オリジンフォーム
黒目黒髪のミディアムボブ 髪がギリギリ肩にかかるくらい
女子高生をイメージしたブレザーの制服
夏なので上はワイシャツと水色のリボン
季節によってカーディガンなども増える
下は紺色のスカートに黒のソックスとローファー
「紛い者?」
「ああ、最近起きてる異変だよ」
霊夢から聞いた。この幻想郷では、時々空が赤い霧で覆われたりいつまで経っても春が来ないといった異常現象が起き、それを異変と言うと。
「ここ最近では混沌異変ってのが起きてて、簡単に言うと力を持ったカードと結合した人間や妖怪が、最終的にああいう異形の姿になって暴走するんだよ」
怪物を指差しながら魔理沙が言う。
「つまり、2本の角を頭に生やし、腕に鎖を巻きつけたあの怪物が人間かもしれないってことか?」
「ここは人里だから十中八九そうだろうな」
思わず息を呑む。かつて人間だった怪物。そして想像するその末路。
「まさかだけど、ずっとあのままってことはないだろ?なんとかして人間に戻す方法とかあるんだろ?」
返事は返ってこない。
「なんとかいってくれよ、おい」
「......ない」
「は?」
か細い声でようやく返事が返ってきた。
「あそこまで結合したらもう元に戻す方法はない。あるとするなら、それは殺して楽にしてやることだ」
突如告げられた残酷な現実。そんな事情はお構いなしだと言うように、怪物は暴れ人々は逃げ惑う。
「とりあえず今、私たちにできるのは紛い者を無力化してみんなを守ることだ。一緒にやってくれるよな?和徒」
「...ああ」
ベルトを使って変身し、駆け出した。
「魔符『スターダストレヴァリエ』」
スペルカードが炸裂する。しかし、ダメージは軽傷といったところ。
「くそ、こいつ頑丈すぎるだろ」
「住人の避難は終わったぞ!」
「ナイスだぜ」
魔理沙は空中から牽制を行い、俺は地上で防御と避難誘導。このフォームーションがうまく作用したことでおそらく負傷者は少なくできただろう。
中には新顔の俺を訝しむ人もいたが、状況が状況なのでなんとかなった。
魔理沙も地上におりて合流する。
「ずっと観察していたが、一つわかったことがある。あいつは萃香の紛い者だ」
「萃香?」
知らない人の名前が出てきた。
「あれ?あいつ博麗神社来てないのか。まあ萃香は二本角の鬼だよ。鬼」
鬼。幻想郷には様々な妖怪がいるのだからあまり驚きはない。
「萃香は酒好きの鬼で密度を操る能力を持っている」
「密度を操る能力って具体的に何ができるんだ?」
いまいちピンとこない。
「密度を集めて拳に熱を溜めたり、霧になって移動したり、原理はわからないけど巨大化とかもしてたな」
「結構便利な能力だな」
「ああ、さっき一瞬拳が赤くなったのが見えてな。角の本数も同じだし絶対萃香の紛い者だぜ」
相手の手の内が見えたと言うアドバンテージは大きい。だが、大きな問題がある。
「鬼の体はかなり頑丈だ。おそらく本家ほどじゃないだろうが紛い者の硬さも相当だ」
確かに、先ほどから弾幕を幾度くらっても大きなダメージに至っていない。
「さらに、問題としては結合度が今後大きくなる可能性もある」
「結合度が大きく?」
「結合度は1〜5まであるんだ」
魔理沙が言うにはカードとの結合度によって性質が異なり、以下に示されるらしい。
結合度1 姿は変わらず、カード元の力を限定的に使える。任意で結合を解除可能。
結合度2 カードと分離が不可能になる。使えるカードの力も強くなる。
結合度3 カード元の身体的な特徴が現れる。
結合度4 より特徴が顕著に現れ、自我を失い暴走する。
結合度5 悪意に呑まれた自我が生まれる。
「おそらく奴の結合度は4だ。5になると知恵がつくから厄介なんだぜ」
「つまりこれ以上強くなる前にあの頑丈な防御を突破しなければいけないってことか」
現状奴に致命傷を与えられそうな技は思いつく限り一つだ。
「私のマスタースパークなら決定打になりうる。ただ、さっきからバカスカスペルカード使ったせいで魔力切れになる可能性があるから注意しなくちゃいけない」
「もし、魔力が切れたらどうなるんだ?」
「普通の魔法使いから普通の女のこにジョブチェンジだな」
手札がそれしかない以上失敗した時のことを考えても仕方がないな。
「そういえば、さっきから話に出てるカードってこれのことか?」
持っていた早苗と魔理沙らしき絵が描かれているカードを見せる。
「そう、それそれ。ってなんでお前が持ってんだよ!しかも私のまで」
「魔理沙のカードは初めて戦った時の妖怪が持ってたんだよ」
「あー、あとで色々聞くことができたけど、とりあえず作戦はいいな?」
「俺が奴の動きを止めて、魔理沙が無力化する、だろ?」
「それじゃあ始めるぞッ」
魔理沙は再び空中へ飛び出し、スペルカードの発動準備をする。
紛い者も魔理沙に気づいたようで目で追う。
「おいおいお前の相手は俺だぜ、『オリジンカッター』」
4枚の刃が射出され、奴の周囲を舞う。これは、当てるための攻撃じゃない。動きを止めるための攻撃だ。
「『マスタースパーク』ッッ」
行動を阻害されたところへ極太ビームが直撃。飛行を維持できなくなった魔理沙が地面に立つ。
「流石にこれ以上の戦闘は勘弁だぜ」
しかし砂煙が晴れると、そこに倒れているはずだった奴の姿は見当たらない。
「バカなッ」
再び緊張状態になり咄嗟に周囲を探す。
「ここだよ」
振り向いた瞬間とてつもない衝撃に襲われた。
どうやら10メートルほど吹っ飛ばされたらしい。咄嗟に防御したものの、鬼の怪力は規格外のようだ。
近くに、倒れた魔理沙の姿も見える。魔力切れだったことで完全には防ぎ切れなかったみたいだ。
一体何が起きたんだ。なぜマスタースパークをくらったはずの奴は平然としている。
紛い者がこちらへと距離を詰めてくる。あの怪力相手に接近戦は無理だろう。
魔理沙を抱えて飛んだ。一旦逃げるしかない。
「おいおい逃げるなよ」
突如目の前に紛い者が現れて蹴りを放ち、地面に叩きつけられる。
咄嗟に抱えていた魔理沙を横に投げたので、二人同時に喰らわなくてよかった。
再び目の前に瞬間移動し、パンチを繰り出してくる。
しかし、これは読んでいた。
「『オリジンブラスト』ッ」
「やべっ」
腕をクロスして防御される。
今気づいたがこの紛い者、会話が可能になっていた。先ほどまでの暴れていた様子から一変して、異様な雰囲気を纏っている。
つまり、結合度が4から5に上がったと言うことらしい。魔理沙の言っていた通り、知恵をつけたようで厄介だ。
そして、今ので先ほどまでの謎がようやくわかった。マスタースパークが効いてなかったのは瞬間移動して避けたからだ。正確に言うと体を霧に変えたらしいのだが。
さっきのオリジンブラストは完全に不意打ちだったようで、咄嗟に霧にするのは難しいようだ。
トリックがわかったもののどうやって対策したものか。火力も手札も足りてなさすぎる。
「てめえの下にあるその札はなんだ?」
ふと、足元を見ると禍々しいお札が散らばっているのが目に付く。
このお札には見覚えがある。霊夢から預かった謎の物体に貼り付けてあったものだ。
物体を取り出すと、お札は剥がれて一枚のカードがあらわになっていた。
表にはFLYの文字、裏には霊夢らしき絵。ベルトに何かを挟む場所が3つあったのを思い出した。
ベルトのレバーを引いて箱の中にFLY、STAR、MIRACLEのカードをセットし、箱を閉じたその時、
『HEROIC』
体を黄色い光が包み込んだ。
HEROIC 英雄的