「艦これ」いつかあの海で×首都高バトル 2025 -いつかあの環で- 作:カービィ改二
仕事とゴールデンウィークのリフレッシュで投稿が遅れすいません。
最上に迫るPhantom9第2の刺客。
そしてPhamtom9の全容とは…
―――元・"十三鬼将"のドライバー、裏切りのジャックナイフとブラッドハウンドを破った最上。
徐々に噂を広めていく中で、最上の前にまたあのドライバーたちが立ちはだかる。
推奨BGM:Fly far bounce(from ノスタルジア)
この日、最上はスイフトスポーツに乗って木場入口からコースイン。
そのまま深川線上り…都心環状線方面へと向かっていた。
左車線を一定速度…60キロ前後で巡行する。
「(カーナビに表示される矢印も、緑色が増えてきたな…)」
カーナビに表示されているのは首都環状を走るライバルたち。
細かい情報は停止中じゃないとわからないが、走行中でもライバルがどこにいるかはわかる。
ここ最近の走り込みによって、首都環状を走るドライバーたちの矢印は大半が緑色…つまり、最上が勝利したという事を示していた。
だがそれでもまだ最上は走り足りない。
同時にこれが首都環状の本気だとは思ってもいない。
速くなるためには多くのライバルたちを撃破し、名を上げて、挑戦を受ける立場にならなければならないのだろう。
沢山のライバルとバトルをするには、今はとにかく走っているライバルたちとそのリーダーを破って名を上げる必要があるのは間違えない。
そう思った時だった。
「(仕掛けてきた?)」
ウォーミングアップのためにゆっくりと…速度50キロ程度で走っていたところでバックミラーが光り、後方を確認する。
いつの間にか後方からやってきたマシンが、自分に勝負を挑んでいるのだ。
カーナビに「バトル申請」の内容が書かれている。
「あの車は…?」
カーナビを見たところ、名前は「マキシマムイーグル」と書かれている。
「FAR AWAY」と呼ばれるチームのリーダーのようだ。
確か車種は…80スープラと呼ばれる車だっただろうか。
黒色に塗られた、有名スポーツカーが後方で勝負を仕掛けに来たのである。
「(どんな相手だろうと、断る道理はないね)」
最上としては勝負を受けることも厭わなかった。
速くなるためにそれが必要であるというなら、何だってやる。
それが最上の走りの考え。
どんな相手だろうと相手になる…そのくらいの気持ちだった。
速度が60キロ台を示す中、木場出口横を通り抜けたところでカーナビのカウントダウンが始まろうとしていた。
3
2
1
GO!
「―――!」
GOサインと共にアクセルを全開に踏み込む最上。
スタートダッシュを決め、後方のマシンとの車間距離を引き離す。
「(何とかコーナー地帯まで逃げないと)」
スタート地点は直角コーナー手前のストレート区間ということもあり、馬力で言えばスープラが有利。
追いつかれる可能性はいくらでもある。
そうである以上、箱崎ジャンクションの連続コーナー地帯に飛び込んでコーナー勝負に持って行きたいと思っていた。
ハンドルを左に曲げ、左車線を加速していく。
そのまま箱崎方面へ2台は縺れながら走行する。
だが走る中で最上はある違和感に気がつく。
「(あれ…追いついてきてない?)」
アクセルを踏み続ける最上だが、後方のスープラは徐々に離れていく。
バックミラーの光源は徐々に小さくなっていくのが最上でもわかった。
一体何が起きているというのか?
スペックが追い付いていないのか?
「(意外と、手が入っていないのかな?)」
見かけこそゴツいスポーツカーだったが、復帰したばかりなのかそれともリハビリなのかそれとも自分以上の初心者なのか…何にせよ、自分のスイフトスポーツの速度には追い付いていなかった。
速度が180キロ近くまで加速する中で、箱崎PA入口横を通り抜け、箱崎ジャンクションの分岐へ。
左方向に進むスイフトスポーツ。
目の前には左ヘアピンが迫る。
「(僕のマシンと同じ、カーブで迫ってくるマシンだとしたら…)」
最上はまだ向こうのマシンの可能性も捨てていなかった。
自分と同じコーナーリングマシンだとしたら…そう最上は油断していなかった。
自分のマシンの特性は、どちらかと言えばコーナーリングマシン。
相手の車の事はよくわからないが、もし自分と似たマシンだとしたら…そう思った以上、最上は油断していない。
ヘアピンコーナーが迫る中で、最上はアクセルオフから軽くブレーキを踏み込む。
ブレーキを踏み込み、ハンドルを左に曲げる。
右車線がゼブラゾーンである以上、左車線のゼブラゾーンを走っていた。
速度は150キロ台まで落ちたが、同時にアクセルをある程度踏んで速度を維持し続ける。
前方がクリアな状態な中で、左車線を一定速度で走り抜けるスイフトスポーツ。
そしてコーナー出口で小松川線と分岐する寸前で再び最上はアクセルを全開に踏み込む。
加速する中で最上はちらりとバックミラーを見る。
後方にはスープラの存在が映っていたが、その存在はやはり小さいままだ。
「(このキツいカーブで置いてけぼり…また見掛け倒しってところか)」
カーナビの体力ゲージは相手のものがみるみると減っていく。
どうやら明らかに自分の方が優勢のようだ。
車間距離としては少なくとも50mは離れているのではないだろうか。
アクセル全開で加速する中で、3車線の一番左から真ん中の車線へ。
そしてそのまま前方の右直角コーナーをレーン上を維持するようにハンドルを右に曲げる。
170キロ近くを維持しながら、僅かに外に膨れつつも加速していく。
そしてコーナー先の江戸橋ジャンクションが視界に入ったところで、カーナビには「WIN」の文字が表示された。
新環状ルートである以上、一番左の車線に移ったところでアクセルオフ、ブレーキを軽く踏み込んで減速した。
「(ここ数日間、バトルを受けることも多くなってきたけど…僕も少しずつ有名人になっているのかなあ)」
バトルが終わったところで最上はふと静かにそう思うのだった。
ここ数日最上はバトルを複数受けることも多くなった。
どうやら自分の実力を知るために様々な刺客が現れているようだ。
だが最上としてはそれは悪くないことだった。
何故なら…
「(挑戦して返り討ちにするのって、実は気持ちいいんだよね)」
マシンを60キロまで減速させてクルーズさせる中で、最上はふとそう思うのだった。
勝負を受けて勝利すること、それが最上にとっての快感でありカタルシスになっていた。
そしてそんなカタルシスを味わった以上、どんなドライバーでもかかってこいと思うのだった。
―――数十分後。
最上のスイフトスポーツは新環状ルートを1周し、また何度かライバルたちを蹴散らしていた。
現在の走行位置はC1外回りの京橋付近の橋脚を右車線から抜けたところだ。
この橋脚を抜け、上り坂を上がって下り坂を降りた先にあるのが銀座入口・出口である。
「(カーナビの青い表示も少しずつ減ってきたぞ)」
行く先々で勝負を挑まれた最上だが、その都度スイフトスポーツで返り討ちにしてきた。
それなりのドライバーもいたが、基本的にはまだ戦える部類。
だからこそ多少の余裕があった。
するとそんな余裕を持っていた時だった。
スイフトスポーツは上り坂を上がり、下り坂区間へ入ろうとしていた時である。
目の前の銀座入口から1台のマシンが最上のマシンを塞ぐかのように現れた。
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「(…金色のワゴン?)」
先日バトルした赤いワゴンと同じマシン。
いや、カラー自体は大違いだが…エアロは大して変わらない以上元のマシンはきっと同じだろう。
最上のスイフトスポーツの前に現れたそのマシンは、まるで挑戦者を待っているかのように立ち回っていた。
銀座出口、2つ目の橋脚を抜けたところで最上はカーナビをちらりと確認する。
「(たしか先日の『紅童子』と同じマシンだっけ。名前は…『金色般若』?)」
カーナビには「金色般若」とライバル名が書かれていた。
どうやら先日の紅童子と同じ素体のマシンで、まるで自分を待っていたかのような振舞いをしていた。
やはり勝負をしてほしいという事なのだろうか…最上はそう思った。
「(何だっていいや。僕について来れるかを見せてほしいな)」
最上としてはどんなバトル相手だろうと関係なかった。
勝負をするというならさっさと勝負を挑んでしまおう…そう最上は思った。
自分を求めているドライバーがいるならば遠慮なく挑戦する。
そんな心意気の中で、最上はスイフトスポーツのライトをパッシングさせる。
「(来たか…例のドライバー)」
レヴォーグのドライバー…金色般若はパッシングを見てそう思った。
弟が負けたというドライバーがついに自分にも勝負を仕掛けてきたか。
そう思った。
そしてそうである以上、勝負を受けて立つのは当然といえば当然だった。
バトルを快諾し、ハザードランプを点灯させる。
ハザードランプを点灯させ、橋脚を2台が通り抜けたところでカーナビのカウントダウンが始まろうとしていた。
3
2
1
GO!
「っ…!」
シグナルと共にアクセルを全開に踏み込む最上。
だがしかしスタート地点はストレート区間。
やはり相手の車のスペックがあるのか、先行している金色のレヴォーグはぐんぐん加速していく。
一方で最上自身アクセルを踏み続けるも、その距離差は徐々にではあるが広がる。
だがテールトゥノーズの状態で追いかける中で最上はあまり動揺していなかった。
先行するレヴォーグが左車線に行くならそれを追うように左車線にスイフトスポーツを移動させ、レヴォーグが右車線に行くなら右車線にスイフトスポーツを移動させる。
2車線の区間においては、一般車をレヴォーグのスリップストリームに入ることで上手く避けていく。
「(速いけど…)」
相手の車は確かに速い。
だがそれでもそうであるなら弱点は別のところにある。
そこを、自分のマシンの特性で突けば…いける。そう最上は思っていた。
ストレートエンドには左から右への複合S字コーナーが存在する。
前方のレヴォーグが右車線に移り、スイフトスポーツがスリップに入った状態でレヴォーグのブレーキランプが点灯する。
「(ここだっ!)」
左車線はクリアで何も一般車が存在しない。
前方のレヴォーグが接近する中で、アクセルオフからブレーキを一瞬だけ踏み込んだかと思いきやハンドルを一気に左に切る。
速度は160キロ台。
右車線から左車線へ一気に移動し、あっという間にレヴォーグの左サイドから追い抜く。
一気に最初の左コーナーを左車線から駆け抜け、すぐにハンドルを右に切り返してマシンを左から右へ振り回す。
振り回して右コーナーに突入する中でアクセルを踏み込んで、マシンを加速させる。
コーナーを立ち上がる中でスイフトスポーツはその軽快なマシンというスペックをフルに生かすかのようにコーナー直後のストレート区間を鋭く加速していく。
レヴォーグを置き去りにするような勢いでスイフトスポーツはストレート区間を加速していく。
「(やっぱりだ…カーブじゃ軽いこの車の方が有利なのは間違いない)」
アクセル全開のまま汐留トンネルに飛び込もうとしている中で、最上はふとそう思った。
ストレートで多少追い詰められてもやはりコーナーで相手をねじ伏せればいくらでもチャンスがある。
そう思う中で、左車線から右車線へと移る形でトンネル内の右高速コーナーを駆け抜ける。
だがすぐに左直角コーナーが迫る。
そんな中でアクセルオフからブレーキを踏み込み、左パドルシフトを1回引いてシフトダウン。
速度が180キロ近くから140キロまで減速した上でハンドルを左に切る。右車線から左車線、そしてそのまま右車線へ。
アウトインアウトのラインを描いてコーナーを脱出し、アクセルを全開に踏み込んでスイフトスポーツを前方のストレートへ。
そのままアクセルを全開に踏み込むことで、上り坂のストレート区間をスイフトスポーツは加速していく。
一般車も少ない中で、最上は後方のレヴォーグを振り切らんと言わんばかりにアクセルを踏み続ける。
だが、トンネルを抜けて上り坂を上り切ろうとしたところだった。
推奨BGM:クリムゾンゲイト(from GITADORA GuitarFreaks&DrumMania)
「(トンネル出口から次のコーナーまでのストレートだけど…あれ?)」
トンネル出口の先の高架…そして八重洲方面からの合流。
そこに、自分たちのバトルに乱入するかのように1台のマシンが左車線へとやってきていた。
合流したマシンは、前方のS字コーナーを加速していく。
だがそのマシンは最上にとって見覚えがあった。
「(まさか合流からもう1台?あの赤いワゴンはまさか…)」
汐留ジャンクションのC1内回り方面合流からやってきたのは…赤いワゴン。
そのマシンに最上は見覚えがあった。
たしか、紅童子だったか?
スピードからして自分たちのバトルに乱入しようとしている。
まさか乱入してくるとは思いもよらなかったが、一方で最上はこうも思った。
「(2対1…まあいいか。続けてバトルする手間が省ける)」
先の紅童子は先日のバトルでは飽き足りないようだった。
おそらくリベンジにしに来たのだろう…最上はそう思った。
もしそうであるならば、自分としては喜んで勝負を受けたい…
何なら返り討ちにするカタルシスを味わいたい。
最上は裏でそう思っていたのだった。
八重洲方面からの合流を経て、3台はもつれながら汐留S字へと飛び込む。
「―――!」
前方のレヴォーグがブレーキを掛けたところで最上もブレーキング。
車間距離数メートルまで迫ったところでハンドルを左に切り、アクセルオンから3車線のうち一番右の車線から一番左の車線へアウトインアウトのラインを描くかのようにハンドルを曲げていく。
だが前方のレヴォーグはそのラインを完璧に潰すかのように走っており、思うように追い抜けない。
S字コーナーの最初の左カーブでは完璧にラインがダブっていた。
そしてそれに影響されたのか、前方のレヴォーグはコーナーを抜けても最上のスイフトスポーツの前を走り続ける。
咄嗟にハンドルを左に切っても前方のレヴォーグはそれを追うように通せんぼをしてやまない。
まるで全てがお見通しのように通せんぼを受けていた。
「(くっ、塞がれた…)」
S字コーナーの右コーナーにおいて前へと抜け出そうとする最上のスイフトスポーツだが、コーナーの立ち上がりでレヴォーグの大きな車体が邪魔をする。
接触寸前でアクセルを一瞬だけリリースし、赤いレヴォーグの後方に付ける形となって加速していく。
レヴォーグが加速する中で自分もアクセルを全開に踏み続ける。
浜崎橋ジャンクションが迫るが、カーナビには左方向と出ていた。
どうやらこの先は左方向に進むらしい。
ならば食らいついて隙を見せたら追い抜くまで…だが、そう思った時だった。
「―――!?」
浜崎橋JCTを左に進み、台場・羽田方面へ。
加速勝負の中で赤いレヴォーグがスイフトスポーツをブロックする中で、最上はあることに気が付いた。
バックミラーの光源が異様な程に眩しい。
いつの間にか後方に金色のレヴォーグが迫っているのだ。
そう、いつの間にか最上は誘導されて挟み撃ちの状態になってしまっていた。
「(挟まれた…どうする?)」
前方に紅童子、後方に金色般若。
その中間にはさまれた最上のスイフトスポーツ。
どこかで機転を利かせて2台を調理したい。
この先は分岐だが、カーナビを見る限り先頭のマシンである紅童子は台場線方面…レインボーブリッジへと向かうようだ。
ちなみに聞いた話では、先頭車両と別の分岐に進むと強制的に敗北扱いになるらしい。
「(前門の虎、後門の狼…)」
2人のドライバーに挟み撃ちの状態だが、最上にはなぜか焦りがなかった。
赤いレヴォーグが3車線の真ん中…台場線の右車線となる位置を走り、それに連なるように3台が疾駆する。
そして、3台が台場方面へと駒を進めたその時だった。
目の前に、直角コーナーが迫る。
最上はレヴォーグの後ろでそれを見逃していなかった。
そして、前方のレヴォーグがブレーキランプを点滅させる瞬間だった。
「(ここだ、いっけえ!)」
「(…っ!?)」
浜崎橋JCTの、台場方面左直角コーナー。
このコーナーで、先に手を打てば…最上はそう直感した。
次の瞬間には前方のレヴォーグのブレーキランプ点灯と共にハンドルを左に切る。
この直感的な冴えが、最上の強さの一つ。
先にスパートを仕掛けた最上は、レヴォーグよりも先にハンドルを左に曲げてターンイン。
レヴォーグよりも明らかに軽いスイフトスポーツが、レヴォーグの左横に出た。
ブレーキを一瞬だけ踏み込んだかと思いきや、そのまま左車線の更に左…ゼブラゾーンを通ってレヴォーグをそのままスピーディにオーバーテイク。
そこからスピードを維持したままアクセル全開で加速していく。
走行レーンなんて関係なく、左レーンから右レーンへ。
左直角コーナーの先の緩い右高速コーナー。
その2つの中央を駆け抜けるかのようにスイフトスポーツは加速していく。
挟み撃ちの状態から前方の隙を見計らい、そのままオーバーテイク。
速度は160キロ台から180キロ近くまで加速していき、後方のレヴォーグ2台を置き去りにする。
2つのコーナーを抜け、スイフトスポーツはレインボーブリッジに向けて疾駆する。
後方は見ずに、アクセルを全開に踏み続けて振り切る勢いだった。
勢いに乗ったスイフトスポーツはもう止められない。
カーナビに映った、2つの体力ゲージがどんどん減っていく。
それくらいなまでに車間距離を離したのだ。
そのままレインボーブリッジ手前の直角コーナーをアクセル全開で突っ込み、そのままレインボーブリッジ上へと走り抜けていくスイフトスポーツ。
そしてちょうど、1つ目の主塔…つまり門のようなものをスイフトスポーツが潜り抜けた時だった。
「(あ…終わった)」
カーナビ上には「WIN」という文字が表示されていた。
どうやら終わったようだ…そう認識した最上は、アクセルを抜いてスイフトスポーツを減速させる。
一般車両の合間を縫うように走り抜けていたスイフトスポーツは、あっという間に減速して一般車に早変わりするのだった。
勝負には勝ったが、意外と披露していた最上はゆっくりとマシンを走らせて次のパーキングで休憩をとることを決めるのだった。
「(意外と、何とかなったけど…)」
最上は何とか相手を倒すことが出来ても、決して満足はしていなかった。
―――辰巳第一PA
バトルを終えてスイフトスポーツが休憩がてらPAに入ると、それを見越したのか紅童子と金色般若のマシンもやってきた。
そしてそのまま2人のドライバーが最上に話しかけてきた。
どうやら、逃がしてくれるつもりはないらしい。
「ごきげんよう、定時の作業員さん。相変わらず、絶好調みたいですねぇ」
「……」
軽々しく最上に挨拶する紅童子。
最上は不信感を持っていたのか、軽く会釈だけを済ませた。
紅童子のそばに金色般若もやってきた。
「ねえ、兄さん、僕の言った通りでしょう。久々に愉快なヒトが首都環状に現れたんですよ」
「ふん。面白いだなんて言って喜べやしねえよ。俺は走り始めたばっかりのルーキーに負けておいて、雅路と違ってな」
「素直じゃないなあ…」
「…何か、君たち親しいね」
紅童子と金色般若のやりとりは不思議と滑らかだ。
まるで古い知り合いかのような状態。
一体どういうことなのかと最上はふと口にした。
「ああ、僕たちは兄弟なんですよ。政則兄さんは次男で、僕が末っ子」
「あっ、そうなんだ」
「まあ、気を悪くしないでくださいね。政則兄さんは若い走り屋とは大体相性が悪いんです。おじさんだからかな」
「んだと!?」
「現に、うちのリーダーとも仲が悪いんだから」
「そりゃそうだがよ…」
紅童子と金色般若は実は血のつながった兄弟。
だがそれなりに年齢差はあるようだ。
すると、最上が気になったことを質問する。
「あの、リーダーって?」
「ああ、失礼。新顔さんにもわかるように話してあげますね。僕たち“黒崎三兄弟”は<Phantom9>というチームの一員なんですよ」
「…何か言っていたよね、この前も」
「話は聞いているか。まあ…俺にとっちゃ不本意だがな」
「僕はそうでもないですよ…当の<Phantom9>が結成されたのは4年前」
「4年前?そんな前に?」
紅童子は最上に対して<Phantom9>の説明をし始めた。
「当時、スネークアイズという名の走り屋が首都環状を掌握し、有力な走り屋たちを次々と撃墜…数多のチームを解散に追い込みました。その彼が率いていたチームが、僕たち<Phantom9>なんですよ」
「走り屋たちを撃墜したチーム…へえ、そうなんだ」
最上にとってはあまり興味がなかったが、一応<Phantom9>というのが何者なのかという事はわかった。
だが一方で最上にとってはこんな質問も沸いた。
「ってあれ?君たちが4年前に首都環状を席巻したのはわかったけど、今は?」
<Phantom9>の話を聞いて納得した最上だが、当の話は4年も前の話。
では今はどうなのか、と問うと紅童子が若干苦い顔をしてこう口にする。
「…実はその後、ちょっと色々ありまして。スネークアイズは、今もライバルにご執心というわけです」
「そのライバルって?」
そう最上が質問すると、紅童子は一息置いてこう口にする。
「首都環状で最速の走り屋―――迅帝へのリベンジ。それがスネークアイズの、ひいては僕たち<Phantom9>の狙いです」
「―――!」
最上は紅童子の言葉にはっとした。
首都高最速のドライバー、迅帝…やはり最速のドライバーは追われるものであるという事だろうか。
最速と呼ばれるドライバーである以上、名指しされるのは不思議な話ではなかった。
しかし一方で、紅童子の目は…真剣そのもの。
やはり迅帝を追いかけているという事だろうか。
―――迅帝へのリベンジ。<Phantom9>が狙うのは、復讐。
それは走りへの純粋な情熱とは違う。
全てを焼き尽くすような、激しい憎悪の炎である。
(第8話End)