地霊殿メンバーと混浴した和徒。
そこでさとりからユナイトカードの発生条件について、ある仮説を聞く。
一方、地底での出来事を永林に報告した鈴仙は、和徒からカードを回収することを提案した。
その後、先代博麗の巫女の姉なる人物が永林と言葉を交わす。
「なるほど、結局モザイクの男の手がかりはつかめず仕舞いでしたか」
「ああ、むしろさとりさんのカードが回収されたから、今後そのカードを使った紛い者が出現する可能性も出てきたな」
地底の一件から三日後、完全復活を遂げた文から今回の事件の聴取を受けていた。
「椛が姿を現したことで、早速聞き回っているのですがそちらも収穫がないので困りましたね」
人里を徘徊していた燃える人影。
その捜索中に襲撃してきた紛い者、犬走椛。
おそらく結合度は5。
今まで行方をくらましていた彼女が突然姿を現したのには何か理由があるはずだ。
「それにしても、和徒さん。もう一つ聞きたいことがあるのですが」
「何だ?地底の紛い者なら全て話したが」
「いえいえ、まだ話してないことがありますよね?」
「何を根拠に」
「早苗さんの態度ですよ、た・い・ど」
「特に変わったことなんてないが」
「いやいや、あれを見て納得できるわけないでしょうが」
本当に何もなかったぞ?
全く意味がわからない。
「さては、和徒さん。シましたね?」
「シてないわ!何を聞いてんだよ、おいっ」
「でも、さっきチラッと早苗さんが見てましたよ?リトル和徒さんがいるであろう位置を」
「何が「リトル和徒さん」だよ。やかましいわ」
こいつ、初めて会った時もパンチラを撮ったり、胸を揉んできたり、結構スケベだな。
「そうは言っても、何ら進展してねえよ」
「じゃあいつするんですか?」
「なんでお前に言わなきゃいけないんだ」
「はぁ、「守矢の巫女に熱愛発覚?!」とか良い記事になりそうなんだけどなー」
「記事にされてたまるか」
「でも、なんで付き合わないんですか?とっとと一線超えればいいのに」
さとりさんにも似たようなことを言われた。
心を読めるさとりさんが言うのだから、早苗が俺に好意をもってくれているのは事実なのだろう。
しかし、現状告白しようという気になれない。やろうとする意思が湧いてこない。
多分これは、俺が俺自身の気持ちをよくわかっていないからだろう。
恋とは何か。思春期には誰もが遭遇するであろう疑問。
早苗のことは好きである。きっと、おそらく、もしかすると。
そう、この「好き」が俺にとってはどの程度なのかよくわからない。
俺はあいつのことを愛しているのだろうか?
それとも単に性欲から出た気持ちなのだろうか。
下世話な話だが、幻想郷に来てから性欲の処理は一切行えていない。女性が3人もいる守矢神社で処理する気にはなれなかった。
だからこそ分からなくなる。
俺は早苗が好きなのか。
そして、どうしてあいつは俺のことを好きなのか。
「まあまあ、今度妖怪の山に伝わる媚薬を差し入れしてあげますから」
「そんなものあるのか?!」
「そこには食いつくんですね。やっぱり男の子だなー」
妖怪は人間を遥かに超える寿命を持つ。
文から見たら俺なんて赤子同然だろう。
「まあ、この話は置いといて。新しいフォームの改善目処はたったのですか?」
地底から帰って以降、二柱の力を借りて試したことはある。
ガチガチの拘束札を貼られた状態での変身。
最初は平気なのだが、しばらく経つと完全に理性が失われる。
その間、約2分30秒。
一応、暴走状態になった時にベルトを外してもらうことで何とかなってはいるが、いずれ克服しなくてはならない。
「何か良い案あるか?」
しばし、考え込んだ文。
しばらくして、お茶を啜り、こう答えた。
「暴走には暴走の達人に聞けば良いのでは?」
なんだよ、その達人。
そんな達人いてたまるか。
「いるじゃないですか。狂気に触れ、狂気と過ごす方が」
いた。
幻想郷では新参者の俺でも知る人物が。
「フランか!」
「はい。彼女のカードを使って暴走しているのだから、乗りこなす鍵は彼女が持っているでしょう」
言われてみれば、どうして気が付かなかったんだ。
幸い今日は特に予定がない。
早速出発だ。
「礼を言うぜ。地底の記事の報酬はちゃんと渡せよ!」
「もちろんですよー」
俺は守矢神社を発った。
目的地は紅魔館。
「よう、美鈴」
「こんにちは、和徒さん」
紅魔館の門番を務める妖怪、紅美鈴。
以前、フランの紛い者事件の療養中に知り合った。
彼女は、その元気な立ち振る舞いが特徴的だったのが、様子が違う。
理由は簡単だった。
「今って、夏だよな?」
「はい」
「じゃあ、どうしてここはこんなに寒いんだ?」
そう、寒いのだ。とんでもなく寒い。
紅魔館周辺へ来た途端、気温が大幅に下がった。
俺も美鈴も半袖なので、寒さが堪えてお互い鼻声である。
「私も今日びっくりしましたよ!こんなに寒かったら昼寝もできなくて...」
「へえ、美鈴。あなた、昼寝をしようとしてたのね」
美鈴の顔が青ざめた。しかし、これは寒さによるものではない。
事実、顔にはたっぷりと汗をかいている。
「こんにちは、咲夜さん」
「ごきげんよう、和徒様」
完璧で瀟洒なメイド、十六夜咲夜の登場である。
彼女は時間を止められるので、今みたいに瞬間移動のごとく現れるので心臓に悪い。
「あはは、どうしたんですか咲夜さん。お仕事楽しいなーっ」
その刹那、空間にナイフが出現し、美鈴の頭をブスリ。
「あーーーーッ」
「様子を見に来ただけなのに、あんなこと言ったらお仕置きしなくちゃいけなくなるじゃない」
言葉では仕方ないみたいな口ぶりだが、口元はかなり笑ってる。
咲夜さんって絶対Sだろ。
そういうお店の女王様みたいな表情してたし。
「本日はどういったご用件でしょうか」
「実は、フランに会って聞きたいことがあるんです」
「そうですか。生憎今は太陽が出ている時間。妹様は寝ているでしょう。起こしてくるので待ってもらえないでしょうか」
確かに、今は昼。吸血鬼が寝ている時間に違いない。
「わかりました。こんな時間にすいません」
「いえ、代わりと言っては何ですが、霧の湖の調査をお願いしてもよろしいでしょうか」
「霧の湖の調査?」
「この寒さ、おそらく氷の妖精、チルノが元凶でしょう。この時期、彼女の力は少し涼しい程度のはずですが、ご覧の通り、異常事態が発生しています。なので、彼女を探して欲しいのです」
いきなり押しかけた手前、相手の要求は飲むべきである。
「じゃあ、1時間後にまたここへ来ます」
「よろしくお願いいたします」
調査に出てから40分が経過しただろうか。
一向にチルノは見つからない。
第一、俺はその妖精とやらに会ったことがないのだ。
しかし、この湖は紅魔館と比べてさらに寒い。
上着を咲夜さんに貸してもらったが、手が悴んでくる。
「くっそー、一体どこにいやがるんだ」
「あれ?今、和徒さん一人?」
そんな時、背後から声がかけられる。
紫の髪にブレザー。目を惹くのは何と言っても長いウサ耳。
「鈴仙じゃん。どうしたんだ?こんなとこで」
「一人ならちょうどよかったわ。単刀直入に言うわね。
「あなたの持ってるユナイトカードを全て私に渡しなさい」
彼女の赤い瞳が輝いた。
これは言い忘れていたことなのですが、ヒロイックスパークはオーガブレイクより火力は上回っています。
しかし、なぜ勇儀との戦いで使わなかったかと言うと、レーザーの規模が大きいので、周りの野次馬などに被害が及ぶ可能性があったからです。