足りない僕と太陽のボク   作:散髪どっこいしょ野郎

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湿度爆発独占ルート

「招、なんかいいことあった?」

 

『え?』

 

「いや、声が弾んでるからさ」

 

『……実は、彼女ができたんだ』

 

「……ホント!?おめでとう!」

 

 

 返答が一瞬遅れたのは、どうしてだろう。

 

 ……恋人ができたなら、今までのように一緒に遊んだりすることもできなくなる。……それはちょっと寂しいな。

 

 招に恋人かあ……。喜ばしいことの筈なのに、ボクの心はなんだか擦れていた。

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「あ、いたいた。おーい招くーん」

 

 

 こちらに駆け寄ってくるその人に手を振る。

 

 僕の、生まれて初めての恋人。

 

 正直誰かを好きになることがどういうものなのかは分からないが、向こうは僕のことを好きだと言ってくれた。僕もその人には好感を持っていたし、付き合うのであればそれ相応の対応をするつもりだ。

 

 

「かるた部っていつも何してるの?」

 

「払い練とか、暗記とか」

 

「ふーん。じゃ、行こう行こう!」

 

 

 放課後や休日は外に連れ出される。正直なところ勉強時間は確保しておきたいが、いい彼氏になるためにも恋人の意思はなるべく尊重したい。

 

 今日はカラオケだった。僕は歌うことはそこまで好きではない。だけどこれもまあお付き合いということで、仕方ない。

 

 

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「ただいま~……」

 

「あっ、おかえり招!夕ご飯はいらないんだっけ?」

 

「うん。外で食べてきたから」

 

 

 母さんとはそれだけ話し、自室のベッドに飛び込んだ。歌うことは割と疲れるらしい。

 

 

「…………」

 

 

 明かりの点らないスマートフォンを眺める。気を利かせてくれたのか、近頃テイオーちゃんからの電話は無い。

 

 恋人との会話は基本的に一方通行だ。あちらが話すことに相槌を打ち、満足するまで聞く。

 

 話を聞くこと自体は嫌いじゃない。だが、向こうが僕の話を聞こうとしたことは今のところ無い。

 

 ……こんな僕と付き合ってくれているだけで感謝するべきだ。自分自身でも終ぞ分からなかった価値を見出してくれたということなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

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「はぁ……」

 

 

 最近ため息が増えた。理由は大体分かる。招と今までのように連絡を取り合うことができなくなったから。

 

 

「テイオー、どうしたんだ?」

 

「……トレーナー?」

 

 

 トレーナーが心配そうにボクを見ていた。そういえば今は部屋でレース映像を見ている真っ最中。ボクはどこか上の空。気遣われるのも当然だった。

 

 

「越雲招くんのこと?」

 

「……よく分かったね。うん。招、彼女ができたみたいで、あんまり話せなくなっちゃったんだ」

 

「そっかー……」

 

 

 トレーナーにもいい解決策は見つからなかったようで、眉間にしわが寄っていた。

 

 ボクが同性だったなら、たとえ付き合っている人がいても問題なく電話やLANEできた筈。そう思うと言いようのない悔しさが滲んでくるのを感じる。

 

 仮にボクが誰かと付き合ってたなら、確かに恋人が異性と連絡を取り合っていると不安に思うだろう。そういう意味でも招と通話するのは憚られた。

 

 ……招。ボクの親友だった筈なんだけどな。

 

 

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「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

 

 

 今日も勝った。やっぱりこの大歓声はいつ聞いてもいい。後は招からの言葉もあれば最高なんだけど。

 

 

「お疲れ、テイオー。何かしてほしいことはあるか?」

 

「いや、大丈夫だよ」

 

 

 トレーナーに返答してからスマートフォンを見る……って、そういえば招は付き合ってる人がいるんだった。ボクに構える立場じゃないのに、いつもの癖で確認してしまった。

 

 

《レース見てたよ。おめでとう》

 

 

 ……メッセージ、来てた。

 

 

《大丈夫?彼女いるのにボクと連絡して》

 

 

 意図せずいやみったらしい文になってしまったのを送ってから後悔した。既読はついている。今更取り消しはできない。

 

 

《テイオーちゃんは友達だから》

 

 

 ……理由は分からないけど、その言葉が妙に引っかかった。

 

 

 

 

 

 

 

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『それでねそれでね……って招くん?聞いてる?』

 

「聞いてるよ。店長が大ポカした話でしょ」

 

『そうそう、それでね……』

 

 

 長い間頷いていると首が痛くなってくる。それはまあ、仕方のないことなのだろう。

 

 通話する相手がテイオーちゃんから恋人に変わり、僕は相手の話を延々と聞かされるようになった。それもまあ、仕方のないことなのだろう。

 

 恋人はアクティブな人だ。休みの日はいつもショッピングだったりゲームセンターだったりに連れ回される。勉強時間を確保するのも大変だ。それもまあ、仕方のないことなのだろう。

 

 仕方がない、仕方がない。そんな妥協続きでも僕が付き合っていた理由は、僕の価値を見出してくれているという希望があったからだ。

 

 

「ごめん、そろそろ寝たいんだけど……」

 

『えー、私まだ話し足りないんだけどー』

 

「……分かった。それで?どこまで話したっけ」

 

 

 拒否権は無い。無理にこちらの意見を通した日には、泣かれること請け合いだからだ。

 

 

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「……お前、大丈夫か?」

 

「…………え?」

 

 

 学校に着くなり友人から心配された。何かおかしな点でもあったのか?

 

 

「目の隈、すごいぞ?大方交際相手に合わせて長電話でもしてたんだろ?」

 

 

 テイオーちゃんと長い間話すことは多々あったのに、どうして恋人と話す時はこんなに疲れるのか。原因が分からないから対策のしようがなかった。

 

 

「なあ、お前にとっては初めての連れなんだろうが、一回考え直してみたらどうだ?このままじゃお前潰れちまうぞ」

 

「……でも」

 

 

 ただの凡愚、いやそれ未満に過ぎない僕に価値を見出してくれていると思うと別れる選択肢は選びたくなかった。

 

 大丈夫だ。いずれ慣れる。そうやって自分を誤魔化していると、その時は唐突にやってきた。

 

 

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「招くん以外に付き合ってる人?いるけど、それがどうしたの?」

 

「………………え、え?」

 

 

 きっかけは友人からのタレコミ。

 

 『お前の連れが他の男といるところを見た』との情報を受け取り、直接聞いてみることにしたら、こうだ。

 

 

「そ、それって、う、浮気なんじゃ……」

 

「招くんのことも好きだよ?バカ真面目でポンコツな可愛いところあるし。でも好きな人を複数人作っちゃいけないなんてルール、ある?」

 

 

 絶句。根本から思考回路が異なっている。この人は、浮気することを悪いことだとは考えていない。

 

 百歩譲ってそれはいいとする。なら、僕と付き合っていた理由は……

 

 

「じゃ、じゃあ、僕のことが好きな理由は……」

 

「招くんさ、チョロいよね。ちょっと付き合っただけでそんな浮かれちゃってさ。そういうところも可愛いなって思うけど、そんなんじゃ世の中やっていけないよ?」

 

 

 ……?、?……?

 

 僕が、悪いのか?

 

 

「別れたいの?ならいいよ。招くん以外にも男ならいるし」

 

 

 ……この人は、僕のことを都合のいい道具としか、思っていなかったと。そういうことなのか。

 

 ……僕は、

 

 

 

 

 

 

 

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「テイオーちゃん、最近招ちゃんと話さないね」

 

「招、付き合ってる人いるからさあ」

 

「あー」

 

 

 寮に帰って、お風呂に入って、トリートメントをつけて、髪を乾かして、自室に戻った。もう一日が終わろうとしている。

 

 

「最後にLANE来たのはいつ?」

 

「この前のレースの時」

 

 

 そんな感じでマヤノと駄弁っていると、不意にスマートフォンが鳴り出した。

 

 

「「…………」」

 

 

 思わず顔を見合わせる。着信相手は招だ。

 

 

「……ちょっと外行ってくるね」

 

「……うん。消灯が近くなったら教えに行くから」

 

「ありがと」

 

 

 ボクは部屋を出た。

 

 

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「……は?」

 

 

 腹の淵に黒い感情が累積していくのを感じる。

 

 例の恋人は、招を裏切った。ボクの大切な招を。

 

 スマートフォンを持つ手に力が加わる。

 

 

『僕は……僕が、ダメだったのかなあ』

 

 

 ……ただ。やっぱりこうなったかとは思った。

 

 裏で手を回したとか、別れるよう唆したとか、そんなことをしたわけじゃない。

 

 ただ、招は無理だろうな~とは思っていた。

 

 招の性格上、悪い女が擦り寄ってくることもある。あれだけ真っ直ぐならその輝きに惹かれる……『蛾』のような人間だっている。

 

 

「招は何も悪くないよ」

 

 

 ボクは招をどういう意味で好きなんだろう。分からないけど、隣にいられるのはボクだけということは確かだ。

 

 

 

 

 

 

 

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「おはよう……母さん」

 

「おはよ……招?なんかあった?」

 

「……なんにも」

 

 

 家族を心配させたらダメだ。たとえ悟られようとも、真相を知るのは僕とテイオーちゃんと友人だけでいい。

 

 そう思っといてアレだが、テイオーちゃんにあんなこと伝えてよかったのだろうか。迷惑がられていないだろうか。

 

 ……いや、まあ、彼女なら大丈夫か。

 

 テイオーちゃんが親友で本当によかった。こんな悩み、彼女にしか打ち明けられない。今度例のはちみつドリンクでも奢ろうか。

 

 

「かるた部はどう?上手くやれてる?」

 

「うん。覚えるの大変だけど結構楽しいよ」

 

 

 恋人がいたことは家族に知らせてない。なんとなく恥ずかしかったから。

 

 朝食を胃に流し込み、歯を磨いてから家を出た。

 

 

──────────────────────

 

 

「聞いたぜ。別れたんだってな」

 

「誰から聞いたの?」

 

「あの女本人から。俺にまで告白してきやがったから振ってやった」

 

 

 聞こえないフリをしていたが、薄々感づいていた。元恋人には悪い噂が付き纏っている。

 

 だから別れて正解だと思いつつも、浮気をされていたショックは中々抜けきらず。

 

 

「放課後あのラーメン屋行こうぜ。今日は奢ってやるから」

 

「……それじゃあ、お言葉に甘えて」

 

 

 

 

 

 

 

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 招、きっと落ち込んでるだろうな。

 

 ボクの大親友の……ボクの……ボクだけの招。

 

 ……そっか。ボク、嫉妬してたんだ。その女に。

 

 恋愛感情がどういうものなのかはボクも分からない。けど、確実に言えるのは招の『一番』になりたかったということ。

 

 ボクは競走ウマ娘。そう易々と会える立場じゃない。だから、また誰かに招を奪われることがあるかもしれない。

 

 ……嫌だ。それだけはどうしても嫌だ。

 

 

「もしもし、招?」

 

『ふぁあ……もしもし』

 

「ごめん、寝てた?」

 

『大丈夫。ちょっとうとうとしてただけだから』

 

 

 こうして通話できるだけでも十分満足()()()。だけど、近頃はそれだけじゃ足りなくなってきていて。

 

 招が欲しい。その視線も心も、全てボクのものにしたい。

 

 

『……ふっ』

 

「どうしたの?」

 

『いや、やっぱりテイオーちゃんと話すのは楽しいなって』

 

「…………ふふふー。でしょでしょ!」

 

 

 そんなことを言われたら、抑えきれなくなる。

 

 ねえ、招。今キミの心には、誰が映っている?

 

 

 

 

 

 

 

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「招様、どうぞこちらに」

 

「……は、はい……」

 

 

 僕は今、テイオーちゃんの屋敷に来ていた。じいやさんから案内を受けて一個室に足を運ぶ。無論、彼女の部屋だ。

 

 

「では、私はこれで。ご入用の際はお申し付けください」

 

「ありがとうございます」

 

 

 何故こんなことになったのだろう。ここに至るまでの顛末を思い返す。ええっと確か……

 

 

『ねえ、大晦日ボクそっちに帰るんだけど、予定ってある?』

 

『いや。部活も休みだよ』

 

『じゃあさー……。ボクの家、来ない?』

 

『え?い、いいけど……どうして?』

 

『昔みたいに招と遊びたいって思って。ダメ?』

 

『いや、大丈夫だけど……』

 

『じゃあ、じいやとパパとママには伝えとくから。絶対来てね!絶対だよ!』

 

 

 ……そうだ。それで僕は今ここにいるんだった。

 

 ドアをノックする。何度も来た場所なのにやけに緊張した。

 

 

「あ、来た来た!入って入って~!」

 

 

 明朗快活な声。その変わらない音調にどこか安心感を覚える自分がいた。

 

 

「久しぶり」

 

「久しぶり!いや~、一年ぶりって長いね!」

 

 

 普段電話をしていることで気づかなかったが、直接会わなくなってもうそんなに経過していたのか。

 

 

「どうする?もう電源入れてあるけど」

 

「僕はいつでもいいよ。する?ゲーム」

 

 

 思案している様子。僕はテイオーちゃんと一緒ならなんでも構わないが……彼女はどうだろうか。

 

 

「うーん、ゲームしてると話しづらいだろうし……やっぱりその前に最近あったことでも話そうよ」

 

「いいよ」

 

 

 ジュースやお菓子をつまみつつ、お互いの近況報告をする。電話とは違って面と向かって話せるのがいい。

 

 

「はぁ……帰ってきてよかった!寮にいる間ずっと招に会いたかったんだよ?」

 

「……そうなんだ」

 

 

 そう思ってもらえると嬉しい。僕のような愚物でも認められているように思えて。

 

 

「……付き合ってた人とは、どうなった?」

 

「…………え、と」

 

 

 気のせいだろうか。部屋の空気が一気に冷たくなったように感じる。

 

 

「別れたし、もう会ってないよ」

 

「……そうなんだ。ごめんね、辛いこと思い出させちゃって。でも、招が心配だったんだ」

 

「……ありがとう」

 

 

 その時僕は目を伏せていたから、彼女がどんな顔をしているか見ることはできなかった。だから、急接近する体に()()()()()()()やっと気づいた。

 

 

「テイオー、ちゃん?」

 

「ねえ、招」

 

 

 ふんわりと、包み込むように抱きしめられていた。その声色は甘いのに、底冷えするような恐怖があった。

 

 

「ボク以外の女なんて、もう考えないで。……ごめん。急だし、困るよね。だけどなんでかな。招にはボクのこと以外頭に入れないでほしいんだ」

 

「────」

 

 

 テイオーちゃんのこと以外考えない。それは、そういうことなのか?

 

 

「ボクね、招が好きなんだ。それがどういう類いのものか分からないけど、キミの全部が欲しい」

 

「……じゃないか」

 

「え?」

 

「そんなこと言ったって、テイオーちゃんは僕の傍から離れていっちゃうじゃないか……!」

 

 

 この異様な空気もどうでもいい。だってそうだ。テイオーちゃんは、君はいつだって遠くで輝いていて、こんな暗澹な僕には似合わない……!

 

 

「僕は、必要とされたかった!テイオーちゃんが僕を親友と呼んでくれたから、いくらでも努力できたのに……!なのに、君はどこまでも飛んでいってしまう……!」

 

「……招」

 

 

 そんなの、不公平じゃないか。

 

 

「僕が欲しいなら、君の全部も僕にくれよ!」

 

「──じゃあこれは、契約」

 

 

 ボクはキミのこと以外考えない代わり、キミもボクのこと以外考えない。

 

 それでやっと『対等』だ。

 

 

「……ところで、なんで急に抱きしめてきたの?」

 

「……ボクの匂いで上書きするため、かな」

 

 

 どこか気まずさを──しかし心地よい気まずさを感じながら、年末の日を二人で過ごした。

 

 

──────────────────────

 

 

 とはいえ流石に在学中は物理的に独占することは叶わない。代わりとして電話の頻度が増えたが、僕と彼女を繋ぐ楔はまだ少なかった。しかし、それも今日まで。

 

 

「じゃあな、招」

 

「うん。そっちも元気でね」

 

 

 僕はなんとか卒業し、定職に就くことに。部屋探しは済ませてあるから心配は不要だった。

 

 

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「ねえ、膝貸して」

 

「いいよ」

 

 

 漠然と、幸せだなと思う。今までとは違い静寂も喧噪も、彼女となら楽しめる。

 

 僕たちは今、寝食を共にしている。彼女は大学生、僕は社会人として、分かたれた道をしかし一緒に歩んでいた。

 

 彼女の頭が僕の膝に乗る。重さを感じないわけではないが数時間程度なら大丈夫だろう。

 

 

「招」

 

「ん?」

 

「最近やーっと自分の気持ちに気づいたんだ。ボク、キミを誰の手にも渡したくなかったんだ」

 

 

 それは所謂、独占欲というやつか。恋愛感情より先に発現するあたり、僕たちは似たもの同士だ。

 

 

「じゃあ、結婚する?」

 

「ん?いいよ」

 

「えっ」

 

「え?」

 

「……結婚だよ?いいの?」

 

「招が相手なら全然いいよ。むしろこっちから言おうと思ったぐらい」

 

「……テイオーちゃんの親御さん、受け入れてくれるかなあ」

 

「招なら大丈夫だよ。昔から真面目だったし、小学生の頃は招の自慢パパとママにしてたし」

 

「何それ初耳なんだけど」

 

「でも、もうしばらくはこの関係がいいかな」

 

「それは僕もそう思う」

 

「あはは……。ねえ、招」

 

「なに?」

 

「これからもずっと、ボクだけを見ていてね」

 

「……お互いにね」

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