Schooldays in U.C.0079 作:碗古田わん
その横を蒼いペガサス級が加速していく。
そのカタパルトから、
「あれが
呟いた匠は、結愛に聞いた。
「なにか感じる?」
結愛は、ぷるぷると首を横に振った。
「僕も特になにも感じないなぁ・・・・・・」
その感覚が結愛と同じだったので、匠は意外感を示した。
(ニュータイプではないのかな?)
同意するように結愛がこくっと頷く。
「ん?」
そうしていると不意に匠は遠くに敵を感知した。
「いける?」
匠の問いに、結愛はこくっと頷いた。
それを見た匠は、サイコミュの起動スイッチを入れた。
肩のロックが外れて、6機のビットが自由になる。
結愛は真剣な表情になって、集中した。
ビットが、一斉に目標目がけて飛んでいく。
そして、
あっという間に1個中隊が全滅する。
”大丈夫?”
匠は
”大丈夫”
としっかりとしたイメージで結愛が返してくる。
匠は初めて人を殺した時のことを思い出していた。
それはアフリカ戦線で、
(あの時は人を殺したいう感覚がなくて、まるでゲームでもやってるような感覚だったなぁ)
それ以前に、生き延びるのに必死で相手のことなど考える余裕がなかった。
(今の結愛も同じ感覚なんだろうか・・・・・・?)
匠の思考は、ビットの制御に集中している今の結愛には届いていなかった。
その間にも結愛は、次々にモビルスーツ部隊を壊滅させていく。
防衛線を張るジオンのモビルスーツ部隊は、謎の攻撃を受けて大混乱していた。
「ほらほら、よそ見してんじゃねぇぞ!」
そこへデレック・イージスが、
「こっちも忘れないでくれよ!」
クワサ・アラーも同じく
慌てる
結愛も周りにいる
瞬殺される
”な、なん・・・・・・!”
”どこから・・・・・・わぁ!”
”うわぁ!”
”敵が・・・・・・うっわぁ!”
ビットでモビルスーツを葬るたびに、結愛にはパイロットの断末魔の悲鳴が聞こえた。
(ごめん・・・・・・ね)
そのたびに結愛は心の中で謝った。
(結愛・・・・・・)
その声は匠にも聞こえてしまった。
(やはり、結愛を戦場に出さないほうが良かったじゃ・・・・・・)
匠は考え込んでしまった。
その一瞬に隙ができた。
「!?」
明確な敵意を感じた匠は、周りを確認する前に手足を動かした。
ちょうど
それを紙一重でかわすと、お返しに
直撃を喰らった
(危なかった・・・・・・)
匠は自分に檄を入れた。
(結愛を無事に帰すためにも、今は集中しないと)
「戦況はどうなってる!?」
サラブレッドのブリッジでは、ロッド・ジョーンズが落ち着かない様子で聞いていた。
「モビルスーツ部隊は第1防衛線を突破。第2防衛線に向かってます」
管制士のフランソワーズ・ベイルが、それに答える。
(ここまでは順調か・・・・・・)
サラブレッドを含む味方艦隊がモビルスーツ部隊の攻撃に晒されてないことに、ロッドは思った。
「艦隊、まもなく第1防衛線に達します」
頭上の大型モニターを見ながら、マリー・ソネットが報告する。
「対モビルスーツ戦準備。弾幕を張れ!」
ロッドは指示した。
艦隊は第1防衛線に突入した。
残ったジオンのモビルスーツ部隊が艦隊向けて攻撃を仕掛ける。
それをサラブレッドは、主砲、メガ粒子砲、機銃で応戦して蹴散らしていく。
「右舷、弾幕薄いよ! なにやってるの!?」
キャプテンシートに取り付けてある内線の受話器を取ったロッドは、檄を入れた。
そのままサラブレッドは迫り来る
「モビルスーツ部隊、第2防衛線に接触します」
(上手くやってくれよ)
マリーの報告に、ロッドは祈るような気持ちで思った。
それに続いて
「オレたち、いらないんじゃね?」
それを間近で見て、デレックは口笛を吹いた。
「戯れ言は後」
そんな
「一気に抜くぞ」
匠は気合いを入れた。
その時、メガ粒子の矢が放たれ、
「デレック!?」
叫んだ時にはもう遅かった。
「誰が!?」
匠は周りを確認した。
すると見たことのないモビルスーツが迫ってくるのが見えた。
直ぐにコンソールを叩いてデーターを照合する。
「MS-14、ゲルググだって!?」
『
「回避だ! 動いてないとやられるぞ!」
悲鳴を上げたクワサに、匠は指示した。
そうしながら、
その間にも、結愛の操るビットが
”お兄ちゃん・・・・・・”
不意に、結愛が匠に
”どうしたの?”
同じく
”あのモビルスーツのパイロット、お兄ちゃんより若い”
「僕より?」
匠は思わず声を出す。
自分は今、学年で例えると
「じゃあ、
そういうことになる。
「なんで、
叫びながらも匠は、狙いを定めてきた
そのまま連邦のモビルスーツ部隊は、第2防衛線を突破して最終防衛ラインへ向かう。
”結愛”
少し時間があったので匠は
”相手が
その
しかし、結愛はぷるぷると首を横に振った。
”お兄ちゃんと一緒に戦争を止める”
「そっか・・・・・・」
結愛の覚悟に匠は頷いた。
最終防衛ラインが迫った。
モビルスーツ部隊の他に、ムサイ級巡洋艦やチベ級重巡洋艦、ザンジバル級機動巡洋艦の姿も見られる。
そして、直ぐ後ろには巨大な空母ドロワが陣取っていた。
結愛は、ビットを艦艇に向けた。
ムサイやチベ、ザンジバルの編隊が次々に沈んでいく。
そして、モビルスーツ部隊は、
続いて匠も、
がむしゃらに動く
ビットの攻撃と、2機のモビルスーツの攻撃で戦線はあっという間に崩壊した。
しかし、ドロワからの迎撃はない。
”空母を叩くぞ!”
匠は結愛に呼びかけた。
こくっと結愛は頷いた。
ドロワから触手のように伸びる司令室にビットが飛んで行く。
そして、次々とメガ粒子砲を撃ち込む。
そこで初めて、ドロワは艦外部に無数に配置されたメガ粒子砲を撃って反撃を開始した。
(なんだ・・・・・・今の間は?)
匠は首を傾げたが、今はドロワ攻略のほうが先だと思い、余計な考えを頭から追い出した。
司令室を全て破壊した結愛は、メガ粒子砲を潰しにかかった。
蒼い
そこへサラブレッドとポニーの2隻のペガサス級、それに2隻のサラミス級が到着する。
”下がるよ、結愛。ビットを回収して”
戦況が艦隊戦に移行したのを見て、匠は結愛に指示を出した。
結愛はこくっと頷くと6機のビットを
サイコミュもオフにする。
「戦況はどうなってます?」
サラブレッドに問い合わせると、
だが、ミノフスキー粒子の濃度が濃く、画面はノイズで歪み、声もノイズ混じりだ。
『Nフィールドでは、ジオンの空母を撃沈。Sフィールドでは、前線突破に手間取ってます』
(戦況的には連邦有利だろうか・・・・・・?)
と匠は思った。
『第308機動兵小隊は通信途絶。第272機動兵小隊も残っているのは
そこで匠はクワサの存在を思い出した。
「クワサ、どこにいる?」
慌てて周りを見回す。
『こっちにいるぞ』
クワサの気配を感じた匠は、その方角を見る。
すると、左腕と頭部を失った
「クワサ!?」
中破した
「無事なのか!?」
『平気、平気』
「平気、じゃない!」
しかし、そんな態度が匠のかんに障った。
「隊長命令だ! 今直ぐサラブレッドに帰還しろ!」
『でもさ、艦隊戦中だぜ』
クワサの言うとおり、サラブレッドは現在、ドロワと砲撃戦を繰り広げている。正面ハッチからは帰還するのはかえって危険が伴う。
「先導するから、リアデッキから入れ!」
しかし、ペガサス級には後部にもデッキがある。大きさはそれほどでもないので、モビルスーツを立ったまま着艦させるは無理だが、横にあった状態ならなんとか滑り込めそうだった。
「結愛、ビットでクワサを守って」
言いながら匠は、サイコミュを起動した。
結愛はこくっと頷いた。
いったん回収したビットが再び宙を舞い、クワサの機体の周りを囲む。
「いざとなったら、ビットで砲撃を防いでいいから」
それにも結愛はこくっと頷いた。
そのまま
「サラブレッド!
『りょ、了解しました!』
匠の声が緊迫していたので、良美は返事を噛んでしまった。
ドロワからは依然として砲撃が止まないが、先ほどよりは弱まっている。連邦艦隊の攻撃が確実に利いているのだ。
その間隙を縫って
既にデッキは開放されており、メカマンも待機している。
レーザー誘導灯も点灯していた。
それに乗った
『ありがとよ』
「ふーっ」
匠はヘルメット越しに冷や汗を拭う仕草をした。
”大丈夫?”
ビットを再び回収しつつ、結愛が
「うん、大丈夫」
その
その時、眩いばかりの光を放って、ドロワの動力炉が大爆発を起こした。
巨体が真っ二つに割れる。
ジオン最強を誇った空母の最後だった。
「よし!」
それを見た匠はガッツポーズをした。
「さて・・・・・・今度こそ、戦争を終わらせるぞ」
匠の言葉に結愛はこくっと頷いた。
戦争は、まだ、続いている。