Übel or Justiz Online ~悪役少女の破滅の道~ 作:蓋然性生存戦略
それはそれとして玉兎さん絆10になりました
戴冠戦が待ち遠しいですね……(絆15への準備)
フレンドが宝具マW絆アップ礼装120アルクを出してくれるのでゴリゴリ上がりますよ……
グランマリーなんてイチコロです
「さーてと、やれることをしっかりやるっすよ」
レオナが星呪とミシェルを相手に戦闘を開始した矢先。
今現在、進行形で戦場を混沌に陥れている少女は、ただ任された仕事をやり遂げるという意思しか持ち合わせていなかった。
つまるところ、本来あって欲しい、付け入る隙が無いということを示しており、奪還側のプレイヤーにとっては頭痛の種だっただろう。
凡俗、凡庸。
されどそれは逆に言ってしまえば堅実で、決して無理をしない、遊びの少ない戦運びを実現していた。
優勢であるのならば、少しは遊びを入れようというものであろうに。
「ウチはそこまで頭良くないっすからね、華のあるデッカイ山場は任せるっすよ」
事実として、イーティという
技量に優れるわけではなく、驚異的な感覚があるわけでもなく、場をひっくり返すような叡智があるわけでもなく、運命を変えるような意志力があるわけでもない。
正に凡人。
だが、凡人故に、凡人であることを自覚しているがために、彼女は己の分を弁えている。
「盟友殿。後方に下がっても眷属の指揮は可能か?」
「できるっすよ。下がったほうがいいっすか?」
「頼む。敵は精鋭集団、万が一がある」
「了解、後ろに下がるっす。確かに、ウチじゃ近付かれたら対応できないっすから」
必要なことは、できることから確実に。
それが、イーティという少女の性質だった。
「それじゃあ皆々様、ウチはここでお暇させてもらうっす~。虫が嫌ならウチのとこまで来るっすよ、来れるものならっすけど~」
夥しい量の虫たちを残し、イーティはその場を去っていく。
「あ、これだけ置いておくっす」
最後に、カブトムシ型の巨大な蟲を産み出してから。
「にしし、ステータスの暴力って良いっすね」
満面の笑顔で、姿を消した。
「ああもう!戦力差ァ!!」
「言うだけ無駄だって!!合流しちゃったんだから!!」
「後方の戦況は!?」
「比較的マシっぽい!!でも早めに合流しないと不味い!!」
「ニニンジャから連絡アリ!東部前方から別動隊を確認したって!!全員人型、甲冑姿、騎馬兵!!」
「ホイヘーからも連絡!西部前方からも別動隊!!ヤバいってェ!!」
「こっちも大概手一杯なんですけどぉー!!」
プレイヤー、リオンを筆頭とした司令部率いる上位勢、もといタンナ組プレイヤーは、予想を遥かに超えてくれやがったレオナ陣営に、阿鼻叫喚の悲鳴を上げていた。
ひとつ。
シオン=ジニアスによる超長距離狙撃砲による先制攻撃に、完璧に対応されたこと。
これに関しては『まあ迎撃するやろな……』とプレイヤーは思っていたので、比較的ダメージは少ない。
少ないだけで、しっかりとダメージではあるのだが。
ふたつ。
想像以上にレオナが成長していたこと。
こちらの方が問題であった。
プレイヤー側の最高戦力であるミシェル=ユスティーナが鎧袖一触とまでは行かずとも、時間稼ぎしか出来なかったという事実。
これにはミシェルを含め、全員が頭を抱えた。
まさか、このひと月でそこまでの差が付くとは思っていなかったのだ。
ミシェルでさえ『勝ち目は薄いだろうけど何とか食らいつける』程度だと思っていた。
この誤算は、この攻防戦を根底から覆す結果をもたらすことが明白だった。
みっつ。
イーティという存在そのものが誤算だった。
まさかレオナ陣営に、ある種レオナ以上に脅威となるプレイヤーが合流してしまうという大惨事。
過去の掲示板の流れから『え、マジ?合流すんの?なんかの間違いで共食いしてくれない?』と思われていたものの、しっかりとフラグを回収して仲良く合流してしまったのである。
能力の詳細は不明であったため、せめて使いにくい能力で合ってくれと願われたが、こちらもあえなく撃沈。
数という有利を覆す最悪の部類の能力だったうえ、星の賢者第九席すらも『ダメージは与えずに圧殺で動きを封じる』という手段に出られ、更には中ボスクラスのモンスターまで召喚するという暴挙。
以上三つの理由により、プレイヤーは苦戦……いやハッキリ言ってしまおう。
かなりの無理ゲーを強いられていた。
後方部隊は拮抗する程度には襲われ、先行した部隊は帰って来るのもままならない戦力で襲われ、プレイヤー最高戦力は地力で負け、NPC最高戦力の片方はメタられている。
『本当に初イベントか?これが?』という状況。
それもこれも全てレオナ=ユベリアというプレイヤーが悪いということだけは、誰もが理解していた。
なお、運営に「レオナ=ユベリアとかいうレイドボス強過ぎじゃないですか?」という問い合わせが来たりしているのだが、運営は「どうしよっか、この子の扱い……」とちょっと頭を悩ませ、回答を遅らせているのは別の話。
「部隊分けるよ!!AからC班までは中ボスの対処!!残りは全力で小型を片付ける!!エーイーリーのリソースはイコールでこっちの勢力と実質同価値だけど、それはやられ続けたらの話!!後方が拮抗している間にこっちを削りまくれば向こうに回す余裕もなくなる!!そうなれば相手の後続部隊とやり合う余裕もできる!!勝機はあるぞ!!」
「「「「応ッ!!!」」」」
それでも、勝機を見出すのが歴戦のゲーマーというもの。
すぐに性質を理解し、相手にリソースを奪わせないようにリソースを削れば良いの理論で行動を開始。
ここで失念してはいけないのは、イーティの虫とは別に、レオナの第一の騎士アインが率いるハウンド部隊と、イーティというプレイヤーの存在。
イーティは当然、プレイヤーであるため、虫たちの全体の動きを変えてくる可能性がある。
実質的な大規模PvPであり、リアルタイムな戦略が求められる。
そしてアインは、高い知能を与えられたNPCユニットであり、こちらもプレイヤーと遜色ない知略を巡らせてくることは、タンナでの一件で知られている。
その上、アインは直接戦闘能力も高い。
肉体的な武力で言えば、トッププレイヤー数人を相手取っても遜色ないほどのパワーを誇っている。
これらの対処も、考えなければならない。
「行くぞコラァ!!」
「なんかめっちゃ美人になってるけどあのときの指揮官ゾンビだよなあ!?今日こそお前を倒すぞ!!」
「ふん、来るが良い!!」
現時点の頂上対決が、ここに始まった。
「先輩が作り置きしてくれたお菓子おいしいっす!身に染みるっすね~~」
「……指揮はちゃんとしてね」
「うっす!任せるっす!」
後方でおやつ(リソース回復効果付き)を食べている幼女のような存在二人を、誰も認識せずに。
目に見える状況よりも多くのリソースを削る羽目になっているプレイヤー陣営
Vs
あらゆる状況を想定したレオナが可能な限り事前準備しているレオナ陣営
実は案外拮抗している。
レオナがシヅリとミシェルを飛ばすのが先か、プレイヤーたちがリソースを削り切るのが先か。
割とドヤ顔で手筈通りにとか言ってるけどレオナもレオナで割と嫌なパターンを引いている上に左腕を持っていかれる想定外を喰らっているので内心想定外の出来事に苦い顔……ではなくウキウキである。