リアス→ドゥー
前回のあらすじ
今泉影狼は蟲の力を持つユナイトカードと融合し、駆けつけた和徒と交戦する。
てゐの救難信号から鈴仙も参戦するが、立ち塞がったのはモザイクの男、ドゥー。
ドゥーはユートピアマグナムという拳銃に十六夜咲夜のカードをスラッシュし、咲夜の肉体にガスマスクを装着した姿へと変貌した。
人里の住宅街を駆け回る二つの影。
一つは黒いウサ耳と金髪の少女。
もう一つは仮面をつけたメイドの少女。
両者の間を弾丸とナイフが絶え間なく行き来する。
鈴仙の強化された脚力とドゥーの時間操作の前において、それらは決定打足りえなかった。
ここで、鈴仙がナズーリンのカードをベルトにセットして、仕掛ける。
「『ダウジング・ストライク』ッ」
四発の弾丸が変幻自在の軌道を描いてドゥーへと迫る。
「追尾弾ですか」
しかし、着弾の寸前ドゥーは瞬間移動のごとく回避を行い、弾丸は空を射抜く。
時間を操るドゥーにとって、追尾機能は意味をなさない。
それが『当てる』ためのものならば。
「そこよ!」
「ぬあっ」
鈴仙の狙いは弾丸を命中させることではなかった。
その狙いは、時間停止の後の隙。
弾丸とナイフの雨霰の中、回避する場所は当然限られる。
移動場所をある程度絞った鈴仙は、ドゥーの移動を確認した瞬間、持ち前の跳躍力を活かして飛び蹴りを放った。
「『ネバー・ストライク』」
吹っ飛んだドゥーへ、弾幕の追い討ち。
「メイド秘技『操りドール』」
堪らずドゥーもスペルカードを繰り出すが、後手に回ってしまう。
鈴仙は止まらない。
そのまま距離を詰め、指先から光弾を撃ちながら接近戦を目論む。
拳銃と投げナイフは中距離線向きであるため、近距離で決着をつけようという判断であった。
肉薄した鈴仙が再び蹴りを放とうと踏み込んだ瞬間、世界は静止した。
ドゥーはどこからか、新たなユナイトカードを取り出す。
描かれているのは、DEATHの文字と桜色の髪の亡霊。
「西行寺幽々子の力、試させていただきますよ」
ユートピアマグナムのダイヤルを回し、カードをスラッシュした。
『デス・シャイン』
ドゥーを中心として桜吹雪が取り囲む。
見るものの魂を啜りとってしまいそうなほど美しい桜の花びら。
「そして時は動き出す」
「な、がああああああああっっっっっ?!」
蹴りを放つ寸前だった鈴仙は、物理法則に従い、桜吹雪へと突っ込んでしまう。
一枚一枚の花びらが鈴仙に触れるたび火花を散らす。
その姿は、まるで花火が人の形をとったかのような惨状。
のたうち回り、桜吹雪の範囲から逃れた鈴仙だったが、時すでに遅し。
照準はピタリと鈴仙に合い、銃口が向けられている。
鈴仙が苦しんでいる中、再度ダイヤルを回して準備を整えていたドゥーは言った。
「チェックメイト」
『デス・ボンバー』
弾丸は絢爛な蝶へと変身し、鈴仙は爆煙に飲まれた。
「ああああああっ」
「もうそいつは効かねえぜ、『ホロウ・ニュークリアエッジ』」
剣先から火球が練られ、狼少女が差し向けた黒い蟲を灰にする。
鈴仙とドゥーが戦っている一方、和徒と今泉影狼の戦いは佳境を迎えていた。
「グルルルルッッ」
「おらッ、とぉッ、英雄『モーゼの奇跡』」
黒い蟲が効かないと判断するや否や、牙と爪の猛攻が始まる。
一撃一撃をスレスレで受け流し、スペルカードのカウンターを喰らわせる。
しかし、忘れてはならないことが一つある。
「うげっ、こんなにつけやがって」
そう、爆発する蛍である。
一度、和徒は爪の攻撃を防御した際に蛍を付けられ、爆破で地上に落とされていた。
先ほどの猛攻でも、和徒の巫女服には蛍が十数匹付けられていたのである。
まるでカウントダウンのように、蛍が光出した。
「この攻撃もすでに対処法は分かっている」
和徒が黒い刀にかざした一枚のカード。
それは、かつて人里で初めて交戦した紛い者、伊吹萃香のカード。
「『ホロウ・デンシティエッジ』ッッ」
地底で使った時は、刀の斬撃を剣先に集中させて威力を上げていた。
今回剣先に集めるのは、
「蛍を集めるッ」
和徒が天高く刀を掲げると、爆発寸前だった蛍たちが街灯に誘われるかのごとく剣先に集まり、団子状態となった。
「ぶっ飛べ!」
「アアッ?!」
集めて固められた蛍を蹴りとばす。
サッカー選手顔負けの軌道を描き、狼少女へ命中。
「これでトドメだ、『ヒロイックスパーク』ッ!!」
和徒の右手に巨大な魔法陣が展開され、極太のレーザーが放たれる。
いくら狼の身体能力があれど、爆発で怯んだ彼女に避けることはできない。
「こいつ、狼の方が素体で蟲はカードの力だったのかよ」
緑髪のボーイッシュの少女とBUGと刻まれたカードを拾い上げる。
狼少女の方は多少ボロボロだが、じきに目を覚ますだろう。
後で鈴仙かてゐにでも手当てしてもらうべきだろう。
その時、人里に轟音が鳴り響いた。
「この方角、鈴仙たちじゃねえか!」
戦いはまだ終わらない。
「冷や汗をかかされましたよ」
「うっ、ぐ......」
土煙が舞う中、地面へうつ伏せで倒れ込む少女。
鈴仙のウサ耳と髪の色は普段の色へと戻っており、周囲にユナイトカードが散らばっていた。
「やはり戦闘経験の差ですかね」
ドゥーは鈴仙へと近づきながら、カードを拾っていく。
「しかし、どうやらあなたの『カオスドライバー』より私の『ユートピアマグナム』の方が上のようです」
「ふざけるなッ」
再度変身しようと、転がっていたベルトへ手を伸ばすが、それをドゥーは見逃さない。
即座に手の甲を弾丸が掠める。
「いぎっ」
「どうせならそのベルトも回収してしまいましょうか」
ドゥーの右手がベルトを掴んだ。
しかし、それと同時に右手首を何者かが掴む。
その腕には重量感のある分銅と腕輪。
我らが主人公、真島和徒。
「歯ぁ食いしばれよ、『オーガブレイク』ッッッッ」
土煙によって気づかなかった鬼の姿。
掴んでしまえば時間停止でも回避不能。
その拳に込められた妖力が、仮面を打ち抜かんと火を吹いた。
DEATH 死 西行寺幽々子
時間操作できればノーモーションで技撃てるよねって話