東方三混和   作:語り部梔子

39 / 66
名称変更
リアス→ドゥー

前回のあらすじ

今泉影狼は蟲の力を持つユナイトカードと融合し、駆けつけた和徒と交戦する。
てゐの救難信号から鈴仙も参戦するが、立ち塞がったのはモザイクの男、ドゥー。
ドゥーはユートピアマグナムという拳銃に十六夜咲夜のカードをスラッシュし、咲夜の肉体にガスマスクを装着した姿へと変貌した。


実験と弾丸と理想郷 その2

人里の住宅街を駆け回る二つの影。

一つは黒いウサ耳と金髪の少女。

もう一つは仮面をつけたメイドの少女。

両者の間を弾丸とナイフが絶え間なく行き来する。

 

鈴仙の強化された脚力とドゥーの時間操作の前において、それらは決定打足りえなかった。

ここで、鈴仙がナズーリンのカードをベルトにセットして、仕掛ける。

 

「『ダウジング・ストライク』ッ」

 

四発の弾丸が変幻自在の軌道を描いてドゥーへと迫る。

 

「追尾弾ですか」

 

しかし、着弾の寸前ドゥーは瞬間移動のごとく回避を行い、弾丸は空を射抜く。

時間を操るドゥーにとって、追尾機能は意味をなさない。

それが『当てる』ためのものならば。

 

「そこよ!」

 

「ぬあっ」

 

鈴仙の狙いは弾丸を命中させることではなかった。

その狙いは、時間停止の後の隙。

弾丸とナイフの雨霰の中、回避する場所は当然限られる。

移動場所をある程度絞った鈴仙は、ドゥーの移動を確認した瞬間、持ち前の跳躍力を活かして飛び蹴りを放った。

 

「『ネバー・ストライク』」

 

吹っ飛んだドゥーへ、弾幕の追い討ち。

 

「メイド秘技『操りドール』」

 

堪らずドゥーもスペルカードを繰り出すが、後手に回ってしまう。

鈴仙は止まらない。

そのまま距離を詰め、指先から光弾を撃ちながら接近戦を目論む。

拳銃と投げナイフは中距離線向きであるため、近距離で決着をつけようという判断であった。

 

肉薄した鈴仙が再び蹴りを放とうと踏み込んだ瞬間、世界は静止した。

ドゥーはどこからか、新たなユナイトカードを取り出す。

描かれているのは、DEATHの文字と桜色の髪の亡霊。

 

「西行寺幽々子の力、試させていただきますよ」

 

ユートピアマグナムのダイヤルを回し、カードをスラッシュした。

 

『デス・シャイン』

 

ドゥーを中心として桜吹雪が取り囲む。

見るものの魂を啜りとってしまいそうなほど美しい桜の花びら。

 

「そして時は動き出す」

 

「な、がああああああああっっっっっ?!」

 

蹴りを放つ寸前だった鈴仙は、物理法則に従い、桜吹雪へと突っ込んでしまう。

一枚一枚の花びらが鈴仙に触れるたび火花を散らす。

その姿は、まるで花火が人の形をとったかのような惨状。

 

のたうち回り、桜吹雪の範囲から逃れた鈴仙だったが、時すでに遅し。

照準はピタリと鈴仙に合い、銃口が向けられている。

 

鈴仙が苦しんでいる中、再度ダイヤルを回して準備を整えていたドゥーは言った。

 

「チェックメイト」

 

『デス・ボンバー』

 

弾丸は絢爛な蝶へと変身し、鈴仙は爆煙に飲まれた。

 

 

 

 


 

 

 

 

「ああああああっ」

 

「もうそいつは効かねえぜ、『ホロウ・ニュークリアエッジ』」

 

剣先から火球が練られ、狼少女が差し向けた黒い蟲を灰にする。

 

鈴仙とドゥーが戦っている一方、和徒と今泉影狼の戦いは佳境を迎えていた。

 

「グルルルルッッ」

 

「おらッ、とぉッ、英雄『モーゼの奇跡』」

 

黒い蟲が効かないと判断するや否や、牙と爪の猛攻が始まる。

一撃一撃をスレスレで受け流し、スペルカードのカウンターを喰らわせる。

しかし、忘れてはならないことが一つある。

 

「うげっ、こんなにつけやがって」

 

そう、爆発する蛍である。

一度、和徒は爪の攻撃を防御した際に蛍を付けられ、爆破で地上に落とされていた。

先ほどの猛攻でも、和徒の巫女服には蛍が十数匹付けられていたのである。

 

まるでカウントダウンのように、蛍が光出した。

 

「この攻撃もすでに対処法は分かっている」

 

和徒が黒い刀にかざした一枚のカード。

それは、かつて人里で初めて交戦した紛い者、伊吹萃香のカード。

 

「『ホロウ・デンシティエッジ』ッッ」

 

地底で使った時は、刀の斬撃を剣先に集中させて威力を上げていた。

今回剣先に集めるのは、

 

「蛍を集めるッ」

 

和徒が天高く刀を掲げると、爆発寸前だった蛍たちが街灯に誘われるかのごとく剣先に集まり、団子状態となった。

 

「ぶっ飛べ!」

 

「アアッ?!」

 

集めて固められた蛍を蹴りとばす。

サッカー選手顔負けの軌道を描き、狼少女へ命中。

 

「これでトドメだ、『ヒロイックスパーク』ッ!!」

 

和徒の右手に巨大な魔法陣が展開され、極太のレーザーが放たれる。

いくら狼の身体能力があれど、爆発で怯んだ彼女に避けることはできない。

 

 

 

 

「こいつ、狼の方が素体で蟲はカードの力だったのかよ」

 

緑髪のボーイッシュの少女とBUGと刻まれたカードを拾い上げる。

狼少女の方は多少ボロボロだが、じきに目を覚ますだろう。

後で鈴仙かてゐにでも手当てしてもらうべきだろう。

 

その時、人里に轟音が鳴り響いた。

 

「この方角、鈴仙たちじゃねえか!」

 

戦いはまだ終わらない。

 

 

 

 


 

 

 

 

「冷や汗をかかされましたよ」

 

「うっ、ぐ......」

 

土煙が舞う中、地面へうつ伏せで倒れ込む少女。

鈴仙のウサ耳と髪の色は普段の色へと戻っており、周囲にユナイトカードが散らばっていた。

 

「やはり戦闘経験の差ですかね」

 

ドゥーは鈴仙へと近づきながら、カードを拾っていく。

 

「しかし、どうやらあなたの『カオスドライバー』より私の『ユートピアマグナム』の方が上のようです」

 

「ふざけるなッ」

 

再度変身しようと、転がっていたベルトへ手を伸ばすが、それをドゥーは見逃さない。

即座に手の甲を弾丸が掠める。

 

「いぎっ」

 

「どうせならそのベルトも回収してしまいましょうか」

 

ドゥーの右手がベルトを掴んだ。

しかし、それと同時に右手首を何者かが掴む。

その腕には重量感のある分銅と腕輪。

我らが主人公、真島和徒。

 

「歯ぁ食いしばれよ、『オーガブレイク』ッッッッ」

 

土煙によって気づかなかった鬼の姿。

掴んでしまえば時間停止でも回避不能。

その拳に込められた妖力が、仮面を打ち抜かんと火を吹いた。




DEATH 死 西行寺幽々子

時間操作できればノーモーションで技撃てるよねって話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。