「艦これ」いつかあの海で×首都高バトル 2025 -いつかあの環で- 作:カービィ改二
「いつ環」も遂に最終章。
最上に手渡されるマシンとは、一体…?
act.32「Beginning of life(新たなる幕開け)」
元・十三鬼将、Phantom9、そして新世代の走り屋たち―――。
これらに対して大立ち回りをする「究極の不沈艦」こと、最上。
ここまで負けなしの彼女が、遂に迅帝やスネークアイズへの挑戦権を得た。
だがここで、チューナー曰く…「シビックで彼らには敵わない」という。
それは、一時的なチューンを組んだとしても。
しかし同時にチューナーからは、「最上とチューナーの間の専属契約」を提案される。
ここまで来た以上引くに引けない状況である中…最上はその専属契約を結ぶこととなった。
専属契約と同時に渡される新たなるマシン。
果たしてそれは一体…?
最終決戦へのプレリュードが奏でられようとしていた。
―――NAMAHAGEを破った翌日の夜。
最上はチューナーの指示通り、電車を乗り継いでチューナーの貸し倉庫を訪れていた。
その格好はあまりにも人々の中に溶け込んでおり…傍から見ると「究極の不沈艦」なんて走り屋には見えない程だった。
自宅からおよそ1時間…彼女は電車とバスに乗り、例の貸し倉庫へとやってきた。
「よく来たな…歓迎するぜ」
貸し倉庫の中に入ったところで、チューナーが最上を出迎えた。
ふと見ると貸し倉庫には既に1台のマシンが止まっている。
カバーを掛けられ、いつでも動かせるようになっているようだ。
「おやっさん、言われるがままに来たけど…この車がそうなの?」
「ああ…まあ見てみろよ。これが、俺の最高傑作の1つだ」
そう言ってチューナーはカバーを剥がす。
カバーを剥がしたマシンの正体は…
「これは…この車は、一体…?」
最上がぽつりとつぶやくのも無理もない話だった。
貸し倉庫に止まっていたマシン…青色に輝き、この国の車とは思えないほどの美しいスタイリングをした、「天使の咆哮」のエンジンを持つ…伝説の国産スポーツカー。
それを、例のチューナーがチューニングしたそれが…最上の前に表れた。
だが…最上にはその車が何なのかは分からなかった。
「レクサス・LFA。世界に500台しかない、超レアマシンだ」
「LFA…?」
「ああ。そしてこの車のエンジンパワーはノーマルでも500馬力以上…あのR35GT-Rにも引けを取らねえマシンだ」
「この車が…」
レクサス・LFA。
限定500台、3700万円以上と言う価格にも関わらず…売れば赤字の伝説のスポーツカー…いや、スーパーカー。
楽器メーカーと共同開発されたV10エンジンを搭載し、初期状態でも馬力560馬力と言う性能を誇る。
そのエンジン音はあまりにも官能的であり、「天使の咆哮」の異名を持つほどである。
軽量化と高剛性の両立を追求し、カーボンモノコックシャシを採用、更に時速80km以上で自動的に立ち上がるアクティブリアウィングを装備している。
その希少性の高さと性能の高さは有名だが…同時に、後のレクサスブランドのマシンたちにも様々な観点でフィードバックがされたのは有名だ。
そしてそんな超限定車種…青色に塗装されたLFAが、禍々しい風格を漂わせながらも…最上とチューナーの前にいた。
チューナーが言葉を続ける。
「そしてこの車を、俺がチューンした。2年前にな」
「…そうだったのかい?でも、どうしてこんな車を?この車、何となくだけど結構お金かかったんでしょ?」
チューナーは2年前、この車をチューニングしたらしい。
だがいくらチューニングしたとはいえ、マシン自体3000万円以上するシロモノ。
一体どうやってこの車を手に入れたのか…を最上が聞こうとすると、チューナーはポツリポツリと話し始めた。
「実は…当時俺はチューナー業を廃業していたのだが、昔の顔馴染みであるヤツに何度も頭を下げられて…この車のチューンを施すように依頼されたんだ」
「おやっさんに、この車のチューンを?」
チューナーは本来、選んだ人間のマシンしかチューニングをしないようにしていた。
だがこの車をチューンしたのは一体どのような経緯があったのか?
そう思っていると、彼はまた言葉を続ける。
「実際はその顔馴染みの、更に知り合いがドライバーだった。だが本来乗るべきドライバーは引き取り寸前に不慮の事故で亡くなってしまってな…チューニングの真っただ中という事もあって行く当てのなくなったこの車は、依頼者の要望で俺が引き取ることになったんだ。お金云々は向こう持ちでな」
「そんなことがあったんだ…」
ある古い顔馴染みの、その知り合いが乗るべきマシンだったというこのLFA。
しかしそのドライバーは不慮の事故で亡くなってしまい、所有権が宙ぶらりんの状態になってしまった。
そこでその顔馴染みがお金を払うことで、チューナーに引き取らせたという。
チューナー自身が仕上げたモンスターマシンは本来の客に渡ることもなく、乗りこなせるようなドライバーを探していたという訳である。
「本来のチューニング方針として、俺はこの車のエンジンの性能を生かすつもりだった。だが…不思議とこのエンジンに魅了された俺は、この車に魔改造を施してしまった」
「魔改造?」
「この車のエンジンは本来NA…つまり自動吸気だ。だが、本来の乗り手を失ったこの車は殆ど俺のもの。そして俺は…何かにとりつかれたかのように、この車をチューンした。ターボ化を施してな」
「ターボ化…」
「だが同時にそれは、とても常人には扱いきれないような…そんなマシンにさせるということ。V10エンジンのターボなんて考えてみろ?何が起きてもおかしくないものだぜ。我ながら怖くなった俺はそんな、自分でも操れないような車を…2年間封印していた」
「……」
LFAのエンジンは本来V10のNAエンジン。
天使の咆哮、とも言うべきエンジン音を奏でるエンジンを搭載している。
だがチューナーはそのエンジンをターボ化、そして狂ったかのようなチューニングを施してしまったという。
そしてその結果として…誰も乗りこなせないような、超が付くほどのモンスターが誕生した。
「俺が首都環状で才能あるドライバーを探していたのは、将来的にこの車を乗りこなすドライバーを探し求めていたからだ。そして、俺と付き合ってきたお前は…それに値する」
「…でもさぁ、それを言ったらひかるちゃんもそうじゃない?あの子ももう首都環状屈指の実力者だよね?」
普通の人間が操縦しても事故るだけだと考えたチューナーは、この車を操縦するに相応しいドライバーを見つけ出すまでは…LFAを封印していたという。
だがそれでも最上は、「久遠のポラリス」も適性があるのでは?と疑念を抱いた。
するとチューナーはそれに答えるようにこう口にする。
「…そうだな。だが、アイツとお前には明確な違いがある」
「違い?」
「アイツは、自分の車で首都環状最速になりたいという気持ちがあった。だがお前は、どちらかと言うと…『最速になりたい』というよりは、『ここまで走ってきた以上引くに引けない』と言う気持ちが大きいように思える」
「それは…そうかもしれないね。でもそれが、どうしたっていうの?」
最上とポラリスの大きな違い、それこそが走りに対する姿勢であるとチューナーは見抜いていた。
ポラリスは自分の車で速くなりたい、という目標があるが…最上自身は、車はどうでもいいと判断されていた。
そしてそれは、最上にとっては正解で会った。
「だからこそ、アイツがGT-Rを選んだのに対し…お前には、このLFAが向いていると言いたいんだ。お前さんは人に勧められた車に乗って首都環状の実力者にのし上がった。そしてそれはきっと…これからも変わらないと判断した。お前さんは自分で車をいじるというよりは、差し出された車で最速を目指す…そんな方向性であると認識している」
「まあ、そうだねえ。僕は普段からタクシーでお金を稼いでるけど、それでもあまり車の性能とか細かい事は分からないんだ。GT-Rだって、名前と速さはわかるけど…何というか、あれに乗るのは僕としてはちょっと向かない気もしてさ」
「ククク…思った通りだな。だからこその、この隠し玉だ」
最上にとって、車と言うのはあくまでお金稼ぎの道具だった。
だが首都環状でのバトルに打ち込むことで、その印象も変わってきた。
しかし最上には走る技術はあっても、チューニングなどの技術は存在しない。それに明確な意志がはっきりとしない。
久遠のポラリスも同様にチューニングなどの技術は存在しないが…彼女には、はっきりと「自分の車で速くなりたい」という意識があった。
そしてそんなドライバー気質だからこそ、最上は「人から差し出された車」に乗って最速を目指すという事が向いていると判断されたそうだ。
すると最上は車の性能が気になったようにこう口を開く。
「ねえ、この車ってどれくらい速いの?僕のシビックって今600馬力くらいあるって言ってたよね?それ以上なんでしょ?」
「ああ…コイツの馬力は最低でも1000馬力はある。だがそれでもタイヤはきっちりと地面を掴んでいるし、よっぽど雑な操作をしない限りはほとんど暴れない。そんな車だ」
「1000馬力…!?そんなにでもしないと、迅帝とかには追い付けないの?」
「ああ、無理だ。奴とスネークアイズの実力は異次元と言ってもいいだろう。だから、シビックでは敵わないと俺は言った」
「そうだったんだ…まあ、僕の車って今は700馬力近くしかないからねえ。だったらこの車に乗ることも、悪い気はしないかな。迅帝やスネークアイズを倒せるのなら…なんだって乗るよ」
チューナー曰くLFAの性能は軽く1000馬力を超える超モンスターマシンだという。
普通に考えてもとんでもないモンスタースペックであるのは言うまでもないだろうが、そんな車に乗らないと最上は迅帝などに勝てないらしい。
だが最上としては、正直車は何だってよかった。
それはやはり、シビックはともかくそれ以外の車にほとんど触れたことがなく車に対する好みや知識が乏しかったこと…おまけに走りも、速く走れればそれでいいというシンプルな考えを持っていたからなのかもしれない。
最上は「どんなマシンだって乗る」と言うが…同時にチューナーはある条件を提示しようとしていた。
「ククク…いいだろう。ただし、一つだけ条件がある。この車はお前へのプレゼントという訳ではなくて…1週間のレンタルという事にしたい」
「レンタル…?」
「ああ。この車を仮にお前に譲渡するとしたら、とんでもないお金がかかってしまう。それは、お前でも支払いきることは無理だ」
チューナー曰く、LFAはあくまで最上への貸し出しという事らしい。
一体どういうことなのか?最上が疑問を口にする。
「お金がかかるって、どういうこと?」
「車を差し出すというのは、物を送るという事。つまり贈与税の対象だ…このLFAの価値はノーマルの最低でも3000万以上、そしてそこに俺がチューニングを施したことを考えると…この車の価値がとんでもないことが分かるだろう?」
「う、うん…」
「法律じゃあ贈与した物の価値が100万程度以上になると…それに応じたお金を払う必要が出てくる。それが、とんでもないお金の正体というわけだ」
チューナーが語った内容、それこそ贈与税の話。
普通に考えれば数千万レベルの車を与えた場合とんでもない税金…贈与税や所得税などがかかってくる。
そんなお金は、いくらタクシードライバーとして稼いでいる最上であっても…支払いきることは難しいものであるのは、最上も気が付いていた。
「そっか。だから、おやっさんの名義のままにして…僕にこの車を、レンタルさせると」
「ああ。そして1週間で、首都環状の帝王…迅帝とスネークアイズを倒してこい」
「え…1週間で?」
チューナーから最上への命令、それこそが1週間で首都環状の最速になれという事だった。
これは一体どういうことなのか?
そう思っていると、チューナーが言葉を続ける。
「お前はここ1ヶ月半、猛烈な勢いで首都環状の走り屋たちをなぎ倒してきた。残る実力者もほんの僅か…そしてこの車は、下手に長く乗っているとお前さんの命も危ういかもしれない。この車は…俺が全てを注ぎ込んだこの車は、そんな車なんだ」
「1週間…」
「お前さんと出会ったあの日は、もう2ヶ月近く前になるな。あと1週間で2ヶ月になる。そこまでに…ケリをつけてこい」
最上が首都環状を走り始めたのはつい1ヶ月半前。
そこから破竹の勢いで首都環状のドライバーたちを倒してきた。
残るドライバーも僅かであることもさることながら、同時にこのLFAはそこまでじっくり乗るようなマシンではないという。
だからこその、1週間という期限付きだった。
その事に対して、最上は真剣な眼差しでこう口にする。
「…わかった、約束するよ。おやっさん、僕が首都環状の頂点になるのを…見てて」
「ああ…だがまずは最初の2日間だ。迅帝やスネークアイズたちとのバトルの前に、お前に合うように車をセッティングしてやる…残ってるチームの連中を倒して、感じたことを教えてくれ」
チューナーの言葉に対して最上は静かに頷いた。
チューナー曰く残り1週間で首都環状の最速になれ、とのこと。
そしてまず2日間で最上に相性が合うようにマシンセッティングを煮詰める…そして残った5日間で迅帝やスネークアイズ、そして久遠のポラリスに挑んでいく。
そんなスケジュールが立てられた。
「この車のマスターキーだ、受け取れ。あとエンジンを吹かしてみろ…」
チューナーから手渡されたマスターキーを静かに頷きつつも、最上は受け取った。
最上はLFAのドアを開け…ドライバーズシートに乗り込む。
内装はシビックと比べても明らかに豪華で高級感があり…文字通り「選ばれた者」だけが乗れる特等席と言う雰囲気を出していた。
シビックよりも目線の位置は低く…同時に広い。そしてインパネもシビックのそれと比べ物にならない程に…作り込まれている。
そんな車に乗ってしまった以上、最上は絶対に「首都環状最速」の座につかなければならない…そう認識した。
もう、引き返せない。
そう認識しつつも…最上はマスターキーを差し、ブレーキを踏みながらハンドルのイグニッションボタンを押す。
「―――――!」
楽器メーカーと共に共同開発された、LFAのために作られたV10エンジン。
天使の咆哮と呼ばれるエンジンが、今…最上の手によって始動した。
止まっているだけでも、最上はエンジンパワーをシートから感じ取っていた。
エンジンを始動すると同時に、液晶パネルにタコメーター、水温計、油温計、そして速度メーターが表示される。
タコメーターは1万4000回転上限…文字通りのモンスターマシンと言うべきだろう。
それに加えてLFAはこれまでのマシンであるマニュアルミッションではなく…ハンドルに取り付けられているパドルシフトが印象的。
これまでのマシンではクラッチを切って加速する必要があったが…その手間がほんの僅かながら省略されることになる。
マシンのタコメータ部分…液晶パネルを確認した上で、最上はアクセルを踏み込んでエンジンを噴かす。
「よ―――しッ、よしッよしッ!いい音だ―――ッ!」
エンジンを噴かす最上に対し、チューナーは喜びと言うべき感情を爆発させていた。
彼にとってもそのマシンを目覚めさせたことは大きかったに違いない。
エンジンをふかし、LFAが復活したことをチューナー自身が最もしっかりと嚙み締めるのだった。
チューナーからモンスターチューンドのLFAを引き取った最上。
首都環状の頂点へ駆けあがる最後の戦いが幕を開けようとしていた。
―――数十分後。
最上はLFAのシェイクダウンがてら首都環状へと繰り出していた。
都心環状線都心環状線のライバルたちはほぼ全員蹴散らしているので、残っているのは湾岸線と横羽線と言う超高速区間にいるライバルたちのみ。
都心環状線内回りを1周し、浜崎橋から横羽線下り方面へと向かう。
時速100キロでマシンを移動させ、マシンのシェイクダウンがてら走行している。
80キロ以上で出るというアクティブリアウィングも既に発動しており、空力面でもある程度の安定性があるようだ。
芝浦入口付近を通過したところで、早速前方に2台のマシンが迫ってくる。
100キロ台で走らせていたLFAを減速させた上で、2台のマシンの近くにLFAを接近させる。
「(あれは…例のチームのドライバーかな)」
右車線を縦列で走行する2台のマシン…前のピンク色の手の込んだFD3S、後ろの藍色の手の込んだZ33。
チーム「ASIAN AGES」のメンバー…それぞれ「桃龍」、「風虎」と書かれている。
残っている首都環状屈指のチーム…「ROYAL DREAMS」、「SPEED MASTER」、そして「ASIAN AGES」。
その一角であることは間違えない。
同時に、スネークアイズや迅帝を引っ張り出すのには倒すべきライバルであるというのは言うまでもないだろう。
2台が共に走っている以上…1対2であるということも違いない。
そうである以上、勝負を仕掛ける必要性もわかっていた。
推奨BGM:霹靂(from beatmaniaⅡDX34 ZINRAI)
「(さあ、ウォーミングアップがてら行ってみようか)」
1周都心環状線を回ってきたからには、巡航させることは出来ていた。
そしてその上でここからが実践のバトル。
シビックとは挙動もパワーも性能も段違いのLFAでの、初バトルである。
後方にいたZ33に向けて、ハンドルの右レバー…ライトを捻ってパッシングさせる。
トンデモマシンの実力発揮、いや…ウォーミングアップ。
その為の1戦が、モノレールの高架下を通過したところで始まろうとしていた。
カーナビのカウントダウンが始まる。
3
2
1
GO!
「―――!」
GOサインと共にアクセルを全開に踏み込む。
前方を走るZ33は動揺したのか、ワンテンポだけ加速が鈍った。
だが最上はその隙を見逃すはずもなく…右車線から左車線へと瞬間移動の如く加速、あっという間にZ33の横に出た。
一方でFD3Sは左車線に出てきたLFAをブロックせんと同じく左車線にはみ出てきたのだが…
「(おっ…と)」
Z33とFD3Sの間に生まれた、車1台分のスペース。
車線変更で追い抜くことが出来るそのスペースを、最上が見逃すはずがなかった。
アクセル全開で2速にシフトアップしたところで、ハンドルを僅かに右に曲げて…Z33の前に出し抜いたかと思いきや、直後にはFD3Sの右サイドにZ33は移動していた。
そこからアクセル全開で踏み続けたとなれば、もうどのようなことが起こるかは言うまでもないだろう。
「(おおっ、すごい!ブロックされることなく余裕で追い抜けちゃった…このまま畳みかけちゃうぞ)」
2台を出し抜いた最上は、アクセル全開のままLFAを加速させていく。
2速で215キロ、パドルを引いてシフトアップ。
230キロ、250キロ、270キロ…シビックとは比べ物にならないほどの加速で、LFAは加速していく。
後方の2台はバックミラーからあっという間に姿を消し去ろうとしていた。
「(まさか…!あの『究極の不沈艦』が、あんな車に乗り換えたなんて…!?)」
こちらはZ33のドライバー、風虎。
ニトロを発動したのは良いのだが、スタートダッシュでの大逃げされたLFAには全くもってても足も出ない。
いや、格が違いすぎるというべきなのだろうか…
速度メーターも200キロ、220キロと加速していくのだが、当のLFAの加速があまりにも速すぎることや…横羽線と言う超高速ステージという事もあって…とてもかなう相手ではないという事は嫌でも痛感していた。
精神的にもゴリゴリと削られていく中で、LFAは既に80m以上は引き離されていた。
「(あはっ、やっぱりこの車はとんでもない怪物ってわけだね。超強豪チームのメンバーがこうも相手にならないなんてね)」
一方、300キロオーバーと言うスピードで爆走するLFAの中で最上は多少なりとも満足気。
瞬殺できるかのようなその速さに、最上としては快感すらも覚えていた。
300キロオーバーと言うスピードでもLFAはまだまだ加速を止めることを知らず、ガンガン加速していく。
今までもパワー差でぶっちぎることは珍しい事でもなかったのだが…首都環状屈指のチームのメンバー相手にこうも圧倒できるとは思ってもいなかった。
それほどなまでにこのLFAはチューニングされているという事だろう。
300、330キロ…もう後方の相手の事はお構いなしにアクセルを踏み込み続ける。
そんな現状を見て、最上はふとこう思う。
「(この車を本当に乗りこなした時、僕はスネークアイズや迅帝…それに、『ひかるちゃん』に勝つことが出来るかもしれない…)」
最上としては、今後間違えなくこのLFAで迅帝やスネークアイズに挑むことになると覚悟していた。
そうである以上、一刻も早くこのLFAを操縦しきれるようにしないといけない…そうも思っていた。
そしてそう思ったところで、カーナビには「WIN」の文字が表示されるのだった。
300キロ以上のスピードで走行するLFAだが、アクセルを抜いたことでゆっくりと減速していく。
天王洲付近、左直角コーナー手前でケリがつき、そのまま減速していくLFAは左直角コーナーを前方で軽くブレーキ、速度が下がったところでリリースしたらノーアクセルで緩やかに旋回して突破する。
爆音を響かせるLFAはそのまま横羽線を南下し…やがて夜闇の中へと消えていくのだった。
レンタル期間、残り7日。
果たしてその間に最上は、首都環状最速になれるのか―――。
(第32話End)