東方三混和   作:語り部梔子

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STAR 星 霧雨魔理沙


夏とベルトと神社 その3

ベルトを使った影響で走力が大幅に上昇している。何とかして距離を離さなければ、妖力弾の餌食だ。

あいつはあの光球を妖力弾と言っていた。もしかしたら似たような技が俺にも使えるかもしれない。

走りながら、右手にエネルギーを貯めるイメージをする。

 

「...できたッ」

 

右手にハンドボールサイズの光球が生成された。しかし、これをどうやって奴にぶつけるかである。

これを投げるとすると一度振り返って走りを止めなければならない。それに光球の飛び方も不明だ。

リスクが大きい。考えろ。何か手を。

 

「鬼ごっこはおしまいだ」

 

その声と同時に妖力弾が射出される。

 

「投げなくても飛ばせるのかよ!」

 

思ったよりも妖力弾のスピードが早い。全部を避けるのは無理だ。

 

「ぐはぁ」

 

被弾したのは左脇腹と左足のふくらはぎ。走って逃走はもう無理だろう。

 

「ん?今、どさくさに紛れてなんかやりやったなお前」

 

ゴブリンもどきの右手首がなくなっていた。俺が被弾の瞬間に投げた光球が命中したと思われる。

 

「この威力の攻撃を何発もくらうのは面倒だ。身動きが取れない今のうちに直接痛ぶってやるよ」

 

奴が近づいてくる。この足では格闘戦に不利だ。となれば選択肢は一つ。

至近距離で最大威力の光球をぶつける。それしかない。

 

右手を後ろにして死角に光球を作る。あとは待つだけ。

9メートル、5メートル、3メートル、2メートル、今だ!

 

「おっと、そうすることはわかってたぜ。起死回生の一発を俺にぶちかまそうとするだろうことはな」

 

投げた光球は避けられて、奴との距離は1メートルを下回った。

 

「それじゃあ憂さ晴らしと行きますかー」

 

「まったくツいてないぜ...」

 

「俺の今日の運勢は大吉だろうな。そういや、カードも返してもらうぞ」

 

「逆だ」

 

しばしの沈黙。

 

「...は?」

「ツいてないのはお前の方だといったんだよ。ゴブリンもどき」

 

右手にエネルギーを込める。しかし作るのは光球ではない。最大威力をぶつけるには別の方法が必要だ。

 

「さっきの攻撃はフェイクって言えばわかるか?油断したお前を引きつけるためのな」

 

イメージはウルトラマン。両肘を曲げ、右手側は縦、左手側は縦にして十字を組む。

こういうのはなんか技名があった方が気合が入りそうだ。そういえば、ベルトがオリジンって言ってたっけ。なら、技名は決まった。

手元に新しいカードが出現し、消えた。

 

「『オリジンブラスト』ッッ!」

 

右手から白色の光線が放たれ、奴の体に炸裂する。

 

 

 

 


 

 

 

 

「これでも生きてるなんて結構しぶといな」

 

ゴブリンもどきの右半身は吹っ飛ばされていたもののかろうじて息をしていた。

今の騒動を聞きつけてこいつみたいな奴とまた会う前に移動しなければ。

 

「おい、妙な音がすると思ってきてみれば、お前何者だ?これはお前がやったのかよ」

 

声がした方を向くと、そこには奪ったカードの絵にそっくりな魔女っ子。

 

「返答によっちゃぶっ飛ばす」

 

手のひらサイズの謎の機械を俺に向けてくる。この状況、なんて説明すればいいんだ?とりあえず何か弁明しなければ。

 

「俺はこいつに襲われて...」

 

ふと、体から粒子が分散し、目線が若干高くなった。服装も女子高生の制服から男物の普段着へと変わっている。

変身が解除されたらしい。

 

「男?!さっきまで女だったよな?どういうことだ?」

 

困惑しているのは俺もだよ。誰か説明してくれ。

その刹那、視界がブラックアウトした。体に力が入らず倒れたところで意識が途切れた。

 

 

 

 


 

 

 

 

「知らない天井だ」

 

どうやら、誰かが倒れた俺を布団に寝かせてくれたらしい。体を起こす。

 

「魔理沙。起きたらしいわよー」

 

「今行くっ」

 

布団を抜け出し、縁側に佇む声の主のところへ向かう。

そこには紅白の巫女服と大きなリボンを身につけた少女とさっきあった魔女っ子。

 

「いやーびっくりしたぜ。いきなり倒れるなんてよ。私は霧雨魔理沙、見ての通り魔法使いだ」

 

「博麗霊夢よ。この博麗神社の巫女をしているわ」

 

「真島和徒だ、ここまで運んでくれてありがとう」

 

良い人そうで安堵し、二人に倣って縁側に座る。

 

「それじゃあ、いろいろ聞かせてもらうわよ」

 

霊夢が質問を始める。この場はこの人たちに従った方が良さそうだ。

 

「一つ目、あなたは外来人か」

 

「多分それに当てはまる。神社の跡地でこのベルトを掘り起こしたら森の中にいた」

 

「二つ目、身内に妙な力を持った人間はいたか」

 

「両親が早くに死んでしまったから正確にはわからないけど、知る限りではいない」

 

「三つ目、魔理沙が見たという女性の姿は?」

 

「おそらくこのベルトが原因だ。いきなり女になって身体能力も向上したから俺も驚いた」

 

「四つ目、あの満身創痍の妖怪とは何があった?」

 

「殺されそうになったからベルトの力を使って反撃した。正当防衛だ」

 

「ちょっとベルトを使ってみてちょうだい」

 

レバーを引き、押すとORIGINの音と共に粒子が集まって、再び女子高生の姿へと変身した。

 

「霊力も感じるし、どうやら嘘じゃなさそうね」

 

「私の証言を疑ってたのかよ!」

 

「次は最後の質問、あなた、外の世界に戻りたい?」

 

外の世界を思い出す。親戚の家で肩身の狭い思いをしながら、ただ漠然と将来に対する不安を抱えて生きる。その世界にかつての幼馴染はいない。

 

「できることなら、この世界で生きたい」

 

魔理沙が驚いた表情で俺を見つめる。

 

「あら、そう。どっちにしろ妙なベルトを持っていた以上、返すつもりなんてなかったから手間が省けて助かるわ。改めて、ようこそ忘れ去られたものが集う場所、幻想郷へ」

 

さらっととんでもないことを言っていたが、どうやら俺の移住を認めてくれたらしい。

 

「そう言えば、和徒がベルトを掘り起こした神社ってなんて名前の神社なんだ?」

 

「守矢神社。俺の幼馴染の東風谷早苗を探してたんだが誰も覚えていなかったんだ」

 

魔理沙の質問に対する俺の返答を聞き、二人は声を合わせてこう言った。

 

「「また守矢か」」

 




オリジンブラストはオリジナルのスペルカードです。
ゴブリンもどきの強さは下の上くらい。
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