Übel or Justiz Online ~悪役少女の破滅の道~   作:蓋然性生存戦略

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ようやくスタメン予定を揃えられました(追記


対策と来客

「というわけなのですが」

「……ふぅん。シオンにシヅリ、ラーナーが来るんだ」

「恐らくは」

 

掲示板から回収した情報をコスモスさんに伝えると、コスモスさんは少し苦い顔をしました。

どうにも面倒な相手がいるようで。

 

「……シオン対策は真っ先にしてるけど、その二人は、ううん……」

「どういった方なのですか?」

「……どっちも、大規模集団戦の後半になるほど、厄介になる特性を持ってる。シヅリは戦場に蓄積される呪詛を集めて武器にするし、ラーナーは……戦場が激化すればするほど強化される。シヅリはともかく、ラーナーは対策がない」

 

ふむ?

コスモスさんを以てして対策が無いとは一体……?

 

「早期撃破ではだめなのですか?」

「……彼女は戦場を一つの儀式魔術として成立させる。私でも真似できない意味の分からない術式だけど、効果は絶大。戦場が終わらない限り、彼女が死ぬことはない」

「はい?」

「……戦場では決して死なないの、ラーナーは。だから戦争の化身と呼ばれる。しかも段々、受けた攻撃に対して、その戦場に限り耐性を得る」

 

戦場では絶対に死なないユニット?

しかも耐性学習持ち?

なんですかそれは。

出禁レベルの存在では?

まあ逆に言えば、どれほど盛大に痛めつけても、絶対に死なないということでもありますが。

安心して殴れます。

 

「なぜそれほどの方が第九席なのです?」

「……戦場以外では普通の人間なのと、素行に問題があって……」

「問題児という奴ですか」

 

とはいえ、頭を悩ませる存在ですが……。

それはそれとして、残る二名はどうなのでしょう。

 

「……シオンは超長距離精密砲撃を得意とする賢者。まず戦場で相対することはできないから、一方的に防御に回ることになる」

「最大射程はいかほどでしょう」

「……ベトミナからここまでは確実に届く」

「確かタンナと中央都の間にある町でしたね。あそこから届くのですか……距離にして数十㎞はあったと記憶していますが」

「……大昔に訪れた異邦人(プレイヤー)から、着想を得たらしいよ。まあ、対策はしてあるから大丈夫。シオンの魔力は私よりも少ないし」

 

余計な着想を残したテスターがいたようですね。

個人で運用できる大陸間弾道ミサイルみたいなものじゃないですか。

とはいえ、こちらの対策はばっちりのようですね。

 

「……シヅリは……まあ対策できない事もない」

「というと?」

「……要するに、シヅリに呪詛を集めさせなければいい。対策のための装備は間に合わせでも作るから、レオナに頑張って欲しい」

「いいでしょう、任せてください。ちなみにうまくいかなかった場合どうなりますか?」

「……この街を軽く覆うくらい範囲で、毒、疫病、炎症、倦怠感、その他諸々の状態異常を受けることになる」

「絶対にうまくやります、任せてください」

 

なんというデバフ特化。

恐ろしいにもほどがありますね。

なんとしても私が頑張らないといけなくなりました。

とはいえ、困りましたね。

ミカさんが確定、ラーナーさんの足止めもしなければならず、他の勇者の存在も考えると、中々なハードワークです。

アインも含めて、もう一手誰か欲しい所ですが。

 

「……レオナ、考え込んでいるところ悪いけど、来客」

「今、ですか?まあ良いでしょう、丁重にお出迎えしてきます」

「……多分、レオナと同じ、邪悪の樹に連なる出自の存在。敵意はないみたいだけど」

「……慎重にお出迎えする必要がありそうですね」

 

もしかすると、戦力が転がり込んできたかもしれませんね?

 

 

 


 

 

 

「モグモグモグモグ」

 

というわけで出迎えたのですが。

行ってみたら倒れてたので、何となく理由を察して食事を提供しました。

掲示板で見た情報から察するに、ベルゼバブのエーイーリーがモチーフの出自を持つプレイヤーなのでしょう。

小柄な体躯のどこに、それほど入るのかという量の食事を平らげ続けています。

恐らく出自のデメリットに、大食いだとか飢餓になりやすいだとか、あるのでしょうね。

 

「ぷはぁ!!生き返ったっす!!お腹いっぱい食べれるって良いっすね!!」

 

それからたっぷり30分。

食事を平らげ続け、やっと言葉を発しました。

料理を作り続けた買いがあります。

とはいえ、倉庫の食糧がかなり持っていかれましたね。

まだまだ十分な量がありますが。

 

「料理はいかがだったでしょうか。すぐに作れるような、手慰みのものではありましたが」

「最高っした!感無量っす!!こんなおいしい物食べたの、人生で初めてっすよ!!」

 

おや?

そこまで評価していただけるとは、作り手冥利に尽きますね。

 

「デザートもどうぞ」

「わぁ、良いんすか!?いただきます!!」

 

違いますからね。

褒められたからとかではありませんからね。

念のため。

ちなみにデザートはプリンです。

カラメル付きです

 

「それを食べ終わってからでよいのですが、名前を伺ってもよろしいですか?」

「んぐっ!?そうだったっす!!ウチ、イーティって言います!!」

「イーティさんですね。ご存じかもしれませんが、私はレオナ=ユベリアと申します」

「あ、なんか自然に料理してたんで人違いかと思ったんすけど、本人だったんすね」

「趣味程度には料理もできるので」

「アレが趣味のレベルなんすか……?」

 

特に力を入れているわけではないので趣味ですね。

凝り性であることは否めませんが。

 

「それで、なぜ私の街の前で行倒れていたのです?」

「食料が足りなかっただけっす!この身体、やたらとお腹がすく上に街にもマトモに入れないっすから、食べるものに困ってたんすよね」

「……なるほど?」

「で、レオナさんとこならお腹いっぱいとは言わずとも餓死することはないかなーって思って来たっす!!」

「確かに、兵站は十二分以上に用意してはありますが」

 

もしかして、この方出自選択の時に全く説明を読んでいませんね?

クリフォト関係で街に入れると思っていた方がおかしいのでは?

いえ、まあ、その理由でここまで単身やって来たという行動力は認めますが。

もしかしなくてもアホの子ですね?

 

「というわけで……ウチ、それなりに強いし、頑張るんでご飯ください!!正直もうモンスターの肉を焼いただけの食事は嫌っす!!」

「まあ、良いでしょう。私としても、戦力は欲しいと思っていました。近々、大規模な戦闘が発生する見込みがありますので、そこで頑張ってもらいましょうか」

「奪還戦イベントっすね。頑張るっすよ!!」

「その前に研修に行ってもらいますが」

「へ?」

 

能力を把握しないまま戦場に投入なんて、危なくてできませんからね。

とりあえずは、あの100階層越えダンジョンに放り込みましょう。

消耗した食料も補充出来ますし、一石二鳥という奴です。

連絡もしておきましょうか。

 

「というわけでコスモスさん、少し留守にします。アイン、供をしなさい」

「……分かった。気を付けてね」

「御意」

 

イーティさんを引きずり、アインを連れてダンジョンへ突入。

正式名称は『夢幻廻廊』というらしいですね。

一層から飛ばして、以前踏み抜いた罠をあえて踏み、階層をスキップ。

 

「うわ、なんすかこの数のモンスター!?」

「モンスターハウスへの直通転移罠ですね。程よく弱いのでよく踏み抜いています」

「えっ」

「危ない時は援護するので、とりあえず頑張ってみてください」

「えっえっ」

「私は最近一人で踏破できるようになったので、私やアインの事は考えなくて良いですよ。さぁ、心置きなく」

「ひぇ……」

 

そして約1時間後。

 

「もう、食べれないっす……」

 

文字通りモンスターをすべて”平らげた”イーティさんは、床に突っ伏していました。

なるほどなるほど。

随分と厄介な能力でした。

とはいえ、もし敵対してもやりようはありますね。

ドロップ品も大量、持ち帰るのも一苦労ですね。

 

「ええ、合格です。期待していますよ、イーティさん」

「はいっす!!」

 

にしても、元気ですね。

新しい属性なので悪くありませんね。




・イーティ
《出自:邪悪の樹・愚鈍》に選ばれたアホの子。
説明をろくすっぽ読まず「え!?美味しいものがいっぱい食べられるんすか!?」と即決した。
実際には町に入れないのでちゃんとした飯を食えないという事実に打ちひしがれ、ならばと悪の組織でもいいので美味しいご飯を求めてレオナの元へと合流した。
美味しいご飯が食べられれば、あとは割とどうでもいいので世界が滅ぼうがご飯が食べられればそれでいい。

地味に小柄緑髪ポニテ悪魔系活発美少女という属性山盛りプレイヤーなのだが、彼女らは自らの整った容姿を自覚しているものの、他人に対してそう言う感想を抱くことはあっても頭の片隅程度なので特に触れられることはない。

余談だが、コスモス曰く「……レオナはまだわかる。でもこの子は邪悪の樹に選ばれるような子じゃないと思うのだけど……」
プレイヤーだからね、仕方ないね。
ガワと中身が相性ピッタリなレオナとミシェルが例外なのだ!!
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