無自覚自己犠牲体質の少年が幼馴染2人に娶られるまで(2人だけとは言っていない!) 作:究極の闇に焼かれた男
友人に1日お世話をしてあげる宣言された件 その1
そよside
私が彼、「眞宮徹」くんと初めて出会ったのは一年ほど前、当時の私が所属していたCRYCHICと呼ばれるバンドを結成して間もない頃の事だった。
「今日は皆さんに紹介したい方がいますわ!」
そう言い、CRYCHICのリーダーである祥ちゃんが「徹、此方へ」と声を掛けると、彼は扉を開けて部屋に入って来た。
「彼は私たちのバンドのマネージャーを務めて下さる、私と睦の幼馴染の眞宮徹ですわ。 徹、皆さんに挨拶を」
「ご紹介に預かりました、眞宮徹です。 マネージャーとして皆さんのバンド活動を全力でサポートさせて頂きます」
祥ちゃんに促された彼は無駄のない所作で自己紹介すると、少し緊張した表情を浮かべていた。
当時の私は「そうなんだ…」程度の感覚で接していたけど、徹くんはマネージャーとしてCRYCHICのメンバー1人1人に真摯に接しながら、私たちがバンドの練習に打ち込めるように全力で支えてくれた。
そんな彼が本当は凄く弱いのに他人の為なら自分の身すらも顧みない、"無自覚自己犠牲"とも言える行動理念の持ち主である事に気付かずに。
私が彼の行動理念に気付いたのは本当に単なる偶然で、道端で倒れていた徹くんを見掛けた事が切っ掛けだった。
倒れている徹くんを見掛けた私は直ぐさま駆け寄ると、酷く疲れきった表情を浮かべていることに気付き咄嗟に救急車を呼ぼうとした瞬間、それより早く彼の腕が私のスマホを握っていた腕を優しく掴みながら今にも消えてしまいそうな声で「やめてくれ…」と告げてきた。
徹くんは疲れきった体を無理やり立ち上がらせると、フラついた足取りで帰ろうとしたのを見かねて私は付き添う形で彼の自宅へと向かった。 そこで私は彼の歪な行動理念の一端を知る事になるとも知らずに……。
そんな事もあって、現在の私には果たさなければならない一つの使命があった。
それを実現する為の一歩を踏む為に私は今日、彼の自宅へと訪れていた。
徹side
一年ほど前に祥子と睦が所属し、訳あって解散してしまったバンドことCRYCHICのメンバーの1人に「長崎そよ」と言うなの少女が所属していた。
基本的に物腰柔らかで穏やか且つお淑やかな性格で交友関係も広いと、一見すると凄い大人な少女と思われる少女だが、実際の彼女の性格は複雑な家庭事情により物分りの良い娘を演じているだけの本当はズバズバとものを言ったり、結構根に持つタイプの極々普通(?)の女の子である。
そんな彼女と俺だが、CRYCHICが解散した後も偶に連絡を取り合ったりする程に良好な関係を築けてはいる。
Ave Mujicaが結成される少し前も一悶着あったものの、何とか良好な関係を続けられていたが、現在進行形で意味の分からない状況を目の当たりにして内心困惑していた。
それが何かと言うと…
「徹くん、嫌いな物ってあるの?」
「いや、特には無いが……それより一つ言わせて欲しい」
「何かな?」
「どうやって俺の家に入ったのかはこの際聞かない事にするけど、何で俺ん家で料理をしてるんだ?」
俺はそう言いながらキッチンで現在進行形で料理をしている彼女に向かって聞いていた。
「そんなの徹くんの朝食を作る為に決まってるでしょ?」
「さも当たり前の様に言ってるけど、普通に考えて突っ込み所が多過ぎないか!? 」
「そうかな? 別に普通だと思うけど」
「いやいやいや、こんな普通がある訳ないでしょうが!? 家に来るのはこの際いいけど、いきなり人の朝食を作るって言われても流石に困惑するでしょうが!?」
「ふぅーん……まあ良いけど。 それより徹くん、今日は何か予定とか有るの?」
「予定は特に無いが…」
「それじゃあ、お仕事はお休みなんだね?」
「それはそうだけど、来週分の仕事を今のうちに済ませて置こうかな〜と、考えてたりもして……」
「分かった。 今日1日、私が徹くんのお世話をしてあげる」
「脈絡も無い上に、突然何を言い出すんだ!?」
「大丈夫だよ。 これでもモーティスちゃんのお世話もした事が有るから」
「そういう事じゃないからな!?」
そよの「お世話をしてあげる宣言」に徹は思わず突っ込みをいれるも、そよは鼻歌を歌いながら嬉々とした表情を浮かべるばかりだった。
こうして、そよによる徹の1日お世話が始まりを告げたのであった。
to be continued‥?
次回は睦/モーティス編の続きか燈編のどちらかになる予定となっております(場合によっては主人公である徹に纏わる話になるかもしれません)。
それとコメントお待ちしております。
いつか書く予定の短編、読むならどれがいい?
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睦&モーティスの一日マネージャー編
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祥子による追跡編
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徹、過労で倒れる編