S.O.N.G.のシンフォギア強化計画、その為には本部の電力では足りず発電所に立ち寄る必要がある。
当然ながらそこを狙われようものならひとたまりもない。
国連は日本政府に協力を要請、加賀美凛音を出せと。
まあ拒否する理由もなければ……いざキャロルが何かを仕込んでいたとして……装者達が何も動かないと痺れを切らしてアルカノイズで無差別攻撃を始めかねない。
なので回復して早々、私に新たな指示が来た。
新型ギア完成までのS.O.N.G.護衛任務です。
「久しぶりデス!!凛音パイセン!」
「なんか……すごい雰囲気変わった」
現状動けるのが切歌ちゃんと調ちゃん、そして小日向さんだけ……まあそうなれば、私に頼るしかない。
「ええ、この間のライブでキャロルを撃退したらなんか……こうなりまして」
「それは大丈夫なの、凛音」
「マリアさんもお久しぶりです、悪い影響ではない……むしろ世界中の人々から認められた?みたいな感じです、ほら人気アーティストさんって人気出る程にさらに加速する様に力が湧いてくる、フォニックゲインの理論的な?」
「わかる気がするわ、確かにレセプターチルドレンとして過ごしていた頃よりも歌手活動を始めた時の方が私の体に力が漲っていた」
やっぱりそういうの本当にあるんでしょうね、知名度補正って奴でしょうか。
「前に見た時は何かに追われ、疲れていた様なイメージがあったけれど……今は何か一つステージが上がったみたいに私には見えるわ」
「でしょう?やっぱり人間にはまだ未解明の何かがあるんですよ」
「凛音!……なんだその白い髪は!?脱色したのか!?痛むぞ!」
「あ、翼さん!実際に会うのは久しぶりですね!ご心配なく。これもちょっとパワーアップの副作用みたいな」
まだあえて真実は答えない、実際に語られても何の何の何?みたいになりそうですからね。
しかし天使になった自覚はまだないんですよね、相手の気持ちを汲み取りやすくなった?様な気がするだけで。
とりあえずそろそろ司令にご挨拶にいかないと、それと開示できる情報もそろそろ、少しだけ伝えるべきでしょう。
「久しぶりの本部はどうだ?凛音くん」
「苗字呼びじゃなくなってますね、風鳴司令」
「ははは、いつまでもそれだと距離があると思ったからな。それに昔の俺の職場に加賀美姓の奴が居たからその癖もあったんだ」
「それはさておき、気になる事。ありますでしょう?私の今の所属とか」
「ああ、確かにな。正直悪人に利用されているのかと心配していた……だが、君の今の顔を見るとそうではなさそうだな。開示できる程度で構わわない」
確かに、善行だけではない……けれど人の未来を想って動いてるのは間違いない、訃堂のジジイも今後の日本の事を考えてはいるし。
「まあキャロルとは別口の錬金術師の協力者がいます、そのおかげで一足先にシンフォギアを強化させてもらいました。私は現在……将来的に起こりうる脅威に対抗するべく行動しています。キャロルもまた脅威なんですが、それ以上に危険な過去の遺物が存在するのです」
「……やはり錬金術か、響くんがキャロルと相対した時に「パヴァリア光明結社」という名を聞いた。君が俺達を裏切りその組織の為に動いてるといって揺さぶりをかけて来たそうだ」
「揺さぶるには、正解ですね。確かに結社には協力して貰っています、しかし規模が大きくて善人もいればそうでない人も居る……そんな組織です。結構歴史が古く、何度かフィーネと衝突していた事もあるそうです」
私は「どうやって活動しているか」とか「構成員」に関しては伏せ、大まかな概要を説明、それをスタッフの人達が記録していく。これは国連なんかにも流れる事でしょうから、極力余計な事が漏れない様に気を付ける。
「あの三人、ノーブルレッドも結社の構成員なのか?」
「そうですよ、裏社会から裏社会に横流しされ続けた先で、まあ色々改造されてたんですが今は社会復帰の為に手を貸してます……まああんまり心を開いては貰えませんが」
「そうか、リディアンに転入させるという話を聞いた時は身体情報なんかを見て驚く事になったぞ」
「でも司令のが強いでしょ」
「それはそうだが……して本題に入ろう。その巨大な組織が表に出てきかねないリスクを負ってまで何を恐れているんだ?それほどに危険な相手ならば我々も手出しをしないわけにはいかない」
「宇宙人ですよ、古代にこの地球に降り立った……神とでもいうべき存在です」
「神……だと?」
さすがにそんなもの、突然言われても信じられるとは思えない……けれどお忘れではないでしょうか?ウチにはフィーネという前例があるし、なんならフロンティアや様々な聖遺物という物証がある。
「本当に神と呼ぶべきか、あるいはただ単に強いだけの宇宙人でもいいです。フィーネの時代からずっと封印されているし完全な状態ではありませんが……封印が解けかかっています。それに対抗するべくフォニックゲインを集めたり、聖遺物を動かしたりなんかで対抗手段を模索しています。これに関しては一応の策と呼べるものが相応にあるので……ってその子、キャロルじゃないですか!!!」
「あの違います!僕はエルフナイン……ホムンクルスです!」
あー例の協力者ってこの子ね、確かに見た目は人畜無害ですが見た目がほぼキャロルなんですよ!!
「加賀美凛音さん……あなたは……哲学兵装を知っていますね?」
「はい、当然ですよ。神に対抗するには概念を纏わなければ勝負にならない、ですから」
「ファナティクスとしての君の活動もまさか」
「アイドル、偶像となることで信仰を得た上で更に強化し……神と同じステージに立つのが大まかな計画ですね?」
うわーガチの錬金術師だと一発で見抜かれますか……さすがはキャロルのホムンクルス、頭が回りますね。
「待て、それでは凛音くんは神になろうと……?それは人の身を捨てるという事に」
「現人神って概念があります、人であり神でもある。完全に人である事を捨てる気はありませんよ。それにあくまでソイツを倒す事さえ叶えばいいんです。逆にそれが出来なければ人類は終わりますよ、本気で」
司令はマジで優しい、こんな私の事ですら気にかけてくれる……けれどダメなんです、こればかりはやらなきゃ。
「正直な所、キャロルの面倒まで見てる余裕はないんですが……どっちも放っておけば終わりです。明日の為に戦う……それは大人も子供もかわりはありません、司令……その優しさも甘さもあなたの美徳ですが、今だけは私のやりたい事を見守ってください」
「少し見ぬ間に、君は俺達が思っていたよりもずっと前に進んでいたんだな……だが、いつでも頼ってくれ。これでも大人だからな」
「ありがとうございます。してエルフナインちゃん、さっきはキャロルと誤解した事を謝罪しましょう。みんなの事、よろしくおねがいします」
「はい!」
さて挨拶と大まかな説明は済ませた、次は落ち込んでる信号機組のお相手です。
「ギアが砕かれたぐらいでなーにを沈んでるですか皆さん」
「凛音ちゃんは……キャロルちゃんと戦って撃退できたんだよね」
「悪いですがお先に強化されてましたからね、あなた達が負けたのはあくまでキャロルがセコい手で不意を突いたからです!ハッキリ言いましょう!全力なら負けない筈ですよ!」
「そうは言うけど……」
「まーた分かり合う、手を取り合いたいと考えてますね。一度やりあった身としては一度ぶん殴って黙らせないとアイツは何も聞いてはくれませんよ!迷う事はありません、一回ボコボコにして、そこから話を聞かせてやりなさい……で!クリス!あなたは後輩に無様見せた事を引きずってますね!」
なんでわかんだよって顔をしたので疑惑は確信に変わる、心を読むのはあんまりよくないんですがとにかく今は手段を選んではいられない。
「あの二人は横に並びたいって思ってます!あなたが先に前に立ちたい気持ちはありますでしょうが本人達の気持ちを忘れないでください!そして翼さんですが……あなただって負けた事はありますよね!その度に立ち上がって来たはずです!今回だって同じです、10回倒れたら11回立ち上がって戦えばいいんですよ!」
「お前そんなキャラだったか……?」
「うちのファナティクスのメンバーを立たせるのに苦労してんですよこっちも!自分の内側だけ見てる訳にはいかないんです!よく周りを見るんですよ3人とも!マリアさんも切歌ちゃんも調ちゃんも小日向さんも頼りなくおもいますか!」
確かに自分との戦いは大事です、しかし自分の中を覗いても何も見えない私は外側に、周囲に力を求めるしかない!だから火を点けるんです!
「あなた達が負けているのは自分自身なんです!キャロルもオートスコアラーも確かに強い!けれどあなた達は世界を2回も救ってる!3回目ですよ!何度でも脅威をぶっ飛ばして!明日を掴むんです!」
激励、煽動、背中を押す!
「いつの間にか随分と大きくなったな。凛音」
「成長期なんですよ!とにかく三人とも!私の仕事をこれ以上増やさないでください!マジでこれ以上はキャパオーバーするんで!」
そうこう言っていると警報が鳴る、やっぱり案の定港にアルカノイズが出現。狙われるのは発電所ですがあらかじめ小日向さんが待機しててくれたおかげで今のところ被害は出ていない。
「じゃあ私も行ってきます!3人ともギアの完成するまで準備体操でもしててください!」
言うだけ言わせてもらいとっとと出撃、まさか自分が皆を励ます側になるとは思いませんでしたが……!希望を与えずして先導者にはなれませんからね!
聖詠を唱え、飛び出して。久々の戦闘形態のギアで空を翔ける。
「待たせましたね小日向さん!」
「ううん今はじめた所だから、それより皆とは何を話したの?」
「くよくよしてたから喝を入れて来ました、小日向さんもそろそろ熱血方向に転向しません?」
「そんなことしたら響が熱中症になっちゃうでしょ。それよりも忙しい中来てくれてありがとう」
「どういたしまして、そうそう皆気遣いすぎなんです、これぐらい雑でいいんですよ私に対しては」
二人分のホーミングレーザーでアルカノイズを薙ぎ払い、瞬く間に蹴散らして、空中要塞みたいな奴を爆破してやる。
「して、神獣鏡手に入れてから絶好調じゃないですか小日向さんは」
「加賀美さんもファナティクスになってから随分と元気そうだけれど?」
「世界を元気にするには自分が元気じゃないといけませんからね、夜更かしはやめましたよ」
地面を突き破り現れる巨人型ノイズにギターアックスをぶっこんで両断、飛んできた解剖弾を逆に消滅させる。
小日向さんもレーザーを鏡で反射させてバリアにする事でノイズの分解攻撃を『浄化』して消し去る。
なるほど神獣鏡は魔祓いの力が強いですがここでも有効取れるんですね!
「さて、お遊びはここまでです。出てきたらどうですか?」
「アルカノイズを蹴散らしたぐらいで調子に乗ってるんじゃないですよ」
「ガリィ、確かあの装者はバラバラにしちゃってもよかった奴だったかな、忘れちゃったゾ」
「予備は残ってる、イレギュラーは今度こそ退場させる」
確か個体名はミカとガリィ、火と水に対応するオートスコアラー……前の戦闘データでは水で幻覚を作ったりカーボンロッドでガングニールを破壊したとありますね。まあいいでしょう。
「何がバラバラですか、あなた達を解体して継接ぎのミキシングにしてやりますよ!!!」