君の背を追いかけて   作:ハーヴァ

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輝く一歩

「お姉ちゃん、私、アイドルになりたい。」

 

詩音の言葉が、凛音の胸を強く打った。予想していなかった告白に、凛音は一瞬言葉を失った。心臓が高鳴り、驚きとともに詩音の瞳を見つめた。その瞳には、強い決意が込められているように感じたが、それと同時に、隠しきれない不安がうっすらと浮かんでいるのが見えた。

 

「アイドル…?」凛音は息を呑みながら、ゆっくりと口を開いた。「本当に、アイドルになりたいの?」

 

詩音はうなずいた。その動作は少し力なく、まるで心の中で何かを葛藤しているかのようだった。顔をわずかに下げると、目を少し閉じ、何かを必死に考えている様子だった。その表情が、凛音にはどうしても気になってならなかった。普段なら、明るく元気に答える詩音が、こんなにも不安そうで沈んでいるなんて。

 

「うん…ずっと思ってたんだ。でも、お姉ちゃんには言えなくて。」詩音の声は震えて、ほんの少しだけかすれていた。まるで心の中に押し込めていた気持ちが、ようやく表に出てきたような感じだった。

 

その言葉を受けて、凛音は目を細め、少し胸が痛んだ。妹の言葉がまるで自分に突き刺さるような感覚に襲われる。そんな中、凛音は冷静を保とうとし、詩音に向き直った。「どうして今、急にそんなことを言うようになったの?」

 

詩音はゆっくりと息を吐き、目を閉じたまましばらく沈黙していた。心の中で何かが渦巻いているのが、凛音にも伝わってきた。それが、まるで詩音がどれだけ自分の気持ちを抱えてきたかを示しているようで、凛音の胸は苦しくなった。

 

「だって…お姉ちゃんがモデルを始めたとき、私はすごく嬉しかった。でも、それと同時に、なんだか自分が遠くに感じるようになった。お姉ちゃんはいつも忙しくて、私、取り残されたんじゃないかって思って、すごく寂しくて…」詩音の声は少し震え、目には涙が浮かんでいた。彼女はその感情を必死に抑えようとしていたが、どうしてもその痛みを隠しきれなかった。

 

「それで、アイドルになりたいと思ったんだ?」凛音の声には、妹を抱きしめたい気持ちがにじんでいた。詩音がどれだけつらい思いをしてきたのかを感じ取って、凛音の心は切なくなった。

 

「うん…。お姉ちゃんみたいに、誰かを笑顔にしたいって思ったんだ。でも、ずっとそれを胸にしまってきたから、どうすればいいかもわからなくて…」詩音は泣きそうな顔で、必死に涙をこらえながら話す。声は震えて、言葉一つ一つがまるで心からこぼれ出るようだった。

 

「でも…どうしても不安になる。私がアイドルになったとして、お姉ちゃんと過ごす時間がどんどん減っていくんじゃないかって。私はそのことが、すごく怖いんだ。」詩音は顔を少し下げ、目を閉じる。心の中で葛藤が渦巻いていることが、凛音には痛いほど伝わってきた。

 

その言葉を聞いた凛音の胸は締めつけられるように痛んだ。妹の気持ちが、あまりにも切実で、涙が出そうになった。しかし、詩音が一生懸命に自分の気持ちを伝えようとするその姿勢が、凛音の心をしっかりと掴んで離さなかった。

 

「詩音…私は、君がアイドルになることを反対するつもりはない。ただ、もし本当にその道を選ぶのなら、なぜアイドルになりたいのか、ちゃんと自分の中で答えを見つけてほしい。」凛音の声には、妹を大切に思う気持ちがこもっていた。どれだけ辛くても、妹が自分の道を進むために必要な答えを見つけてほしいと思った。

 

詩音は少し驚いたような表情を見せたが、すぐにその目をしっかりと凛音に向けた。「うん、わかってる。でも、どうしてこんなに悩んでるのか、私でもよくわからない。ただ、お姉ちゃんに近づきたかった、というのが大きいのかもしれない。」

 

その言葉を聞いた凛音は、胸が熱くなった。詩音の気持ちが痛いほど伝わってきて、心が締め付けられるような思いが込み上げてきた。

 

「近づきたかったって…私に?」凛音は少し驚きながらも、詩音をじっと見つめた。詩音の気持ちを知ることで、ますます自分の気持ちが複雑になっていくのを感じていた。

 

「うん。」詩音は少し照れくさそうに微笑んだが、その笑顔の裏には深い思いが感じられた。「お姉ちゃんがすごく輝いているから…私もその一歩を踏み出してみたいって思ったんだ。」

 

その言葉を聞いて、凛音は胸の奥で何かが崩れそうになった。妹がこんなにも自分を憧れてくれていることに、嬉しい気持ちと切なさが入り混じって、心がいっぱいになった。

 

「でも、詩音。」凛音は少しだけ息を吸い、言葉を続けた。「私は、君がどんな道を選んでも応援する。でも、アイドルになるということは、思っている以上に大変で、厳しい世界だよ。だから、もし本当にやりたいなら、しっかり考えて、その気持ちを大切にしてほしい。」

 

詩音は真剣な表情で凛音を見つめ、深く頷いた。「うん…私、もう一度ちゃんと考えてみる。でも、どんな答えが出ても、お姉ちゃんには絶対に相談する。私、もう後戻りしないよ。」

 

その言葉を聞いて、凛音はようやく心からの安心を感じた。妹が自分の気持ちを大切にしようとしているその姿勢を、心から誇りに思った。

 

「ありがとう、詩音。」凛音は少しだけ笑って、妹の手をそっと握った。「私も、何でも相談に乗るからね。」

 

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