東方三混和   作:語り部梔子

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前回のあらすじ

オーガフォームに変身し、暴走状態となってしまった和徒だったが、さとりとお燐、お空の尽力により正気へと戻ることができた。
その後、今回の事件について互いに情報交換することになったのだが、勇儀の提案により温泉へ入ることとなる。
和徒は抵抗するもこいしに危害を加えた手前断れず、さとりに心を読まれながら美少女と混浴するという事態になってしまった。


温泉と煩悩と情報交換 その2

「和徒さんが何を感じ、何を思い、何を考えたかどうかなど、私は誰にも言うつもりはありません」

 

「はい」

 

「しかし、節度はもってくださいね?」

 

「はい」

 

さとりさんのお叱り。しっかりしろ、真島和徒。

お前の脳みそは股間についてるのか!

 

「そこまでは言ってませんが」

 

「そうですか」

 

さとりさんと談笑をしていると、勇儀が話しかけにやってきた。

例の問題児である。お前のせいで叱られたんだぞおいッ

もっとタオルで隠さんかい!

 

「しゅんと縮こまっちまって、男が情けないねえ」

 

こいつ、誰のせいだと。

 

「そんな睨みつけたって意味ないよ。ガハハハ」

 

さすが四天王。笑い方も豪快である。

 

「それよりどうだい?今夜でも、さ」

 

「どう?て何がだよ」

 

「とぼけんなよ。さっきの戦いぶり、あたしはお前さんを評価してんのよ。それに救ってもらった恩もある。だから、今夜くらい良い思いさせてやろうかって言ってんのさ」

 

良い思い。今夜。

まさか。そのまさかだろうか。

思わず、勇儀の身体を見直してしまう。

脱衣所から出てきた時とは違い、タオルが体に張り付いて引き締まった身体が顕著に現れている。

筋肉質にこそ感じるが、それを覆すほどの胸部。

さすが、四天王は豪快だな。

 

「そんなにジロジロ見ちゃって、なんだったらこの後すぐでも...」

 

ゴクリ、と喉がなった。

 

「え、じゃ、じゃあ...」

 

「とうっ!」

 

「ふげぇっ」

 

突如として水面下から繰り出されたアッパーカット。

緑がかった白髪と青い触手。

 

「お兄ちゃん、鼻の下伸ばしすぎー」

 

「は、は?伸びてなど、い、いないが?」

 

「心を読むまでもなく動揺しているじゃないですか」

 

う、うるさい!

 

「勇儀も誤解されるようなことを言っちゃダメですよ」

 

誤解?ゴカイ?一体どういうことだ?

 

「良い思いというのは一緒に飲もうという意味だということですよ」

 

「あ、あー、そういうことね。も、もちろんわかってたよ?あえて乗ってあげたんだよ。あえてな?」

 

「お兄ちゃん、だっさーい」

 

そう言ってケラケラと笑うこいし。

ここまで弄ばれてるのもこいしが混浴させたからだろうが。

 

「いきなり鬼と飲むってのはハードルが高いし、また今度誘ってくれ」

 

「そいつは残念。なんつーか、戦ってる時に霊夢の姿が重なって見えたから、きっと酒癖悪そうで面白いと思ったんだがな」

 

酒癖の悪さを面白がるとか酷い奴だ。ていうか、霊夢って酒癖悪いんだ。

 

「多分、霊夢が重なって見えたのは俺の師匠が霊夢だからだろ」

 

「へえ、霊夢が師匠とは珍しいな」

 

「そうなのか?」

 

「私も、超然的な気質を持つ彼女が稽古をつけるとは驚きました」

 

霊夢ってみんなにそう思われてるんだ。

しばらく泊めてもらった時は、結構親しみやすく感じたけどな。

例えるなら歳の近い姉か妹みたいな。

とは言っても、俺は居候先の従姉妹と不仲だったんだが。

いや、だからこそ従姉妹と比較して親しく感じたのかもしれない。

 

「気質で思い出したのですが、ユナイトカードの発生条件が分かったかもしれません」

 

「発生条件?」

 

たしかそれは現在も不明で解析中と霊夢から聞いていたはずだ。

それほどの難題を、さとりさんは分かったと言う。

 

「それは気質の持ち方です。

 

「私は心を読むことができますが、それと同時に本人の気質を読むことができます。

 

「気質というのは、いわば性格や雰囲気といったものであり、個々人の経験や思想が反映されます。

 

「これは十人十色、千差万別と表せるほど複雑で、同じ人物であってもコンディションによって本来の気質を纏っていないことがあるほどなのです」

 

「さとりさん、その気質とやらがどう関わってくるんだ?」

 

悟妖怪だからこそ見える気質。

しかし、それがユナイトカードに関係しているのだろうか。

 

「実は、ユナイトカードも気質を持っているのです。

 

「それはおそらくカードの元となった人物の気質と同じでしょう。

 

「私は以前、お空がユナイトカードを生成する瞬間を目撃したのですが、その時、彼女の気質は彼女が本来持つ気質と全く同じ、つまり純粋な気質を纏っていたのです。

 

「なので、ユナイトカードは気質がピタリと重なった瞬間に作られるのだと、私は考察します」

 

俺もカードが作られる瞬間を見たことがある。

フランとの戦闘中、レミリアが作り出したカード。

確かにあの時、レミリアはフランを救うために必死だった。

だから気質が本来の気質になったと考えれば辻褄が合う。

 

「納得してもらえたようですね」

 

「はい。ありがとうございます、さとりさん」

 

一歩前進。ユナイトカードの大きな謎が一つ解けた。

しかし、腑に落ちない点がある。

それは、本人が直接作ったわけではない、生成されたカード。

例えば外の世界で、守矢神社にて俺がお守りから取り出したカード。

あれはどういうことだ?

 

「そういえば、私、お姉ちゃんのカード作ったよ!」

 

「え?本当ですかこいし」

 

「うん、お姉ちゃんみたいにまた、心を読むことってできるのかなー、って考えてたらできた」

 

「そのカードは今どこに?」

 

「この前屋敷にいた変な顔の男の人にあげた!」

 

この瞬間、俺とさとりさんの表情は間違いなく一致した。

なんでよりにもよってそいつに渡すんだと。

モザイクの男がさとりさんのカードを回収してしまった。

 

「カードを奪われたのは残念ですが、ここで一つ新たな説が生まれました」

 

本人以外の人物からのカード生成。

その方法。

 

「別の人物であっても気質が一致すれば生成されるかもしれないということです」

 

となると、俺はあの時早苗の気質と一致していたということか。

ふと、早苗を目で探してみると、湯に浸かりながら地霊殿のペットと談笑していた。

 

「何ですかー?」

 

俺の視線に気づいたようで、声をかけてくる。

 

「お兄ちゃんが、今夜は勇儀と過ごすから先に帰ってくれだってさ!」

 

「ちょ、バカ、こいし何いってんだよ」

 

「今なんて?」

 

早苗が露天風呂の中、歩いてこちらへ向かってくる。

 

「な、なんちゃってー、今のはこいしの冗談だからね。俺は守矢神社に帰るからさー」

 

「でも、勇儀に誘われた時、下心出てましたよね」

 

なんで言っちゃうんですか、さとりさん!

俺の味方は居ないのかよ。

 

「だそうですが、何か言うことは?」

 

ちょっと待て、真島和徒。

俺と早苗は単なる幼馴染。別に恋人でも何でもない。

何を謝る必要があるんだ。

 

「早苗さんも苦労しますね。こんなチキンと一緒にいると」

 

さとりさんから吐かれた強烈な毒。

まさかチキン呼ばわりされるなんて。

 

「へえ、てっきりそういう関係だと思ってたよ。悪かったね」

 

口では謝罪しつつも、一歳謝意を感じられない勇儀。

むしろゲラゲラと笑い声が響き渡る。

 

「くそっ、もう俺は上がる!」

 

そう言って立ち上がり、露天風呂を後にする。

 

この時、俺は気づくべきだった。

こいしがいたずらっ子のような笑みを浮かべてこちらを見ていることに。

 

ハラリッ

 

体を隠していた一枚の布が役目を終えた音。

 

「意外とあるじゃねえか、和徒」

 

そう言ったのは勇儀。

さとりさんは顔を背け、こいしは大爆笑。

ペットたちは離れていたのか目もくれず。

 

早苗は顔を赤くしながらも俺の股間を凝視していた。

 

「キャー、早苗さんのエッチ!」

 

そう叫んだ。

温泉回なのに俺がポロリすんのかよ。

 

 

 

 


 

 

 

 

「以上が今回の事件の報告になります」

 

「ご苦労様、鈴仙」

 

場所は移り、同時刻、永遠亭。

 

「それにしても勇儀を倒すなんて、相当やるわね。彼」

 

「はい、戦闘経験が不足しているにしても、鬼相手に肉弾戦で勝利するとは思っていませんでした」

 

「それで、彼の力についてはどう思ったのかしら」

 

「外来人だったにも関わらず、紛い者からカードを分離する力はかなり強力だと思います」

 

「へえ」

 

「しかし、ベルトの力を制御できておらず、周囲に危害を加えたのもまた事実」

 

「じゃあ、どうするべきだと?」

 

「彼の手にあまるであろう、ユナイトカードを全て回収するべきかと」

 

「そう。なら、そうしてもらうわ」

 

「了解しました」

 

そう言って、永林の元から去っていく鈴仙。

 

彼女の気配を遠く感じた頃に、別の人物が部屋へと入ってくる。

それは、眼帯をつけた隻腕の女性。

少女とは言えるような年齢ではなく、顔には小皺が微々たるものだが存在する。

 

「あの子に一存するなんて珍しいわね、永林」

 

「たまには自主的に行動するのも大事だと思ってね」

 

「私もそう思うわ」

 

「博麗の修行もそうだったのかしら?」

 

「そうよ。私は妹と博麗の巫女の座をかけて、各々努力したのよ。まあ、妹が博麗の巫女になったんだけどね」

 

「先代博麗の巫女にも子供が霊夢以外にいたら、その子供も切磋琢磨したのでしょうかね」

 

「いや、あの子は面倒くさがりだったし、そうはならなかったんじゃない?」

 

月の頭脳、先代博麗の巫女の姉、彼女らは雑談に花を咲かせた。

 




最後のはオリキャラです。
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