とあるラジオ好きな少年
Reborn
きっと僕は呪うだろう、自らの運命を。前触れもなく、猶予もなく、関係もなく巻き込まれてしまったこの運命に。
ただ絶望することはもうないだろう。なにせ絶望に匹敵するぐらいの希望・・・・はないけど根性をもらった。
だからもう折れることはないだろう。だったら後はひたすら足掻くだけだ。
「いうなれば軌跡の裏道」
春。暖かな空気とともにライラの花が咲き始めて色々なことが始まる季節。何かが終わる季節とも言えるかもしれないがそれには目を瞑りたい。
だって出だしの一歩目からネガティブな思考ではなにもかもやっていける気がしないからね。
デカデカと盛大に飾られた「ようこそトールズ士官学院」と書かれた看板に感慨深く目を向ける。
これから始まることへの期待に胸が膨らむ・・・ことはなかった。
「はぁ・・・正直めんどくさいなぁ・・・。僕としては毎日ラジオを聞いて生活できればいいんだけどなぁ・・・。」
聞けばこの士官学校貴族と平民の対立が少なからずあるという。そりゃ制服から違うんだから起きてもしかたないか。
自分の平民の証である緑色の制服をみる。
白い制服を纏う貴族生徒に関わったらめんどくさそうだなぁ・・・。
「わわわわわ!!!!どいてどいてーーーーー!!!!!」
バターンッ!!
突然背中に衝撃が走り吹き飛ばされてしまう。
「アタタタ・・・・もう、校門前で立ち止まらないでよねぇ~~~。」
衝撃のした方を向くとそこには緑髪で童顔の少女が尻餅をつていた。
緑の制服を来ているところ平民生徒か。良かった白制服の貴族生徒じゃなくて。貴族とかだと確実にいちゃもんつけられるしな。
正直そっちこそ前向いて走れと言ってやりたいが口を紡ぐ。
なぜなら僕のセンサーが敏感に反応している!
こ い つ は ア ホ っ 子 だ !!!
希少種で実在することは夢物語だとも言われた。
だから分かる。こいつは関わったら色々危険だと・・・・。
「よっと・・・!」
アホっ子は勢いつけて立ち上がる。
イケメンなら手をかしてさわや~~~かな笑顔を浮かべるのだろうが生憎僕にはそんなことは出来ない。
だからモテない?やかましいわ!!
「あ!生徒手帳落としちゃってる!」
目を向けると地面には二つの生徒手帳が落ちていた。どうやら僕の生徒手帳も衝撃で落としてしまったらしい。
「じゃあね~~~~!!!」
アホっ子は生徒手帳を拾うとまた走り出し行ってしまった。なんとも慌ただしい子だ。
「あれ?これ僕の生徒手帳じゃないじゃん・・・。」
自然とため息が出てしまう。何故か感じずにはいられないこれからの厄介事にたいして。
生徒手帳には自分の名前ムンクではなくミントと書かれていた。
ーーーー
「いや~~~まさか同じクラスだったとはねえ~。ん?どしたの?ムンクくん入学したてだってのに表情が暗いぞ~~~。」
「な、なんでもないよ・・・。」
ミントは僕の曖昧な返事にキョトンと首をかしげる。
偶然とは恐ろしいものだ。偶然ぶつかった女の子と偶然同じクラスとは・・・。
女神の導きだろうか・・・。
こんなこと口が裂けても言葉に出来ないが正直女神なんて信じてないけどね。
時は放課後。
あの後、自分が指定されているクラスに向かうと何かを探しているようにウロウロしているミントがいた。
無事生徒手帳を交換して終わりのつもりだったが何故かミントに捕まってしまった。
今日は入学式と自分の所属されたクラスでホームルームだけして終わりのはずだから寮に戻ってラジオでも聞こうと思ったんだけどなぁ。
「それでね~~。ねえ!聞いてる!?ムンクくん!!」
「聞いてる!聞いてるよ!もうそのマカロフって人には同情するよ・・・」
「ちっちち~~~わかってないなぁムンクくんは。むしろあたしが色々だらしないマカロフ叔父さんをフォローしてあげているの!」
何故か僕にドヤ顔を決めるミント。
どうでもいいけどくっそ腹立つよそれ。
自然とため息がでる。
「ん?どしたの?ため息なんかついて?ま、いいや。それでね~~~」
まだ話すのかと顔ゲンナリとさせるがミントはそんなことお構いなしにマシンガントークを続ける。
まだ入学初日だっていうのになぁ・・・。
なんとも言えない出だしだ。
全く想像出来ないこれから先のことを思い浮かべ僕は深いため息をつくのだった。
こんな感じでいきますこれから
ムンクの性格は自堕落って感じですね。