉ、これが特殊部隊出身の手、すごいであります!」

 

 喜びながら俺の右手をぶんぶんする。あぁ、多分のこの子は少しバカだ。

 

 …。

 

 え、このメンツで特殊選抜隊?大丈夫なのか…。

 

 俺は左手で自分の頭をおさえた。




投降が遅れてしまい申し訳ありません。
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