Übel or Justiz Online ~悪役少女の破滅の道~   作:蓋然性生存戦略

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コスモス「ねんがんの じゆうを てにいれた」
レオナ「この幼女自分を安売りして来るんですけど」
???「コスモスちゃんがNTRされたぁあああああ!!」
???「寝てから言え」


契約・後編

コスモスさんと契約を結ぶにあたり、色々と分かったことがあります。

と言っても世界の背景だとか、そんなものですが。

割とどうでもいい情報も多かったですが、トータルで見れば実入りの大きいものが多かったかと。

 

星の賢者が合計九人いるだとか、遠い遠い東の方に魔族の国があるだとか、今いる土地を治めている国が周辺で一番大きな国だとか、タンナをさらに南に突き抜ければ未開の土地が広がっているだとか。

 

やりたいことが積み重なっていきますね……。

やりたいことはあればあるだけいいのですけれどもね。

 

まあ、まずは契約を結ぶにあたって、自分たちに課した制約を果たさなければいけませんが。

 

というのもですね、正直言うと、現状私がまだまだ弱くて、コスモスさんを受け切るには器が小さかったようでして。

半ば予想はしていましたが、それでも協議の途中で頭が痛くなりましたね。

浮かび上がってくる、コスモスさんが肩代わりするつもりであった代償、代償、代償。

私が強くなれば次第に解消するものではあったらしいですが……私に提供するメリット以外のほぼすべての能力を封じる勢いでしたよ。

ただの幼女になるつもりだったのでしょうか……。

 

「……レオナ、苦しくない?」

 

契約を結び、体の調子を確認していると、恐る恐るといった様子でコスモスさんが聞いてきました。

十分に議論したというのに、不安になっている様子が可愛いですね。

ちょうど撫でやすい位置に頭があるのもあって、ついつい頭を撫でたくなる可愛さです。

それはそれとして……。

 

「確かに、随分と窮屈な体になってしまいましたが……まあちょうど良かったと言えばちょうど良かったのですよ」

「……なんで?」

「力押しが過ぎましたので。アレはアレで爽快感がありましたが、ワンパターンでは面白くないですからね」

 

案外、調子は悪くはありません。

全ステータス五割減、あらゆる攻撃の最終倍率三割減、HP及びMPの自然回復倍率減少、被ダメージ三割増。

字面だけ見ればかなり手痛いデメリットですが、正直私のステータスが強過ぎてそこまで気になりませんね。

精々無双が出来なくなる程度の事です。

ちゃんと考えて戦えば、プレイヤー相手ならば勝てます。

あ、いえ、ミカさんはちょっと苦しいですね……。

最悪、当たらなければどうということはないのです。

それに、このデメリットを許容して尚有り余る利益があるのですから、騒ぐことではありませんね。

 

「コスモスさんこそ、調子はいかがですか?」

「……ん、当初想定していたより、ずっと良い。でも、レオナが……作ってからでも良かったんじゃ……」

「私が目先の利益に飛びついただけの話ですから、気にしなくて良いのですよ」

 

私が請け負うデメリットの比重を大きくしたことで、コスモスさんの自由度が格段に上がりました。

これはコスモスさんだけに恩恵があるわけではありません。

特に拠点回りの強化が飛躍的に進みました。

……なんだか私がタンナを壊滅させる前よりも発展している気がしますね。

コスモスさんが街の発展に積極的に介入していたら、私は恐らく勝てませんでしたね。

 

何はともあれ、私の勢力の底上げが為されました。

拠点と戦力の拡充は急務でしたからね、助かりました。

生産施設なども一通り手が加わっているのは大きなポイントですね。

コスモスさん一人で仕事し過ぎでは?

というより、力仕事以外何でもできますね、この人。

本職には敵わないとは言っていますが、では一体本職は何ができるのですか。

気になりますね。

 

「……ここまでやれば、第一席か第二席が来ない限りは大丈夫」

「ちなみに聞きますがその二人が来たらどうなりますか?」

「……遠い遠い誰もいない場所まで逃げることになる」

「……一応聞きますが、コスモスさんは第何席ですか?」

「……第三席」

「上二人、おかしくないですか?コスモスさんが尻尾巻いて逃げるレベルなのですか?」

「……私は器用貧乏。あの二人は戦闘技能に全部才能を振り切ってる。つまりそういうこと」

「強引な突破が可能、と。厄介ですね」

 

気にはなりましたが、聞きたくない情報でもありましたね。

そんな脳筋がトップツーとは……。

 

「……まあでも、あの二人はよほどのことが無いと動かないハズ。タンナとの契約は偽装してあるし、次の定例会議を無視するまでは余裕があると思う」

「万が一がありますし、警戒はしておきましょう。ただでさえ、私達は弱体化していますしね」

「……うん」

 

さて、話は戻しますが、契約を交わすにあたり、私達は制約を課しました。

無論、それはデメリットとして今現在進行形で受けていますが、緩和する術が無いわけでもありませんでした。

それらはいくつか存在しますが、そのうち比較的容易で効果が見込めるものがあり、私達はそれの作成を急務としています。

端的に言えば祭壇ですね。

本来、大規模な魔法行使などの補助に使うらしいのですが、契約にも応用できないことはないとのことで、では作ってしまうのが良いだろう、と結論を出しました。

勿論、雑な祭壇を作れば逆効果なので、追々詰めていく予定です。

 

尤も、だいぶ急ぎでもあります。

先程の会話の通り、私たちには時間的な余裕はあまり存在しません。

コスモスさんの裏切りが発覚するまでに、最悪の状況に陥っても対処できるようにしなければなりません。

なので急ぎとは言え、最低限以上のものが求められるという状況でもあり、コスモスさんは難しい顔をしています。

 

「都合は付きそうですか?」

「……不可能ではないと思う。難しいとも思うけど」

「それだけでも十分ですよ」

「残念、時間切れでした~~」

 

ふと、響く見知らぬ声。

驚愕をよそに、私の身体は本能的に対応しようとして……

 

「!?」

 

いつの間にか、レイピアを抜こうとした腕を抑えられていました。

 

「……シエル」

「やっほ、コスモスちゃん、久しぶり。この子がキミの希望?もう契約も済ませてるみたいだね?」

 

ステータスが半減しているとはいえ、一切身動きが取れません。

筋力値に差がありすぎます。

魔法はこの至近距離で撃てば、私もコスモスさんも無事ではすみません。

そもそも、この至近距離まで気付かれず接近された時点で敗北と言えましょう。

 

「……なんで、ここに」

「んー、何となく?タンナが滅んだって言うからさ、もしかしたら、コスモスちゃんが絆されてるかもしれないかなーって」

「……どうやって警戒網を……」

「最近、存在を極限まで薄める奥義に目覚めたんだよ。コスモスちゃんの警戒網も通過できるなら完璧だね~」

 

肩まである色褪せた桃色の頭髪に、暗い黄土色の瞳。

身長170㎝程度の女性が、コスモスさんを見下ろしています。

恐らく、この方が第一席、もしくは第二席。

最悪です。

想定を超えた最悪の事態です。

どんな乱数を引き当てたのでしょうか。

 

「で、コスモスちゃん。今ならまだ間に合うよ」

「……手遅れだよ、何もかも。五千年前のあの日から、私はあなた達を仲間と思ったことはない」

「そっか。そ、っか……(グス」

 

などと焦っていたのですが。

様子がおかしいです。

なんだか勝手に大ダメージを受けてますね。

いえ、HP的にというわけではなく、メンタル的に。

なんというか、その。

えっと。

 

「あの、差し出がましいようですが、ハンカチをどうぞ」

「ありがと……グス」

 

なんだか見ていられないほどダメージを受けているようなので、ハンカチを差し出してしまいました。

私を抑えていた腕の力も弱まっているのですが。

状況説明を求めるためにコスモスさんを見ますが、彼女も困惑しています。

思ってたのとだいぶ違いますね。

なんですか、これ?

 

「(グスッ、グスッ)」

「(オロオロ)」

 

力無くさめざめと泣くシエルさん、何が何だかわからず困惑しているコスモスさん。

なんですかこの人たち。

星の賢者、おもしろ集団の可能性がでてきましたね。

 

 

 

 

……嘘でしょう?




・シエル=ヴァニタートゥム
星の賢者第二席、《星砕》。
星の賢者の特攻隊長、全てを筋肉で解決するパワーオブパワー。
ただし身内に対してメンタルクソ雑魚ナメクジのよわよわお姉さん。
フラグを立ててから同話内に登場するほどの超直感でコスモスを連れ戻しに来たが、コスモスの「仲間と思ったことはない」という発言で「じゃあ、五千年間、お友達だと思ってたの、わたしだけ……?」とメンタルブレイクした。
メンタルとフィジカルが直結しているのでメンタルブレイクすると急激に弱体化するという弱点を持つ。
出オチしやがったコイツ!!

・コスモス=クロノスティング=ブルームブルー
星の賢者第三席、《星詠》。
星の賢者の怠惰担当。
だいたいなんでもできるが、だいたい何もしない。
そもそも今の世界に対して何かしてやる気がないので見守る以上の事をしていない。
定例会議も出席はするけど基本全部聞き流している。
自分の経歴が経歴なので、まさかシエルが自分に仲間意識を持っているとは思っておらず、まさかの精神攻撃で撃退してしまったことに困惑している。
演技でしょ?演技じゃない?え、本気?えぇ……?(困惑)
それはそれとして、シエル一旦帰しておかないと緊急事態と判断して第一席来ちゃうのでは?
コスモスは焦った。

・第一席
星の賢者第一席、《星呑》。
星の賢者のリーダー、主な仕事は書類仕事と後始末。
暴力装置という意味では第二席に一歩及ばないが、逆に言えばあと一歩のところまで詰めている。
弱点らしい弱点が「素直に優秀過ぎて他の賢者の尻拭いに奔走しているから多忙」くらいしかなく、今日も今日とて酷使されている。
「アァ!?第二席が帰ってこない?!いつもの事だ、ンなことで連絡すんなボケが!!」
まさか割と頻繁にメンブレして帰ってこなくなることがあるなんて、コスモスは知らなかった。
コスモスの焦燥は杞憂に終わった。
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