萌え声クソザコ装者は憧れたんだ   作:青川トーン

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真実を刻み付けるんだ

 どうにかキャロルを撃退した直後、駆け付けた医療班によって応急処置が為されたが容態は重篤。

 まずエクスドライブのおかげでスペックが底上げされていたからどうにかなったものの思ったよりも血液を流し過ぎたのと衝撃で内臓と全身の骨がダメージを受けておりついでに神経も断裂。

 

「サイボーグ処置を行うしか……」

「馬鹿をいうな!純粋なる、原罪無き体である事が重要なのだ!そんなことをすれば計画が破綻する!」

「しかしこのままでは死ぬぞ!せめて輸血だけでも!」

 計画を聞いた時に知った事ですが、やはりバラルの呪詛とは精神だけでなく体にも定着しているようで私にはそれがない、だから呪詛に囚われた血を流し込めばその分不純が増える。

 人工血液、代替血液もそう簡単に作れるものではない。

 

「待たせたな」

「医療チーム参上なワケだ」

 

 そんな時に来てくれたのがサンジェルマンさんとプレラーティさんだ。

 

「カリオストロなら警備にあたってるワケだ、にしてもあのキャロルに食らいつくというのは大したものだ」

「フォニックゲイン横取りされてヤバかったですけれどね、舞台の上で戦うとあんなリスクがあるとはまるで考え付きもしませんでした」

「あれでいてキャロルは奥の手を使っていない、ヤツの真髄は思い出、つまりは記憶と感情が結びついたモノを利用した錬金術。つまりは手札一枚でお前をここまで追い詰めたワケだ」

 

 なるほど……そんな力が、そうなると皆が不安になって来る。あれ以上の出力を出されると7人揃っても一点突破でないとどうにも……いえ、立花さんなら貫いてみせるか?

 

「それよりも、あなたの体の問題よ。血液が不足しているな、輸血もする訳にいかないと聞かされていたから用意をしておいた……賢者の石、ラピスの副産物であるエリクシル……最近の作品ではエリクサーだなんて便利なモノとして扱われている薬品よ」

「マジにあるんですかそういうの」

「フィクション程便利なモノではないがな、指向性を持たせて血液の代替物として流す事が可能だ。穢れに関しても問題はないが……一つだけ懸念がある、副作用がどう出るか分からない事だ、そこだけ覚悟をしておいてほしい」

 

 いうて他に手段はありませんからね、頷き、輸血ならぬ投薬開始。

 全身に冷たい氷の様な、清らかで澄んだソレが流れ込み、まるで透明になったかの様なさわやかさを感じた後、強い頭痛に見舞われる。

 骨から神経まで、スースーして寒い!キリキリ痛む!冷たい!

 

「うわ……透き通ってるワケだ」

「……この副作用は予想できなかったわ。完全な体を作ったものの最初から呪詛の宿ってない体にこれを流し込んだのは初めてだから」

 

 二人が物凄いドン引きしているけれど今私どうなってるんですか!?

 マジで目を開いてられないぐらい痛いんですよ!口を開くと吐きそうですし!

 

「落ち着いて欲しい加賀美凛音、あなたは今物凄い透き通っている、例えるならクラゲというかクリスタルみたいになっている」

「どうするサンジェルマン、いくら美肌でもこれじゃ人前に立てんワケだ」

「多分、治るだろう……駄目だったら化粧で誤魔化すしかない、女はいつだってそう」

「女歴が短いが確かに」

 

 はぁっ!?今そんな状態なんですか私!?

 

「ウワッ化けて出た!!」

「恐怖でガンス!」

「ついに辞めたわね、人間を……」

 

 見る人全員にドン引きされてるってマジで怖いんですけど!私マジでどうなってるんですか!?

 

「ああ……治まってきたみたいなワケだ、さすがに赤色が戻って来た。ただダメージの全回復とまでは行っていない、まだ動くな」

「これ本当に戻ってるのかプレラーティ、私にはラピスに変化してる様に見える」

「冗談は笑えないぞ、恐怖のラピス人間が誕生したらどうするワケだ」

「そうしたら今度は浄化系アイドルに転身してもらうしかない」

 

 お二人とも笑ってるけれど、私の方はとんでもねえ苦痛と恐怖を味わってるんですよ!マジで!

 しても意識はどうにかハッキリしてきました、内臓の方の痛みも引いてきましたし効果はあるんでしょう……後は関節の痛みと頭痛がどうにかなってくれないとまだ口を開けない!

 

「おいおい死ぬんじゃないぞ、ウチらの体を治す約束だろ」

「せっかくあのバケモノ錬金術師と戦ったのだから」

「これでも感謝してるんでありますよ、わたくしめらは」

 

 ついにデレ期が……来た!しかし言葉が返せない!

 

「うーん、不味いかもしれないぞサンジェルマン」

「確かにうん、見るからに不味い変化をしてるわ。金色に光るなんてまさか黄金錬成?」

「いや黄金になったら動けないだろう、しかしネタにはできるワケだな」

「黄金卿誕生か」

 

 いや笑ってる場合じゃありませんて!私が確認できないからってからかうの辞めてくださいよ!いや真実だったらもっと嫌なんですが!

 

 そうこう弄られてるうちにようやく痛みが引いてきた、といってもまだ重傷ぐらいはある筈……。

 目を開くと前髪が邪魔だった、ライブ前に比べて明らかに伸びている、しかも真っ白に脱色されているし……。

 

「おめでとう、どうにか助かった訳だ。自分でも感じてる通りまだ重傷患者だ、しばらくは静養するワケだ。それと金色になってたのは本当だ」

「貴重なエリクシルによる再生の実験記録になった、まああなたが例外すぎて再現性があるかはわからないが……助かってよかった」

「あのこの白い髪はなんですか、っていうか髪も伸びてますし。肌もなんか美白されてません?」

「ラピスの副作用だ、浄化が強く働いたのだろう。昔の不健康だった名残が消えたという事と捉えなさい……髪に関してはどういう効果でそうなったのかわからないから、すまない」

 

 マジか~生え変わったら元に戻るかなあ!?とりあえず染めりゃなんとかなるし今は助かった事実だけ……。

 

「ってオイ!サンジェルマン!また光ってるぞ!」

「……驚いた、加賀美凛音。あなたは天使だったのか?」

「は?確かにインターネットの天使ですが」

 

 すっと錬金術で作り出した姿見に映る私の頭には光輪、いわゆるヘイローという奴がついていた。

 はぁっ!?

 

「成ったんだよ、君はさらなる高次元の存在に」

 

 そんな時、やって来たのはアダム!マジで説明求む!説明!

 

「見事だったよ、先程のライブは。おかげで世界中の人間が君を認めたんだ、天使だとね。加えてエリクシル、賢者の石はサバティエル、大天使ミカエルに連なる要素を持つ……その哲学が君に宿ったんだ」

「なるほどそういうワケか、して局長……この光輪はどうするワケだ」

「どうもこうもすればいいじゃないか、認識阻害を」

 

 噓でしょ……マジで私、天使になったんですか!?

 っていうかアヌンナキ・カストディアンってシュメール神話の方じゃなかったっけそっちに天使いたっけ?っていうか確かカストディアンって宇宙人でしたよね……。

 

「ああ、君が今気になってる事を答えようじゃないか。君をイレギュラーと言ったね……それはアヌンナキの眷属、神に対する天使に近い存在だったという事さ。君は」

「本気で言ってるのですか局長」

「サンジェルマン、プレラーティ……僕の名をよく考えてみるといい……それに付き合いの長さも、ヒントはそこにある」

「まさか……いやまさかなワケだ!」

「なら何故今まで黙っていたのですか!?そういう事ならば他にも多くの事を!」

「知っているが、あまり語りすぎると厄介な事が起きる。統一言語が失われた事で表現できなくなった、あるいは口にする事すら許されなくなった概念も多い……そんな状態だったんだ、悪気だけはないさ」

 

 うわーーーマジでこいつ楽園追い出されたアイツかその元ネタなんですか!?

 じゃあリリンとかイヴとかって……いやなんかマリアさんの名前もそう考えると地味に厄ネタ……あのりんごの歌って……。

 

「天使と初期の被造物だからね、凛音も僕もある程度は通じるのさ、思考や心というものが。ちなみに僕が追い出されたのは設計通りすぎて発展性が足りないという酷い理由だった、だから君達人間に、錬金術師に色々と補って貰ったのさ」

「うへ、楽園追放の真実なんて知るとは思わなかった。ってかマジなんですね……そういえばイヴとかリリンとかってのは」

「聖書に書かれるアダムの一部から作られた、それは部分的に正しい。僕のデータを使ってあえてデチューンする事で成長幅を持たせたのだからね……ルルアメル、人間にね」

 

 唖然としてるサンジェルマンさんとプレラーティさん含む周囲の錬金術師達、果たして何のことやらという顔のノーブルレッド3人……いやマジ歴史の真実を直視させられるとは思わなかったよこんな場所で!

 

「局長、今度もっと詳しい話をしましょうか。あなたはあんまりにも我々に伝えてない事が多すぎる」

「人でなしってあだ名、事実だったワケだ」

「それ傷つくからやめてほしいよプレラーティ、一応は完成品であった僕だってコンプレックスの一つぐらいあるんだ」

「なんだか偉い事になっちゃったようだぜ」

「事態は深刻でありますか?」

「そうね、とりあえず私達のリーダーは健在だから結局のところやる事は変わらなさそうよ」

 

 しかしマジかー私、天使なのかー!こう望んだら羽根とか…うわっ生えて来たし……。

 

「しかしこれで進んだよ、計画は大きくね。その点では感謝しないとキャロルにも」

「最初から天使にするつもりだったんですか、私を」

「神になるんだから必要なのさ、前段階が」

 

 確かに神様になるには段階踏まないといけなさそうですけれど!

 

「加賀美凛音、いえ天使凛音……」

「素直に凛音でいいです……」

「今度から局長の通訳係として私達の会議に参加して欲しい、おそらくだけれど無自覚に私達に話してない事が星の数程ありそうだから」

「それは、そうですね……」

 

 どっと疲れが湧いてきた、そんな時荷物係の錬金術師さんがおどおどしながら通信端末を持ってきた、どうやら通話だ。

 

『無事か!!凛音!!』

「翼さん!大丈夫ですよ、私の方は撃退しましたから。今、治療というか処置受けて休んでる所です」

『すまなかった、すぐにでも駆け付けたかった!だが……今の私達にはキャロルに対抗する力が……』

「大丈夫ですって!とにかくそっちはそっちで無事ですか?」

『ああ……今は協力者が、シンフォギアの修理と強化を行っている……だが立花も不意を突かれてやられ、今動けるのは暁と月読と小日向だけだ……それにLinkerの予備もそろそろ底をつきそうだ、ウェル博士から受け取るにも場所は深海だし、秘匿されているからな……簡単にはいかない』

 

 なるほど現状そういうことですか、しかし立花さんまでやられるとは……小日向さんは遠距離から撃ってればアルカノイズには有利が取れますからね……ですがオートスコアラー連中がどこまでやるか分からないので……。

 

「翼さん、伝えておきたい事があります。私が倒したキャロルはあくまで分身の一体みたいなモノらしいです、まだ全力を出してる感じではありませんでした。お気をつけください」

『ああ…………』

 

 言葉が詰まる、おそらく察しているのでしょう……あの状態で、私があそこまで戦えて、なまじ今まで撃退すらできてないオートスコアラーの親玉の分身を倒せた理由を。

 S.O.N.G.は国連の預かりの組織、私は日本政府所属であるけれど……日本にこれ程の異端技術を、シンフォギアを強化する手立てはあり得ない事のにこれだけの戦果を見せつけてしまった。

 

 どこかの組織と、まだ知らない影の勢力との繋がりが出来ていることを。

 

「大丈夫ですよ、目指す所は同じです。そこまでに誰かを踏みにじる様な事も、犠牲にする様な事もない。簡単な道ではありませんが、いつか道は交わるとだけ」

『……司令に伝えておく、だがいつでも助けを求めてくれ。装者としてではなく人として、友を助ける事は当然なのだから』

 

 ヒトとして、果たしてヒトではなくなった私を見たら。

 翼さんはどう思うんでしょうか。

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