東方三混和   作:語り部梔子

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前回までの実績

幻想入りした真島和徒は紛い者からカードを分離させることができた。
フランを救い、レミリアと友人になった。
人里では別のベルトをもつ人物がいた。


2章 重なる狂気
焔と狼と行方不明 その1


「真夜中に燃える人影ですか?」

 

「ああ、以前文々。新聞にも書かれていた内容なんだが、ここ最近目撃情報が多発しているんだ」

 

フランとの戦いから二週間経った。

文が大々的に俺の宣伝を行ったことで一躍有名人となったが、俺の性別や服装が変わることから正体は知らない者が多く、街談巷説が飛び交い、ようやく噂話が落ち着いてきた頃。

守矢神社に慧音さんが尋ねてきた。

 

「自警団からの報告によれば、追いかけると忽然と消えてしまうらしい。里にいる妖怪にそんな力を持つ者はいないはずだ。だから紛い者かもしれないと思って君を頼りにきたんだ」

 

あの戦い以降紛い者との交戦はしていない。だけども、修行は絶え間なく続けてきた。

 

「報酬は出す。この依頼、受けてくれるか?」

 

「もちろんです」

 

 

 

 


 

 

 

 

「で、なんでお前がいるんだ?」

 

「いやー、慧音さんが最初にこの話をしたのは私なんですよ」

 

時計の針が時針分針ともに上を向いた頃、俺は文と人里を見張っていた。

最初は歩いて見回ることを検討していたが、上空から監視した方が効率的だという文の意見を採用し、上空を浮いている。

 

「そもそも私は幻想郷の人妖の知識があるのに対して、和徒さんは無知なんですから一人で事件解決は無理だったんじゃないですか?」

 

「うっ、何も言い返せねえ」

 

「無知の知が成長には大事なんですから。ほら、わざわざこんな夜中に来てくれた私にもっと感謝してくれたらどうなんです?」

 

ニマニマとした顔で文が煽ってくる。うぜえええ。

 

「ん?今あそこに人影が見えなかったか?」

 

「え、いきなり発見ですか?」

 

「燃えてたわけじゃないから違うだろけど、聞き込みするぞ」

 

地上に降り、人影の方へ駆け寄る。

 

 

 

「お?その姿、ブン屋じゃねえか」

 

真っ白の長髪、白いシャツの少女がいた。

瞳とボンタンは対照的に真っ赤である。

霊夢は紅白の巫女と表現されることが多いが、彼女は差し詰め巫女でない紅白と表現できるような見た目だ。

 

「妹紅さんじゃないですか!」

 

「お前の新聞、いい暇つぶしになるぞ。それ、隣のそいつは?」

 

「真島和徒といいます。半月ほどまえに幻想入りしました」

 

「私は藤原妹紅だ。幻想郷に永住するならそこそこの付き合いになるだろうし、よろしくな」

 

握手を交わす。口調は若干男まさりだが意外と華奢であった。

 

「ところで、まさか燃える人影というのは妹紅さんじゃありませんよね?」

 

「バカ言え。私が何年ここにいると思ってんだ。見間違えた奴がいるとしたら間抜けだぜ」

 

結構気さくな人なのかもしれない。

 

「お前たちもあの噂を調査しているなら好都合だ。私もなんだよ」

 

「もしや、すでに目星がついているんですか?」

 

「目星ってほどのものじゃないが、出現位置はある程度把握している」

 

妹紅のおかげで早く解決しそうだ。これは助かる。

 

「燃える人影は決まって同じ方角に現れるんだ。日を追うに従って目撃情報が多くなっているが、決まって同じ地域だから間違いない」

 

妹紅の案内に従い、その地域へ向かう。

 

 

 

「ほら、言ったとおりだろ?」

 

里の外れの大きな通り、燃える人影が1つ、里の中心から外に向かって歩みを進めていた。

 

「さて問題はここからだ。昨日私が捕獲しようとしたら消えちまった。お前らならどうする?」

 

妹紅の問いかけに思考を巡らせる。

 

「昨日消えた時はどういうふうに消えたんだ?」

 

「急速に体が灰になったんだよ。だから捕まえて正体を突き止めることができなかったんだ」

 

体が灰になって消えた。つまりこいつは紛い者じゃなくて、紛い者が作り出したものってことか。

 

「それなら炎を消せばいいんじゃないですかね」

 

「その通りだ。だがどうやって炎を消す?近づけば灰になるぞ?」

 

「それは...」

 

次なる質問に文が押し黙る。

 

「奴を結界で覆い、酸素をなくして消す」

 

小学校で習う理科の話だ。義務教育ありがとう。授業を聞いてた俺、ありがとう。

意外なところでこう言った知識が役に立つものだな。

 

「なるほどな、あいつは常に燃えてるわけだから覆うだけで消火できるってわけか。ところで、結界を張れる奴がこの中にいるのか?」

 

「俺が張れる」

 

ベルトを装着し、カードをセットする。

 

「変身ッ」

 

『HEROIC』

 

 

「なるほど、和徒が例の外来人だったのか。男だったから気がつかなかったぜ」

 

妹紅の感心を他所に重厚な結界を作り、人影を覆った。

 

「だんだん火の勢いが弱くなってきましたよ!」

 

結界の中を煙が充満したことで炎が小さくなり、消火したと同時に倒れた。

正体を確認するため駆け寄ると、

 

「なんじゃこりゃ、ひでえものだな」

 

そこにあったのは焼け焦げた死体だった。ところどころすでに灰となっており、歩いていたのが不思議である。

 

「この死体本物ですよ。確か1ヶ月前にこれくらいの年齢の方が死んだ覚えがあったので本人だと思います」

 

「紛い者が作り出した分身か何かじゃなかったのかよ?!」

 

人影の正体に驚いた俺に対し、妹紅が冷静に話す。

 

「じゃあ、今まで出現していた燃える人影ってのも死体が動いてたってことか」

 

「おそらくそうでしょう。だから、これは死体を動かす能力によって起きた事件だと考えられます」

 

「これで謎は解けた、あとは本体を叩けば終わりだな」

 

そう俺が言った瞬間、

 

ガサガサッガサガサッ

 

周囲で物音がした。

 

「気をつけろ、和徒、文。何かいる」

 

全員が戦闘体制をとる。

 

ガサガサッガサガサッ

 

音が距離を詰めてくる。

 

ガサガサッ!

 

音の正体が姿を現した。

 

それはまたしても燃える人影。

ただし、炎は青白く、爛爛と光っていた。

 

「アアアアアアアアアアアッッッッ」

 

 

「こいつ!灰になるどころか襲ってきやがったッ」

 

まるでゾンビのような単調な動きだが確実にこちらを狙ってきている。

意思があるとは思えない。誰かに操られているのか?

 

「この動き、首を絞めようとしているぞ!」

 

妹紅の呼びかけのおかげで動きが読みやすくなった。

 

「悪いな、あの世で眠っててくれ」

 

弾幕が死体に命中し、粉々になる。

仏さんには悪いが正当防衛として見逃してほしい。

 

「今のは一体何なんだ...」

 

「妹紅さん、後ろ!」

 

「グハッ」

 

青白く燃える死体は一体だけではなかった。

 

不意打ちで首をやられたらしく、妹紅が血を流し仰向けに倒れた。致命傷だろう、早く医者の元へ連れて行かねば。

 

「おいおい、まさかこれ囲まれてないか?」

 

俺たちを取り囲み、青白い光がこれでもかと照らす。

 

 




燃える人影は「新聞と住居と幼馴染 その2」で触れています。
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