ガンダムGQuuuuuuX〜よっしゃ、宇宙世紀だ……なんか違くない? 作:とりマヨつくね
ようやくストーリーも折り返し時点に入りました。
毎回お待たせしてすいませんが、楽しんでいたただけるように頑張ります。
感想、評価いつでもお待ちしております。
「なぁ、ニュータイプって本当にいると思うか?」
突如そんな質問を投げかけられ、俺は飲んでいたウィダーインゼリーから口を離す。
「どうしたんだよ、いきなり」
先ほどの訓練の疲れが取れていないせいか、俺は若干いい加減な返答をする。
だが興味を持ったと思ったのか、そいつはキラキラと目を輝かせながら話始める。
「だってさ、人間同士の思惟が直結することによりコミュニケーションに誤解が生じなくなり、誤解なく意思や考え方が通じ合うんだろ。ソレってすげぇロマンチックじゃね!?」
「ふむふむ、ちなみにどこら辺がロマンチックなんだ?」
「決まってるだろ、男女二人で愛を━━━━━」
「はいはい、お前みたいな色ボケ聞いた俺がアホだったよ」
「なんだと!? そんなんだからお前は童貞なんだよ」
「童貞言うな! テメェみてぇに頭ピンクと一緒にすんなよ!」
「あぁ!? 童貞は童貞だろ。そんなんだから童貞なんだよバァカ!」
「いい加減にしろよ、テメェ! 童貞連呼しやがって……その根性叩き直してやるよ! このヤリ〇〇がッ!」
「上等だ、ゴラッ!」
あまりに童貞を連呼する野郎に堪忍袋の緒が切れた俺は、ゼリーを一気に飲み干すとそいつに向かって襲いかかり、取っ組み合いを始める。
しかしその決着はあっさりと付いてしまった。
「貴様ら、いい加減にしないか!」
「「そげブッ!?」」
いつ間にか目の前に現れた軍曹による鉄拳制裁によって、俺達はゆっくりと地面に落下していき━━━━━━
「いだっ!?」
そしてジンジンとくる鈍い痛みと唐突な衝撃によって目を覚ました。
……どうやら、俺は眠っていたようだ。
えっと、確か……ああ、そうだ。
昨夜、サイコガンダムとの死闘……と呼ぶにはあまりにもお粗末だったが、なんとか生き残った俺は疲れてそのまま眠ったんだ。
それにしても訓練兵時代の夢を見るとは……懐かしい気持ちになった。
訓練は大変だったし、あの鬼軍曹には散々しごかれたが、今にして思えばこの世界での平和を一番享受していたかもしれない。
今、死に真面目に直面し続けているから余計に!
プルルルルルルルッ!
俺が少し思い悩んでいると、部屋に備え付けられていた固定電話が鳴り響く。
受話器を取り、耳に当てると電話越しの人物に向けて話しかける。
「もしもし、何かご用ですか?」
『あ、もしもし! エド特務中尉、今すぐブリッジまで来てください』
「……あのー、コモリ少尉。朝ごはん食べた後じゃ、ダメですかね?」
『何を言っているんですか。そんなことは後にしてください。それに中佐からも呼び出しされていますよ』
「はい! 今すぐ行きます! いや、行かせていただきます!」
俺は急いで電話を切ると、軍服に着替えるとブリッジに向かって全速力で走り始めた。
◇
「ぜひッ……お待たせ……ぜひッ……しました……ゲホッ……!」
「何してるんですか……あなた」
息も絶え絶えになりながら敬礼をする俺のことを、コモリ少尉が半眼を向けてくる。
いや、君がとんでもない脅しを掛けてきたのが悪いんだからね?
一方の呼び出した張本人であるシャリア・ブルは、いつものニコニコとした笑みを浮かべている。
「おやおや、そんなに急ぐ必要性もなかったのですが……まぁ、ひとまずは来てくれてありがとうございます」
「い、いえ……これぐらい……なんとも……あいたたた……」
わ、脇腹が痛い……いや、これは胃が痛いのか?
もうどっちが痛いのかわからないぐらいには、ストレスが掛かっているのは間違い無いですねぇ!
ひとまずゆっくり息を整えながらシャリア・ブルへ問う。
「それで、何か……ご用で?」
「ええ、もちろんです。と言っても、聞いて欲しいのはこの場の全員ですが」
そう前置きをしたシャリア・ブルに、この場にいる俺を含めた全員の視線が集中する。
それを確認したシャリア・ブルは、いつものにこやかな笑みとは打って変わって真剣な表情で話始める。
「キシリア様からの密命です。一度、地球に降ります」
「地球に……一体、何ようですか?」
質問するのはソドンの艦長ラシット中佐だ。
それは俺も気になっていた。
確かに現在、エクザベ君がいなくなったことにより、ソドンのまともなパイロットがいない状態なのだ。
とはいえ、俺自身はあくまで雇われの傭兵であり、先のサイコガンダム戦で軍警を攻撃をしてしまったことがかなり不味かったらしく、複雑な立ち位置であるのだ。
あ……そう考えたら、胃が痛くなってきた。
そんな俺の気持ちなんてお構いなしに、シャリア・ブルはその目的を口にする。
「シャロンの薔薇です」
「シャロンの薔薇?」
思わずオウム返しに聞いてしまった。
でもどっかで聞き覚えがあるんだよな。
「月面基地グラナダの地下に収容、研究していたオブジェクトの総称です。曰く現代のサイコミュはそのオブジェクトから解析していたデータを基に開発されたようです」
はえー、そんなオーパーツまがいの代物があったんすねー。
原作では影も形もなかったけれど、これもこの世界特有の違いなんだろうか。
なんだろう……すごくきな臭い匂いがするんだが。
ん? ちょっと待て。
あのー、すいまs……
「なんでそんなブラックボックスの塊が地球なんかにあるんですか? グラナダに収容されていたんじゃないんですか?」
俺が質問しようとした瞬間、隣にいたコモリ少尉に先を越された。
「戦争末期にグラナダに落下する途中のソロモン内部でゼクノヴァが発生したのと時を同じくして「薔薇」も消失し、行方知れずになっています。故に我々はその捜索を……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
思わず敬語を忘れて、シャリア・ブルを慌てて止める。
「どうかしましたか?」
「俺の勘違いじゃなければ良いんだけど、もしかしてシュウジが探してる地球にある薔薇って……」
「ええ……シャロンの薔薇である可能性があります」
……ねぇ、本当に何してるの?
なんであの天然は、軍の機密を探してるの?
やめてよぉ、あいつほどのNTが探してて、キリシアがご執心の代物なんて絶対ロクでもないやん!
「……つまり、シャロンの薔薇を追えば自然と赤いガンダムに近づくってことでいいんだな?」
「そう言うことです。無論、貴方にも協力を要請します」
「……はぁ、分かりました。やればいいんでしょ、やれば……!」
俺が投げやりに答えた瞬間、艦内に警報が鳴り響く。
何事かと慌てて外を見ると、コロニーから何かが青い軌跡を生み出しながら飛び出した。
目を凝らして見てみると、それはかなりスピードで迫っていき通り抜けた。
そして一瞬ながらも視界に捉えた正体に、俺は目をひん剥いた。
「ジークアクス!?」
「そんなッ!? あれは後日、返却されるはずなのに!」
「あの方角……地球に向かってます!」
そんなオペレーターの叫びに一同に緊張が走る。
ジークアクスの顔が開いていたと言うことは、乗っているのはNT……つまりはアマテちゃんだ。
まったくNTってのは、何か突飛なことをしないと死んじまう病気なのか!?
「はっはっはっ、彼女なかなかやりますね」
なんか高笑いしてますけど、これは流石に不味いんじゃないでしょうかねシャリア・ブルさん!?
「ええ、ですからお願いしますね」
「心を読まないでくれ! というかお願いしますねって言われても射撃兵装が……」
「ジークアクスの予備のビームライフルがあります。ケンプファーの出力なら問題なく撃てるはずです」
「いや、そう言う話ではなくてですね……」
「お願いしますね」
「あ、はい」
無理矢理押し切られ、俺は項垂れるように首肯した。
俺ってば、いつもこんなことばかり!
◇
すぐにパイロットスーツに着替えた俺は、ケンプファーに乗り込み出撃準備を整えた。
近くのハンガーから担架されていたビームライフルを手に取り、カタパルトに足をつける。
チャンバーが脚部を固定し、ハッチが開く。
「おおっ……!」
そこに広がっていた光景に俺は感嘆の声が漏れた。
視界には青い円球━━━━━━━━━━━━━地球がそこにあった。
前世では限られた人間だけが見れた景色、それが俺の目の前にある。
それもこのソドン、いやホワイトベースのカタパルトデッキから出撃するこの瞬間だからこそ感じる感動があった。
もしシュウジと同じようなNTがこの光景を見たらなんて言ったのだろうか。
俺は残念ながら、アイツの言うキラキラなんてものは見えないけれど。
俺と同じように美しいと感じるのだろうか。
そんなある種のセンチメンタルな感情を大きく吸って、飲み込んだ。
『出撃準備完了、タイミングをパイロットに譲渡』
「了解。エド・スターリング、ケンプファー出る!」
俺の宣言と共にカタパルトが火花を上げながら稼働し、その加速に思わず奥歯を強く噛み締める。
やがて機体が射出され、操作の自由を取り戻すと操縦桿を握り締め、フットペダルを踏み込んだ。
バズーカを背負わずに軽くなっている為か、少し操作に慣れないが問題はない。
「見つけた」
いつも以上のスピードが出るおかげで、目標にすぐに追いつき視界に捉える。
ビームライフルを構えると、当たるギリギリの所を狙って放つ。
当然、射撃は回避されてしまうが、シュウジと違ってキレがない。
「止まれ」
オープンチャンネルで呼びかけると、すぐに返答が返ってきた。
『その声……ヒトデナシ!』
「おい、ヒトデナシ言うな」
地味に傷つくんだぞ。
泣く泣く、乳臭い女子高生のことを追い回さなきゃいけない俺の気持ち考えてよ。
まぁ、そんなこといたって彼女の認識は変わりないだろうし、無意味だろうから言わないけど。
それに仕事だしな。
所謂、『騙して悪いが』って奴だ。
最低限、機体を傷つけないようにビームライフルで牽制していると、逃げていたジークアクスが反転しブースターで一気に接近してくる。
なるほど、逃げれないなら武器でも奪いにきたか。
悪くないと思うけど、残念ながら練度だけはこっちの方が上手いんだよ!
俺もブースターを噴かし、シールドバッシュによる突撃で怯ませる。
『ぐぅあ! どうしてこんなに強いの!? ヒトデナシのくせに!』
「うるせぇ、やい! そういうアマテちゃんだって、脱獄しておいて人のこと言うなよ!」
『あれは私がやってない!』
「うんうん、そうだね。でも世間はそういうのは認めてくれないの!」
『ッ! ほんと、大人って窮屈……!』
「こっちからしたら今時の子は自由すぎると思うけど……ん、あれ?」
なんか、ブースターが止まらない……むしろ速くなってきているぞ。
凄く嫌な予感がするんですけど。
「モハヤ、ゴーストファイターデハナイ」
よりによってネタは止めてくれ。
……というか今の誰だ!?
『あれ、なんか速くない?』
「あ、アマテちゃんもそう思う?」
『ど、どうしたの?』
「実はね、ブースターがイかれちゃったみたいで……」
『……』
「……」
通信越しでありながら、静寂が流れる。
しかし状況が好転するはずもなく、俺は諦めの気持ちも込めて。
「まあ、なんだ……仲良く大気圏突入しようか」
『え、いやああああああああああああああああ!?』
そんな少女の悲鳴を残しながら、二機は地球へと墜ちていくのだった。
……生きてたらいいなぁ