東方三混和   作:語り部梔子

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初めて投稿するので拙い部分が多々あると思いますが、どうかよろしくお願いします。


1章 調和の始まり
夏とベルトと神社 その1


「それじゃあお母さん、お父さんと仕事行ってくるから。留守番お願いね、和徒」

「わかった!今日は何時に帰ってくる?」

 

 

 

 

「ねぇ聞いた?真島さんとこの話。ご両親、交通事故で亡くなったらしいわよ」

「和徒くんまだ小学生でしょ?大変ねー」

「なんでも数週間後に親戚の家へ引っ越すらしいんだけど、その間東風谷さんとこが面倒見るんですって」

「よりにもよってあの気味悪い娘さんがいるとこなんて、ほんと災難ね」

 

 

 

 

「かずと、もう行っちゃうの?」

「......うん」

「じゃあ、これ!持ってて!」

「これは?」

「お守り。昨日、神奈子様と諏訪子様にお願いして一緒に作ってもらったんだ」

「わかった。絶対大事にする」

「約束だよ。忘れないでね!」

「約束する。絶対に忘れない」

 

 

 

 

ガコッ

「いてっ」

電車で片道3時間。乗り物特有の心地よい揺れに思わず寝てしまったらしい。それにしてもどうせ起きるなら窓に頭をぶつけた衝撃などではなく、時計のアラートの方がマシな気分であった。このぶつけようのない苛立ちは昨夜の親子喧嘩から今も続いている。この場合、親子喧嘩というのは俺と俺の両親の間の喧嘩ではなく、居候先である親戚の親と娘のことを指す。

 

「ママ、あいついつまでこの家にいるの」

「社会人になるまでじゃないかしら」

「ちょっと待ってよ。まさかあいつの就職までの手助けとかもウチらがするワケ?」

「そうなるわね」

「冗談じゃないわよ。あんなほんのちょっと血が繋がっているだけでこの家に居着いてる奴なんてほっぽり出せばいいのよ」

「まあまあママにあたるのはやめなさい。和徒くんの将来についてはパパが話をしておくからさ」

 

思春期真っ盛りの中学3年生の女子である。高校受験を控えており、溜まったストレスをぶつけるのに俺という存在はもってこいだ。ただ、こちらもこちらで将来について漠然とした不安があるわけで、敏感な部分を刺されるとたまらない。家事を積極的に行うことで家の負担にならないようにしているから余計にそう感じる。お前なんかより俺の方がよっぽど真面目に生きてるぜ、こんなとこさっさと出ていってやる、と。

そんな中ふと幼馴染が今何をしていて、将来は何になろうとしているのか気になった。気になってしまった。幸い明日から夏休みだと思い出し、着替えをリュックに詰め込み飛び出して、今はかつて過ごした場所へ向かう途中である。

 

 

 

 


 

 

 

 

駅から降りた街並みはそれほど変わっておらず、駅前の駄菓子屋はなぜか今も潰れていなかった。立地が良いのでてっきりコンビニにでもなっているかと予想を立てていたが外れてしまった。駄菓子屋を横目で見ながら目的地へと向かう。

目的地の名は守矢神社。駅からおよそ徒歩十数分。そう聞くと近いと感じるかもしれないが坂の上に位置しているため体感は三十分である。しかし、それはあくまで子供の歩幅で考えた時のことであるため、おそらく今なら二十分くらいで着くだろう。そう考えると、幼馴染の少女、東風谷早苗はほぼ毎日この道を通って駅とは反対方向の小学校に通学していたということになるのでその苦労が伺える。一週間面倒を見てもらった時、この坂を登って家に帰るはじごくのようだったと思い出す。思い出さなければよかった、しんどかった記憶なんて。

 

そもそも真島家と東風谷家の家は別に近いというわけではない。ではなぜ東風谷家が俺の面倒を見てくれたのかというと両親が民俗学の研究者であり、昔東風谷の者からすると恩人となるような出来事があったかららしい。東風谷家は代々守矢神社に仕え、生を全うすると早苗に聞いたことがある。もちろん早苗も例外ではなく、中でも早苗は一族の中でも潜在能力が高い(?)らしく、神が見え、神と話すことができ、髪が緑だった。

緑の髪というのは日常生活であまり見かけることがない。なので、近所の大人たちから気味悪がられていたのを覚えている。俺としては幼少期からすでに家族ぐるみの付き合いがあったので、世界中にはいろんな髪の人がいて、虹色の人とかいるのかなと妄想するほど馴染んでいた。また、早苗も髪の色を気にせず明るく振る舞っていたのもいじめが起きなかった要因かもしれない。髪の色にまで影響を及ぼすほどの力を持っているくらいだから、将来の職業はやはり巫女だろうか。あるいは霊媒師か。はたまた除霊師やエクソシストか。

駅から歩いて二十分が経過した。

 

「ん?...え?は?」

 

どうやら駅から歩いて二十分くらいで守矢神社に着くというのは間違いだったらしい。なぜなら、そこに守矢神社はないのだから。

 

 

 

 


 

 

 

 

更地である。空き地と言ってもいいのかもしれない。それほどまでに何もなく、ただ、土と雑草しか見えなかった。急いで坂を下り、駄菓子屋へ入って店主の爺さんに問いかける。坂の上の神社はどうしてないんだ、早苗はどこにいる、と。

 

「神社?神社なら二つ先の駅ですよ。あと、早苗って誰ですか」

「そんなはずはない!約10年前守矢神社は確かにそこにあった。そして、東風谷早苗は緑髪の少女のことだ!」

「ですから神社なんてずっと昔からこの街にないですって。それに緑髪の少女なんてこの辺じゃ見たことも聞いたこともない」

「何言ってんだよあんた。ボケてんのか」

 

思わず胸ぐらを掴んでしまった。

 

「ちょっと、警察呼びますよ!」

「クソッ」

 

手を離し、駄菓子屋を飛び出してもう一度坂を登る。今度は走って。しかし、現実は何も変わらなかった。更地のままである。

 

「一体どうなってんだよ。訳わかんねえ」

 

守矢神社なんて俺の妄想だったのか?緑髪なんているわけないのか?頭が痛くなってくる。

頭を抱えたことで気がついた。雑草が一箇所全く生えていない場所があることに。そこはまるで誰かが一度土を掘り返したような様だった。

 

「もしかしたら...」

 

もしかしたらそこに守矢神社の痕跡が残っているかもしれない。早苗が何かサインを残しているかもしれない。そう思い、一心不乱に土を掘る。出土したのは木箱だった。

 

「木箱...なんだこれ?変身ベルト?」

 

木箱を開けると出てきたのは筆箱くらいの大きさの箱がバックルになったベルトであった。腰に巻いてみる。

 

「うわっ自動で閉まったし。どんな技術?」

 

ベルトに取り付けられた箱には取手のようなレバーがあり、レバーを引いて箱を開けようとした途端、リュックの中がざわついたのを感じた。リュックを開けると光るものが一つ。それは電気を動力することなどあるわけがない、お守りであった。早苗からもらったお守りである。

お守りの中身は開けてはならないと昔早苗が言っていたのを思い出す。しかし、よくみると光っているのはお守りの中身である。心の中で早苗に謝り、お守りの中身を開けて一枚の紙を取り出す。いや、紙という表現は間違っていた。素材はわからないがカードである。表には「MIRACLE」と書かれ、裏には緑髪の巫女の絵が描かれていた。その刹那、閃光が身を包む。

 

「な、なんだよこれッ!うわあああああ!!!」

 

 




これから幻想入りです。
早苗は元々緑髪という設定で行きます。
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