「おーい、辰哉〜ちょっと早菜のこと見てて〜」
「わかった〜。」
昼時、諏訪子が飯の準備をする為、俺に寝ている早菜を預けてくる。今、早織さんは年越しに向けて買い出しに行っている。そう、俺がこっちの世界に転生して2回目の新年だ。窓の外を見れば一面の銀世界が広がっていて、火を焚いていないと生きていけない程凍てついている。
この1年間俺が何をしていたかと言うと、諏訪子に頼まれて町の近くに現れた妖怪を退治したり、諏訪子と共に釣りをしてボウズで帰ったり、早菜のお世話をしてドタバタと忙しい日々を過ごしていた。」
「変なこと言ってないで、早菜の面倒頼んだよ。」
「あれ?声に出てた?」
「諏訪子に頼まれて〜の辺りからね。じゃよろしく。」
そう言って台所に立つ諏訪子。もうすぐ早織さんも帰ってくるだろうし、お湯の準備でもしておくか。早菜をかごに入れ布団をかける。そうして俺は諏訪子がいる台所に行き、朝汲んできて貯めてあった水を桶ごと持ち帰る。居間に戻って、水の泡を作り泡の温度を上げる。泡に霊力を注入することでお湯にできるのは諏訪子と2人で釣りに行った時に気付いた。その時の話は時間があったらするとして、もうそろそろ早織さんが帰ってくるだろう。台所の方からコトコト音がし始めた。俺はある程度温度が上がったお湯を桶に戻した。
「ただいまです。」
「あ、早織さん、おかえり。」
「ふふ、辰哉くん早菜はいい子にしてた?」
「ええ、すやすや寝てますよ、、ってあれ?起きてる。」
「あぅ、ばうぅ」
「あら、声で起きちゃったのね。少し待っててね今、ご飯の準備しますから。」
そう言って早菜を撫でる早織さん。手が冷たそうだ。今のうちにお湯で手をあっためて貰おう。
「あ、早織さん。お湯使ってください。」
「あら、ありがとう。申し訳ないけど、辰哉くんヤギのミルク取ってきてくれない?」
「わかりました、どこにありますかね?」
「台所の机の上に置いてあります。」
ミルクをとりに台所に向かう。
「あれ?辰哉じゃん。早織は帰ってきた?」
「あぁ、今さっきな。ミルクってどこにあるかわかるか?」
「そこに置いてあるよ。あ、ミルク渡したら戻ってきて。もうすぐご飯できるから。」
「わかった〜」
ミルクを早織さんに渡して、もう一度台所に戻る。諏訪子に三人分の味噌汁が乗ったお盆を渡され、居間に戻る。ちゃぶ台の上に味噌汁を置き、台所へ戻ると、次は米だった。居間と台所の往復を何回か繰り返してお昼を食べ始めた。
「「「いただきます。」」」
「辰哉、昼ごはんたくさん食べておきなよ。夜は年越しそばだから、あんまりお腹にたまらないでしょ。」
「俺を食いしん坊みたいに言うな。」
「ふふ、私の小魚1匹入りますか?」
「貰います。」
全く、諏訪子のせいで俺が食いしん坊みたいなイメージがついてしまうではないか。
「諏訪子米おかわり。」
「自分で継いできてよ。それぐらい。」
「わかった、」
おかしい、俺は今までこんなに食べる人間では無かった。しかしこの一年で明らかに胃が大きくなり、食べる量が格段に増えた。思えば、よく食べるようになったのは能力が使えるようになり、空を飛べるようになった頃からなのではと思う。
「「ごちそうさまでした。」」
「お粗末さま。どぉ?美味しかった?」
「あぁ、美味かった。」
「ええ、とても。」
「そっか、よかった。じゃあ私は新年を起きて過ごすために今から仮眠するよ。」
「わかった〜」
そう言って諏訪子は部屋を出て行った。その直後、早菜が大声で泣き出した。
「おぎゃぁ!おぎゃあ!おぎゃあ!」
「あらあら、どうしたの?ん?ちょっと臭いわね。」
「あー、出しちゃったんすね。」
「そう見たい。おむつってどこにあったかしら?」
「あー、それならほら、ここに」
諏訪子が戸棚からおむつを取り出す。この時代に使い捨ておむつなんてものはなく布おむつなので早菜の排泄分をみんなで分担して洗い干してまた使っている。
3人でこたつに入ってぐだぐだとしているうちに当たりの日が落ちてきて辺りが暗くなってきた。
「はぁ、今年も終わりかぁ。」
「えぇ、そうですね。年越しそば準備してきます。」
早織さんは机からスッと立ち上がり、台所へ向かって行った。
「明日の朝は初詣で人が来るから掃除しないと、辰哉〜ご飯できるまで雪かき行くよ」
「わかったよ、ちょっとあったかい格好してくるから待っててくれ。」
「私も準備するー。」
〜少年少女移動中〜
「あ〜う〜寒すぎる。」
雪は降っていない、だがしかし寒すぎる。普段着に上から2枚羽織っても寒い。しかし動かなくてはこのままずっとこのままだ。覚悟を決めよう。
「おい、諏訪子、早くやって戻るぞ、、」
「わ、わかった、、」
2人とも歯をガチガチと鳴らしながら参道の雪を払う。自分が払っている箇所は十分終わったので、諏訪子に声をかけてみる。
「お〜い、諏訪子こっちはおわっ、イッテ!」
「ふふっ、雪合戦だよ。えい!」
「やったな!おりゃ!」
後ろを振り返った瞬間諏訪子が雪玉を投げて来たので、こちらも交戦する。雪合戦だろうがやるからには負けられない。
〜少年少女合戦中〜
「おりゃ!とどめだ!」
「あっぶね!」
「イタッ!諏訪子様!辰哉くん!そこに正座!」
諏訪子が投げた雪玉がちょうど扉を開けて出てきた早織さんに当たってしまった。まずい事になった。落ち着いて周りを見渡すと雪玉の跡で掃除した場所まで汚くなってしまっている。
「ここを綺麗にするまで、出来立てのあつあつそばはお預けです。」
「まずい!辰哉早くやろう。」
「最初は諏訪子から仕掛けたんだろ!まぁ良いけど、そばが伸びる前に戻るぞ!」
「おー!」
2人で全力で掃除してなんとか1時間ほどで終わり、居間で席に着くと伸びに伸び切り冷え切った蕎麦が置いてあった。横を向くと微妙な顔をした諏訪子がいた。
「俺らのせいだ、しっかり食うぞ諏訪子。」
「う、わかったよ。」
「「いただきます。」」
「伸びてもうまいな。」
「そうだね。早織に感謝しなきゃ。」
〜少年少女食事中〜
食事を取り終わり一服中。早織さんが立ち上がり早菜を連れて部屋へ戻っていった後、諏訪子が話しかけてきた。
「ねぇ、辰哉ここにきてもう一年半になるけどやりたい事は見つかった?」
「いや、まだだなぁ。」
「そ、そっか変な事聞いちゃってごめんね。」
そのまま少し静かな時間が続く。
「もう一年も終わっちゃうね。」
「あぁ、あっという間だったな。」
「来年は何するんだろうね。」
「俺は多分去年と変わらない生活すると思うけどなぁ。」
「そうかな。知らない間に出て行ったりして。」
「まだ、どこにも行かないよ。」
まだ、きっと俺はここを旅立つ日が来るのだろう。でもその予定は今のところないし、行くつもりもない。なったって俺は不老不死だ。ゆっくり決めていけば良い。
「なぁ、諏訪子は何やりたいんだ?」
「あー、私?うーん、、」
考える諏訪子。少し経って何か閃いたらしい、顔が明るくなった。
「渡来人って言うのが今大陸から向かってきてるらしいんだけど、そこに鉄を加工する技術を持った人がいるらしい。だから自分の武器を作って貰おうかなって思ってさ。」
「渡来人?」
「そう、興味ある?」
「あぁ、」
〜少年少女雑談中〜
ふと、時計を見てみる。年を越していた。
「あけましておめでとう。諏訪子。」
「あけましておめでとう。辰哉。今年もよろしくね。」
さぁ、今年はどんな一年になるのだろうか。
更新遅くなってしまい申し訳ありません。部活で忙しく小説を書く時間があまり取れませんでした。これからこういうペースが主になると思いますが、何卒よろしくお願いします。
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