無自覚自己犠牲体質の少年が幼馴染2人に娶られるまで(2人だけとは言っていない!) 作:究極の闇に焼かれた男
「身嗜みは、特に問題なさそうだな。 あとは何を持って行くかだけど……………いやいや、何でこんなにも真剣に考えてるんだ俺は!?」
鏡の前で身嗜みを確認していた徹は、不意に思い出したかのように叫んだ。
「そもそも何でデートに誘われたのかとか色々と考える事が有るのに、どうして俺は自然に流れる様に準備を始めてるんだよ!? 普通に考えてツッコミどころが有るだろうに……」
睦、もといモーティスからデートに誘われた徹は思わず間の抜けた声を発するも、気が付くと何故か出掛ける為の準備を始めていた自分にツッコミを入れながら声を上げる。
「フゥー…一旦落ち着こう。 まず最初に考えるべきなのはモーティスから何と言われたかだ。 たしか、私達とデートをしよう的な事だったな……………ダメだ、モーティスの意図が全然分からん? そもそもの話だけど、あいつは何で俺をデートなんかに誘ったんだ?」
軽く息を吐きながら冷静になろうと試みる徹だったが、モーティスの発言の意図が分からず頭を抱えながら考え始める。
(モーティスが俺をデートに誘った理由………ダメだ、検討も付かない。 こうなったら、直接本人の口から聞いた方が良さそうだな)
デートに誘われた理由が一向に分からなかった徹はそう結論つけると、鏡の前でもう一度身嗜みを確認すると荷物を取り急いで玄関へと向かう事にした。
「ふん、ふふふ〜ん♪」
徹が玄関へ向かうと、そこでは先に準備を済ませていた睦、もといモーティスが鼻歌を歌いながら待っていた。
「すまんモーティス、少し準備に手間取った」
「あっ! やっと来た。 ううん、いきなりデートに誘った私も悪いから気にしないで。 それより早く行こ!」
「なっ、おい!?」
徹の言葉にモーティスは気にした様子もなく、寧ろいきなりデートに誘った事を申し訳なさそうにしながら返すと、徹の手を引きながら玄関の外へと出るのだった。
「──それで、これから何処に行くつもりなんだ?」
モーティスに手を引かれながら外へ出るとこと数分、商店街を隣合って歩く徹はモーティスに問い掛けた。
「それは〜……着いてからのお楽しみ♪」
「何だよもったいぶりやがって。 まあ、そう言う事なら楽しみにしとくよ」
「うん! きっと徹くんなら喜んで貰えるよ!」
満面の笑みでそう答えるモーティスに徹は思わず口元を綻ばせながら彼女の隣を歩くのだった。
モーティスside
私に、否、私達にとって徹くんは"───"の様な存在である。
彼と始めて言葉を交わしたのは小学5年生の頃、睦ちゃんと私の家に彼を招いた時の事だった。 私はいつもの様に睦ちゃんと楽しくお喋りをしていると、それを偶然にも聞いてしまった徹くんにバレたのが切っ掛けだった。
彼のことを私は睦ちゃんの中からずっと見ていたから知っていたけど、彼は私の事を知らなかった為に当時は凄く驚いた表情をしていた。 それでも彼は驚きはしたものの私のことを1人の女の子として見てくれた。 私の在り方を彼は全て否定するのではなく、睦ちゃんが抱くもう一つの感情を代弁しているだけに過ぎないと認めてくれた。
だからだろう、気が付いた時には私は彼に惹かれていた。 睦ちゃんも彼に惹かれているのだから私が惹かれるのも当然の事なのかもしれない、それでも私が徹くんに対して抱く想いは睦ちゃんに負けないし、この想いが私だけの物である事に変わりはしない。
けれど私だけが徹くんを独り占めにする事は出来ない。 何故なら私は睦ちゃんであり睦ちゃんは私であるから、どちらかだけが徹くんを独り占めにするという事は私達のどちらかは徹くんを諦めなければいけないと言う事である。
それが嫌だった私達は徹くんを共有し合う事にした。
(本当に徹くんも酷いよね、睦ちゃんと私にこんな気持ちを抱かせちゃうんだから♪)
隣を歩く徹くんに視線を向けると、その視線に気付いた彼は優しく微笑み返してくる。
(本当に徹くんは優しいな〜……)
出来る事なら彼の微笑みくらいは私だけの物にしたいけど、それだと睦ちゃんとフェアな関係じゃなくなる。 それでも私は……
「ん? どうかしたか、モーティス」
「ううん。 なんでもないよ♪」
睦ちゃんには悪いけど、せめて今だけは彼の事を独り占めに出来るこの時間を精一杯楽しもう。
to be continued‥
いつか書く予定の短編、読むならどれがいい?
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睦&モーティスの一日マネージャー編
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祥子による追跡編
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徹、過労で倒れる編