シルヴァ家の忌み子は王になりたい   作:G.S.C

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魔法騎士団入団試験

 

 魔法騎士団。

 それは九つの騎士団からなる魔法帝直属の戦闘に特化した魔導士軍団。

 命をかけてクローバー王国を守護する英雄軍。

 全国民の憧れである。

 そして年に一度、魔導書(グリモワール)授与式の半年後に開催される魔法騎士団入団試験に合格した者だけが魔法騎士として入団することが許される。

 

 しかしそれだけが団への門戸ではない。

 位の高い貴族や王族の人間であれば推薦によって入団試験をパスして魔法騎士になることもできる。

 

 この私、ジゼル・シルヴァは選ばれし王族の血を引く者。

 当然のように推薦を得て名門の魔法騎士団に入団できる——わけがない!

 私の冷遇っぷりを舐めてはいけない。

 伊達に一族でいない者扱いされてはいないのだ。

 特に魔法騎士団『銀翼の大鷲』団で騎士団長を務めるノゼル兄様などは私を戦場に出したくない一心から方々に根回しして推薦を全部シャットアウトしやがった。

 そしてシルヴァ家からも推薦なんて出るわけがない。

 必然的に私は魔法騎士団に推薦入団できずに閉め出されるわけだ。

 

 しかし私もタダでは転ばない。

 王族ジゼル・シルヴァは不屈である。

 このような事態も想定の範囲内だ。

 むしろ予想の真ん中どんぴしゃりで我ながら笑いが止まらない。

 あっはっは! ふざけんなよクソ共が。

 

 まぁとにかくこれは計画通りだ。

 魔法騎士団入団試験という正規ルートで合格して望みの団に席を置く。

 ここで団長達と受験者共に圧倒的な実力差を見せつけ、クローバー王国に最強魔法騎士ジゼル・シルヴァありと知らしめるのだ。

 王侯貴族とまともなコネがほとんどない私にとって、国民に広く存在をアピールできるこの機会を逃す手はない。

 我ながらナイスアイデアでは? やはり私こそが運命に選ばれし至高の王……!

 

 そうやって自己肯定感を高めながら試験会場となる闘技場(コロセウム)のアリーナで開会を待っていると、人だかりの中から一際(ひときわ)大きな声が響き渡った。

 

「オレ達のどっちかが魔法帝になる……その伝説の始まりだな、ユノ——!!」

「ハァ? 冗談も大概にしてくれます? 魔法帝になるのはこの私なんですけど」

「いや、どちら様ァァァ!?」

 

 はっ! しまった!

 あまりにも不遜で身の程知らずなセリフが聞こえてしまったのでつい口を挟んでしまった。

 

 大声の発生源は灰色の髪の背の低い筋肉質な少年だった。

 その隣にはいかにもクールですよといった無表情で背の高い黒髪の少年が立っている。

 どうやらチビの方がノッポに向かって宣戦布告をしていたらしい。

 どちらも見窄(みすぼ)らしい身なりをしている。

 平民か、あるいは下民で間違いないだろう。

 

「申し訳ありません。まさかあなたのような貧弱魔力の薄汚い筋肉チビダルマの虫ケラがあのような大言壮語を吐くとは思わず、つい反射的に話に割り込んでしまいました」

「すごい謝ってる風の罵倒! オマエ人が傷つくようなことは言っちゃいけないんだぞぉ!?」

「そうですね……いや、よく観察すれば貧弱魔力どころか全く魔力がないじゃないですか。これでは虫ケラに失礼ですね。せいぜい雑草が良いところです」

「にゃにを〜〜〜!!?」

 

 しかし本当に珍しい。

 生物であれば多少なりとも魔力を宿しているものだが、それが全くないとは実に興味深い。

 死体が生きて喋ってるようなものだ。

 世界は広いということか。メレオ様に珍獣として送ってみたら喜ぶだろうか。

 

「どこのどいつだか知らねーがオレだってこの半年間修行してきたんだ! その成果を今こそ見せてやるからなだだだだ」

「すごい数のアンチドリに(たか)られてますね……やはり雑草なのでは?」

「うおおおおお!? なんなんだこの鳥どもは〜〜〜!!!」

 

 アンチドリは魔力が低い動物に集まる習性を持つ燕だ。

 入団試験ではそれを利用して受験者の魔力量を一目でわかるようにしている。

 この試験においては名物のようなものだ。

 

「まったく見苦しいですね。これにゃからマにゃに愛されてにゃいヤツはにゃめにゃんにぇすにょ」

「オメーもめっちゃ(たか)られてんじゃねーかァァ! よくそれで人のこと馬鹿にできたね!?」

「ふにぇいにぇにゅにょにぇみんにょにょにぃにゃ」

「もうなに言ってっか全然わかんねえええ!!!」

 

 なんと騒がしい男だろうか。

 見てみろ周りからドン引かれてる。

 チビの連れらしい頭モサモサイケメンも呆れた様子でオマエを見ているぞ。

 てかなんでこいつこっちも見てるんだろう。

 私はいずれこの国の王になる女だぞ。なんか文句でもあんのかこの野郎。

 

「アスタ。漫才会場はあっちだぞ」

「これコントじゃないからユノぉぉぉ!! あとこの鳥どーにかしてくれぇぇ!」

「やだ」

「なんて冷てーやつ! それでも15年共に育った幼馴染かァー!? ぬぉおおお鳥どもはいい加減どっか行けええええ!!!」

「うるさい……」

 

 アスタと呼ばれた少年はそのまま大声をドップラー効果にしながら走り去っていった。

 まるで台風のようなアグレッシブさだ。

 さぞ生きるのにカロリーを消費することだろう。

 

 そしてこの場には私ともう一人のユノと呼ばれた黒髪の少年だけが残されることとなった。

 ……よく見ればこの少年、まったくアンチドリが寄り付いていない。

 相当高い魔力を持っているのは明らかだ。

 

「……オマエ、魔法帝になるって言ってたよな」

「は? 馴れ馴れしく話しかけてこないでくれます? 私は王族シルヴァ家の出です。身分差をわきまえた話し方をしなさい、下郎」

「魔法帝になるのはアスタでもオマエでもねー……オレだ」

「ほう……それは挑発と受け取りますがよろしいですね?」

「オマエみたいな人を身分で差別するヤツにオレ達は負けない。言いたいことはそれだけだ。じゃあな」

 

 そう言い捨てると、少年はスタスタと歩き去っていった。

 

 ふん、見どころはあるがやはり下界出身なだけあって何もわかっていないヤツだ。

 この国では魔法が全て。

 どれだけ高潔な精神を持っていようが、それに強さが伴わなければ何も成せないということをこの試験で私が直々に教授してやるとしよう。

 

———

 

「——受験生の諸君。待たせたね」

 

 アリーナの壇上に八つの人影が現れたと同時、会場のアンチドリが一斉に飛び去っていく。

 それは現れた者達が類い稀なる強大な魔力を携えている証。

 即ち、魔法騎士団団長が揃い踏みしたことを表している。

 まぁ『黒の暴牛』団の団長は見当たらないけど。

 

「今回の試験は私が取り仕切らせてもらうよ」

 

 騎士団長達の中心で音頭を取るのは、派手な装飾の仮面で顔の上半分を隠した青年。

 現最強魔法騎士団『金色の夜明け』団団長ウィリアム・ヴァンジャンス。

 次期魔法帝最有力候補の男である。

 ……私がいずれ越えていかねばならない大きな壁の一つだ。

 

「〝魔樹降臨〟」

 

 ヴァンジャンスが魔導書(グリモワール)の魔法を発動させた途端、会場の空が一瞬にして暗雲に覆われる。

 暗雲は空に虚空を開き、そうしてできた巨大な空洞から大樹の根が伸びる。

 そして根は各受験者の手元まで到達すると、シュルシュルと形を変えて一本の箒を授けた。

 

「それではこれより魔法騎士団入団試験を始める……!」

 

 これが今、最も魔法帝に近い男か。

 流石だ。並の魔法騎士とは立っているステージが違う。

 だが今の魔法を見て確信した。

 ()()()()()()()()。決して踏破できない障害ではないと。

 まずはそのことを実感できただけでも儲けものだ。

 私はひっそりと口端を吊り上げて笑った。

 

「諸君らにはこれからいくつかの試験を受けてもらう。その様子を我々九人の魔法騎士団長が審査し、後に九人各々が欲しい人材を採択させてもらう。

 つまり誰にも選ばれなかった者は魔法騎士団に入団する資格なし——ということだ」

 

 上等だ。

 まずは団長八人に私を選ばせてやろうではないか。

 だがしかし、最終的にどの団に入るかを決めるのは私だ。

 団長が私を選ぶのではない。私が団を選ぶのだ。

 『銀翼の大鷲』だけは死んでも御免被(ごめんこうむ)るけれど。

 

「一次試験は先ほど各自に配った箒を使って飛んでもらう。魔力を操作(コントロール)できる魔導士なら感覚で出来る事だ。

 魔導士の最も基本的な移動手段であるゆえに、箒飛行ができなければ話にならないよ」

 

 箒飛行か、懐かしいな。

 最近では移動用に作った魔法頼りだったため箒に乗るのは数年ぶりだ。

 ぶっちゃけ私の魔力総量から考えると箒飛行は燃費が悪いが、ここはレギュレーションに従っておこう。

 

「よっと」

 

 箒に魔力を通し、浮き上がる。

 やることがシンプルゆえに派手なアピールができないのが難点か。

 ちらり、と辺りを見回すと既に数人が見事に箒飛行を行っている。

 その内の一人は試験開始前に一方的にこちらを挑発してきやがったユノとかいうヤツだ。

 

「最果てのクセに……やっぱすげぇぞアイツ!」

「四つ葉に選ばれた天才か……!」

 

 最果て、ということはやはり下民だったか。

 下民のくせに王族の私に対してあのような口を利いていたとは不敬の極みだ。

 しかも特に珍しい四つ葉の魔導書に選ばれたとは。

 俗に言う天才、というヤツか。

 

 ならばこの試験で彼は実に良い踏み台となってくれるだろう。

 四つ葉の魔導書の使い手を圧倒的な強さで叩きのめしてやれば私はどの団からも引く手数多に違いない。

 どうせ例年通りなら最後に実戦形式の試験があるだろうし、そこでふっかけてやるとしよう。

 ちなみにもう一人下民とは思えない大口を叩いていたアスタとかいう品種名の雑草はというと……。

 

「ふんぬぐぐぐぐぐぐぐぐ……!」

 

 カスの出来だった。

 魔力があればどんな人間でも浮く程度はできるはずだが、魔力がないなら当然地に足ついたままだ。

 

 しかし、ふむ。

 ますます興味深い存在だ。

 ……少し、揺さぶりをかけてみるとするか。

 

「無様ですねぇ。いえ、最果て出身の下民は地べたで這いずり回っているのが自然の姿ですから、ある意味お似合いと言えるでしょうか」

「出やがったな嫌なヤツぅ〜……! 高みから見下ろしやがってコノヤロー!!」

「悔しかったらアナタも飛んで見せればいいだけですよ。あっ、魔力ゼロなんだから何やっても無駄でしたねごめんなさい」

「諦めなきゃいつかなんか出るかもしんねーだろがァァァ!!」

「そういうの待ちぼうけって言うんですよ」

 

 その後の試験も私はアスタを莫迦にして遊びながら順当にこなしていった。

 どれも魔導書(グリモワール)の魔法を使うまでもない試験ばかりだったが、当のアスタは変なポーズと奇声を上げるだけで特に成果を挙げることはなかった。

 

「散々ですね。やる気ないなら帰ったらどうですか?」

「オメーやる気だけは100人前だぞオレは!」

「じゃあもういい加減に魔導書の魔法でも使ってなりふり構わず本気出せばいいじゃないですか」

「それが出来れば苦労しねぇんだよチクショォォ!!」

 

 それから魔法を使った的当てや人形の形成などの試験を経て、ついに最終試験の時間となった。

 私は全ての試験を危なげなく通過。

 そしてアスタは当然のように全ての試験でドベだった。無様すぎてウケる。

 

「それでは次が最後の試験だ。

 最終試験は実戦形式。二人一組になってその相手と戦ってもらう。魔法騎士団は戦闘が仕事だ。君達の力を存分に示してくれ」

 

 やっと戦闘試験か。待ちくたびれてしまった。

 さて私は四つ葉の彼に喧嘩を——

 

「よっしゃあああ! おいさっきから絡んでくるクッソ嫌味な銀色アタマ! オレと勝負しろ!!」

「は? 嫌ですけど。

 あと私の名はジゼル・シルヴァ——この国の王族です。その小さな脳みそに叩き込んでおきなさい下民」

「なにぃぃ!?」

 

 売りに行こうとしたらアスタに勝負をふっかけられた。

 ふん、王族に楯突くとは不遜な輩だ。

 

「あれー? もしかしてオレと戦って負けるのが怖いのかなァァ!?」

「安い挑発ですね。頭の弱い下民の考えなどお見通しです。どうせ今のところ良い所なしの成績を一発逆転するため(スーパー)エリートの私を利用して点数を稼ぐつもりでしょう」

「ギクゥ!!」

 

 図星です、と言わんばかりにアスタは目を逸らす。

 私としては身の程知らずにも勝負を挑んできた下民を可愛がってやるのも(やぶさ)かではないのだが、生憎(あいにく)と試験前からもう一人の生意気な下民であるユノに先に喧嘩を売られている。

 つまり私には既に先約があるということ。

 ナメられたと思ったら千倍返しがクローバー王国の王族である。

 だからまずはユノとやらをぶっ潰すのが先決だ。

 

「というかそもそも、私がアナタと戦ってメリットありますか? さっきまでの試験で実力を示したならまだしも、ぶっちぎりドベのアナタを踏み潰したところで大した評価にならないじゃないですか。

 恨むなら不甲斐ない落ちこぼれの己を恨むのですね、この虫ケラ」

「文句言いたいけど正論だからチクショウ!!」

 

 忌々しげに睨みつけてくるアスタに背を向けたところで、私は遠くから様子を伺っていた目立つもじゃもじゃ頭に声をかける。

 

「そういうわけで、私を除いた受験生の中で一番デキそうなアナタ。ユノという名だそうですね?

 この私、王族ジゼル・シルヴァが直々に実力のほどをわからせてあげましょう。二度と生意気な口が利けないように、ね」

「……いいぞ。オレもアンタを探してたとこだし」

 

 どうやら同じようなことを考えていたらしい。

 薄味な表情してるくせに意外と好戦的だ。

 いいじゃないか。それでこそこの私の踏み台にふさわしい。

 

「それでは早速試合を——と言いたいところですが。

 どうやらあちらが先に()るようですね」

「アスタか……」

 

 アスタは他の受験者から人気者らしい。

 どうにも一番成績が悪い彼が相手なら楽に試験を突破できると考える者達の標的にされているようだ。

 アスタの相手は一早く彼に声をかけたカチューシャで前髪をオールバックにした少年。

 魔力量は平均的、漏れ出る魔力からして魔力操作も並以下。

 これといって面白みのない凡人だ。

 

 ともかく最初の対戦者が揃ったところで、ヴァンジャンスが口を開く。

 

「どちらかが降参するか戦闘不能になれば試験終了だ。回復魔導士が控えているから存分に戦ってくれ——それでは、始め」

 

「手加減なしだぜ!? 勝負だアスタ! フッハーー!!

 青銅創生魔法〝青銅の防護魔法球(セッケマグナムキャノンボール)〟!!」

 

 ほう。自身を中心に複数の砲台を備えた球状の青銅を生成する魔法か。

 その独特な形状は数年前ミモアマゾンの森林部でサバイバルしていた時に食べたことのある珍虫ダンゴトゲムシ*1を彷彿とさせる。

 攻防一体を成す悪くない魔法だと言えるだろう。

 凡人なりの涙ぐましい工夫が伺える。

 

「決まったなこりゃ。最果てのヤツの魔力じゃアレを破るのは無理だ」

「あ〜〜オレもあのチビと戦いたかったなァ〜〜」

「つーかオイ見てみろよアイツの魔導書(グリモワール)!」

「何だあのクソボロな魔導書(グリモワール)は! アイツまともな魔法使えんのかよ?」

「最果ての下民が。オマエなんかどこの団にも入れねーよ!」

 

 観客(ギャラリー)の言動に思わず眉を(しか)める。

 別にアスタが何と言われようがどうでもいいが、受験者共の節穴さは問題だ。

 こいつらは(ろく)に他人の魔力も推し量れないのだろうか。

 だとしたら随分とレベルが低い。やはりユノを相手に選んで正解だった。

 

 アスタの魔力量を正確に読み取り、それが全くのゼロであると理解できたのであれば安易に馬鹿にして舐めることは愚かだとすぐわかるだろうに。

 魔導書(グリモワール)は持ち主の魔力を高め、強力な魔法を授ける魔本だ。

 ゆえに魔力が一切なければそもそも魔導書(グリモワール)に選ばれることすらないというのは簡単に推測できる。

 

 にも関わらずアスタは魔導書(グリモワール)を手にしている。

 それは即ち、彼は魔力を一切使用せずに何らかの魔法を使えることを意味している。

 アレはただの最果てのドブネズミというだけではない……明らかに異質な存在だ。

 

 そこに気づければ決してアスタを軽く見ようとは思えない。

 私が彼に興味を抱き、挑発を繰り返して魔導書(グリモワール)の魔法を使わせてやろうとしたのもそれが目的だ。

 まぁアスタが私の予想を超えて無能だったおかげで徒労に終わったが。

 

 しかし、彼は戦闘試験には乗り気だった。

 私の興味は魔力なしで使えるだろう異質な魔法だけではない。

 最果ての下民の雑草根性、その手並みとやらを魅せてもらおうか。

 

「んじゃ、行くぜ——」

 

 瞬間、10メートルはあろう彼我の距離が鼻先三寸にまで縮まった。

 アスタが目にも止まらぬ速さで地面を駆けて接近したのだ。

 彼は魔力がないので、これはアスタの素の身体能力ということだろう。

 よく鍛えられた肉体をしているとは思っていたが、これほどまでとは。

 並の強化魔法を施した魔導士よりも遥かに俊敏だ。今までの努力のほどが伺える。

 

「え」

 

 あまりの速度に対戦者の少年は呆気に取られる。

 そんな彼にお構いなく、アスタは己の魔導書(グリモワール)を開き、そこから一本の黒く古びた大剣を取り出して上段に構えた。

 

 一閃。

 唐竹割り。

 

 猛烈な威力で振り下ろされた大剣は青銅の防壁をバターのように切断し、内部にいた少年の肩部に激突。

 そのままの勢いで地面へと叩きつけた。

 

「か……ぺ……」

 

 少年は見るからに戦闘不能。

 勝敗は一瞬。しかして誰が見ても勝者は明らか。

 アスタの見事な勝利である。

 

「オレはテキトーに頑張ってイイ思いする為に魔法騎士団に入るんじゃねー……」

 

 青銅魔法を砕いたあの一撃。

 魔力が込められているようには見えなかった。

 しかしただの錆びた大剣を叩きつけただけであれほど滑らかに金属の壁を切断できるわけがない。

 

 つまりあの剣は——()()()()()()()()()()

 

「死に物狂いで魔法帝になる為だ!!!」

 

 魔力の無効化。

 仮に呼称するなら『(アンチ)魔法』と呼ぶべき代物か。

 なるほど。実に興味深い。

 あの魔法であれば、呪い()に打ち勝った私をも殺し得るだろう。

 

 ……最果ての下民ごときが魅せてくれたものだ。

 『魔法帝になる』という不届きな戯れ言も大目に見てやることにしよう。

 ハージ村のアスタ。名前は覚えた。

 威勢が良いのは結構だが、ざんねんながらオマエの夢は叶わない。

 

 なぜならば、魔法帝になり王国の頂点に立つのはこの私。

 ジゼル・シルヴァなのだから——!

 

*1
ジゼル「カニとロブスターを足して4で割った感じの味がしてわりとおいしかった」





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