Übel or Justiz Online ~悪役少女の破滅の道~ 作:蓋然性生存戦略
あとちょっと短め。
「そういえばなんだが」
「なんでしょう」
それぞれ方針は定まり、各々地固めに入ろうという時。
キャスパリーグさんから声をかけられました。
「お前も銃に興味はないか?私にはわかる、DEXなんぞ無くてもお前のAIMは素でヤバい、達人の域だ」
「確かに私のDEX成長補正は初期値ですが……」
どうやら銃に興味がないかのお誘いのようで。
見たところキャスパリーグさんは二丁拳銃がバトルスタイルのご様子。
同好の士を増やしたいのでしょうか。
「ここに弾丸はMP、威力はINT依存の銃があるって言ったらどうする?」
「お値段次第ですね」
「だと思ったぜ。装備要件はINTにしてある。試し撃ちしてからでもいいだろ」
「そうですね。どこか手頃な場所はありませんか?」
「モールにシューティングレンジがある。そこ使うぞ」
なんとお誂え向きな銃なのでしょう。
気になります。
キャスパリーグさんに案内され、モールの内部へ。
射撃場にたどり着き、キャスパリーグさんに銃を貸与してもらいます。
「《試作魔法拳銃・レヴォルト》だ。試作とは銘打っているが、実際は量産型を作る前に採算度外視で作った現状の最高級品だ。威力、精度、反動、耐久性、燃費、その全てが高水準でまとまっている」
「それだけ聞くといいとこどりですが……」
「会長に『こんなもん売り出せるかボケェ!!バカスカレア素材使いやがって!!ただしコンセプトはいい、デチューンしてね!!』って言われてな……私が使ってもいいんだが、生憎とINT補正はそこまでなくてな」
「処分に困ったので私に、というわけですか」
「ありていに言うとそうだ」
「あまりお安くはならなそうですが……」
採算度外視のワンオフ、そういえば聞こえはいいですが、キャスパリーグさんの熱意が暴走した結果の産物ですね。
試しに撃った感じ、普通に戦闘用として有用なのでほしいのですが、懐が寂しくなりそうですね。
「まあ、素材の大半は私の自腹だ。作りたいもん作れたから大して貰う気はないんだが、そうすると会長がうるせぇからな」
「公正公平な取引を、ですからね」
「ってなもんでまあ、技術料を差っ引いて経費とかをもらうんだが……こんなもんだ」
「それでもさすがにお高いですね……払えなくはありませんが、なかなか難しいです……」
公費と私費は分けています。
なのでここで散財しても基本問題はありませんが……ないのですが……。
資金が底をつく、というのはいつ何時であろうとも躊躇うものです。
特に、贅沢の類を行うときは。
正直な話、この銃はあってもなくても私は困りません。
そういう意味では贅沢品の部類になります。
ですが確実に戦闘が楽しくなる、選択肢が広がるという意味では実に魅力的な一品です。
パイプドリーム商会の最高幹部の一人というだけあり、その出来栄えは恐らくプレイヤーの中でもダントツでトップと言えましょう。
定期的に依頼したいほどです。
「……分割払いはできます?」
「魔王と呼ばれるプレイヤーが分割払いを求めるか。少し笑っちまうね」
「生憎と私費はそこまで潤沢ではないのですよ……」
「公費と私費をしっかり分けてんのか……しっかりしてんな。分割でもいいぜ、利子無しだ。気に入ったしな」
「ありがとうございます」
2分割払いで、半額をひとまず渡します。
くっ……それでも私費が4割消し飛びました……。
私、これでもかなりの財力を持っているのですが……?
「メンテするときは連絡くれ。これフレコ*1な」
「ご丁寧にどうも。しかし良いですね、これ。不思議と手に馴染みます」
「……お前、どこぞの吸血鬼だったりしないよな?」
「良いですよね、アー〇ード。私もああいう悪役になりたいです。いえ、彼は主人公なのですけど」
「ヘル〇ングは私も好きだからわかるがよ」
がっしりと握手を交わし、新しいおもちゃを手に入れました。
レイピアと拳銃、良い組み合わせなのではないでしょうか。
ちょっと動きを練習しましょう。
まずは型稽古を。
そうですね、構えて見た感じですが、左手に重量が上乗せされたことで、今まで通りの動きをするとわずかに動きに狂いがあります。
また、選択肢が増えたということは取捨選択に割かれるリソースが増えたということでもあります。
やはり、いきなり実戦投入するのは怖いですね。
その辺のモンスターで動きを慣らした方がいいでしょう。
あとあれですね。
レイピアと拳銃だと良い感じのポーズに困りますね。
悪役なのですから、映える姿を魅せなければ。
二丁拳銃でしたら、某吸血鬼のあのポーズが取れたのですが。
いえ、ここは某神父の方でも良いかもしれませんね。
バチカルもサタン及びルシファーモチーフなのですから、十字架を意識しても良いかもしれません。
まあ、ポーズは後で考えましょう。
その辺のモンスターを探して南方へ。
実のところ、この辺のモンスターはたいして強くありません。
南に行けば行くほど強くなりますが、帝国北方領周域ほどではありません。
ですが今はキャラレベルやスキルレベルが下がっている状態。
キャラレベルはどうとでもなりますが、スキルレベルは自分で動かないと上がりませんからね。
どこかにいい感じの叩き台でもあれば良いのですが……おや?
遠くからミネが来ていますね。
後ろから来ている眷属部隊に、緊急連絡用として付けていたのですが。
『ホー』
ふむ。
部隊にアインが合流、現場指揮をアインに移す、と。
それは良いでしょう。
ついでのような報告ですからね。
本命は別です。
なんでも、奇妙なダンジョンを発見したとか。
階層は一つだけ、ボス部屋のようなモノは見受けられず、やたらと部屋だけが存在する。
一部屋一部屋に、ただやたら硬いだけのゴーレムが3体ずつスポーンするだけだとか。
マズいですね、とりあえず急いで封鎖しましょう。
水面月姫さんにも緊急連絡。
あまりにも都合の良すぎる玩具ですよコレは。
『はいはい緊急連絡を受けて飛び出ました!』
「戦闘用のスキルレベルを上げるために用意されたであろう叩き台専用ダンジョンを発見しました。他のプレイヤーに見つかるまでは独占したいのですがいかがいたしましょう」
『爆弾情報過ぎるねえ!!戦闘スキルレベルを上げる作業は特に大変だからねえ……大人気ダンジョンになること間違いなしだ!!』
「ここまで領土を伸ばすのもちょっと考えたいレベルですね」
早計でしょうか?
早計な気もしますが。
『流石にヘイトコントロール難しくなり過ぎるんじゃない?ここを戦争の要地として相争う方がいいと思うよ』
「あぁ、確かに。その方が戦力図の操作もしやすそうです」
『ただまあ、今は占拠しといて良いんじゃない?そこが露見するのも、多分しばらく後だろうしね。ま、ボクは稼がせてもらいますよ、ヘヘ』
「それは構いませんよ。今甘い汁を吸うのは私ですから」
私よりも見えていますね。
気を付けなければ。
気が付いたら彼女の思うがまま、なんてことになりかねません。
「相談に乗っていただきありがとうございます」
『いいってことよ。さしものボクも、今ちょっと扱いに困ってるしね……さーて、どう切り出そうか……』
ひとまず部隊と合流しましょう。
部隊の2割を封鎖に使い、残り8割をイベントエリアに。
私は可処分時間をこのダンジョンに費やして強化を図りましょう。
スキルレベルはあればあるほどいいですからね。
それに、ただ硬いということは、この銃の試金石にもなります。
良い話ばかりですね。
その辺で遊ばせていたネロを呼び寄せ、移動します。
『Grorororo』
どうでした?楽しかったですか?
『Gr!』
少々物足りなかったですか。
申し訳ありませんが、もうしばし待っていただければと思います。
食いでのある獲物が向こうからやって来ますから。
『Grr……』
待ちきれないのは私も一緒ですよ。
さて、今回もお願いしますね。
風に乗って、一瞬と。
「アイン、ご苦労様です。封鎖の方は」
「滞りなく。内部の調査も終えてあります。手の空いた戦力で内部に仕掛けが無いか調べましたが、今のところ成果はありません」
「そこまでできれば上々です。引き続き調査の方は進めてください。私は検証がてら、ゴーレムの相手をします。邪魔が入らないように細心の注意を」
「ハッ!」
さて……効率よくスキル上げをしましょうか。
・水面月姫
パイプドリーム商会の会長。
出自は《エルメスの寵児》、ジョブは《
金銭を扱う行動判定に大きな補正を得る。
戦闘力は金銭をブッパすることで一時的に得る、つまり銭闘力は高い。
得物は不明。
誰が相手でも知性体なら対等に取引を持ちかける精神の持ち主。
普段は鬼目突姫と遊んでいる。
・鬼目突姫
パイプドリーム商会の会長専属護衛。
出自は《剣士》、ジョブは《剣聖》。
STRとDEXとAGIの補正がバカほど高い。
得物は長剣、すごく強い。
水面月姫と幹部二人以外と会話するところを見せたことがない。
普段は水面月姫と一緒に遊んでる。
・キャスパリーグ
パイプドリーム商会の技術部部長。
出自は《職人の子》、ジョブは《
あらゆる制作行動に補正が掛かるが、戦闘方面の補正はDEX以外一切ない上に特化職には補正は劣る。
得物は二丁拳銃、本人も強いタイプ。
気に入った相手にはサービスしちゃうタイプの職人気質。
普段は新素材を求めて放浪してる。
・アルトゥール
パイプドリーム商会の護衛部部長。
出自は《騎士》、ジョブは《
想像通りの王道を征く補正を誇る。
物理攻撃力が高くて物理防御も魔法防御も高い。
得物は片手直剣、当然強い。
キャスパリーグに甘い以外は全員等しくやわらかに対応する。
普段は隊商護衛をしていて各地を駆け回っている。
・《試作魔法拳銃・レヴォルト》
見た目はキャスパリーグの趣味によりどこかの対化物戦闘用拳銃。
そのうちレオナが「パーフェクトです、キャスパリーグ」とか言い始める。
現時点で手に入る激レア素材をばかすか投入され、生産プレイヤートップのキャスパリーグが判定を超大成功させてしまった結果、爆誕してはならないタイミングで爆誕したオーバースペックウェポン。
引き金を引くだけで、現時点最高峰の魔法攻撃火力が、直線かつ亜音速で100m射程で飛んでくる。
しかも燃費は威力に対してかなり良いし、秒間3発という中々な連射力を誇る。
ミシェルは泣いて良い。