東方三混和   作:語り部梔子

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前回のあらすじ

鈴仙は、ピュアドライバーは純子のユナイトカードから作られたこと、かつて起きた均一異変が混沌異変のきっかけであったことを話す。



姫と護衛と逃避行 その3

「二つ質問よろしいでしょうか?」

 

手を挙げ、文が鈴仙へ問いかける。

 

「まず、私の記憶の中では先代の博麗の巫女の候補は一人のみだったはずです。私の知らないもう一人は、隠し子であったということでしょうか?」

 

「なるほど。記録にない存在が隠し子と帰結するのは尤もだと思います。しかし、答えは違います。もっと単純でした。」

 

「単純?」

 

「慧音さんの白沢の力ですよ。その能力で、博麗の巫女の候補の一人を歴史から無かったことにし、最初から一人のであったと創り変えたのです。まあ、力の強い妖怪などはその影響を受けなかったため、八雲紫が直接歴史改竄について話したそうなのですが。実際、私も覚えておらず、師匠から聞いた話なので慧音さんに直接聞くべきでしょう」

 

慧音さんって歴史改竄できるのか。

自分の存在が幻想郷から消えてしまうなんて恐ろしいが、これはきっと幻想郷の住人を安心させるためだったのであろう。

博麗の巫女になりうる存在が失踪するほどの宇宙生命体なんて、夜も眠れないほどの脅威だ。

 

「それでは二つ目の質問なのですが、なぜあなたたち永遠亭の勢力はこの短期間で混沌異変への対処法、ピュアドライバーを開発することができたのですか?」

 

言われてみればそうだ。

いくら永林さんが聡明であっても、紛い者からカードを分離できる技術を1ヶ月半で実践投入できるのだろうか。

それは、まるで

 

「何が紛い者に有効か、すでに知っていたのでは?」

 

文の眼光が鈴仙を射抜く。

 

「十数年前、外の世界へ失踪していた博麗の巫女の候補が幻想郷へ帰還し、永遠亭で療養中だからです」

 

「戻れなくなったんじゃなかったのか?」

 

驚きのあまり、思わず口を挟んでしまった。

それでも鈴仙は淡々と話を続ける。

 

「少し語弊がありましたね。「戻れない」というのは「安全に戻れない」という意味です」

 

「つまり、彼女は強引にでも幻想郷へ戻らざるを得なくなってしまったということですか」

 

「流石、新聞記者ですね。彼女は外の世界で対抗策を完成させたものの、勘付いたニルは眷属で彼女を処分しようとしました。いくら博麗の巫女の候補であったといえど、十数年のブランクと力の薄い外の世界。追い詰められて緊急脱出したのです」

 

「対抗策ってのはどうなったんだ?」

 

「試作品は彼女が持っていたので、師匠が解析してピュアドライバーの制作に一役買いましたよ」

 

「なら、完成品は?」

 

「完成品はずっと外の世界に放置されたままでした。彼女が特殊な箱に封印したおかげで眷属も見つけられなかったのでしょう」

 

「なるほど、その完成品がカオスドライバーなのですね」

 

得意げな顔で文が言う。

 

「正解です」

 

俺が守矢神社で拾ったベルト。

妙な箱に入っていると思ったら、あれは封印されていたものだったのか。

神奈子様と諏訪子様はベルトについて知らないと言っていたし、彼女が幻想郷へ戻った後に八雲紫が回収したのであろう。

しかし、そうすると新たな疑問が浮かぶ。

なぜ、八雲紫はわざわざ守矢神社に埋めたのだろうか。

回収したならそのまま自分で持っておくのが普通だろう。

まるで、誰かに箱を開けてもらうのを待っていたようで。

 

「先代博麗の巫女の姉、彼女に直接取材させていただいてもよろしいでしょうか」

 

流石は記者魂。

 

「構いませんが、あまり期待できないでしょう。だって、先日文さんは永遠亭に入院していましたが一度も姿を見ませんでしたよね」

 

「言われてみれば...」

 

「博麗大結界を強引に抜けた影響で、片目と片腕を失い、半日以上寝たきりとなっています。なので、彼女にアポイントを取ることは困難です」

 

「あややや...それは確かに厳しいですね」

 

どうせなら俺も彼女の話を聞きたかったが、無理そうだな。

 

「これで私から開示できる情報は以上となります。それでは、和徒さんのお話を聞いてもよろしいですか?」

 

「わかった」

 

 

 

 

「本日はありがとうございました」

 

「こちらこそ」

 

鈴仙の情報に見合った情報を話せたと思う。

 

「そういえば、姫様を見ませんでしたか?」

 

「え、輝夜?!」

 

忘れてた!うちで輝夜のこと匿っているんだった。

 

「い、いや、見てないけど何かあったのか?」

 

「家出しちゃったんですよ。だから探さないといけなくって」

 

「大変だな〜、は、ははは」

 

乾いた笑いで誤魔化すしかない。

 

「もし見つけたら師匠が心配しているって伝えてください。それでは」

 

「おう、またな」

 

鈴仙が飛び立ち、ようやく一安心。

 

 

 

 

「鈴仙帰ったぞ、ってオイ!」

 

ところ変わって早苗の部屋。

 

「はい、また一位〜!」

 

「ぐぬぬ」

 

「お前がマリカーやってんじゃねえか」

 

早苗と輝夜がマリカーで遊んでいた。

やっぱりこいつ、匿われているのにくつろぎすぎだろ。

 

「俺にもマリカーやらせろよ」

 

「ちょっと、人里へ行く約束でしょ!」

 

そうだった。

 

「でも、その服装どうするんだよ。人里で鈴仙とかに見つかったらやばいぞ?」

 

「ふふ、ちょっと待ってなさい」

 

そう言って、輝夜は懐から端末を取り出し、入力を行う。

すると、

 

ピンポーン!

 

「はーい」

 

チャイムに応える早苗。

 

「姫様、待たせすぎなのサ」

 

トランクケースを引っ提げたウサ耳少女がいた。

 

「悪かったわね、てゐ。はい、お駄賃」

 

輝夜がトランクケースを受け取り、代わりに金を手渡す。

こいつ、永遠亭で俺に間違ったトイレの位置を教えたやつじゃねえか!!!




本当はもう少し展開を進めるはずだったんですけどね。
次回から鈴仙の口調がややフランクに戻ります。
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