パルスィの家に案内してもらった鈴仙だったが、家の中にあったのは死体の山だった
ピュアドライバーを使って燃える死体たちを片付けるも、その中から霊鳥路空のカードと結合したパルスィが現れた
一方、旧都の飲み屋街で勇儀を見つけた和徒たちは、事件の真相を知る
しかし、どうやら勇儀も力を抑えられなくなり、和徒は交戦をやむを得なくなってしまった
「アアアアア!!」
パルスィは大きな翼をはためかせ、窓を突き抜け宙へ飛び立つ。
「ちょっと待ちなさいッ」
同様にして鈴仙も窓から飛び出すも、すでに距離を離されている。
純粋な飛行能力を身につけたことで飛翔速度がかなり速い。
このまま追いかけたところで追いつくのは不可能だと考えられた。
「あんまり目立たれると困るのよね」
鈴仙は新たにカードを取り出してベルトに使用する。
カードに描かれているのは、ネズミ耳の生えた灰色の少女。
「『ダウジング・ストライク』」
遠くに見えたパルスィを狙い、指先から放たれた4つの光弾。
弾速は彼女の飛翔速度を上回る。
「キエァッッ」
しかし、自身を狙った攻撃に気付き、さらに上昇することで躱すパルスィ。
「ッ?!」
だけれど、いくら旋回しようが光弾は追跡をやめない。
猟犬のように狙った獲物は逃さず、とうとう両翼を撃ち抜いた。
「ギアアアアアア」
翼のコントロールを失い、錐揉み状態で墜落して行く。
それから程なくして落下地点に辿り着いた鈴仙。
「確かここらへんだったはずだけど」
その時、視界の端で光が爆ぜた。
「くっ、危ないわね」
太陽のようにグツグツと煮えたぎった光球が脳天目掛けて飛んできていたが、スレスレで躱す。
さらに光球を放つが、動きが不安定で着弾しそうにない。
「射撃ってのはこうやるのよ」
鈴仙が指先から光弾を撃ち、反撃を行う。
「イアアアッ」
全段命中し、パルスィの体に火花が散る。
「ふんっ」
怯んだところにすかさず飛び蹴り。無防備にくらった一撃でたまらずダウン。
「これでトドメよ」
再び鈴仙自身が描かれたカードをベルトにセット。
「『マッドネス・ストライク』ッッ」
人差し指にエネルギーが凝縮され、弾丸となって発射された。
弾丸はパルスィに炸裂して爆発が巻き起こり、元の姿とユナイトカードだけが残る。
「さて、それじゃあ和徒さんの戦いぶりを観察しようかしらね」
『HEROIC』
「なるほどね、その姿になってから霊力が格段に跳ね上がった。こりゃ楽しめそうでワクワクしてきたよ」
「『ホロウエッジ』ッ」
俺は剣を構え、勇儀もファイティングポーズをとった。
「それじゃあ、このコインが落ちらたら戦いの合図だ」
そう言って、勇儀はどこからともなくコインを取り出して宙へ投げる。
「なんだなんだ」
「一体どうしたんだ?」
「勇儀姐さんが外来人と喧嘩するらしいぞ!」
「おっしゃ俺は姐さんに賭けるぜ」
「俺は大穴狙いであのお嬢ちゃんで」
野次馬が集まり、自然と道が開ける。
これなら誰かを巻き込む心配はなさそうだな。
チャリンッ
シュバッ
勇儀はストレートど真ん中に拳を振り抜くが、直感で回避してそのまま腕を切りつける。
「は?どんな硬さしてんだよ」
刃が皮膚を通らなかった。
弾かれたのではなく、ただただ皮膚が傷つかなかったのだ。
「おいおい、撫でるんじゃなくてちゃんと切っておくれよ」
すかさず繰り出された蹴りをバックステップで避け、思考を巡らせる。
以前人里でも鬼の紛い者と戦ったが、これほどの防御力はなかった。
これが本物の鬼か。いや、鬼の上澄みの実力というべきか。
「逃げてんじゃねえぞ嬢ちゃん!もっと攻めろ」
「やっちまえ姐さん」
野次馬がやかましい。
勇儀がじわじわと距離を詰めてくるが、こちらもその分後退する。
「いけいけー!和徒ー!」
「頑張って和徒お兄ちゃーん」
早苗とこいしの声援が聞こえる。
「あんな声援もらっといて逃げ腰になっちゃあかっこ悪いぜ和徒」
不適な笑顔を浮かべ、挑発してくる勇儀。
勢いよく踏み込み、再び斬撃を喰らわせる。
「クソっ」
ノーガードだったにも関わらず、切れたのは衣服のみ。
「もしかしておまえさんはあたしの服だけ切って辱めようって魂胆かい?」
完全に舐められてる。だが、傷一つ与えられてないのは事実。
けれども、その油断が命取りだぜ。
三度一閃。
「ん?」
勇儀の脇腹は僅かだが赤く、血に染まっていた。
「今の斬撃、今までのとどこか違ったな。切先の瞬間だけ重かった」
もうそこまで分かるのかよ。流石戦い慣れしているだけのことはある。
「その通りだ、攻撃の瞬間に萃香のカードを使って切先に斬撃を集めたんだ」
目には目を、歯には歯を、鬼には鬼を。
萃香という鬼も山の四天王だったらしいから、その力も四天王の勇儀には効いたようだ。
「その余裕面がいつまで持つかな?!『ホロウ・デンシティエッジ』ッッ」
もう一度DENSITYのカードを剣にかざし、何度も振るう。
「へえ、少しはやるじゃないか」
腕で防御されつつも、切り傷はどんどん増えていく。これならいけるかもしれない。
しかし、不適な笑みは崩れない。
「ようやく土俵に立ったようだし、こっちも攻めさせてもらうよッ」
繰り出されたジャブ。
直感で避けてなければ間違いなく命中していた。それほどまでの速度。風圧でこちらの髪がたなびく。
「おらよっ、ほいっ、とう、」
「くっ、うっ、はぁ!」
拳のラッシュをかろうじて避け、隙間を縫ってようやく一撃。
リアルでフロムゲーもどきをやることになるとは思わなかった。
「いいぞー!嬢ちゃん!」
「やっちゃえ和徒!」
「負けるな姐さーん」
「どっちも頑張れー」
外野の歓声がより大きくなる。
旧都は喧嘩が日常茶飯事と聞いていたが、ここまで騒がしいのか。
俺もアドレナリンがドバドバ出て楽しくなってきた。
「いい顔になったじゃないか。それならあたしも奥の手を使わせてもらおうかね」
笑顔だった勇儀の表情が険しくなる。
纏っていた空気が変わったのを感じた。
「四天王奥義『三歩必殺』」
「出たぞ姐さんの奥義!」
「久しぶりに見れるとはラッキーだぜ」
互いにピリつき、緊張感が走る。
「一歩」
勇儀がとてつもない妖力を全身から放つ。
その威圧感は空間が振動していると錯覚してしまうほどだ。
何かヤバイ。脳内の危険信号が赤色を放つ。
咄嗟に後方へ大きく飛んで距離を空け、出方を伺う。
「二歩」
濁流のごとく弾幕が湧き出した。しかし、奥義という割には避けやすい。
だからこそ不気味だ。ここは仕掛けるか。
「英雄『夢想封印』」
陰陽玉を作り、勇儀にぶつける用意をする。
「三歩」
その刹那、勇儀との距離が1メートルをきった。
三歩目にして地割れが起きるほど踏み込んで肉薄したらしい。
弾幕が避けやすかったのは、自分が突っ込むからか。気づいたところでもう遅い。
「うおおおおお」
「これがあたしの必殺だ」
準備していた陰陽玉をぶつけるも、拳で粉砕される。
そして、そのまま拳は俺の土手っ腹に直撃。
「ガハッ」
背後の家屋を突き抜けるほどぶっ飛ばされる。
体から黄色い粒子が漏れ、巫女服ではなく制服になってしまった。
どうやらヒロイックフォームを維持できないほどの一撃を喰らってしまったのかもしれない。
口から血と吐瀉物が混ざった何かが吐き出される。
頭がボーッとしてきた。
「あの陰陽玉のせいで威力が半減しちまったっぽいな。わりぃわりぃ。これじゃ必殺じゃねえもんな」
壁の大穴を通って徐々に距離を詰めてくる。
かろうじて立ち上がれそうだ。
「フンっ」
繰り出されるストレートパンチ。何度も見た技。
しかし、オリジンフォームでは避け切れず、またも壁を突き破って隣の飲み屋街の道へ飛び出す。
「なんだなんだ。壁から吹っ飛んできたぞこのガキ」
「悪いなおまえら。今こいつと喧嘩中なんだ」
「へい、わかりました姐さん」
その辺の妖怪と勇儀の会話が聞こえる。
くそっ何か手はないのか。
このままじゃ本当に殺されてしまう。
ただの攻撃じゃ勇儀には効かない。
いや、待てよ。俺は今、吸血鬼、天邪鬼、鬼と三者三様のユナイトカードを持ってるじゃないか。
ベルトのレバーを引いて箱から霊夢、魔理沙、早苗のカードを取り出し、フラン、正邪、萃香のカードをセットする。
立ち上がり、呼吸を整えた。
ヒロイックフォームとは違い、全て妖怪のカード。
脳裏に正邪のカードと結合したフランの姿と、人里で交戦した萃香の紛い者の姿がよぎる。
レバーを押して箱を閉じた。
『OGRE』
全身が血のように赤く、紅く、赫い光に包まれる。
NEVER 輝夜
DAWSING ナズーリン
DESTROY フラン
REVERSE 正邪
DENSTIY 萃香
OGRE 鬼
こんな組み合わせのフォームに変身しちゃって大丈夫なんですかね