東方三混和   作:語り部梔子

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前回のあらすじ

世界の境界を超え、並行世界の宇佐見蓮子である宇佐見菫子の助力により、和徒は紛い者の小傘を撃破した。


探究心と少女秘封倶楽部とエピローグ

右手から放つレーザーと共に撃ち込まれた蒼い火球に飲み込まれた小傘は、2枚のカードと共に焼け焦げた地面に横たわっていた。

 

霊夢からの依頼、『外の世界へ逃亡した紛い者、多々良小傘を捕まえる』は紆余曲折あったものの、無事完遂した。

カードを回収し、小傘を担いでメリーさんたちの元へ駆け寄る。

 

「ありがとう、菫子さん。本当に助かったよ」

 

「いやいや、礼には及ばないさ」

 

「並行世界の蓮子って、カッコいい系なのね。どこで差がついたのかしら」

 

「おい! こっちの私はカッコ悪いってのか?」

 

言われてみれば、どことなく雰囲気は似ているものの、同一人物とは思いにくい。

名前が違うように、もっと根幹の部分で世界線が異なるのだろうか。

 

「その件について、一つ話したいことがあるのだが良いかい?」

 

「ああ」

 

菫子さんが俺に質問を振ってくる。

 

「幻想郷という単語に聞き覚えは?」

 

「幻想郷って、和徒くんがやってきたっていう場所だっけ」

 

「出身はこっちの外の世界だけどね」

 

2つ目の質問。

 

「なるほど。それでは、幻想郷に博麗霊夢、または八雲紫という女性はいたかい?」

 

楽園の素敵な巫女と、境界の妖怪。

 

「霊夢とは友達だし、八雲紫に会ったことはないけれど幻想郷にいるぞ」

 

この二名は幻想郷の中でも有名人だからいるのは当然だと思ったが、菫子さんにとっては予想外だったらしい。

 

「ふーむ、それは妙だな」

 

「妙...?」

 

「ああ、私も別の世界だが幻想郷へ行ったことがあってね。私は超能力でその人妖がもつオーラを見ることができるんだ。だから、もう一人の私にも気付けただが、君たち二人のオーラは博麗霊夢と八雲紫に似過ぎている」

 

「『似ていること』がおかしいのかしら?」

 

「いや、そこじゃないんだ。私こと菫子も蓮子と似ている。これは並行世界の私自身だからという理由で説明がつく。だから、私は君たち二人が並行世界の博麗霊夢と八雲紫ではないかと考えたのだよ。しかし、どうやらその二人は存在している。つまり、この世界において『博麗霊夢』と『八雲紫』は二重存在になっていることがおかしいんだ」

 

この世界において、全く同じ物は存在しない。

これは、宇宙そのもののルールだ。

だが、菫子さんの話によると、俺とメリーさんの存在はそのルールに反している。

メリーさんと八雲紫がどこか似ているとは薄々感じてはいたが、まさか俺と霊夢にもあてはまるなんて思いもよらなかった。

 

「あなたのその説明。きっと正しいと思うわ。だけど、この世界に私と和徒君が存在している以上、まだ解明されていない謎があると考えるべきね」

 

「俺もそう思うぜ」

 

正直にいうと菫子さんの話を理解するので手一杯だったので、そんなことは一度も考えていなかった。

つまり見栄である。

 

「秘封倶楽部の会長である私にとって、その謎は是非とも解決したいものだが、生憎世界を繋いだ教会が閉じそうだ」

 

菫子さんの視線の先には、目玉が蠢くスキマがあったが、当初と比べてかなり小さくなっている。

あの境界が閉じれば、菫子さんは帰れなくなるだろう。

 

「帰る前に、これを渡しておこう」

 

そう言って、菫子さんはポケットから取り出したカードを俺に手渡した。

描かれているのは菫子さん自身。刻まれた文字は『PSYCHIC』。

 

「先ほどの戦闘中、突然現れたのだよ。和徒くん、これは君が持っていた方が良いはずだ」

 

「ありがとう」

 

「それでは、さらばだ。別の世界の秘封倶楽部の諸君。世界は異なれど我らの探究心は変わらん!」

 

最後までカッコいいセリフを残し、スキマの奥へと消えていった。

 

「...蓮子を返品して菫子さんに変えてもらえないかしら」

 

「聞こえてるわよ、メリーッ!!」

 

謎は残ったままだけれど、そろそろ俺も幻想郷へ帰るとするか。

俺がいない間に強力な紛い者が現れて幻想郷が滅亡の危機に瀕しているかもしれないし。

 

「和徒君もお別れね」

 

「なんだか寂しくなるわ」

 

「ほんの数日間だったけど、楽しかったですよ」

 

しんみりした空気になってしまった。

俺も何かカッコいいセリフを言うべきか?

 

「このカードも持って行きなさい」

 

八雲紫が描かれたカードを受け取った。

 

「良いんですか?、このカードがないとメリーさんはもう幻想郷に行き来できないんじゃ...」

 

「私は秘封倶楽部よ。菫子さんみたいに境界を超えて幻想郷にたどり着いてみせるわ」

 

「ちょっと、幻想郷にまだ行ったことのない私を除け者にしないでよ」

 

「また会える日を楽しみにしてる」

 

懐からお札を取り出す。

霊夢に渡された帰還用の札。

霊力を込めると、目の前にスキマが開かれる。

 

「そういえば、まだ答えてなかったよね」

 

「蓮子さん?」

 

「私たち秘封倶楽部がどうしてオカルトを探求するかっていう理由」

 

「確かに答えて無かったわ」

 

ああ、そういえばそんな話をしていたっけ。

 

「「科学を全てを解き明かしたこの時代に、まだ誰も知らない秘密がある。だから私たちはその神秘に挑戦するのよ」」

 

 

 

 

外の世界は名残惜しいが、俺には帰らなくてはならない場所がある。

そこは、封じられた秘密で満たされた場所。幻想郷。

もし彼女たちがこの地へ来たならば、手厚く歓迎するとしよう。

 

 

 


 

 

 

 

境界を抜けた先には一本の鳥居。

曇天の元、そこには見知った神社があった。

 

あるはずだった。

 

「なんだよこれ...」

 

博麗神社はあった。と言うよりも、博麗神社だったものがそこにはあった。

一言で言い表すなら、半壊。

幻想入りして間もない頃、俺が霊夢と過ごした場所は崩れていた。

 

かろうじて形を残していた戸を開け名前を呼ぶ。

 

「霊夢!無事かあああああっ」

 

「何よ。朝っぱらからうるさいわね」

 

「え、大丈夫なのかよその傷」

 

屋根が崩れて手狭になった部屋に敷かれた布団で普通に寝てた。

しかし、その体は包帯に包まれていて痛々しい。

 

「まあ、後遺症はない程度にやられたからね。任務御苦労様。これから朝食を作るけど食べていくかしら?」

 

「じゃあ、いただきます。じゃなくて、『やられた』って誰にやられたんだよ!」

 

「早苗よ」

 

ん?今なんて言った?

俺の聞き間違いか?

 

 

 

「早苗によって幻想郷は滅亡の危機に瀕しているわ」

 

 

 

 

3章『封じられた秘密』 閉幕

 

新章『神の喧騒、闇の幻想、』 開幕

 

 

 

 




いかがだったでしょうか。

3章で登場したフェニックスフォームはオーガフォームがパワー特化だったので、スピード特化の形態だろうと使うカードが予想できた人がいたかもしれませんね。
私生活での忙しさや、書きたいシーンの増加で半年以上もかかってしまったのは反省点でもあります。
次回は設定資料集です。

そして、4章ではいよいよ中間フォームが登場します。
是非使うカードを予想してみてください。
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