東方三混和   作:語り部梔子

41 / 66
お久しぶりです。とても忙しい。

前回のあらすじ

カードを数枚奪われるも、ドゥーを退けた和徒と鈴仙。
一連の戦いを見ていた輝夜に問い詰められ、混沌異変のことを和徒は全て話してしまう。
輝夜はスッキリした表情となり、改めて家出を楽しむのだったが、和徒にとって予期せぬ事態が起こってしまう。
それは、輝夜が人里で外泊したいと言ったこと。
人里の宿は逢引きを目的としたものとは知らず二人は入ってしまい、同じ布団で寝ることになってしまった。


憑依と心と三日目 その1

昨夜、守矢神社、早苗の自室にて。

 

「ねえ、あなたって和徒とどういう関係なの?」

 

早苗と同じ部屋で布団を並べ、床に就く輝夜が問う。

 

「私は新聞とか読まないから知らないけれど、てゐが色々噂話とか聞かせてくれるのよ。例えば、「守矢神社に居着く外来人」とかね。文面だけ見るなら、ただの善行。だけど、それが妙な力を持っていたなら話は別になるわ」

 

「妙な力、ですか?」

 

不穏なワードに反応する早苗。

 

「とぼけるの?いや、守矢の二柱は気づいていたと考えるべきかしら」

 

「ちょっと、教えてくださいよ」

 

「そうね、タダで泊めてもらっているのだからこれくらい教えても良いかしらね」

 

はぁ、とため息を吐き、輝夜は話を続ける。

 

「彼が持つ霊力の質よ」

 

「霊力の質...」

 

現人神である早苗は神力と霊力の両方を扱う。

それでも自分は違和感を覚えなかった。

いや、むしろ神力というノイズがあるから気づかなかったのかもしれない。

 

「彼の霊力には揺らぎがないのよ。そりゃあ、霊夢みたいな異変を解決できる実力者だってもちろん霊力の揺らぎはないわ。だからおかしいのよ。なぜ、つい前来たばかりの外来人の霊力が幻想郷の住人に匹敵するのかしら

 

早苗はこの質問に答えることが出来なかった。

神奈子も諏訪子も彼を泊めるのは罪滅ぼしという発言をしていたからだ。彼女らの思惑が分からず、恐怖した。そして、自分が今まで信じてきたものを疑ってしまう自分が恐ろしかった。

それでも、早苗は覚悟を決め、口を開く。

 

「確かに、和徒は外来人にしては霊力を扱う技術の成長が凄まじく、程度の能力でさえ持っています。でも、私にとって彼は、幼馴染。神奈子様と諏訪子様が何を考えていようと、ただの幼馴染なんです。だから私は彼と共にいます」

 

「へえ、ただの幼馴染ねえ」

 

訝しむ視線を送る輝夜。

 

「輝夜さんってご両親になんて呼ぼれていました?」

 

「そりゃあ、下の名前で普通に「輝夜」よ」

 

「普通の家庭ではそうでしょう。しかし、私の両親は私のことを、「早苗様」と呼んでいました」

 

「え?」

 

「物心ついた時から私に対して敬語で、今にして思えばまるで私の世話係の他人のような接し方だったと思います。

 

「ただ、それが彼ら彼女らにとって精一杯の譲歩だったのでしょう。

 

「東風谷の者として微々たる力しか受け継げなかった母にとって、私という存在はあまりにも異質すぎた。

 

「良く言えば「鳶が鷹を生む」とさえ言えるのでしょうが、それが文字通り神童であるという現実に耐えられるほど強くなかった。

 

「今でも覚えています。父と母の私を見る目。化け物を見る目。愛情よりも先にくる畏怖。

 

「その歪な関係は親同士伝播し、親から子へと伝わるものです。

 

「私と出会う他の子供は、一緒に遊んでくれはするものの、どこかよそよそしく、私は自然と浮いた存在になってしまいました

 

「だけど、和徒は違った。違ったんです。両親でさえ踏み越えなかった境界を超え、私を東風谷の者や現人神ではなく、普通の女の子の早苗として接してくれた

 

「それだけで嬉しかった。泥遊びだって、漫画だって、ゲームだって、和徒がいなければ触れることさえなかったもの。

 

「だから、私は彼が私にしてくれたように、私は彼を、幼馴染を、真島和徒として接します」

 

早苗の家庭環境の異常性を聞いた輝夜は、胸糞悪いという感情よりも爽やかさを感じていた。

それは、話終わった早苗の顔を見たからである。

 

「あなた、幸せそうね」

 

「はい。今、私は人生で一番幸せなのかもしれません」

 

「ところで、貴方達って付き合ってるの?」

 

「え?!つ、付き、え???」

 

「動揺しすぎよ」

 

 

 

 


 

 

 

 

時は現在、人里、宿にて。

 

「ねえ、なんとか言ったらどうなのよ」

 

なんとかって何だよ?!

 

「あー、水も滴る良い女?」

 

「バカ言ってないで入りなさい」

 

結局、水浴びを済ませた俺と輝夜は布団を共にしている。

この布団、明らかに二人用のサイズではない。

 

「ちょっと、もう少し詰めなさいよ。私がはみ出るじゃない」

 

そう。この布団に二人入るためには、密着しなければならないのだ。

輝夜の柔肌が俺の腕に、微かに触れる。

 

「ぷぷ、ビクってしてやんの」

 

「う、うるせえッ」

 

輝夜の顔が近い。あまりにも近すぎる。何だこの顔、芸術品か何かか?

よし、目を瞑って早く寝るんだ俺!

 

「あ、やん、ダメ....」

 

隣の部屋から聞こえてくる嬌声。

目を瞑ると余計に意識してしまう。

 

「隣の客、すごいわね」

 

何で触れるんだよ、クソ!

普通は触れないで赤面するとかだろ。

 

「和徒と早苗ってもうそういうことシたの?」

 

「は?」

 

「二人って付き合ってるんじゃないの?」

 

「バカ、付き合ってもないしそういうこともしてねえよ」

 

「ふーん、じゃあ、シてみる?

 

「え、ほ、し、して、へ?」

 

こいつ、今なんて言った?

してみる?シテミル?sitemiru?

何を?

 

「な、何言ってんだお前、とっとと寝るぞ」

 

「絶対経験ないでしょ」

 

「あー、聞こえない聞こえない」

 

良くぞ耐えた俺。永琳さんに殺されたらたまったもんじゃない。

 

 

 

 

「ほら、起きろ輝夜」

 

「んー、あと5分」

 

「さっきもそう言ってから5分経ったぞ」

 

「じゃあ1時間」

 

「これ以上寝てたら延泊料金になるから起きろって言ってるんだよ!」

 

「む、しょうがないな」

 

寝ぼけ眼で体を起こす輝夜。

浴衣がはだけて、胸元が顕になっている。

 

「ちょ、後ろ向いてるから早く着替えろッ」

 

「このむっつりめ」

 

「うるせえ、今日こそは永遠亭に帰ってもらうからな」

 

「えー、もうちょっとだけ遊ばせてよ」




早苗の過去についてはオリジナル設定です。

1ヶ月以上も空いてしまいました。
点滅に設定したけど、コレジャナイ感。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。