ゼンレスブレイクアウト   作:エイジャックス

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邪悪なネズミ2

 前哨基地から三機のヘリが飛び立つ、放置され侵食されたビルの中を飛び回る鋼鉄の鳥は形容し難い威圧感がある。

 

「ジャックス、あなたコールサインはブラボー3よ。返事は?」

「イエッサー」

 

 ヘリの中で隣に座る11号に向かって敬礼をする。

 

「敬礼だけなら一番上手よ」

 

 皮肉を言われる。そうだ、ここで俺は防衛軍に対して利用する価値のある人間だと示さなければならない。なにせ、この世界に来て初めての本格的なエーテリアスとの戦闘だ。俺は念入りに支給された銃の確認をする。操作系統は前いた世界のF2000アサルトライフルに酷似している。これなら扱えるぞ。

 

「目標地点に到着次第各自降下、その後散開してエーテリアスを撃破が任務よ」

「イエッサー」

 

 あたり一面に隊員たちの掛け声が響く。誰もいないホロウないではヘリコプターのプロペラ音がこだましていた。

 

「作戦開始よ」

 

 ヘリコプターは地面スレスレまで下降する。それと同時に俺は飛び降りる。

 

「これがホロウか…」

 

 ホロウ内部はとても息苦しく感じる。なんというか空気が重たいのだ。それはこの異様な景色の影響もあるだろう。

 

「Plehhhhhhhhh」

 

 エーテリアスが奇声を上げて集まり始めた。改めて見るとあり得ないようなバランスをした肉体であり、パニックホラーに出てきそうなそれは独特な不気味さがある。そして、徹甲弾での貫通を許さなかった強度、この世界の兵士はこんな化け物と戦っているのか。

 

「コア撃てばいいんだろ!」

 

 ホロサイトを覗きむき出しになったコアを狙う。コアはブラックホールのような見た目をしておりわかりやすい。

 

「くたばれ」

 

 トリガーを引いた瞬間、肩に人がぶつかってきたような衝撃が走る。だが、そんなの慣れている。

 

「AAAAA」

 

 コアを破壊されたエーテリアスは力が抜けたように倒れて崩壊し始めた。

 

「後ろだ!」

 

 ロバートの声とともに後ろを振り向く。わずか数メートルの距離までエーテリアスが接近していた。 

 

「クソったれ!」

 

 急いで銃口をエーテリアスに向ける。サイトを覗く余裕はないか。

 

「俺に任せろ!」

 

 瞬きをする暇もなくエーテリアスはコアを境に真っ二つに切り分けられていた。ロバートがやったのだ。彼の武器は確か刀だ。前いた世界では極東の剣だとサトウが言っていた。

 

「すまない、助かった」

「俺が前に出る、君は援護を頼む。間違っても当てないでくれよ」

「そんなことしませんよ!」

 

 ロバートは頼もしい、対ホロウ行動部の名に恥じない活躍だ。彼の一閃がエーテリアスを蹴散らしていく。その光景は肉食獣は草食獣の群れを襲う様子にも見える。

 

「早く帰りたいなぁ」

 

 ジェイコブはブツブツと文句を垂れながらエーテリアスを仕留めていた。彼はリボルバーで正確にエーテリアスのコアを撃ち抜いていく。初対面のときは不安だったが実力は確かなようで安心だ。

 


 

 時を同じくして別働隊の戦闘が行われいる。

 

「小隊長、エーテリアスの動きがおかしいです」

 

 一人の隊員が報告する。彼の言うようにエーテリアスの動きが少しばかりおかしい。なにかに操られているように行動している。まるで、なにかから指示を受けているようだ。

 

「各員、エーテリアスの動きに警戒しろ」

「了解」

 

 エーテリアスはどこかから無尽蔵に湧いてるように感じる。一切数が減っているように見えないのだ。

 

「本部に支援を要請するか?」

 

 そうするしか現状を解決する手段がないようだ。考えていると後ろから足音が聞こえてきた。エーテリアスか?振り返る。

 

「銃を向けないでくれないかい?あたいは味方だよ」

 

 そこにいたのはネズミのシリオンの女だ。彼女は話し続ける。

 

「あたいはジェーンドゥ、治安官だよ」

「治安官がこんなところでなにをしている?」

 

 兵士は銃を向けて警戒する。彼女は少し困ったようで瞬きをした。

 

「ホロウに逃げ込んだ誘拐犯と人質を探していたんだよ。疑うようなら証明できるわ」

 

 彼女はそう言って手帳を投げてよこした。手帳は本物でどうやら彼女は本当に治安官のようだ。

 

「人質を確保したのだけど、怪我してるの。助けてくれないかい?」

 

 怪我人がいるなら助けなければいけない。幸いエーテリアスの数は減っていたので彼女に協力することが可能だ。

 

「どうやら、助けてくれるようだね。あたいについてきてちょうだい」

 

 彼女は兵士に手招きして案内する。兵士は彼女を疑うことなくついていった。

 

「ここよ」

「…。人質はどこだ」

 

 兵士が問いただすと彼女は笑みを浮かべる。

 

「そんなもの最初から存在しないわ。強いて言うなら…?あなたたちかしら」

 

 その瞬間、彼女はピストル取り出し兵士を撃つ。兵士は撃たれた部分をおさえ倒れ込む。

 

「貴様!」

 

 彼女は敵だ、そう判断して銃口を向ける。

 

「手をあげろ、さもなくば撃つぞ!」

「私に気をかけてる暇はあるかしら?」

「どういうことだ!」

 

 彼女は撃たれた兵士を指差し言う。

 

「それは私からのプレゼント、楽しんでちょうだい」

 

 フラッシュバンが投げられて視界が閃光に覆われる。

 

「クソ、あの女はどこだ!」

「小隊長…」

 

 撃たれた兵士はうめく。まずは彼の手当てをしなければいけない。

 

「小たいtyoOOOOOOOOOO」

 

 兵士は絶叫したかと思えば、エーテリアスに変貌した。エーテリアス化した兵士は他の兵士を食い散らかす。そして、その異常な叫びは無線を通して11号に届いていた。

 

「どういうこと…」

 

 11号は遭遇したことのない事態に驚きを隠せずにいた。




私情により投稿が遅れてしまいすいません。
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