Übel or Justiz Online ~悪役少女の破滅の道~   作:蓋然性生存戦略

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夏イベント:星降る海の名も無き詠・1

さて。

準備は万全。

叩き台を通してスキルレベルは十分に上げました。

《片手魔法銃》などと言うスキルも生えたので大変でしたが……。

銃ではなく魔法銃というカテゴリなのですね、アナタ。

 

前哨基地の設営も完了し、港町周囲は私の支配下にあります。

イベント後は様子を見ながら縮小していきますが。

個人的には別の大陸も気になりますが、まずは地固めをしないといけません。

イベント後も暇ができることはなさそうです。

 

ちなみにですが、今私はログアウトしています。

ログイン制限が存在するのと、イベント前にメンテナンスが入るそうなので、一休みというわけです。

 

お気に入りのお菓子を口に運び、コーヒーで嚥下します。

甘いものには苦いものを合わせると美味しいのですよね。

ちなみにお気に入りはルー〇ラです。

なんと一度は生産中止となり、その後も中止と復活を繰り返して200年以上だとか……。

人気が無いわけではなく、その時々の物価の乱高下で停止せざるを得ない状況ができてしまったらしいです。

 

まあそれはさておき。

 

今のうちに課題を終わらせてしまいましょう。

現在時刻は10時。

メンテが終わるのは17時ですが、少し予定があるので13時まで。

3時間もあれば多少は進みましょう。

のびのびとリビングで課題を進めます。

 

両親はめったに帰って来ません。

少々年の離れた兄もいますが、彼もまた独り暮らしをしているので些事です。

実質、セキュリティの高いマンションを独り占めですね。

 

寂しいと感じたことはありません。

それ以上に空虚が胸を占めていましたから。

両親には申し訳なさと感謝しかないですね。

 

しかし、はてさて。

 

父と母は共働きで、今は職場が同じです。

というのも、UJO開発にあたって、母の勤める会社と父の勤める会社がタッグを組んでいるからですね。

母は統括P、父はディレクターです。

なんでそうなるんでしょう、人事大丈夫ですか?

 

と、そんなこんなで時間ですか。

栄養補給だけして、VRシステムを起動。

実はUJOの方から打診がありまして。

 

『なんかNPCと誤認されてるし人気高いし、生放送出て見ない?』

 

とかなんとか。

いやそれいいんです?

フットワークが軽すぎませんか?

台本はある程度用意できる?いつも通り魔王ムーブしてればいい?

ゲーム内とはいえギャラも出る?

まあ良いですが……。

 

システムを起動し、送られてきたリンクを起動してログイン。

ふむ。

いつも通り、UJOでの私が再現されていますね。

 

「レオナさん、いらっしゃい」

 

母が真っ先に迎えに来てくれましたね。

一応は他人のていですから、さん付けですが。

 

「お招きいただきありがとうございます。しかし困りますね、どうお呼びすれば?」

「社長曰く『母上で良いだろ』だそうよ。Dは父上ね」

「ふふ、色んな意味で間違っていないというか」

「ええ、全く。良いセンスしてるわ、社長も」

 

ここの社長はユーモアに富んでいるようで。

 

それはさておき。

 

放送は13時からですので色々と準備を済ませて、席につきます。

VR空間を生放送するので、カメラとかの位置が自由自在ですね。

これも技術の進歩ですね。

 

「放送開始まで3,2,1」

 

台本はありますが、基本はいつも通り。

単語にさえ気を付ければよいでしょう。

 

――UJO公式生放送:夏季イベントSP

 

「はいと言うわけで、統括Pの明星です」

「同じく、Dの星野です」

「そしてゲストをお呼びしております」

「レオナ=ユベリアと申します。どうぞ良しなに」

 

―――――

 

『きたきた』

 

『レオナたそ!?』

 

『ちょくちょく生放送はあったけど夏季イベSPでレオナたそ来るとは』

 

『NPCって呼べるんだ……』

 

『UJOの会社は社長からして技術屋の中でも変態クラスだから何も驚かない』

 

―――――

 

「夏季イベントSPということで、今回はちょっと豪華に行こうかなと思って」

「今回のイベントの関係者でもあるレオナさんをお呼びしました」

 

―――――

 

『関係者!?』

 

『Do You Koto』

 

『あ、レオナたそ紅茶をどこからか……優雅だけど我が道過ぎる』

 

―――――

 

「正確には、私の盟友が関係者なのですが……まあいいでしょう。して、母上。前口上は程々に」

 

ちなみにここまで台本通りです。

 

―――――

 

『直接の関係者ではないと』

 

『いや母上て』

 

『総括PはUJOの管理者、神にも等しいので、元ネタを考えればまあ?』

 

『運営への反逆者、ってコトぉ!?』

 

―――――

 

「まあそれもそうですね。というわけで、さっそく行きましょう!ゲーム最新情報~~!!調整等のあれこれもあります」

 

―――――

 

『これこれ、これを待ってたんだ』

 

『部位クリナーフはよ』

 

『急所クリティカルはマジで倍率いかれてるからな』

 

―――――

 

「まず、夏イベントとして《星降る海の名も無き詠(ロストソング・スターダスト)》がこのあと17時、メンテナンス後に開催されます。内容は告知通りではありますが、実際の映像をご覧ください」

 

ふむ。

ルビ振りはそうなるのですか。

好きですよ、こういうの。

 

映像を見るのは初めてですからね。

私もここで対策等を考えなければ。

 

「イベントエリア、《星降る海岸の港町》が期間限定で解放されます。

また、これはここで周知させていただくのですが、《星降る海岸の港町》は実際にワールドに存在するエリアです。

既に辿り着いているプレイヤーもいらっしゃいますが、極々少数ですね。

今回、イベント中に限り既存のセーフティエリアのファストトラベルから移動することができますが、この場合《星降る海岸の港町》の周域から外に出ることはできませんし、イベント終了後にイベントエリアにいた場合、最後に利用したファストトラベル地点まで転送されます。ご了承ください」

 

―――――

 

『実際に存在するんけ!?』

 

『探し出すしかない』

 

『すでに到達してるプレイヤーがいるのか……』

 

『頼むデータ公開してくれ』

 

―――――

 

「《星降る海岸の港町》はかつてとある龍族によって、貿易が盛んになって繁栄を築き上げた港町でしたが、今はその栄華の欠片も感じることはできません。しかし、復興を進めることで港町は活性化していき、かつての繁栄を取り戻すことができるかもしれません。貿易はもちろんのこと、他大陸への渡航も可能になるかもしれません」

 

ああ、やはりですか。

明言されるとここまでの行動が無駄ではなかったと実感できてよいですね。

 

「復興に必要なのはイベント限定アイテム《星屑のマテリアル》です。

これはイベント中、ワールド全体に出現するイベント限定エネミー《スターダストエネミー》を倒すことで手に入ります。

《スターダストエネミー》は各地域の通常エネミーにきらきらとしたエフェクトがついています。

通常より3割ほど強いステータスを持っていますが、その分得られる経験値が多く、通常ドロップ品の品質も向上します。

《スターダストエネミー》は通常エネミーがポップする際、30%の固定確率で置換される形でポップします。より多くのエネミーと接敵して《星屑のマテリアル》を集めましょう!

また、同時に貢献度ランキングも開催します。

個人部門、クラン部門が存在し、上位に入賞した方やクランには報酬がございます。

さらに個人達成報酬、クラン達成報酬、全体達成報酬もございまして、報酬一覧はこちらになります」

 

んんん?

告知の時よりランキング報酬多くないですか?

部門とかも増やしました?

 

―――――

 

『うぉ、うっま』

 

『椀飯振舞』

 

『クラン所属ワイ、歓喜』

 

―――――

 

いくらなんでも報酬多くないですか?

何か裏がありません?

 

「さらに、《星屑のマテリアル》は汎用素材として利用することも可能です。この関係上、イベントが終わった後も、《星屑のマテリアル》はアイテムとして残ります。貢献度ランキングを狙うか、装備を充実させるか。イベント参加者の皆様にお任せします」

 

へぇ、強化素材にもなるんですね。

いいことを知りました。

 

「開催日程は本日17時からまるまる28日間、最後の一週間はイベント参加者全員が対象のレイドボスの討伐期間となりますので、ご注意ください」

 

レイドボスも宣言ですか。

サプライズというわけではなく事前に告知するということは……もしかしてもう少し戦力増強が必要ですかね。

 

「かの龍が動き出すと?」

「ええまあ、そうなります。レオナさんはとっくに軍備を整えているようですが」

「当然です。いつまでも過去の栄光に縋り、己こそが頂点と愚かにも思い込む老害は、滅ぼさなければなりませんので。動くというのであれば重畳。お望み通り屠るのみです」

「レオナさんなら本当に独力で何とかしてしまいそうですね……ところで前哨基地に備え付けたあれ、使います?」

「使わぬ兵器に何の価値がありますか?」

「デスヨネー」

 

―――――

 

『統括P、目が遠くなってるぞ』

 

『制御不能NPCなの?ねえ?』

 

『前哨基地はよしんばいいとしてその兵器の内容が気になる』

 

『こわいよもう』

 

『逆に言えばレオナがここまでする相手』

 

『気張っていこう』

 

―――――

 

「とまあ、イベント自体はこんなものです。お次はバランス調整内容のお知らせです」

 

さて、かなり死活問題なのですが。

ちゃんと聞いておきましょう。

 

―――――

 

『本題きた』

 

『これを待ってた』

 

『っしゃぁ!』

 

―――――

 

「まず物理・魔法どちらにおいても部位クリティカルダメージ倍率が高すぎるため、倍率の低下となります。

 従来の倍率から70%ほどの最終威力低下となります。

 高すぎるとの声が多かったですね。

 これが原因で最近ではDEX偏重構成が流行っているとかいないとか。

 威力参照するためのステータスを伸ばさずともリーサルが取れてしまうのは運営としても望まぬところですので、こうなりました」

 

まあ、ハイ。

私もそう思います。

私のSTRそんな高くないのに部位クリとれば確殺でしたからね。

妥当なナーフです。

 

―――――

 

『部位クリナーフキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』

 

『DEX極死亡のお知らせ』

 

『これだよこれこれ』

 

―――――

 

「次に生産スキルの一定ラインまでの育成緩和です。

 想定よりも序盤の育成コストが重かったですね。

 中盤、後半は想定通りです。

 これまで序盤のコストをかけていただいた方には、補填を行わせていただきます」

 

これはうれしい誤算ですね。

私だけに見えるメッセージ曰く、北方領に配置した職人眷属の分だけ帰ってくるようで。

少なくない経験値が返ってきます。

まあ、すぐになくなるんですが。

 

―――――

 

『祝:生産緩和』

 

『やったぁ!!』

 

『これで熱い鉄を打ち続けて不純物を取り除く試練とおさらばだ!!』

 

『お前は何でジェリィ使わなんだ』

 

―――――

 

「目立った調整はこんなところでしょうか。

 細かい調整も含めて数十か所ありますので、公式からのお知らせをお読みください」

 

確認したいですね。

放送が終わるまでは我慢ですが。

その後、トークなどを挟んで無事に終了しました。




・レオナ母
UJO統括P。
趣味が高じてゲーム会社に殴り込み統括Pの立場を勝ち取る女傑。
レオナがウキウキで勢力拡大しているので都度都度調整案を考えている。
実はユニーク出自は意外と致命的なデメリットがあるのでユニーク保有者たちを見てニヤニヤしていた。
でもレオナ、イーティ、コスモスが組んでしまったのでそんな余裕はなくなった。
社長だけが笑い転げている。

・レオナ父
UJOのD。
趣味が高じてゲーム会社に以下略。
最近は悪用されそうな仕様やバグが無いか必死に探している。
主にレオナとパイプドリーム商会のせい。
なんだよレヴォルトって!!どう考えてもおかしいだろアレ!!
仕様の範疇?嘘だろ!?
社長だけは後方腕組理解者面で頷いている。

・社長
実はプレイヤーとして紛れ込んでいるクソボケ。
統括Pはレオナ母に譲っているが、そもそもの基礎設計は全部コイツがやった。
レオナ両親の苦労を産み出したとも言える元凶。
レオナの振る舞いをメチャクチャニコニコしながら特等席で見てる。
レオナの他にミシェルも注目してる。
やっぱ魔王と勇者は揃ってないとダメだよなあ?!
うひょー、わくわくすっぞ!!
それはそれとして知り合いと一緒に一般プレイヤーとして遊んでいる。
自分が遊びたくて創ったんだ、当然だろ。

・イベント
要するに古戦場だよ(ニコ
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