「小日向さんはバカそうな奴をお願いします、私はあの性格の悪そうな奴をどうにかするんで」
「バカって言う方がバカなんだゾ!」
「乗るんじゃないわよバカ」
ガリィに向けて即座にホーミングレーザーをぶっぱなして分断、水分身を使うと事前に聞いているのでセンサーで分析、やはり既に最初からダミー、おまけにミカの方も。
「小日向さん!リフレクター撒いてください!」
「わかりました!」
通常のセンサーだけではアルカノイズを倒した時の赤い塵に含まれる要素で捉えきれない。だから光を浴びせてやろうと思いました、鏡の特性を生かしたリフレクターにホーミングレーザーを打ち込む、破壊力は失ったものの拡散したソレが周囲の塵を退ける、とそこには空気で作った壁がある。
あれは確か翼さんが戦ったという奴ですね!それにリディアンに偵察にも来ていた!
「やはり加賀美凛音は、計画の一番の障害ね」
「派手な光で照らしてくれる!」
空気の壁が爆ぜて現れたのはさっきとは別の二体、おそらく風と土のオートスコアラー!
弾かれたコインがリフレクターを撃ち抜き、同時に水柱が上がった。
おそらく目的は本部への強襲!ですがそっちには切歌ちゃんと調ちゃんが居る、今はこちらを対応しましょう。
「私はファラ、そしてこっちはレイア。お相手願いましょう」
「派手に飛ぶ天使、だけれどこの状況ならば?」
周囲に暴風が吹き荒れる、残っていたリフレクターが落とされ、こちらに向かってコイン弾が飛んでくる。あいにく私も小日向さんも耐久度という点では大したことが無い、機動性を生かそうにも風で動きが制限される。
ならばとコインをホーミングレーザーで焼……けない!4発ほどフライトユニットに被弾してダメージを負う。
「コーティングさえすればその派手な光線も突破は容易い!」
なるほど徹底的にメタって来たという訳ですが、甘い!私のイカロスが飛ぶだけの力だというその認識が甘い!
「ならば派手にあなた達を抹殺させていただきましょう!小日向さん、神獣鏡はちょいと相性が悪いんで本部の援護に行ってください!」
「わかった!無茶しないでね!」
手に取るのはギター、こんな逆境こそ!私のステージなのです!
出力が上昇してイカロスが炎を纏う、傲慢と増長の代償たる呪いさえも私の手ならば力となる!
飛んできたコインを溶かし、高熱によって大気が歪んで風が変わる!
「けれど所詮は炎、空気を失えば……」
「はっ私の炎は地獄の業火であり、魂の炎!燃やしているのは世界そのもの!大気が無ければ燃えないという哲学は通用しない!」
「派手さ加減で圧倒されている!さすがは世界に火を点けた女だけある!」
ファラと名乗った風のオートスコアラーが竜巻を起こして火を消そうとするがそれは悪手、ただただいたずらに火種を拡散させてフィールドを地獄と変える、そしてその炎は全て私のアームドギア!四方八方から意思を持ったプロミネンスとして敵を巻き取る!
「でたらめを!」
「しまったな、貧乏くじを引いた!だが加賀美凛音、お前は無事でもお前の仲間は」
「その手には乗りませんよ、あなた達を焼き尽くしてからゆっくり助けに行かせて貰います!」
その瞬間、コンテナが複数飛んできた。さすがに回避、即座に焼き尽くす程の火力は出せないので!
目を凝らせばステルスを施した巨大なオートスコアラーが居る、まだ伏兵を……!
「やはりお前は厄介だ!加賀美凛音!」
そしてもう一発飛んでくるのは黄金の光の竜巻、この錬金術はキャロル!
さすがに3対1はキツい……ですが!
「申し訳ありませんマスター、後れを取りました」
「仕方あるまい、イレギュラーはイレギュラーだ。それよりもまだ戦えるな、ファラ、レイア」
「当然です、派手に散る時まで」
今の一撃で場を染めていた炎が消し去られ、状況は一転不利。
対抗策、燃える心のみ!
ファラの不可視の刃とレイアのコイン連射を焼き尽くし防御、ギターにエネルギーを込める。
「今日こそ死ね!イレギュラー!」
「くたばるのはあなた達です、ガラクタ共が!」
世界を終わらせる災厄の炎、その概念をギターに宿らせる……例えるならば即席のレーヴァテイン!
害成す杖の完成です!
『ラグナロック・エンド!!!』
その瞬間世界が光に包まれた、爆炎は天を貫き、衝撃で周囲のコンテナは瞬く間に蒸発、港の一部が文字通り消滅した。しかしキャロル達は3重の錬金術陣で防御、残り一枚を削り切れなかったか!
「ヘルメス・トリスメギストスをここまで削るとはな……今のは冷えたぞ!だがそれだけの火力を出してお前の方も無事にいられるものか!」
まあ……そうですよ、力には対価を必要とする。今の一撃をぶっ放す為に呪いの負荷が私ではなくギターの方に集中した……もう一発打ち込めばリバウンドで私の方も吹っ飛びかねない。
しかし、十全に時間は稼ぎ切った。
「む……ガリィとミカが撤退したか、ようやくお出ましというわけか」
新たな反応が3、強化されたシンフォギアだ。
「形勢逆転ですね、尻尾巻いて逃げたらどうです?私一人に手を焼く様では皆には勝てない」
「むしろお前一人の方が残りの7人よりも遥かに厄介だと言わせて貰おう、『天使』」
さすがにバレますよね、まあそんなことはどうでもいい。
「待たせた!凛音!」
「今度は遅れを取らねえ!」
「キャロルちゃん……!」
「役者は揃ったようだな!レイア、ファラ……そこの厄介な天使様を抑えておけ。くれぐれもまだ壊れてくれるなよ」
二体のオートスコアラーがこちらに向き直るが炎が尽きて、こちらにあるのはギターと天使の羽根だけ、ですが大した事はない。
先程の戦闘で多少消耗しているのは相手も同じ、そしてですがやはり向こうも「人形」に死んでも私を倒せとは命令していない、おそらく自衛の為だけではなく計画の為になんらかの形でオートスコアラーを必要としている。
アダムの情報によるとティキは星の観測の為に必要とした、ただ単に戦闘の為だけのオートスコアラーをキャロルが必要とするわけがない、その分のエネルギーとリソースを自分のため込んで動いた方が確実だからと。
ここでぶっ壊してやればおそらくキャロルの鼻を明かすぐらいはできる!
3人がキャロルの相手と向かい合うと同時に全力ダッシュ、遠距離でチマチマやって時間を稼がれるのは避ける!正面から来るコインの機銃ですが、非合理的かつ致命的な弱点があります。
残弾数がこちら側によーーーく見える事です、仲間の竜巻の壁なんかでそこをカバーするつもりでしょう、確かに重量と十分なスピードがあるから精度が落ちる事もない。
ですがそれでも確実に壁を通してる分威力が落ちている、そうなれば私が正面から受けても動ける程度の衝撃にしかなりません。
「派手に捨て身!」
「そう簡単に通すと思って?」
ソードブレイカーを振るい、起きた竜巻が私へと向かってくるがそんなもので止まると思うな。ギターアックスで正面から「空間ごと」切ってその合間を飛び込み、二体を分断。
挟み撃ちの形になりますがこちらに策有り!勝機はここです!
ギターにブースターユニットを取り付けて加速、回転を加えてファラへ投擲、それは竜巻でどうにか逸らされるがそこで終わりではない、ギターと私の間には細くも頑丈なケーブルが繋がっている!
遠隔でブースターを起動してケーブルを巻き付かせてファラを拘束、そしてそのままギターの刃を突き刺して固定。
「させるものか」
「押し通らせていただく!」
そこをインターセプトしに来たレイアに向けて全力スイングしてぶつける、双方にそれなりのダメージは入ったようです、かなりの衝撃ですから隙が出来る。ふと見れば、皆は劣勢……というかギアの強化機能を使おうとして上手く行っていない……!キャロルはそれを見守っているけれどやはりアレも計画のウチなのでしょう!
強い呪いと闇の力です、3人の……それぞれの孤独、トラウマが私にまで流れ込んでくる。
立花さんは父に捨てられたこと、翼さんは戦うばかりである自分に、そしてクリスは両親の死と仲間を失う事……それを恐れている……!
わずか一瞬ですがそちらに気が行ってしまい、オートスコアラー達に立ち上がるだけの余裕を与えてしまいましたが問題はありません……何故なら既に事は「成った」からです。
「キャロル・マールス・ディーンハイム!!!あなたの人形は随分と脆かったようですね!」
「……なんだと?」
「ファラ!!」
「近づいてはダメよ!あなたまで」
「お人形が仲間ごっこですか!随分と面白い芝居です!」
ギターの刃が深く食い込み、ミシミシと音を立てて呪いがオートスコアラーの躯体を蝕んでいる。
完全に悪役ですが、ヒールに徹するのもエンターテイナーの務めです!
「あなたが世界を壊すというのならば!こちらはあなたの人形を壊させていただきましょう!」
「……加賀美凛音ェエエエエエエ!!!!」
バキンと砕ける音がする、ファラと呼ばれたオートスコアラーの上半身と下半身がケーブルと侵食によって泣き別れになってギターが手元に戻って来る。その瞬間、キャロルから物凄い威力の火球が放たれる。
レイアが上半身だけになったファラを回収して即座にテレポートで離脱、これで邪魔者はいなくなった!そしてこんな火力を正面から受けてやる義理はない!今回は観客も居ない事ですからね!飛翔して回避すれば私が引き起こした以上の大爆発がさらに港をボロボロにする。
「やはり貴様はァッ!どんな手を取ってでも殺しておくべきだったァッ!!」
「はっ!甘い事です!ちまちま暗躍して迂遠な手段で事を進めようとするからです!!アドリブだけで計画が成功するものですかよおおお!!!」
激昂し、凄まじい火力でこちらへと意識を向けるキャロル。
ダウルダブラと呪いのギターを手にしたイカロス、二つの旋律が激突して破壊を撒き散らす。
しかし私の腕の方が先に限界が来た、関節、肩、手首が一斉に血飛沫を上げ砕ける、今の衝撃を相殺するには威力が足りなかったようです!
「今回も私の勝ちで終わらせてやりましょう!!」
「消えろ……加賀美凛音ェエエエッ!!!」
キャロルの両手から放たれるのは「分解」の錬金術、それは私の両腕を諸共に消し飛ばした、けれどギターは死んでいない!まだ繋がったままのケーブルにて落ちたギターを保持できている!ならばと宙返りを繰り出せば、意識の外からの一撃にキャロルは対応できず右腕を失う事となった。
「凛音!!!!」
「凛音ちゃん!!」
皆の声が遠く聞こえる、さすがに今ので力を使い切りましたが……ここまでやれば……。
後は頼みましたよ皆さん。