東方古今録   作:ヤス67

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前回は温泉回、今回は修行回です。


修行

えー、こちら阿武隈 辰哉、17歳。今、自分の出した泡で溺れてかけています。

 

「ぶぼぶぼ、ぶく、」

「ねぇ、ねぇ!やばいよ。溺れてるよ。」

 

何故こうなっているのかを説明します。

 

 

〜少年回想中〜

 

 

朝が来て昨日と同じく小鳥のさえずりで目覚める。昨日と違うところといったら、日差しが入って来ていない事だ。今日は曇りらしい。

夜着から出て、顔を洗うため部屋を飛び出し、裏戸から小川へと向かう。

そこにはこの神社の祭神で、ここら一帯を治める神である諏訪子が先にいた。彼女がパシャパシャと顔に水をかけているので近くに置いてあったカエル帽子の上にあった布を彼女の頭に乗せる。

 

「あーうー。今日は少し起きるのが遅いね。おはよう辰哉。」

 

と顔を拭きながら立ち上がり言う諏訪子に俺はおはようと返し、自分も顔を洗う。俺が顔を洗い終わり、振り返り立ち上がるとそこにはまだ諏訪子が立っていた。

 

「あれ?まだ戻ってなかったのか?」

「うん、辰哉に今日何するのか覚えてるか聞こうと思って。ちゃんと覚えてるよね?」

 

少しボケてみよう。

 

「何、するっけ?」

「昨日の今日で忘れるかなぁ。普通。」

「冗談、冗談。俺の能力を使えるようにするんだろ。」

 

危ない、ちょっとふざけたつもりがあり得ないほど冷たい目を向けられて興奮するところだった。

 

「覚えてるならよし。じゃあ着替えたら拝殿の前に来て。」

「はいはい」

「はい、は一回!私は先に行ってるからね。」

 

と言い、カエル帽子を被りそのまま、外へ向かったのだろう。

俺は廁に行き小さい方を出した後、部屋に戻り着替え外へ出た。

 

するとほっぺたを膨らました諏訪子が待っていた。

 

「おそーい。」

「すまん、廁に行ってたんだよ。ほら、朝だから。」

「ッ、そう言うのは言わなくていいの。///」

 

何を勘違いしたんだろうか、諏訪子の顔が赤くなる。

 

「とにかく、能力を使えるようになる特訓始めるよ。」

「はい、先生。」

「先生かぁ、ふふっ」

 

ノリで先生なんて言ってみたが結構気に入ってくれたらしい。

 

「じゃあまずは、霊力を自覚しようか。」

「先生、霊力ってなんですか?」

「能力がある人間が持っている力だよ。目を瞑って、深呼吸してご覧。体の奥に秘めた霊力を感じれるはずだよ。」

 

ちょっとよくわからないが、まぁここは素直に従っておこう。

 

「スゥー、ハー、スゥー、ハー」

「どお?感じるでしょ。」

「いや、全く。」

「ええ、うそぉ。」

 

そんなに驚かなくても。目を開けて驚いた様子の諏訪子を見ていたら如何やら何か閃いたのか手を握ってくる。

 

「多分、辰哉の体は霊力がどこにあるか、認識できていないんだね。だから私が少しだけ神力を流して意識させてあげるよ。」

「あぁ、頼む。」

 

正直何もわからないが諏訪子が手を絡めて来て少しドキドキする、なんて思っていたら、体にバチッという衝撃が走った後、胸の辺りに何かを感じた。

 

「お、辰哉も分かったみたいだね。それが人に眠る力、霊力だよ。」

「こ、これがか?」

「うん。力を使えば、霊力の弾を飛ばしたり、体を丈夫にしたりできる。あ、もちろん能力を使うこともできるはずだよ。」

「え?空飛べるの?人間が?」

「うん。でもまずは能力が先だよ。それが使いこなせるようになったら、空の飛び方も教えてあげるから。」

 

よし、早く能力の使い方を習得して空を飛ぼう。空を飛ぶなんて男にとってはロマン以外の何者でもない。

 

「いい?辰哉、能力を使いたいって最初は念じるんだよ。そしたらきっと体がこたえてくれる。まずは小さいのを作ろっか、手のひらの上に一個泡を出してみなよ。」

「わかった。」

 

手のひらに泡を出したい、泡を出したい、泡を出したい。念じていると胸の辺りから何かが右の手のひらに向かって流れていくのを感じる。そして、

 

「ポコッ」

 

その泡は俺の体から飛び出し、空を少し漂い、パチッと音を立てて消える。

 

「できたーーー!諏訪子ーー!できたよ!」

「呑み込みが早いね辰哉。じゃあ次はもう少し大きなのにチャレンジしようか。」

 

そしてその後何度か試し、ただの泡はできるようになったので、諏訪子に応用だと言われ次は水沫を試す。そしてまた念じる。手のひらに水沫を出す。水沫を出す。出す。

 

「ポコッ」

「また成功だ!」

「本当に呑み込みが早いねぇ、多分、そろそろ霊力の限界が来ると思うから今日は次私が出す課題が最後ね。」

「あぁ、わかった。」

 

確かにハイになっていてあまり気付かなかったが、確かに体に謎の疲労感はある。諏訪子は目を瞑って課題を考えていたが、目を見開き言う。

 

「体を覆えるほどの大きな水沫を出してよ。」

「わかった。」

 

二つ返事で了承し、すぐに体に力を入れる。体を覆えるほどの水沫、体を覆えるほどの水沫、体を覆えるほどの水沫。体から霊力が出たのを感じ目を開ける。そこには大量の水が俺を囲むように円形で展開されていた。

 

 

そして冒頭に繋がるのである。

 

 

「ぶぼっ、ぶほっ」

 

流石に息が苦しくなってくる。何か諏訪子が叫んでいるな。

 

「辰哉!霊力を出すのをやめて!そのままこっちに歩いて来て!」

「ばびっ、」

 

これで伝わっただろうか、口の中に水が入り、うまく話せない。が聞こえた通りにやってみる。霊力の放出を止めると、水沫は俺を囲み続けるのはやめ、その場にとどまる。そしてそのまま脱出。

 

「よかったぁ。あのまま辰哉が溺れちゃうのかと思ったぁ。」

 

と言いその場にへたり込む諏訪子に俺は言う。

 

「何はともあれ、課題は成功だろ?」

 

と言いながら手を差し出す。それを諏訪子が掴み、起き上がりながらこう答える。

 

「うん、そうだね。」

「グゥ〜」

 

おい、俺の腹雰囲気を考えろ。ほら、諏訪子が笑い出した。

 

「ふふっ、確かに、お腹すいたね。昼ごはんにしようか。」

「あぁ、そうしよう。」

 

こうして、俺は能力『泡を操る程度の能力』を使えるようになった。

昼飯を食ったら何をしようか、諏訪子と夜飯の魚でも釣りに行こうかなど考えながら2人で歩く。




いやぁ主人公君、なんとかなりましたね。

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