Übel or Justiz Online ~悪役少女の破滅の道~   作:蓋然性生存戦略

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お待たせしました。
研究所から脱出したりゼーガの空を救ったり霧の森に迷い込んだりしてました。


夏イベント:星降る海の名も無き詠・3

さて。

夏イベントは長期に渡って開催されます。

なので、全体の進行自体は基本的に緩やかなものになるでしょう。

恐らくですが、イベントモンスターを倒すだけではなく、町の人間に聞き込みなどもしないといけないタイプと見ました。

 

とはいえ、可能な限り人間に近しいボディの配下を使って情報収集させていますが、状況はあまり芳しくないですね。

私は正体だけはコスモスさん経由で知っていますし、弱点なんかもちょくちょく聞いています。

なので必要な準備は進めているのですが、いかんせん場所が絞れません。

場所さえ絞れれば、先手を打って対処もできるのですが。

この港町でも、口伝で受け継いでいたようで、コスモスさんが離脱した時のどさくさで失伝してしまったようなのです。

まあだからこそ荒れていたのでしょうが。

 

余談ですが、七日目終了時点での貢献度個人ランキング1位は私です、匿名ですがね。

配下を使っているのです、当然でしょう。

2位はなんと水面月姫さん。

聞いた限り戦闘向きのビルドではないと思っていたのですが。

3位はミカさん。

相変わらず大暴れしているようで何よりです。

4位以降も知った顔が並んでいますね。

 

それはそれとして。

 

「うーん、見つからないねぇ?」

「見つかりませんね……」

 

私たちは、相手の居場所が掴めないことに頭を悩ませていました。

既にもうレイド戦まで2週間と相成りました。

しかも、想定されるのは防衛戦。

復興された街並みの中に、明らかにプレイヤーが使うことを想定した兵器群がありますし。

できればそのままぶつかり合うのは避けたいのですよね。

どう少なく見積もっても耐えられる気がしないのです。

そういう共通認識を、私と水面月姫さんは持っています。

 

「レオナちゃんあれ、見つけたダンジョンの方は?」

「目下調査中です。現状、何かを制御する術式が込められていることは分かっています。もしかしたらこれが大当たりかもしれませんが」

「だねぇ……というか、周辺探したけど怪しいのアレしかなくない?」

「ですよね……」

 

そして、怪しいポイントがひとつ。

そう、スキルポイントだけはやたら稼げる、あのダンジョンです。

元々、初日時点で何か魔法陣は出ていたのです。

手当たり次第に試しても意味はないので、手隙の者に解析させていたのですが、どうやら何かの制御装置であることが判明しまして。

最優先解析オブジェクトとして配下に通達しています。

 

「このままだとレオナちゃんのアレ、稼動できるようにしないといけないかなあ」

「そうなると耐久面にかかるコストが……」

「キャスは喜んでやってくれそうだけど」

「職人のモチベーションと実際にかかるコストは別ですよ」

「それはそう」

 

出現地点を絞りたい理由ですが、そのひとつに前哨基地に設置してある、とある切り札があります。

初手にこれを叩き込みたいので、出現地点を絞っておきたいのですよね……。

やはり先駆けの号砲として、ド派手な一撃が欲しいのです。

 

「ま、来週までには見つけておきたいね。んで、他のプレイヤーの動向だけど」

 

「変わらず商会を利用するプレイヤーが大半、概ね好意的ですか。一部プレイヤーからは反感を持たれていますが」

 

「八方美人に先はないからねぇ~~。ボクはスーパーインテリジェンスなのでマジョリティを味方に付けます」

「ところどころ、とても頭が悪そうな言動なのですけど?」

「キノセイダヨ!あ、そだ。そっちってプレイヤーってまだ受け入れてる?住民としてじゃなくて、陣営として」

「イーティさんは例外中の例外ですよ、とだけ」

「あ、やっぱり?お近づきになりたいってプレイヤーが何人かコンタクト取って来ててさァ~~。結構数いるんだよね」

「下部組織を作っておくべきですかね……いっそのこと国を挙げてクランランキングでも作りますかね……」

「為政者の悩みだね~~」

 

他人事だと思って……他人事なのですが。

 

などと駄弁っていると。

 

「陛下、ご歓談中、申し訳ありません。比較的急を要する事態になりました」

 

アインが報告を持ってきました。

なんでしょう。

 

「自力でこの街の周辺域に到達した者が現れました」

「おや。イベント中だというのに酔狂なものですね。そのまま撃退しても構いませんが」

「それが、その……ミシェル=ユスティーナの部隊でして……」

「即刻部隊を下がらせなさい。私が出向きます」

「ボクも行く~~」

「水面月姫さん?」

「だって楽しそうじゃん!!」

「鬼目突姫さん、止めてください」

「すまないが、ゲームの中において基本私はストッパーたりえない」

「なんてことでしょう」

 

まさかミシェルさんがくるとは。

想定外ですね。

イベントに注力しているものと思っていましたが。

現場に急行し、水面月姫さんと鬼目突姫さんを伴って降り立ちます。

アインとネロも一緒ですよ。

 

「げっ、レオナ」

「少々久しいですね、ミカさん。どうやら配下の訓練相手になっていただけたようで」

「いやその違うんだよ?私は一旦待とうって言ったじゃんね」

「おいミカ一番好戦的だったのお前だろ」

「(下手糞な口笛)」

 

まあ、通すのはやぶさかではありませんが。

ミカさんと……タンナで死合った面々ですね。

流石の行動力とでもいうべきでしょうか。

尤も、私、ネロ、アイン、水面月姫さん、鬼目突姫さんを相手にするには戦力が足りませんが。

 

「もう少し北寄りの道を選ぶことをお勧めします。そちらとしても、私の勢力下で連戦はしたくないでしょう?」

「ボスラッシュは勘弁してほしいかな……」

「自力でここまでたどり着いたことに関しては流石と言っておきましょう。私の勢力下に迂闊に入り込んだのはいただけませんが」

「はぁい……」

「あちら側から回ると良いでしょう。私も今は戦力をいたずらに消費したくはありませんので」

「ありがと、レオナ」

 

全く、世話が焼けますね。

 

「ルート変更かあ」

「レオナ勢力下にあるのが分かっただけ儲けものじゃね?」

「マッピングが……」

「注意事項が増えた……」

「商会長なんでおるん?」

「さぁ?」

「仲いいんだな……」

「ミカちゃんさん以外にあの魔王とパフェコミュ取れる逸材がいたんだな」

「商談と言う平和な形でコミュれてるからミカの上位互換だぞ」

「マジかよ、大事にしなきゃ……」

「そこ、聞こえてるじゃんね!!」

 

コントを繰り広げるのはやめて欲しいのですが。

一応敵同士ですよ、私達。

って、なんですか水面月姫さん。

ニヤついた顔で見るのはやめてください。

 

「随分と甘い対応するじゃ~ん。お気に入り?お気に入りなの~?」

「あの日死合った者達はみな平等に評価していますが。今のところ最も滾った戦いでしたね」

「うわ、息をするように惚気るじゃん、無自覚?」

 

なんですか、そのどうしようもないものを見る目は。

やめてください。

 

「(レオナたそってもしかしなくてもさあ)」

「(クソボケですよありゃあ)」

「(はぁ~~、だからやめられねえんだよなタンナ組)」

「(頑張った分だけ褒めちぎってくれるラスボス美少女とか頑張っちゃうんだよなあ)」

「(なお足を引っ張る奴はボロクソにされるもよう)」

「(ガッツ君のことは言ってやるなよ)」

 

なんだか落ち着きませんね。

生暖かい目で見られているかのような……。

違うのですが?

私が求めているものは違うのですが?

 

「ともかく、この場においては不問とします。此度の戦いは、あなた方だけでは厳しいものになるでしょう。お互い、不干渉とさせていただきます」

「分かったじゃんね。皆にも伝えておくよ」

「ご自由にどうぞ。無論、また無断で入り込むようなことがあれば容赦なく排除いたします」

「こわいこわい、よーく言い聞かせておくよ」

 

ひとまず、ミカさん達を誘導して戦闘は避けます。

彼女たちは強いので、ここで消耗するのは避けたいのです。

お互い消耗するのは、このイベントにおいて得策ではありませんからね。

 

「あ、そだレオナ」

「なんでしょう」

「人外プレイヤー……人類種ではない異邦人がそっちの領地に多数向かってるみたい。いくらか有名なのも混ざってるみたいだから、気を付けてね」

「さようですか。感謝はしておきましょう」

 

私たちはそこで分かれ、また水面月姫さんのカフェで寛ぎます。

私は眷属のおかげで座っているだけで経験値が手に入りますし、水面月姫さんも売り上げが経験値になるスキルを持っているようで。

鬼目突姫さんは……どうやって経験値を稼いでいるのでしょう。

水面月姫さんから離れたところを見たことがありません……。

謎ですね。

 

「いやぁ、アレがミシェルちゃんかあ。良い子だね」

「そうですね」

「ちなみにキミの領地に向かってるネームドプレイヤーの情報あるけど、買う?」

「最近懐が寂しいのですけど」

「今なら何と半額!」

「良いんですかそれ」

「ぶっちゃけ君が生み出してくれた利益に比べればカスみたいなもんです」

「であれば遠慮なく」

 

イベント中に問題が起きて欲しくはありませんしね……。

コスモスさんに留守を任せていますが、どうなる事やら……。




《Tips》
・タンナ組のやる気が高い理由
レオナが無自覚にヨイショするからやる気が高い。
「お前らとやった戦い超楽しかった!!(意訳)」をぽろっとこぼすせいで「はぁん?次は勝ったるからなこの野郎!!」が共通認識。
タンナ組も一番ベストを尽くしたと思っているのが初日の攻防戦だったりする。

・鬼目突姫の経験値
こいつ狩りの速度があまりにも速過ぎて運営から自重してくれと泣きつかれていたりするため、実は経験値に困ってない。
自前のDEXが高すぎるのでSTRとAGIにほぼ振り切っており、常人では制御できないピーキー性能。
ひたすら速度バフと攻撃バフを詰んでフィールドを駆け抜けては急所に斬捨御免して経験値を稼いでる。
キャスパリーグとアルトゥールはコイツに対応できる。
それ以外だとレオナとミシェルがギリギリ対応できるレベル。

・水面月姫の個人貢献度の秘密
《コイン・トス・コール》という技と《パラダイス・リゾート》という技がコイツの銭闘能力を支えている。
本イベント中に限り、倒せば倒すだけ黒字なので大暴れしている。
どうでもいいが、彼女はこの二つの技をぶっ放す時にやたらと真に迫った声で「夢を、希望を、ボクは守る!!」と叫んでいる。
特に天使系の関連性はない、彼女が勝手にやっていることである。
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