東方三混和   作:語り部梔子

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前回のあらすじ

フェニックスフォームへと変身した和徒は椛とのスピード勝負に勝ち、ユナイトカードの分離に成功した。
そして、鈴仙もホロウエッジとピュアドライバーの二段重ねでハートを撃破する。
しかし、突如現れたモザイクの顔の女、カナンがハートレスドライバーを回収し、永江衣玖のカードをユートピアシャフトに使用して立ちはだかる。
一方、人里から博麗神社への参道で、ドゥーは封印された紛い者、多々良小傘に新たなカードを結合させ、解放したのだった。


月夜と不死鳥と疾風迅雷 その3

「気をつけてください!あの力は雷を自在に操ることができます」

 

「そうかい」

 

「ネタバレはおよしになって?」

 

鈴仙からの注意喚起を聞き届けるや否や、俺とカナンは走り出す。

この女、疾い。椛を超えるフェニックスフォームの速度に追いついて来やがる。

しかも、動き方が読みづらいと来た。椛は生き物らしく、直線で加速し、曲がる時は当然減速していた。

だが、この女にはそれがない。直進と停止の二種類だけだ。

曲線すら描かず、ジグザグとした最高速度の稲妻。

 

「オラァっ」

 

ホロウエッジを逆手に持って走り抜けるが、減速せず急停止からの跳躍で躱される。

これはもう、生き物ではなく機械を相手にしていると考えなくてはいけないのかもしれない。

 

「次は私の番ですわ」

 

「うぐっ」

 

肉薄したかと思えば、棒で放たれる突きのラッシュ。

足から爆風を起こして距離を放ちつつ避けようとするも、距離が広がらない。

 

「『フェニックスプロミネンス』」

 

「おっと」

 

右手から発射さえた熱線がユートピアシャフトにぶつかり、ジィと音を立てて拡散する。

おかげで距離を取ることができたが、一体どうするべきか。

 

「あなた、その姿になってどれくらいかしら」

 

「?」

 

「爆風と燃焼が加算された天狗の速度、あなたが天狗だったのならまだしも、ただの人間がその速度を一体いつまで維持できるのかしら」

 

「くっ」

 

刺突を避けたかと思えば、流れるように振り回された一撃が襲う。骨が軋み、うめき声をあげてしまう。

カナンの指摘は図星だった。段々と、動きにキレがなくなってきていたことを見破られていた。

この速度の制御にはかなりの集中力が必要となる。その集中力はカードを使おうとも変わらない、自前のものだ。

だから、この姿に長く変身するほど、動きは大雑把になってしまう。

連戦を仕掛けてきたのはこのためだったのか。

 

そうなれば、俺ができることはただ一つ。

 

「ぶっ倒れる前にてめえを倒せばいいってことだろ?」

 

「ご冗談を」

 

接近して逆手の刃で切り付けるが、バックステップで躱されてしまう。

すかさずその勢いを利用して後ろ回し蹴り。それをカナンはシャフトで受け止める。

 

「『フェニックバーン』」

 

足先から爆炎が吹き上がる。

 

「クソっ、浅かったか」

 

スライドするように高速移動でカナンは後退し、致命傷を避けたらしい。

 

「今のは少し焦りましたわ」

 

「そいつは良かった」

 

「だからこれはそのお礼ですのよ」

 

カナンはまるでプロペラのようにシャフトを回転させる。

棒の先は紫に光る雷が迸り、近くにあった竹に流れて焼き焦がす。

 

「はあっっ」

 

輝きが閾値に達したのか、慣性をそのままに地面へ叩きつけた。

その刹那、俺の視界はスパークした。

全身が痺れ、肌がジリジリと痛む。

溜まった電気が一直線に俺へ直撃したらしい。

 

麻痺状態となった獲物を放っておく狩人はいない。

カナンがダイヤルを弄ってボタンを押すと、棒を中心として紫電が渦のように絡みつく。

 

「『サンダー・シャイン』ッ」

 

渦はやがてドリルとなり、高速移動とともに突き出される。

 

「うがああああああ」

 

俺の体の肉を削りとるかのように推進する攻撃。

そこへ、一本の矢が着弾した。

 

「なっ、誰かしら?!」

 

攻撃を中断したカナンは矢の射られた方向を見る。

そこにいたのは、白髪に赤と青の奇抜な格好の女性。

 

「八意永林ッ」

 

「和徒、まだ動けるかしら?」

 

「もちろんだ」

 

傷は青い炎で治ったけれど、治癒能力には体力を消費するようで、立っているのも精一杯である。

だが、自然と闘志が湧いてくる。

 

「『オリジンカッター』」

 

「ふんっ」

 

4枚の刃の猛襲を、ポールダンスよろしく大地へ突き立てた棒を基点に避けるカナン。

 

「『フェニックスフェザー』」

 

今度は着地と同時にしゃがみ、ガトリングの如き燃える羽の射撃から逃れられる。羽はそのまま上空へ消えてしまう。

そのまま直進して俺へシャフトの刺突を浴びせるが、刀で全て弾いて応戦。

 

「『フェニックスサイクロン』」

 

手のひらから生み出した青い炎の2つの竜巻はみるみる大きくなり、奴を飲み込もうとする。

しかし、稲妻のごとき身のこなしに追いつけるほど早くはなかった。

 

これで舞台は整った。今の俺がこの手で直接与えられる攻撃は一回が限度だろう。

だから、この一撃に全てを込める。

俺は刀を投げ捨て、天高く飛び上がった。

 

「もっと速く、もっと高く!」

 

「何を企もうと次の一撃であなたは終わりよ?」

 

カナンは再度ダイヤルを回してボタンを押す。

すると、紫の電流は刃を形成し、棒は鎌へと変化する。

 

「さあ、行くわよ!真島和徒ッッ」

 

「望むところだ!カナンッッ」

 

カナンは大地を蹴って飛翔し、俺は足裏で爆破を起こして急降下した。

 

「サンダー・ファングッッッ」「フェニックスヴォルケイノッッッ」

 

朝日が姿を現した時、紫電の刃と蒼炎の羽が交差した。

 

 

 

 


 

 

 

 

両者、互いに背を向け地面に降り立つ。

万が一に備え、弓を構える永林が息を呑む。

先に動いたのは蒼炎。

和徒が胸元から鮮血を吹き出し、膝をつく。

 

「残念でしたわね、真島和徒。ついでにこちらのカードも回収させていただきますわ」

 

カナンの手には、火焔猫燐とパチュリー・ノーレッジのカードが握られていた。

攻撃した時に奪いとっていたのだ。

 

「残念?残念だって?その言葉、そのまま返させてもらうぞ」

 

カナンの仮面に亀裂が走る。

 

「こ、これは?!」

 

「そして、『詰み』だ」

 

カナンを4枚の刃と二つの炎の嵐が取り囲む。

 

「小癪なっ、上がガラ空きで...」

 

「だから言ってるだろ?」

 

上空へ打ち出された燃える羽は、自由落下とともに雨霰となる。

 

チェックメイトじゃあない。詰みだってな」

 

 

 

 


 

 

 

 

朝日が差し込むビル街。

その一棟の屋上に佇む一本の傘とと少女。

少女のが無造作に持つインスタントカメラから、一枚の写真が現像される。

 

「全く、無理難題もいいとこだよ

 

「こんなにいっぱい人間がいるというのにたった一人を探し出すなんて」

 

現像された写真に写っていたのは、金髪に薄紫の服と特徴的な帽子を被った少女。

 

「あ、探し出すんじゃなくて、殺すんだったっけ」




ELEMENT 属性 パチュリー・ノーレッジ

早く更新するつもりが一週間かかってしまいました。
3章が本当に年内に終われるのか?
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