Übel or Justiz Online ~悪役少女の破滅の道~   作:蓋然性生存戦略

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なんかゆったりFGOのストーリー消化してたらいきなり水着式実装とか言われて椅子からひっくり返った作者です、こんにちは
人生の最推しがまさかの水着解禁で生きててよかったと心から噛み締めているところです
というわけで更新します
しばらく脳を震わせているのでまた更新遅れます


イベント:タンナ奪還戦2

「お互い、先制攻撃は失敗といったところでしょうか」

 

上空にあがった花火を見送りながら、私は眼下に見える人影を見つめました。

特徴的な桃色の髪、勇気と共に背負う大剣。

ミカさんです。

考えることは同じ、というわけですか。

私は高度を落とし、ミカさんの前に降り立ちます。

 

「お久しぶりですね、ミカさん」

「久しぶり。さっそく君に会えるなんてね、今日はツイてるかも」

「さぁ、それはどうでしょう。以前の私とは違いますからね」

「それはこっちの台詞じゃんね。少なくとも、簡単に負けるつもりはないかな」

「そうですか。それは楽しみです」

 

——ガキィィィン!!

 

始まりの合図は不要。

お互い、示し合わせたように得物を引き抜き、打ち付けます。

 

そして分かったことは。

 

「分かってはいましたが……やはり膂力では分が悪いですね」

「余程自信があったのかな?私の前に立ってくれるなんてさ」

「まあ、そうですね。私は強いので、検証するにも一苦労するのですよ」

「あはは、ちょっと分かるかな!!」

 

鍔迫り合いで負けるという事実。

まあ、こうなるだろうとは思っていました。

未だ私のステータスは万全とは言えず、最終的な威力係数も落ちています。

スキルだけは無事ですが、まあ、ハイ。

素のステータスに対しての乗算の関係上、効果も相対的に落ちてしまっているのですよね。

有象無象が相手ならば不足はありませんが、ミカさんのような勇士が相手では、些かばかり不足というものです。

 

「悔しいですが、事実として受け止めなければなりませんね」

「何を、かな!!あっ!」

 

敢えて足から力を抜き、ミカさんの力を利用する形で距離を取ります。

翼をも利用し、対峙するにあたり、攻撃を書き込める余白を確保。

 

「手番は渡しませんよ。《クレド》」

「上等ッ!《炎剣》!!」

 

なんだかんだと未だに普段使いしている魔法、《クレド》を牽制として叩き込み、次の魔法を吟味しながら様子を見ます。

以前ならば回避かスキルを切るところでしたが、今回はいかがでしょう?

 

「ぜぇぇりゃぁぁああ!!」

 

驚きましたね。

魔法とは斬れるものなのですか。

ミカさんは炎を纏った剣で《クレド》を両断し、そのまま距離を詰めてきます。

今後の参考にさせてもらうとして、更に後退。

設置系の魔法をいくつか使用して足止め、迂回ルートを計算したうえで……

 

「《トニトルス・マグナ》」

 

魔法を撃ちました。

剣先から放たれた紫電が、真直ぐにミカさんへと突撃していきます。

並の人間ならば対応は難しいですが、はたしてどうでしょうかね?

 

「あぶないなぁ!!」

 

——斬!!

 

凄まじい反応速度ですね。

弾速と副次効果を重視して、雷属性の《トニトルス》系列を使用したというのに、斬り払われました。

とはいえ、若干体勢は崩れました。

本命はこれからです。

 

「《グレイシャル・グレイブ》」

「えっ!?」

 

どうにも掲示板を見る限り、私のスキル成長は早いようで、未だに初期スキルカンストすら多くはないようです。

多くのスキルを私はカンストさせているのですがそれは。

まあ、可能な限りダメージコントロールなども行って効率的に育ててはいますが。

それはともかく。

いつぞやダンジョンで使用した大氷塊が、ミカさんに襲い掛かります。

炎と氷、相性は悪いですが、ここまでの大質量になってしまえば関係ありません。

溶かされる前に、斬られる前にぶつけることができます。

 

「くっ、飛ぶのは慣れてないんだけどなあ!!」

「分かりますよ。《ブルート・ライトニング》」

「ふぎゃ!?」

 

そして、持ち前の翼で飛行して逃げようとするのも織り込み済み。

以前使わなかったことから、また今回も移動に用いていない事から、飛行に慣れていないことも予測済み。

飛行はMPを消費しますが、実のところ自然回復スキルが育っていれば大した消費ではないのです。

だというのに使っていなかったということは、苦手なのでしょう。

攻撃発生が対象の頭上から行われる魔法で叩き落とします。

《グレイシャルグレイブ》に叩きつけられたミカさんは、ギャグマンガのようにベトミナの方面へと吹き飛んでいきました。

頑丈ですね、あれで死んでません。

 

「ふむ……こちらの土俵に持ち込んでしまうと、些か呆気ないですね」

 

ただ、一抹の感情が過りましたが。

もう終わりなのか、と。

少し冷めた心を落ち着けながら、私は再び歩みを進めようとして……

 

——ヒュッ

 

「!?」

 

あり得るはずのない風切り音に振り返りました。

視界に映るのは、首めがけて横薙ぎに振るわれている大剣。

この刃が私の首筋に届くまでに、コンマ3秒。

そこまで認識した時、私の身体は動いていました。

 

「わぁお……今の避けられちゃうんだ……わたし、ショックかも」

「けほっ、けほっ……ええ、驚きました。まさかギャグマンガのように飛んで行った人が、そんなすぐ戻って来るとは思いませんし」

「あはは、ちょっとしたトリックだよ」

 

結果として、私が死ぬことはありませんでした。

やったことは単純です。

左腕の手甲に覆われた部分で大剣を受けつつ、全力で逆方向に体を投げただけです。

咄嗟の事で、それしか出来ませんでしたが……

 

「やってくれますね。しばらく左腕が使えないじゃないですか」

「でも君、腕の一本くらい使えなくても、あんま関係ないでしょ?」

「関係あります。これでは料理が出来ません。祝勝の馳走を作るという約束があるというのに、困ります」

「へぇ、勝ったつもりなんだ?」

「何をいまさら。私はこの世界を手にするのですから」

 

もう油断はありません。

先程のような不測の事態を考慮に入れた上で、私が導き出した答えは……

 

「勝利以外、あり得ません」

 

 

 

 


 

 

 

 

「勝利以外、あり得ません」

 

仕留め損なった。

しかも、考えうる限り最悪のケースだ。

会話を挟みながら、即座に司令部掲示板に伝令。

左腕をしばらく使い物にならなくしたけれど、それ以上にレオナのやる気が漲っている。

 

「やらかしたかな、これは」

 

私の、率直な感想だった。




・Tips
レオナとミシェルのログイン時間はほぼ同等
だというのに、レオナが弱体化して尚ミシェルについていけているのは、初日の勝敗と眷属の数が響いてます。
ミシェルがほぼソロで活動しているのに対し、レオナは眷属総動員でタンナ地域のダンジョンで荒稼ぎしているので、経験値効率がまず違います。
また、タンナに侵入する勇気あるプレイヤーは率先して狩り潰しているので、独占状態を維持しています。
なので経験値に差が出るのは当然の帰結ではあります。
どっかでテコ入れはしますが。
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