Übel or Justiz Online ~悪役少女の破滅の道~ 作:蓋然性生存戦略
私がこの夏の勝者だ……
見なよ、うちの120Lv式さんズを……
「ふふ、あははは、アハハハハハハハハ!!」
どこからともなく湧き上がってくる高揚感。
油断なく詰め立てるこの戦いに、私は愉悦を得ています。
今までの人生で、得ることのなかった悦楽を。
「ああもう、やっぱり確定じゃんね!!レオナ、君無詠唱じゃん!?」
「ええ、私は必ずしも起句を必要としません。遅かれ早かれ露呈しますし、気分も良いので教えて差し上げます」
膨大なMPを湯水のように使い、飛行しながら魔法を行使します。
弱体化したとはいえ、私の魔法参照ステータスは全プレイヤー中最強と言っても過言ではなありません。
なので、やってみたかったことをやります。
AUOスタイルを。
「視界で照準を捉えた対象へと魔法を行使することのできる魔眼です。無論、遮蔽に隠れられてしまえば直接狙うことはできませんし、行使するにもそれなりの代償はありますが……飛行戦が苦手なミカさん相手では関係が無いでしょう?」
「制空権握って範囲攻撃連打とかただのズルじゃんね……!」
「空の覇権を握ったものが世界を制するのですよ」
空から撃ち落とす魔法の雨。
敵を見下ろしながら一方的に攻撃するのは楽しいですね。
「こ、のぉ!!」
とはいえ、このまま終わってしまうとは思っていません。
ミカさんは強いですから、逆境の中、少しでも活路を見出して反撃してきます。
例えばそう、何もない空中を踏みしめて……!?
「なるほど……!!」
「すぐに理解しないで欲しいなあ!!」
翼による飛行と、防御系魔法を足場として利用することによる疑似的な空中機動……!
確かに、それならば多少は斬り結べましょうが、しかし。
「ですが、私もそれをすれば如何でしょう?」
「くっ!」
ミカさんのやっていることは単純です。
空中に物理的な実体を伴う防御系魔法を展開し、それを足場として空中を駆けあがるという手法。
翼を補助として扱うことで、万が一の落下のリスクも抑えています。
見事、見事です。
しかし、それは私からすれば、理解さえ伴えば真似は容易いというもの。
初速に長けるその手法は、私も用いれば条件はイーブン。
翼の制御に手間取っている分、ミカさんの方が不利ですね。
「猛れ焔剣!薙ぎッ、払えェ!!」
まあ、それで諦めるような人なら、私は期待をしません。
ミカさんの大剣から膨大な熱量を確認。
刀身を軽々と包み込んで燃え盛る炎が、一気に膨らんでいます。
大技が来ます。
「覇を唱え、ただ誇示せよッ!!」
ならば私はそれに応えるまで。
王として生まれたのであれば、王として振舞うまでの事。
「《
「《
ことここに至るまでの準備の間、生えていたスキルに存在する技をぶつけます。
《
《細剣》スキルがカンストしたあたりで《細剣》が消費されて出現したスキルです。
細剣カテゴリの武器で魔法関係ステータス依存の技を放つ系統のスキル。
出自の固定職業魔王辺りが関係してそうですね。
恐らくは、ですが。
ミカさんのフラムエッジなる技もそうでしょう。
多分ですが、共通項としては『魔法参照をするが魔法ではない扱いの攻撃』と言ったところでしょうか。
事実として、余波で受けるダメージがやや大きいように感じられます。
これが魔法扱いであれば、もう少しダメージも少ないと思うのですが……要検証ですね。
「お互い、隠し玉はあるよね」
「そうでしょうとも。そして」
「今私に覆せるだけの材料はない。認めるよ。あの時ほどの拮抗はできない」
「しかし、それで諦める貴女ではないでしょう?」
「そうだね。ここまで暴れれば、十分だしね。そろそろ来るよ、頼りになる助っ人がさ」
「奇遇ですね、こちらもです」
戦いは長引かせるだけ無駄ですからね、できることならば、早期に削った方が良いのです。
無駄な犠牲が出る前に。
——ズドォォォォォォン!!
盛大な土煙を上げて、双方の側に参戦者が現れます。
「星呪、現着」
「星昏現着ってなァ!うぉ、綺麗な嬢ちゃんじゃねーか!なんで言ってくれなかったんだシオンの奴」
「急いでプレイヤー部隊も来たよー!!」
相手方の賢者。
星呪シヅリ=アレインと、星昏ラーナー=ネレイア。
そしていつか見たことのある顔ぶれのプレイヤーたち。
「センパーイ!!加勢しに来たっす~~!!」
「陛下、その腕は!」
「そのうち治ります、気にしないように」
こちら側は、イーティさんとアイン、そして初期から従っている歴戦のハウンド部隊。
数では負けていませんね。
さて、どこまで勝負になるでしょうか。
「あの魔王はアタシがやる。シヅリ、テメーは雑魚相手してろ」
「否定。二人がかりで相手すべしとシオン殿より承っています」
「ハァ!?マジカヨ」
「指揮は僕が執るよー。あのハウンドと騎士、あと未知数のクリフォトエネミーの相手だ、気張って行こう!!」
私は賢者の相手をしなくてはならないようですが。
こちらにはイーティさんがいるので、まずは一人隔離しましょう。
「イーティさん、準備は問題ありませんか?」
「ばっちりっす!」
「では始めてください」
「蟲たちよ、食らい尽くすっす」
イーティさんの影から無数の蟲が出現し、星昏の方へと殺到します。
「うわ、ちょ、何すんだテメエ!!」
「あなたは面倒くさいので、そこで大人しくしていてください」
「アッ!?なんでアタシの魔法を知って……コスモスの奴か!!クソが!!」
「状況確認。劣勢……」
「もう少し確認した方が良いですよ?例えば、あなた達の後方からやってきている本隊とかを」
「っ!?司令部、状況を!!」
ちなみにですが、この蟲を生み出す能力は無限ではありません。
有限のリソースを消費して産み出されています。
そして、そのリソースをどこから確保しているかと言えば……ちょうどいるじゃないですか。
彼女たちの後ろに。
『現在、本隊は正体不明の昆虫型魔獣に襲撃を受けている!被害は不明、拡大しているものと思われる!!』
イーティさんの能力は『食べて、消化して、生み出す』こと。
満たされぬ食欲で全てを貪りつくし、それを糧として万軍を生み出す能力。
イーティさんが能力で産み出した眷属はやがて力尽きて消えますが、この眷属が食らったものはそのままイーティさんのリソースになります。
つまり、です。
「敵がいればいるほど暴威を振るう。そんな能力の持ち主が、イーティさんです。ご理解いただけましたか?」
「レオナさぁ……数の差までひっくり返すのどうかと思う」
「文句はイーティさんに言ってください。私は上質な衣食住を提供する代わりに働いてもらっているだけです」
「イーティちゃんだっけ!!おいしいご飯あるからこっちにつかなーい!?」
「一宿一飯の恩義が現在進行形で継続中なんでダメっす!あとレオナ先輩のご飯めっちゃうまいっす!!」
「え、レオナご飯作れるの!?」
「作れますが」
「今度私にもちょうだい」
「機会があれば腕を揮うこともやぶさかではありませんが、今はそれどころではないのでは?」
「おっとそうだった」
第二ラウンド前の雑談もそこそこに。
星昏は隔離。
であれば、私が対面すべきはミカさんと星呪の賢者。
天秤がどこまで傾くか、見ものですね。
・イーティ
だいたいスウ〇ームの群れ、焦土作戦を実行される側。
タンナを単独で落とせる出自筆頭の女。
とりあえずやってくる本隊を餌にしてクソ面倒くさい星昏を隔離した。
多分こいつ一人で戦況をひっくり返せるが、一人だけ天敵がいるので絶妙にひっくり返し切れない。
というわけで隔離に徹している。
余談だがスキャ〇カバズみたいなのも召喚できる。
「多分シヅリだけはイーティじゃ対処できない。あの子はイーティに対して天敵だから」
・プラウドアーツとかフラムエッジ
出自+極めた武器スキルで獲得可能なスキル。
運営は『極技スキル』と呼ばれている。
『極技スキル』自体は誰でも到達できるが、系統は出自に寄る。
あの二人の到達が速過ぎるだけ。
あとこれとは直接関係ないがスキルは整理した方が良い。