東方三混和   作:語り部梔子

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前回のあらすじ

カナンを追い詰めるも、ドゥーは椛に2枚のユナイトカードを結合させて退散していく。
和徒は致命傷を受けたものの、永林の手によって大事に至らずに済んだのだった。
輝夜は永林に、自分もみんなと一緒に混沌異変へ立ち向かいたいと本音を吐露し、仲直りをする。
そんな光景に微笑む和徒だったが、輝夜は自身の小指を渡すと言う呪いのような告白をしたのだった。


封印と支度と外の世界 その1

「ねえ、いいじゃない和徒。ちょっとだけ、本当に先っぽだけでいいから」

 

「や、やめろ輝夜。そんなことしたら俺が耐えられない」

 

「ほら、きっと気持ち良いから」

 

「だめだって、くっ」

 

真夜中の激戦の翌日、夏も終わりに近づいてきた頃、年若い男女は汗ばんだ体を密着させていた。

 

「ねえ、あんたたちってそんなに仲良かったのかしら」

 

障子を開けて彼らを見た博麗の巫女の感想。

 

「ええ、もう熱々よ!ね、和徒」

 

「別の意味で暑いんじゃ。って、あぶねええ、ゴルドー投げんな!」

 

「早くそのデビルを私のハイドラで壊させなさいよ!」

 

星の戦士のピンクボールがエアをライドするゲームの真っ最中である。

以前の格闘ゲームと大きく異なるのは、輝夜が和徒の隣ではなく両足に挟まる位置に収まっていることだろう。

 

「和徒、貴方に頼みがあるのだけれど良いかしら」

 

「ああ、とっととこいつをボコすから待っててくれ」

 

「ふふ、デビルごときが伝説のマシンであるハイドラに勝てるとでも?って、ポイントストライク?!」

 

「バカめ、のんびりチャージしてる間に100点は貰っとくぞ」

 

「あ、ちょっと、CPUが残りの100点とるなんて嘘でしょ?!」

 

「はい、俺200点~」

 

「あ、この、うっ...」

 

「あれ、なんか伝説マシンが一般マシンに負けてるように見えるんですけど。バグかなあ」

 

「ッ......」

 

輝夜はコントローラーを静かに置くと体をひねり、和徒を押し倒す。

ポジションの時点で既に和徒の両足はロックされ、顔面も両手で固定される。

咄嗟に両手を突き出して輝夜の肩を掴んで押し返そうとするも、元々の種族と力量差で距離を維持することもままならない。

 

「ちょっとタンマタンマ、分かったから!謝るからこれ以上顔を近づけないでくれ!ついちゃうから!唇がくっついちゃうから!霊夢ううううううっその頼み事引き受けるから助けてくれっっっっっっっ」

 

「はいはい、ばかやってないで」

 

「ちぇ、霊夢がいなければ上手くいったのに」

 

霊夢が輝夜の首根っこを掴んだことで和徒の貞操は守られた。

 

「それで、その頼み事って何だよ」

 

「貴方には外の世界に行ってとある妖怪を退治してきてほしいの」

 

「外の世界?!一体どういうことだ」

 

「和徒なら外の世界に帰さないわよ!」

 

「輝夜、話がややこしくなるから少し黙ってなさい」

 

「...はい」

 

「それじゃあ説明するわね」

 

霊夢の依頼についての解説が始まる。

 

「昨日、朝目が覚めてなんとなく違和感があったのよ。博麗の巫女の勘ね

 

「それで、なんとなく博麗大結界を見に行ってみたら、妙な揺らぎがあったの

 

「ああ、別にこれといった影響はないから安心して頂戴

 

「調べてみると、博麗大結果の内側から何かが特別な手段で外側へ通過ことが分かったの

 

「その通過箇所には複数の種族の妖力が入り混じった奇妙な痕跡あったのよ

 

「おかしいと思わないかしら。全く同じ場所に混ぜ合わさった力が残るなんて普通ありえないわ

 

「紛い者を除いてね

 

「朝食をとった私は早速調査に行こうとしたのだけれど、その必要はなかった

 

「だって、参道沿いの要石が砕けていたのだから

 

「その石は紛い者を封印していた石。それが砕かれたと言うことは、封印が解かれたことを意味する」

 

 

「なるほど、読めたぜ。つまり、封印していた紛い者が外の世界に逃げたから退治して連れ戻してこいってことだろ?」

 

「話が早くて助かるわ」

 

一時期同居していたからか、和徒と霊夢は息のあった会話をする。

 

「ちょっと質問なのだけれど、その封印って厳重に掛けられていたんじゃないのかしら?それにただの一妖怪が博麗大結果を突破することが可能なの?」

 

「輝夜、良い質問だったわね」

 

「フッ」

 

絶世の美女はドヤ顔も様になる。

 

「封印されていた妖怪、多々良小傘は大して強くないし、結合した妖怪もかつて異変を起こしたといえども小人だったの。だから封印も簡単だったし、術式も「一定の妖力以下を押さえ込む」というものを使ったわ。押さえ込む妖力の大きさが少ない分持続力と効力にリソースを回せるから。その封印が解かれたと言うことは...」

 

「小傘の妖力が術式の設定値を上回ったってことか」

 

「そう。そして、外部から小傘の妖力を上昇させる方法はたった一つ。それはユナイトカードの2枚目の結合」

 

和徒の脳裏に先日の椛の姿がよぎる。

一度はカードを分離したものの、ドゥーの手によって2枚のカードを結合された惨状。

前例がある以上、霊夢の推理にも合点がいく。

 

「それじゃあ、博麗大結界を抜けた手段は?」

 

「詳しくわからないわ。ただ、これはきっと幻想郷内で奴らに手を貸した裏切り者がいると判断するべきね」

 

「「裏切り者?!」」

 

「あくまで私の勘だけど、、博麗大結界を強引に抜けるならともかく、あれほどまでに綺麗に抜けられるのは不自然だと思わないかしら。まあ、幻想郷の内部でそんな芸当ができる奴なんてほんの一握りのはず。そのうち尻尾を掴めるはずよ」

 

輝夜の質問に対して的確に答える霊夢。

会話の始点に戻る。

 

「詳しい説明は追々するとして、事態は急を要するわ。できれば明日の夕方には出発して欲しいのだけれど」

 

明日という突然の日程調整。

しかし、小傘やドゥーの目的が分からない以上、手遅れになる前に解決しなくてはならない。

 

「了解した。今日中に支度を整えて明日、博麗神社へ行くよ」

 

「ありがとう。この騒動を解決できるのは貴方しかいないわ」

 

かつて師弟関係にあった二人の信頼。

 

「えー、永林も安静にするよう言ってたし、明後日でもいいじゃん」

 

決意に水を差す輝夜であったが、永遠亭の庭で突風が巻き起こる。

 

「でしたら不肖私、射命丸文がお手伝いいたしましょう」

 




ACTIVE 乾 八坂神奈子

あけましておめでとうございます。
3章に色々書きたいことが多いのでまだまだ続きます。
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