東方三混和   作:語り部梔子

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運命の一戦


修行と英雄と紛い者 その2

「会えないってどういう意味だよ」

 

「そのまんまよ。少なくとも、当分は会わせるつもりはないわ。言っておくけれど、自力で向かったとして道中何者かに襲われたとしても助けないわよ」

 

つまりそれくらい本気でやれっってことか。

 

「わかった。対戦形式は?」

 

「ハンデとしてスペルカードは魔理沙1枚、和徒2枚、両方残機1の弾幕ごっこ」

 

「和徒はいつの間にスペルカードとか勉強したんだよ」

 

「朝昼晩、食事の度に教え込まれたんだ」

 

「スパルタ教育ってやつだな」

 

「それじゃあ二人とも、位置につきなさい始めるわよ」

 

境内で魔理沙と距離を空けて向かい合う。ちなみにベルトはすでに起動されて戦闘準備万端である。

 

「悪いけど、こっちもプライドがあってよ。修行の手伝いしてやるから許して欲しいんだぜ」

 

「俺が勝ったら魔理沙の修行を見てやるよ」

 

互いに挑発しあい、緊張が張り詰める。

 

「はじめッッ」

 

霊夢の合図と共に魔理沙は箒に跨り高く飛び上がる。

射程距離外まで一気に離されたため、否応なしに俺も飛行を強要される。

空中戦なら経験値の高い向こうのホームグラウンドだ。

 

「お手並み拝見と行きますか」

 

魔理沙が弾幕を展開する。

こちらも弾幕を張るか考えるが、今の技術で飛行、回避、攻撃のマルチタスクを魔理沙相手に実行するのは押し負ける可能性が高い。

 

「このまま避けに専念して距離を詰めるッ」

 

俺が魔理沙に有利な点は一つのみ。スペルカードの数。ジリ貧になってその利点を使えずに負けるのが一番良くない。

射程距離に入れたところでスペルカードを使用する。

 

「『オリジンカッター』!」

 

白色のカッターが2枚、魔理沙を目掛けて射出される。大きさは1メートルほどだが、その分速度と威力、操作性にリソースを割いている。

 

「のわっ」

 

不意打ち狙いで命中すれば良かったが、ギリギリのところで避けられる。

だが、これだけでは終わらない。このカッターはマニュアルでも操作できるがオートの追尾機能も備えている。

大雑把だが2枚の刃に追われるのは厄介なはずだ。

 

「こいつ追いかけてくるのかよ!だったらこっちも弾幕の密度を上げるぜ」

 

宣言通り弾幕の量が増えたことで、避けるが難しくなった。まだ拙いが霊力で防御壁を作りながら突き進み、距離をさらに縮める。

 

「どうやらこのカッター、出始めの速度はすごいけど時間が経てばある程度落ち着くようだな」

 

もう弱点がバレた。指摘されたようにオリジンカッターは速攻性に重点を置いているため、時間が経つと速度が一定値に収束する。

だが、十分距離は縮めたし、カッターの位置も完璧。腕を十時に組んで2枚目のスペルカードを使おうとしたその時、

 

「このカッターと次のスペルカードで挟み撃ちにする魂胆だろうけどそうはいかないぜ」

 

魔理沙は凄まじい速度で急旋回を行うことで挟み撃ちから抜け出して、魔理沙の斜線上に追尾していたカッターと俺を同時に位置取った。

そのまま手のひらサイズの八角柱を右手でこちらに向け、左手でそれを支える。

霊夢から話には聞いていてたミニ八卦炉だ。つまり、魔理沙のスペルカードが使われる。

 

「恋符『マスタースパーク』」 「『オリジンブラスト』」

 

魔理沙から放たれた極太レーザーは即座に命中したカッターを砕き、俺の光線と衝突する。

明らかに威力の規模が違った。押され始める。痛感する幻想郷の実力者の強さ。

 

攻撃が着弾する。

 

「勝負あり、そこまで」

 

霊夢が勝敗を宣言した。

 

「和徒の勝ちよ」

 

極太レーザーが俺に命中するよりも早く、魔理沙の背中を高速カッターが穿ったことによる決着。

 

 

 

 


 

 

 

 

「おい、あのカッターどういうことだよ」

 

結果に納得してなさそうな魔理沙が突っかかってくる。

 

「そもそも勘違いをしている。オリジンカッターは4枚のカッターを飛ばす技だ」

 

「4枚?私は2枚しか見てなかったぞ」

 

「それは俺が時間差で2枚ずつ飛ばしたからだ」

 

スペルカード使用時に初動の2枚を飛ばす。その後距離を詰めてオリジンブラストを使う瞬間、後ろに残りの2枚を飛ばしてあとはマニュアル操作で相手の視界の外から命中させる。

タイミングこそシビアだが特に難しいことはしていない。

 

「なるほど、あからさまな挟み撃ちにしていたのも後発の2枚から注意を逸らすためか」

 

「本来はあの挟み撃ちで勝っているつもりだったんだ。魔理沙がまさかあんな回避を見せるなんて驚いた。だからもう一つの作戦を使った」

 

「照れるぜ」

 

「あんた一応負けたのよ」

 

「和徒、今のあんたの実力を認めるわ。ちょっと休憩したら用意しなさい」

 

いまいち実感が湧かないが今日中に会えるかもしれない。

 

 

 

 


 

 

 

 

「この箒、思ったよりも乗り心地いいな」

 

「だろ?今は二人乗りだから安全運転だが、和徒さえよければ速度を上げ」

 

「このままで」

 

あのあと、魔理沙は負けた罰として俺のことを人里に案内することになった。そのため魔理沙の箒に乗せてもらっている。

てっきり守矢神社に行くと思っていたが、昼間は神社にいない可能性もあるので先に人里を見てから守矢神社に行くことで確実に会う作戦らしい。

 

「魔理沙、霊夢からもらったこのお札がびっしり貼られたもの、なんだと思う?」

 

「お守りじゃね?」

 

「サイズはそうかもしれないけど、怖すぎだろ」

 

出発の際、霊夢から手渡された薄い物体。

その異様さは夥しいほどついたお札である。何か尋ねても、

「必要な時になったらわかる。もし早苗に会えてもその状態だったら返しに来なさい」

とのこと。

 

「それより和徒、ベルトはどこにしまってるんだ?」

 

「ベルトはスペルカードにしたんだ、カオスドライバー」

 

名前を呼んだことで腰にベルトが出現し、巻き付く。修行中、ベルトの持ち運びをどうするのか霊夢と話し合い、スペルカードとして持ち運べたら楽だという結論になったのだ。

ベルトの命名をしたのは霊夢であり、命名理由は勘。

ちなみに早苗たちのカードもベルトに備え付けてあったホルダーに入れてある。

 

「雑談してたらあっという間だったな。ついたぜ」

 

「ここが人里か」

 

見えてきた人里。さながら昔の街というような風景。

 

「それじゃあ早苗がいそうな場所に案内するからついてこい」

「任せた」

 

突如、人々の叫び声が響き渡る。

その方角を見ると、逃げ惑う人と異形の怪物。

ふと、魔理沙がつぶやいた。

 

「紛い者がでやがった」

 




混沌異変だからカオス
ベルトは大体ドライバーっていうから
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