「艦これ」いつかあの海で×首都高バトル 2025 -いつかあの環で- 作:カービィ改二
これでアーリーアクセス版の物語は終了。
次回からは本リリース版の物語となります。
元・十三鬼将のドライバー…「ユウウツな天使」からも実力を認められた最上。
現在のレベルもまもなく終盤戦。
最上があの日出会った、あのドライバーが迫る。
―――都心環状線外回り北の丸トンネル付近。
数日前から続いていた最上の「残党狩り」も最終盤だった。
現在首都環状に表示されている矢印はほぼ全てが緑色…つまり最上が勝利したドライバー達だらけという状態だった。
そんな中であった、環状線外回りにいた青い矢印。
この矢印がどうやら現在の領域の頂点、とも言うべき相手なのかもしれない。
「(ここまで走ってきたけど、もうそろそろ終盤なのかな。結局あの人には会えずじまいだったけど)」
最上としては多くのドライバーたちを倒してきたことを快感に思うのと同時に、探していたあるドライバーと出会えないことを少しだけがっかりしていた。
自分が本格的に走り出す切欠になったあの人物…それを少しだけ探していた。
走り出してまだ1カ月もたっていないが、それでも名だたる実力者たちをそれなりに倒してきたつもりだ。
ここまで来たらもう止まらない…そう思っていると、目の前にある車が接近する。
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「(カーナビに表示されているのは、この車かぁ…)」
前方…右車線を走る黒いBRZ(ZD8)。
外観のエアロ自体は比較的穏やかだが、外装のバイナル自体は自己主張強めの派手なもの。
ライバル名としては「チリツモ戦士」と書かれている。
どうやらこの車が探し求めていた相手であるに違いあるまい。
そうである以上、後方に付けて最上はパッシングする。
「(今の僕には目標があるからね…まずは勝ちにいかないと)」
最上が追いかけている目標。
それを超えるためには今ここで止まることは出来ない。
これはあくまで前哨戦のつもり…そう最上は思っていた。
どんな相手でも挑んで勝ちに行く。
そう思ったところで、北の丸トンネルの出口に差し掛かろうとしたところでカーナビのカウントダウンが始まろうとしていた。
3
2
1
GO!
「―――!」
北の丸トンネル出口に差し掛かったところでバトルスタート。
竹橋JCTを目の前に2台は加速していく。
右車線を走る2台はテールトゥノーズの状態で上り坂の直線区間を駆け上がっていく。
アクセル全開べた踏みの状態、メーターの速度は一気に160キロ以上まで加速する。
「……」
前方のBRZは自分と同じくらいの加速だった。
だが正確に言えば、こちらの方がわずかに加速が上。
というのも2台がテールトゥノーズの状態であるがゆえに、スリップストリームに入っていたのだ。
レブリミットアラームの音ともにシフトアップする中で、メーターの速度はあっという間に200キロまで到達する。
「(この先の区間は都心環状線屈指の連続カーブ区間…スピードに乗ってカーブをどう攻めるかで勝負はつく)」
竹橋から神田橋方面に向けてはスピードが乗るものの、同時に連続して高速コーナーが存在するテクニカル区間が存在する。
右へ左へと連続する高速コーナー区間だが、同時にスピードも乗る。
そうなると、高速域で同マシンを制御するのかが求められるのは言うまでもないだろう。
竹橋JCT直後の上り坂を駆け上がり、右高速コーナー。
池袋線からの合流区間まで2台はテールトゥノーズの状態で走り抜けていく。
「(きっとこの先で減速するはず…でも僕なら、踏める!)」
何度も何度も走り抜けている首都環状のコース。
そんなコースだからこそ、最上にとっては自信があった。
同等クラスのマシンであればその高速域で食ってしまうことくらいいくらでもできる…そんな自信が、最上には付いていた。
それはやはり、首都環状において1ヶ月足らずで噂のドライバーにまで成り上がったという事実をしっかりと理解していたからだろうか。
2台のマシンが右高速コーナーを200キロオーバーで駆け抜け、もつれ合ったまま下り坂…合流付近の右高速コーナーへと突入する。
するとその時だった。
「(アクセル全開、いっけえ!)」
右高速コーナーに突入する直前、チリツモ戦士のBRZが右車線から左車線へ。
かと思いきやアクセルを抜いたのか、一瞬だけ速度が落ちたのを最上は見逃さなかった。
アクセルを全開に踏み続けたまま、最上のRX-8は210キロオーバーで右車線を走り抜ける。
BRZを追い抜いたかと思いきやそのまま右高速コーナーへ。
ハンドルを多少なりともまげて右車線をキープしながら突破する。
「(ここからが勝負どころだ)」
1つ目のコーナーを抜けて、連続するコーナーは残り3つ。
右左右左と連続して続く高速コーナー地帯において、最上は全くもってアクセルを抜く気はなかった。
もっとも、この連続コーナー地帯というのは平坦ではない。
右、左とコーナーの方向に合わせてコーナーの地面にうねりが存在する。
少しハンドル操作を誤ればマシンコントロールを失いかねない、そんな区間である。
「(ハンドルを何度も曲げるくらいなら…正面突破で行く!)」
前方がクリアなことを確認した最上は、ハンドルを真っ直ぐに握りしめる。
アウトインアウトのラインをわざわざ描かずとも、左右のコーナーの中央を突き抜けるラインを走り抜ければ失速は最大限まで抑えることが出来る。
曲がりくねった1本の線に対し、その中央を突き抜けるように直線を描く…と言えばわかるだろうか。
しかしそれが出来るのは、前方がクリアなこととドライバーの度胸があること、そして突破できるだけのドライビングテクニック…この3つのどれかが欠ければすぐクラッシュ待ったなしだ。
それを最上はやろうとしていた。
「(ここで勝負を付ける!)」
勝負を付けると決めた最上はアクセルをべた踏みにしながらハンドルをニュートラルに戻した。
最初のコーナーを右車線で走っていたRX-8左車線に膨らみ、そのまま左コーナーを駆け抜ける。
神田橋出口直前で今度は右コーナー、右に数度程うねりを持つコーナー。
左車線を走っていたRX-8は今度は右車線へ…ハンドルはずっと真っ直ぐの状態だった。
少しでもアクセルワークやハンドル操作をミスればすぐに壁へ持って行かれてしまいかねない中でも、最上はアクセルをずっと踏み続ける。
一方で彼女は気が付いていないが、後方のBRZはそのスピード域について来れないのかみるみると離されていく。
「(この先の神田橋JCTからはもう直線区間だ…このスピードを維持して、相手を倒す!)」
残るコーナーは神田橋出口横の右高速コーナーと、左高速コーナーの連続する2つ。
左車線がうねる右高速コーナーにおいても最上はアクセルとハンドルを一定に維持し続ける。
右車線を走っているRX-8はコーナーに突入する寸前にコースの真ん中へ。
その状態のまま、残る1つの左高速コーナーへと飛び込んでいく。
「―――っと」
210キロ以上のスピードでアクセルを踏み続けるが、自然と怖くはない。
突破できると彼女自身車を意識せずとも信じていたからというべきだろうか。
だが目の前に左高速コーナーが迫るとなると、流石にハンドルを少しだけ左に曲げた。
210キロ以上のスピードを維持したままRX-8は左車線へと移り、そのまま神田橋JCT目の前へ。
ストレート区間に入ったことでRX-8は再び加速する。
あっという間に神田橋JCTを左方向に進み、右車線を維持しながら都心環状線外回り方面へ進む。
「(…どうだろう?)」
分岐を通過したところで最上はバックミラーを軽く見た。
後方のヘッドライトは確認できない。
どうやら先のコーナー地帯をアクセル全開で突破したことが大きいようだ。
分岐を通過して江戸橋JCTへと向かう中で、速度は230キロまで加速。
そして速度が230キロに到達した1秒後…江戸橋JCT手前の左高速コーナー寸前において、カーナビには「WIN」の文字が表示された。
勝敗はあまりにもあっさりとしたものだった。
連続コーナー地帯をアクセル全開で駆け抜けたという一種の度胸。
それによって最上はあっさりと敵をねじ伏せるのだった。
「(ようし…勝った)」
カーナビの表示を確認し、江戸橋JCTに向かう中でクーリング走行に入るRX-8。
速度はあっという間に60キロまで落ちたが、最上としては「とりあえず勝てた」と思った。
とはいえ多少なりともプレッシャーを感じた最上は、RX-8をそのまま江戸橋JCTを左方向に進ませ…箱崎PAへと歩みを進めていく。
―――箱崎PA。
2台のマシン…RX-8とBRZがPAに入ってくる。
先のRX-8と、それに追いついてきたBRZだ。
車から降りたところで別の男が合流し、最上は2人組の男に声をかけられた。
大柄で筋骨隆々とした、いかにもな肉体派の男…シュワシュワストロングと、芸術家肌という雰囲気の、個性的な男…チリツモ戦士。
どうやらシュワシュワストロングは前もって箱崎PAにいたようだ。
見た目は対照的な2人だが、 親しげな様子だ。
すると、芸術肌の男が最上に気が付いて話しかけてきた。
「よお、あんたが噂の…驚異の渡り鳥だよな」
「え?あ、うん…そうだよ。たしか…チリツモ戦士、だったっけ?」
最上はまた自分の呼び名が変わっていることに気が付いた。
どうやら首都環状ではバトルの結果や実力に伴って称号というのが変わるものらしい。
もっとも、カーナビで称号自体は固定化できるのだが…最上の場合はそれを走りに伴って変化するランダム設定にしていたのだが。
「ああ、そうさ。さっきはどうも、いいバトルだったよ。首都環状を愛する者同士のよしみだ、これからも仲良くしてくれ」
「えへへ、こちらこそどうも」
「んでこいつがシュワシュワストロングな。こいつもアンタに世話になったそうだな」
「え、この人が?そうだったんだ。この前はどうも」
そう最上が言うと、シュワシュワストロングが上機嫌になったようにこう口にする。
「オウッ!お前、炭酸足りてるか?差し入れだ、1本やる」
「え…炭酸?」
そう言ってシュワシュワストロングが取り出したのは…ペットボトルの炭酸飲料。
しかも500mlのものではない、2lのものだ。
流石に重かったため多少最上はよろけた。
その様子にチリツモ戦士もどこか呆れるように口を開く。
「あ、ありがとう」
「アニキ…あんまり炭酸ばっかり飲まねえほうがいいよ、身体に悪いって。あと、声デカいって。久遠のポラリスもビックリしてただろ?」
「オウッ…」
「あははっ、面白い人だね。僕は嫌いじゃないよ?」
「オウッ!そう言ってくれると嬉しいぜ」
指摘されて多少落ち込むシュワシュワストロングだが、最上はそれを「面白い人」と言ったことですぐに立ち直った。
実際ガタイはいいものの、悪い人ではないようだ。
するとチリツモ戦士が話しかけてくる。
「驚異の渡り鳥、あんたは何のために走り始めたのか、今度じっくり聞かせてくれよ」
「何のために?それくらい別にいいけど…でも、なんで?」
「今の首都環状には、自分のやりたいことを叶えるために来てる奴らが大勢集まり始めてる。俺はそういう連中の話を聞かせてもらうのが好きなんだ」
「へえーそうなんだ」
すると最上がそう言うと、箱崎PAの天井を見上げてふとチリツモ戦士が何かを回顧するように話し出す。
「…俺、ガキの頃からずっとモータースポーツが好きだったんだ。結局、今の仕事はラジオMCをやってるんだけどな。」
「ラジオMC?そうなんだ」
「でも、やっぱり走りの世界にいたい…だから首都環状は、憧れの場所なんだよ。ここを走ってる間は、夢が叶うような気がする。ずっと探していた本当の自分がいる場所…って感じがするんだ」
「…そうだったんだ」
そう言ってまた最上の方を見たチリツモ戦士。
彼はやはり首都環状という場所に思い入れがあるようだ。
すると、どこか落ち込んでいる様子を見かねたシュワシュワストロングが話しかける。
「オウッ!チリツモ戦士よ、お前は相変わらず深く考えすぎなトコロがいけねえな。走りたいから走る、飲みたいから飲む…嘘も本当もねえ」
シュワシュワストロングとしてはチリツモ戦士がつまらないことで悩んでいると見たようだ。
するとその言葉を聞いたチリツモ戦士がどこかはっとしたかのようにこう口にする。
「うん…いや、そうだな。アニキの言う通りだ。ちょっと自分語りをし過ぎたかな、へへっ」
「でも、僕はそう言うの嫌いじゃないよ。僕だって走る理由はまだあいまいなところがあるから…なんとなく羨ましいんだ」
「そうか…あんたはまだ走る理由を明確には示せてない、って感じなんだな。見つかるといいな、答えが…」
「うん…そうだね」
首都環状を走る理由。
最上はまだそれを言葉では表すことが出来ていなかった。
正確には「なんで首都環状を走り屋が走るのか」を知りたいのと、「走ることが楽しいから」であって、深い理由なんてものはないのだが。
―――首都環状に集い始めた、新たな走り屋たち。
まだ見ぬ彼らの求めるものは何なのか?
自分自身の求めるものは、何なのか?
ふと最上が2人と話しながらそう考えていると、鮮やかな黄色のマシンが、再び目の前に現れた。
そのマシンは最上のRX-8の右隣りに駐車する形で止まった。
「…あの車は!」
「ん?」
「まさか…?」
マシンから降りてきたのは、かつて自分を歓迎してくれた走り屋の女―――12時過ぎのシンデレラ。
RX-8から降りた彼女は、誰かを探すように周りを見渡していた。
「12時過ぎのシンデレラだ…」
「やはり…か」
すると、周囲を見渡していた12時過ぎのシンデレラが最上に気が付いた。
気が付いた彼女はそのまま最上たちの元へとやってきて話しかける。
「こんばんは、いい夜ね」
「どうも、お久しぶりです」
12時過ぎのシンデレラはやはり最上に興味があったのか、一目散に彼女のところへとやってきた。
その様子に対して最上は「どうも」と軽く挨拶するのだった。
シンデレラは話を続ける。
「アンタ、随分立派な走り屋になったじゃない!色んな人がアンタの噂をしているの、聞いてるわ」
「いやあ、どうも。あなたに出会って以来必死に走り続けたおかげかな」
「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいわね」
最上の元へとやってきた12時過ぎのシンデレラは親しいように振舞った。
するとその様子を見たチリツモ戦士とシュワシュワストロングが話しかける。
「あんた、12時過ぎのシンデレラと知り合いだったのか?」
「うん、そうなんだよね」
「首都環状の歴戦の猛者、12時過ぎのシンデレラ…やはり顔見知りだったか。まあ俺達を破るくらいの実力はあるからわからなくもないが…」
最上にチリツモ戦士とシュワシュワストロングが話しかける。
2人は共に、自分たちを破る実力者である以上顔見知りでもおかしくはない…と思っていた。
するとシンデレラが2人にも話しかける。
「あなたたちはたしか…チリツモ戦士とシュワシュワストロング、だっけ?首都環状でバトルはしたことがあるけど、こうやってPAで会うのは初めてよね」
「ああ、どうも」
「オウッ…」
そう言ってチリツモ戦士とシュワシュワストロングは軽く頭を下げた。
歴戦の猛者から感じられるオーラ。
そんなオーラを感じたチリツモ戦士とシュワシュワストロングはどこか身を引くようにそう口にした。
するとその様子を察した12時過ぎのシンデレラはこう口にする。
「お取込み中のところ悪いけど、今日は例のドライバーに用事があるの。ちょっと借りていい?」
「驚異の渡り鳥…だよな?別にいいけど」
「ありがとう」
「じゃ、行こうかアニキ」
「…わかった」
12時過ぎのシンデレラはやはり首都環状でもそれなりの実力者。
チリツモ戦士とシュワシュワストロングも確かに実力者なのではあるが、まだ彼女と比べると風格が足りていない。
それを理解していた以上、2人はその場を後にして箱崎PAを出ていくのだった。
「早速本題に入るわね…私ね、こんなにワクワクするのは久しぶりよ。アンタみたいな子に出会えるなんて、走り屋やってて良かった~、なんて思っちゃった」
「あははっ、そうかな?そう思ったなら僕もうれしいよ」
12時過ぎのシンデレラにとっては最上の存在がやはり「ドキドキさせられる存在」だったようだ。
そのことに関しては最上も決して悪い気持ちはしなかった。
すると12時過ぎのシンデレラはこう口にする。
「アンタには、他の走り屋を惹きつけるものがあると思うわ」
「惹きつけるもの?それって…?」
「『もっと走りたい!』っていう、輝くような熱い気持ち―――煌き”。きっと、それが“伝説”にたどり着くための“資格”になるのよ」
「伝説への資格、かあ」
12時過ぎのシンデレラは最上にはセンスがあると語った。
そのこともやはり最上としてはどちらかと言えばうれしかった。
すると12時過ぎのシンデレラはこう口にする。
「…ねえ。私が聞いた事、覚えてる?」
「言った事?」
「この首都環状で、たくさんの走り屋に出会ったでしょ?みんながみんな、感じのいい人たちばっかりじゃなかったと思う」
「うん…そうだね。実際色んな人がいたと思うんだ」
「そんな人たちとバトルをして…アンタは何を感じた?」
「うーん…」
「『何のために走るのか?』…アンタの見つけた“答え”、ここで教えてほしいの!」
12時過ぎのシンデレラ曰く、「走ることで見出した答え」を教えてほしいとのことだ。
だが最上にとっては、それは別の意味に感じ取れた。
「要するに…バトルしたい、ってことかな?いいよ…何なら今からでも。僕の走りで何かを伝えられれば…」
「ふふっ、わかってるじゃない!早速始めましょ!」
走ることの答え…結局それはバトルでしか分からない。
そう思った以上、最上としては叩きつけられた挑戦状を受けて立つまで、と思った。
―――vs12時過ぎのシンデレラ
箱崎PAを出た2台は、江戸橋方面に向かったかと思いきや都心環状線内回りへと合流する。
今回のコースはやはりそこなのだ。
これまで何度も何度も走り抜けてきた、最上の得意コース。
その場所で今、大一番が行われようとしていた。
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「(あの車はやはり…迫力を感じる)」
後方に付けてパッシングをするようにと言われている最上。
勝負は単純…相手を振り切るか、振り切られるか。
これまでのSPバトルというのは基本的にそんなものであり、ここでも結局変わりない。
SPとかいう体力ゲージはあるものの、結局のところ求められるのは相手を振り切るか追い抜くかのどちらかである。
それこそが、この首都環状のルールだった。
そしてそうである以上…最上としてはこのルールに従って、ただひたすらに走りたい…そう思っていた。
神田橋出口付近において、最上は前方のRX-8に対してパッシングする。
「(ここで来るのね…いいわ。勝負よ)」
12時過ぎのシンデレラとしては正直どこでもよかった。
だが走り続けている環状線でバトルする以上…絶対に負けるつもりはない。
そう彼女自身思っていた。
神田橋出口横、左車線を走っていた2台がテールトゥノーズの状態で通過したところで、カーナビにカウントダウンが表示される。
3
2
1
GO!
「―――!」
スタート共に加速する2台。
スタート直後から大逃げを図ったシンデレラ側のマシンのマフラーから青い炎が吹き出ている。
最上もすぐにニトロスイッチを押して前方のRX-8を追いかける。
あっという間に速度は180キロオーバーまで加速していくが、右に左に跳ねるパンピーな路面でも互いのドライバーはそれぞれのマシンを操縦出来ていた。
左、右と続く高速複合コーナー地帯も2台は互角のスピードで走り抜けていく。
「(上手い…それに、速い。少し油断したら、置き去りにされそうだ)」
竹橋JCTが迫ったところで前方のRX-8がニトロオフ、最上もそれを見てニトロを切った。
さっさと追い抜く、というよりはまずは食らいつくことを優先したというべきだろうか。
竹橋JCT分岐を通過し、そのまま左高速コーナー。
スタート直後からずっと2台はテールトゥノーズの接戦状態を維持していた。
速度は220キロオーバーというスピードながら、2台は付かず離れずの距離を維持し続けている。
「(でも、勝てない相手じゃない)」
最上自身油断したら置き去りにされるかもしれない、とは思った。
だがそれでも、食らいつけている。
どこかチャンスがあれば追い抜けるのは間違えないと最上は判断した。
北の丸出口から北の丸トンネルへと走り抜けていく2台。
シンデレラのRX-8に対し、ずっとスッポンのように食らいついてやまない最上のRX-8。
黄色と青のコントラストが印象的であるが、そのまま2台は北の丸トンネルを左車線のまま走り抜けていく。
「(あの車の風格は…僕が思っている程じゃない、見せかけだ…!)」
12時過ぎのシンデレラが纏う風格、「オーラ」。
最上はそれをあくまで「見せかけ」であると判断した。
オーラを纏えば実力者ではあるのだろうが、それが時として崩れてしまうこともある。
それは、自分が真正面から挑みに行った時。
結局のところオーラを纏おうと実力があろうと、戦うべき相手であることには何ら変わりもない。
実力があるのはわかるが、それでも「絶対に追いつけない相手ではない」という事に気が付けば…そのオーラは見せかけになってしまう。
あくまで見せかけの相手は、倒しに行く…そんな思いが最上の中にはあった。
「(スピードに乗った以上、この先のヘアピンの突っ込み勝負だ…そこで決める!)」
北の丸トンネルを抜け、皇居のお堀の横を通って千代田トンネルへ。
千代田トンネル入り口手前はヘアピンコーナーで一気にスピードを落とす必要があるのだが…それこそ文字通りの度胸勝負。
220キロオーバーの中でどちらが先にブレーキを掛けるか、どうラインを描くかが勝負どころだと最上は悟った。
勝負どころを決めたのなら、あとはそこまで食らいつくまで。
テールトゥノーズの状態を維持したままの2台は左車線から北の丸トンネルを抜け出してそのまま車線を維持する。
「(追いついてきてる…やっぱり後方だからスリップに入ってるのね…!)」
一方の12時過ぎのシンデレラは、後方のRX-8がわずかながら接近してきていることを気が付いていた。
車間距離はもはや数メートルもない大接戦。
少し減速をしたら追突待ったなしかもしれないが、おそらくそれは向こうもわかっている事だろう。
お堀の横を2台のRX-8が走り抜ける中で、シンデレラ側は次のヘアピンに向けて手立てを取ろうとしていた。
「(ならばインコースを取って、もう追い越させない…!)」
僅かながらスピードは最上のRX-8の方が上。
向こうのマシンのノーズをこちらのマシンのテールに捻じ込んでも、まずそう簡単には追い抜けないとシンデレラは判断した。
仮に並走されたとしても、向こうがよっぽど無茶をしない限り追い抜かれることはあるまい…そうも思った。
シンデレラのRX-8は左車線を走るが、スピードに乗った最上のRX-8は右車線へと移った。
「(来たわね…でも、そう簡単には追い抜かせない)」
シンデレラ側も向こうが別車線から追い抜きに来るだろうということ自体は予感していた。
それでも次のコーナーは左のヘアピンコーナー。
度胸があってもブレーキングをしないと絶対に曲がれないし、アウトからは追い抜かせない。
いや、あのドライバーの場合は追い抜けない…
そうどこか高をくくっていた。
2台は220キロオーバーのままヘアピンコーナーに接近していく。
そしてコーナーが迫る中で目安となるブレーキングポイントを通過する。
「―――」
アクセルオフからフルブレーキングを掛けて減速するシンデレラ側のRX-8。
強化されていたブレーキによって速度は220キロから170キロまで減速する。
おそらく相手も減速するであろう…とシンデレラは思った。
いや、アウトコースなのだからブレーキを踏まないと外側の壁と接触待ったなしなのではあるのだが。
だが、シンデレラのRX-8がブレーキングをした次の瞬間だった。
「(向こうのブレーキが…遅い!?)」
最上のRX-8はワンテンポ遅れてブレーキング。
シンデレラのRX-8よりもスピーディに、ブレーキングポイントを遅らせて突っ込んだのだ。
「(ここだ…いっけえ!)」
左サイドのRX-8がノーズをひっこめたのを、最上は見逃さなかった。
フルブレーキングから一気にハンドルを左に曲げ、進路を右車線から左車線へと一気に、強引に曲げる。
一気に進路を変えたことで最上のRX-8の後輪は滑り出す。
だがノーズをシンデレラのRX-8の前に強引に突き出したところで、最上はハンドルを左から右へと切ってカウンターを当てる。
最上のRX-8の左サイドに、シンデレラのRX-8のノーズが限界スレスレまで迫る。
だがそれでも最上は全く怯えることもなくアクセルを全開で踏み続ける。
「(こ、こんなかぶせてこられたら…!!)」
シンデレラのRX-8の目の前に最上のRX-8のノーズが迫る。
接触寸前というべき距離まで2台は接近しているが、一応シンデレラ側のRX-8はブレーキを踏み込んでいるために減速している。
だがシンデレラのRX-8が減速する中で、最上のRX-8がシンデレラのRX-8に接近する…かと思いきや、実際は後輪を僅かに滑らせてノーズを引き離していく。
フルブレーキングで強引にアウトからかぶせたかと思いきや、そのままドリフト状態で先手を取ったのだ。
シンデレラ側のRX-8が160キロ台だとしたら、向こうは既に170キロは出ている。
だが、シンデレラはアクセルを踏めない。
下手に踏み込んだらアウトに膨らんでタイムロスしかねないからである。
内側の車線を走っている以上、インベタの走りで攻め込むしかないが…前方のRX-8は後輪を僅かに滑らせつつ加速していく。
カウンターを当てていた最上のRX-8は結果としてアウトインアウトのラインを描き、強引にシンデレラのRX-8をオーバーテイク。
おまけにシンデレラのマシンの進路を多少妨害したことで、スピードを失速させるという荒業を成し遂げてしまった。
ドリフトから立ち上がった最上のRX-8はそのまま千代田トンネルの直線区間を、ニトロを噴射させつつアクセル全開で駆け抜けていく。
「(離される…!)」
コーナーを何とか立ち上がって千代田トンネルに飛び込んだシンデレラのRX-8。
前方のRX-8がニトロを噴射して加速していく以上、こちらもニトロを噴射しているのだが…如何せんコーナーリング中に失速したことが原因で加速に大きな差が出ている。
コーナー脱出と共にニトロを噴射しているのはいいが、相手のマシンだって噴射している。
コーナー脱出速度ではまず20キロは合った以上、同じマシンでニトロを噴射した場合は…車間距離はそう簡単には縮まらない。
千代田トンネルのストレート区間で、スリップストリーム圏外となればもはや難しいのではないだろうか。
何とかしてアクセルを全開に踏み込むシンデレラではあったが、それでも車間距離は開いたままの状態だった。
トンネル内の三宅坂JCT分岐を抜けて駆け抜けていく前方のRX-8は、もはや彼女の視界から消え去ろうとしていた。
「(…これが、あの人の答えという事なのね)」
シンデレラとしては勝てないことを悔しいと思った一方で、実力を認めざるを得なかった。
まさかあそこまで強引なライン取りをしてくるとは思ってもいなかったのだ。
まだ1カ月もたっていないために走り自体は荒いが、それでもその才能の片鱗は十分に感じ取ることが出来た。
速い者が全てという首都環状の掟に則るのならば、あのドライバーの走りは十分すぎるものと言えるだろう。
12時過ぎのシンデレラは前方に消えていく青色のRX-8を見届けながらそう思うのだった。
「(…このままじゃ、僕は首都環状で勝てなくなるかもしれない)」
一方の最上は、強引な走りで12時過ぎのシンデレラをオーバーテイク、スピーディにコーナーを立ち上がったことで車間距離を大幅に稼ぐことが出来ていた。
スピードに乗ったまま三宅坂JCT分岐を抜け、霞ヶ関方面へと230キロ近くのスピードで走り抜けていくRX-8。
だがそんな状況の中でも、最上は思うところがあった。
自然とマシン格差を実感するようになっていたのだ。
これまでは格上のドライバーたちを倒してきてはいるが、あくまでそれは最上自身の実力でねじ伏せているだけ。
とはいえそれでは遅かれ早かれ限界が来てしまうことは最上自身が一番わかっていた。
実力勝負だけでは今後さらに上のドライバーたちに押しつぶされかねない…そう最上は静かに思っていた。
「(色んなマシンと戦ってきて分かったことがある。速くなるためには、お金も時間も必要だけど…素の戦闘力も大切なんだ…)」
最上はこれまでに何度も格上のマシンと戦ってきた。
80スープラ、スカイラインGT-R、インプレッサ、RX-7、ランエボ…本当に様々なマシンがいた。
だがそれでも最上は勝利を重ねてきた。負けたことはない。
しかしそれは必ずしも自分自身の腕がよかったから、というわけではない。
時にコースや一般車両にも救われたことがあるのだ。
そうなると、もっと確実に勝利を手繰り寄せるためにはどうすればいいのか?
答えは単純…もっと速い車に乗り換えるか、この車を更にチューニングするかのどちらかだ。
「(もっと速くなりたい…そのためには、この車との相性も考える必要があるみたいだね)」
カーナビに「WIN」の文字が表示された瞬間…12時過ぎのシンデレラを振り切ったところで、最上はどこか歯がゆさを感じるのだった。
―――初めて出会ったあのドライバーとのバトル、そして勝利。
それこそが最上をさらなるレベルへと引き上げる大きな切欠となる。
―――12時過ぎのシンデレラとのバトルの翌日、夜21時。
この日もまた、最上は例のチューナーの元へと訪れていた。
貸しガレージにRX-8を入れ、車を降りた最上はチューナーから話しかけられた。
「よう!調子はどうだ?相変わらず絶好調のようだな…」
「おやっさん、どーも。今日も来ちゃった」
チューナーと最上は親しげに挨拶した。
どうやらチューナーも最上の事を聞いているようだ。
すると感心したかのようにチューナーはこう口を開く。
「くくく…つい数週間程前まで、いかにも駆け出しの新人…って様子だったが、すっかり走り屋が板についてきたな。顔つきもずいぶん変わったというかなんというか」
「あれっ、そうかな?おやっさんもわかる?」
「12時過ぎのシンデレラに勝ったんだろ?彼女ほどの走り屋に実力を認められたお前さんは、伝説の存在である『迅帝』に挑戦する“資格”の持ち主かもしれない」
「もう話は聞いているんだね…おやっさんも地獄耳というか、なんというか」
「そういうのは広まるのが速いんだよ。首都環状って言うのは結構広いようで、案外狭い場所だからな」
「あはは、言い当て妙だね」
チューナーは最上が12時過ぎのシンデレラを倒していたことを聞いていた。
首都環状デビューから数週間でここまで来るとは思っていなかったが、同時に最上の実力には十分感心させられていた。
だが一方で別の話も聞いている。
「その代わり…迅帝への復讐を目的に掲げるスネークアイズ……そして奴が率いる<Phantom9>からは完全にターゲットされちまったようだ」
「あー、そういえばそうだね…たしか、闇天狗?だっけ?」
「奴を倒した話も勿論聞いている。だがそんなお前さんの対抗馬たりうるのは、やはり新世代の有力な走り屋たちだろう。特に久遠のポラリス…くくく、どれほどの実力を秘めているのかねェ」
「久遠のポラリス…やっぱり例の彼女も」
「ああ…ここから先は新たなるSTAGEだ。そこにいるのは、お前さんがまだ知らない…新たなライバルたちだろうな、くくく」
最上が今後も首都環状を走り続けるのであるならば、更なるライバルが最上の前に現れるであろう…そう予言するようにチューナーは語った。
するとその話を聞いた最上は、「むしろ丁度がいい」というかのようにこう口にする。
「新たなライバル、かあ…なら、僕としては丁度いいかな」
「ほう?というと?」
「おやっさん、実はちょっと相談があって来たんだ」
「相談?」
この日、最上がチューナーの元を訪れたのは相談をしに来るためだった。
チューナーと対峙する最上は、冷静な顔になってこう口を開く。
「実は…僕はこの先どうすればいいか、悩んでいるんだ」
「ほう?この先どうするか、というと?」
最上はどこか気を落としたかのように言うと、RX-8を見てこう口にする。
「最初に言っておくと…おやっさんがチューニングしてくれたこの車は、とってもいい車なんだ。でも、この車じゃ限界も見えちゃったような気がしてさ。やっぱり加速とかで相手の先行を許しちゃうこともあるし…湾岸線や横羽線でのスピード勝負でもなんとかなってるけど、やっぱり油断すると相手に食らいつかれることもそれなりにあるから…」
最上としては現在のRX-8の性能に限界を感じ始めていた。
チューナーがチューニングしたことで350馬力オーバーのマシンにはなっている。
だがそれでも12時過ぎのシンデレラとはギリギリと言ってもいい戦いだった。
現状でも環状線でギリギリ実力でねじ伏せたレベルである以上、今の車の状態では今後更に苦戦をすることは間違えない…そう最上は思っていた。
するとチューナーは理解したかのようにこう口にする。
「…なるほどな。言ってしまえば、お前のレベルのこの車が追い付かなくなっているという訳だ。あと同時に、周りのドライバーたちも確実に速くなっているのも事実。そして今後も他の奴らは速くなり続けるだろう」
「うん。だから僕も乗り換えたいとは思うんだけど…正直この車を手放すのがなんというか、後ろめたいというかなんというか」
最上が車の乗り換えに躊躇している理由は非常に単純。
このRX-8は最上だけのマシンではなく、チューナーの手によってチューニングされたマシンなのだ。
そんなマシンを易々と降りてしまったら、それはそれで寝覚めがよくないというかあまりいい気持がしていなかった。
するとそれに納得しつつも、チューナーはこう口にする。
「くくく…案外お前も気にいっていたんだな、この車が」
「気にいっていたとか、そういうわけじゃないけどまあ…やっぱりおやっさんにターボ化と化してもらってかなり速くなったしさ、やっぱり僕としてはおやっさんに色々と世話してもらった車を、あっさりと引き払うのもねえ…」
「俺がこの車に対して気になっていると?くくく…別に俺はこの車の事は何とも思わないぜ。俺は単にこの車を速くするようにしただけ…チューナーという役割を果たしただけだ。お前さんが大切にしたいのならばすればいいし、使い捨てるというなら使い捨ててもいい」
「うーん…そういうものなのかな。まあ、速くするようにしてくれたおやっさん自身がそう言うならそうなんだろうけど」
最上としてはRX-8をチューニングしてくれたチューナーに対して感謝していた。
一方でチューナー自身は「最上が速くなれるように」とチューニングしただけ。
何も思い入れなんてものはないので、最上が車をどうしようと彼には関係なかった。
だが一方で最上の気持ちを理解したチューナーは、最上の相談を要約するようにこう言う。
「だがお前さんの言いたいことはわかった。お前自身もこれから更なるステージに進みたいが、その上で車を今後どうするかがわからないということだろう」
「まあ、そうだね」
「ならばお前の選択肢は二つだ。俺が更に過激なチューンをRX-8に施すか、それとも心機一転新たな車に乗り換えるか。どっちを選びたい?」
「うーん…」
チューナーは最上に対して2つの提案をした。
1つは最上が今乗っているRX-8を更にチューニングするという、マシンをさらに伸ばすという方針。もう1つは新たな車に乗り換えさせて、それをまたチューニングするという心機一転やり直すという方針。
この2つの選択肢において、最上は悩む中でこう口にする。
「…やっぱり今の僕は、とにかくパワーを…より上へ駆けあがれるほどのパワーが欲しいんだ」
「車にさらにパワーを求める、か。まあそれなら乗り換えるにせよこの車に乗り続けるにせよどちらでも出来る。それ以外に何かあるか?」
「そうだねえ…出来れば最初に乗った、スイフトスポーツと同じ感覚で乗れるマシンに乗りたいね。スイフトスポーツの時の感覚が今でもちょっと忘れられなくてさ…まあ、流石にスイフトスポーツじゃ力不足なんだろうけど」
車にパワーを与えること自体は2つの選択肢両方でできる。
一方で最上はこれまでにスイフトスポーツとRX-8という、駆動方式としては全くもって真逆のマシンを乗ってきた。
前輪駆動のスイフトスポーツ、後輪駆動のRX-8。
パワー差はともかく、マシンの挙動自体も大幅に異なった2台。
それでも最上としてはかなり素直に動くスイフトスポーツの方が、車の動きという面では気にいっていた。
それを聞いたチューナーは理解したようにこう口にする。
「つまりスイフトスポーツのような駆動をして、かつ更にパワーがある車に乗りたいと?」
「そうだね…そんなところ」
「なるほどな…まあ、ここまできたら純粋にパワーを求めるのもわからなくはねえ。俺としてもその領域に遂に足を踏み入れたか、というところだ」
最上はこれから更なる強敵と戦っていく可能性が高い以上、パワーを求められるのは当然といえば当然だった。
チューナー自身もそれに関しては理解している。
すると、どこか提案するようにチューナーはこう口を開いた。
「…折角お前さんに俺が組んだ車を大切に乗りこなしてもらったんだ。俺だってお前さんの要望しているものに近いマシンを教えることは出来る」
「本当かい?」
「お前さんの要望のマシンなら、ある。スイフトスポーツと同じ感覚で乗れて、おまけにパワーもあるマシンが…ある。もしそんな車を持ってきてもらえれば、また俺が車をチューンしてやる」
「えっ、本当?でもその車って?」
「そのマシンはな…」
―――こうして、最上は新たなるマシンの提案を受けた。
果たしてチューナーからのニューマシンの提案とは一体?
最上の本当の戦いは、今ここから始まろうとしていた。
(第15話End)