ガンダムGQuuuuuuX〜よっしゃ、宇宙世紀だ……なんか違くない? 作:とりマヨつくね
長い間、お待たせしました。
相変わらず亀投稿ですが、今後とも今作をよろしくお願いします。
俺がその名を呼ぶと、彼女は微笑みながら答える。
「ええ、その通りです。良くご存知でしたね」
「あ、いや、何と言いますか……なんとなく?」
俺のあまりにも無茶な返しに、隣にいたカンチャナさんが心底呆れたような目を向けてくる。
……仕方ないだろ、ここで俺が実は転生者でーす! とか言ったらタダのヤバいやつだよ。
というか、シャリア・ブルの時も思ったけど、なんでNTと会うとこんなに胃が痛くなるんだよ……なんか今日は頭も痛いし……血を出しすぎたか?
「立っているのもお辛いでしょう? こちらにお座りになって」
俺の顔色が悪かったのだろうか、ララァ・スンは朗らかな笑みを崩さず、向かいの席に座るように勧める。
ぶっちゃけ、座りたくないんだが隣のカンチャナさんが怖いので、早歩きで座ることにした。
「カンチャナ、お茶をお持ちしてくれるかしら?」
「分かりました」
そう言って、カンチャナは部屋を出て行ってしまった。
え、待って? 二人きり? 誰と?
ララァと? あのララァ・スンと? 戦場を知らない娘と?
わっ、わぁ……!(ちいかわ)
「そんなに怯えなくても、なにも致しませんよ」
「ひぃ……!?」
今、思考を読まれたのか!? こんなにも恐ろしいことはない!
お、おちちちち、ちちちちちちち、落ち着けけけけ。
俺はシュウジとも何やかんや長く生活してきたし、シャリア・ブルとだって、最低限のコミュニケーションはできるようになったんだ。
今更、NTの一人や二人、なんてことはない!
「ふぅ……失礼した。知人に似ていたもので……」
「似ているのではなく、その人そのものではなくて?」
「……バレてーら」
「ふふ、今まで色んな殿方とお話したけど、あなたほど分かりやすい人もなかなかいないわよ?」
果たして、それはNT特有の能力故か単純に俺がバカなだけか……なんとなく後者な気がする。
もう下手に取り繕うのはやめだやめ。
「助けてくれたのはあんか?」
「ええ、といってもあなたを運んであげたのは他の子達だけど」
「そうか、ならその人達にありがとうって言っておいてくれ」
「分かったわ」
そう言って、しばらく静寂が訪れた。
正直、気まずいってもんじゃないが、これではいつまで経っても話が進まない。
「……聞いてもいいか?」
「答えられる範囲なら」
「そうか、じゃあ遠慮なく。アンタは俺のことをどれくらい知っている?」
「私が知っているのは、『夢』での出来事よ」
「夢?」
「ええ……夢の中の私はね……ってあなたは知ってるのよね。向こう側のこと」
「向こう側、それって……!?」
俺が言葉を発しようとすると、喉の奥がひくりと引きつった。
しかし彼女は俺の言いたいことを分かっているかのように、首肯する。
そして彼女は夢の話を始める。
ああ━━━━━━━━知っている
その話も、その話も、その話も、全部知っている。
だってずっと見てきたんだ。
その『夢』のような物語を━━━━━━
時間の流れが今まで以上にスローに感じ、やがて話を終えると時間の流れが緩やかに戻った。
「どうでしたか? 何か相違はありましたか?」
「……ない。びっくりするくらいな」
いくらNTといえど、並行世界の出来事を認識できるなんて予想外もいいところだ。
「ねぇ……あなたは何者?」
「頭の中を覗けばいいじゃないか」
「……見えないの」
「……はい?」
「正確にいうと、あなたの中にはモヤが掛かったように見えないところがあるの」
「は、はぁ……」
そ、そんなことがあるのか?
まさか転生したことが影響しているのか?
……いや、だとしてもあまりにもしょっぱすぎない俺の転生特典?
せめて思考盗聴レジストくらいは欲しかったよ、アルミホイル被らなきゃ……
「ソレ、やったところで意味ないと思うわよ……」
なんか凄いジト目で呆れられてしまっているが、これは俺にとって……結構どうでもよかったわ。
今にして思えば、別に転生者だからってどうのこうのってのもないしな。
はい、というわけで話しまーす。
「えー、信じてもらえるか分からないですけど……」
それから自分が転生者であることとか、この世界をアニメとして見てきたこととか、話せることをとにかく話した。
「なるほど、そういうことなのね……」
「ま、まあ……普通に考えたら、こんなこと言ったらただの狂人だからな……」
「ふふ、確かにそうでしょうね」
こうして見ると、やっぱり俺の知っているララァではないんだよな。
なんか嬉しいような、悲しいような……なんとも言えない気持ちだ。
まぁ、あのロリコンマザコンアカカメンに巻き込まれないのはいいことだ。
……生きていればいいことがあるがあるからな
「それであなたはこれからどうするの?」
俺が変な感傷に浸っていると、不意にララァからそんな問いがやってきた。
これからどうするか……本当は今すぐ逃げ出したいがあの雇い主のことだ、裏切った敵には容赦ないだろう。
だったらちゃんと仕事に一回、ケジメをつけてたから……あっ。
「そのことなんだが、ここに赤い髪の女の子はいないか」
「ええ、いるわ。今朝、山に墜落した飛行機に乗っていてね」
「その娘の確保が俺の目的だ。悪いが、協力してくれると助かる」
「そのことに問題はないわ。ただ迎えに来る前に一度、お話しさせてちょうだい」
「まぁ、全然問題ないぞ。その迎えだってそこそこ時間がかかるだろうし」
「そう……それはよかった」
そういう、彼女の表情はとても見えなかった。
◇
それから時間は流れ、太陽の灯りが消えた頃。
俺は目が覚めた部屋でぼんやりと月を眺めながら、先ほどのララァとの会話を思い出していた。
今にして思えば、転生云々含めて自分の身の上話をしたのは初めてだ。
まぁ、そもそも俺が転生者であることを誰かに話す暇なんて無かった。
だけど俺にとってこの世界は現実だと言うのは、あの一年戦争を経験して嫌というほど理解し、させられた。
作品を知ってるからって無双なんてとてもできなかったし、死にかける度にしょんべんをちびらせていた。
士官学校時代の親友も、戦友とも呼べる人間も当たり前のように死んで、酷い時なんて俺以外小隊全滅なんて時もあった。
でも結局、あれだけ他人の死に触れたくせに、今になって思い出している時点でヒトデナシ言われても仕方ないよな。
はは、ここに来てからなんか感傷的になっているな。
「エド、ゲンキカゲンキカ」
「ああ、元気だよ……にしても、やけに焦げ臭いな」
俺は立ち上がり、扉を開けて外の様子を見る。
そこに広がっていたのは━━━━━━燃え盛る炎が広がる廊下でした。
……もおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、またかよおおおおおおおおおおおおおおおおお!
どうしてッ、どうしていつもこんなことになっているんだよ、こんちきしょう!
俺はハロを掴み、窓に向かって全力投球でぶち破ると、そのまま駆け込み飛んだ。
五点接地で着地して外の様子を確かめると、大半の人間がパニック状態になっているようだ。
俺は物陰に隠れて耳を澄ませると。
「誰が逃げた!?」
「わかりません。全員かも……」
「ええい……お前らは火を消せ! クソッ……」
そう言って男達が立ち去っていくのを見届けた後、俺は物陰から出る。
なるほど、火事か。
ララァがいる時点でここが娼館なのは明白だ。
話の流れ的に嬢の誰かが火を放ったのは間違いないな……ん、あれこれアマテちゃんも逃げてね?
まっずい! このままだとマチュちゃんを見失う!
流石にこのどさくさに紛れて逃げ切れられたら、捜索範囲が地球丸ごとになってしまうぅ!
嫌だよ、俺、十五歳ぐらいの女の子に対して銭形警部もどきするなんて絶対に嫌だよ!
「ハロ、足跡からナビしてくれ。対象は女、年齢は十三〜十五歳ぐらいだ」
「リョウカイ、リョウカイ……タイショウ、ジュッケンイジョウ」
クソッ、まだ多い……早くしないとコアファイターで飛ばれる。
せめて、コアファイターの場所さえ分かれば……待て?
「ハロ、ここの付近の山でミノフスキー粒子の多い場所ってあるか」
「ケンサクチュウ、ハンノウアリ」
「よし、でかした。案内頼む」
それからハロの案内の元、俺が森の中を走っていると見覚えのある赤毛が視界に入った。
いよっしゃああああああああああああああ!
良かった、本当に良かった……!
これで銭形警部もどきは回避……いや、待て?
あれ、コアファイターに乗ってない!? というか、なんでララァが近くにいるんだよ!
待って、止まれぇ!?
「動くな! 客人も止まれぇ!」
ナイスダァ! どこかで見たような見てないようなおっさん!
そのまま、俺が追いつくまで足止めお願いしまぁす!
おっさんがライフルを二人の方へ向けると、ララァが両手を広げて立ちはだかる。
あ、あれ? なんかむっちゃ不穏なんですけど?
「私は行かない」
「なんで!? 宇宙に行きたいんじゃないんですか!?」
「私は……彼を待たなきゃ……」
「彼って……それは夢の話でしょ……!」
「早く行って!」
「ララァ! 言うことを聞け!」
おっさんが引き金に指を掛けようとした瞬間、俺は即座に某死神少年探偵も顔負けのフォームでハロを蹴り上げた。
黒き弾丸となったハロは綺麗なアーチを描き、おっさんの側頭部に直撃した。
「グゥお!?」
「ア゛」
見事クリーンヒットしたおっさんは数度よろめきながら、そのまま「ぽへ」と言いながら倒れた。
なんかハロから聞こえてはいけない音? 声? が聞こえたような気がしたがそこは愛嬌。
……正直、扱いが雑なのは申し訳ないと思っている。
おっと、本題からズレてしまった。
状況が掴めていない二人のところに、俺はようやく追いついた。
俺の姿を見たアマテちゃんは、眉を顰めながら「ヒトデナシ……」と小さく呟く。
うん、ひとまずヒトデナシ言うのやめようか。
「一応助けてあげたんだけど……痛っ!? ちょ、ハロ、蹴り飛ばしたのは悪かったから、脛に体当たりするのはやめろ!」
「ユルサン、ユルサン!」
なんか少し感情的なハロをどうにか諌めようとしていると、ララァが歩み寄って俺の手を掴む。
「どうかしたか?」
「お願い、彼女と一緒に宇宙に上がって」
「はあ!?」
「ララァさん!?」
突然の提案に俺は勿論のことアマテちゃんも驚くが、ララァは話を進める。
「貴方にもあの娘と同様、やるべきことがあるのでしょ」
アマテちゃんの言葉を遮り、ララァは返答を待つように俺の目を見据えた。
その目を誤魔化すことはできないと分かった俺は、小さく息を吐いて口を開いた。
「……分かった」
「ちょっと待ってよ!? どうしてそんなあっさり決められるの!? おかしいよ、なんで皆んな自分のことも周りの人のことも……」
「マチュ」
今にも泣きそうな声で叫ぶアマテちゃんをニット帽を被った白ハロが諌める。
するとアマテちゃんはそれ以上、言葉が出てこないのか、顔を俯かせる。
……まぁ、気持ちも分からなくもない。
今のララァは、ララァ・スンは確かに生きている。
けれどシャア・アズナブルのことを知る彼女にとってはきっと今の方が地獄なのだろう。
俺だって出来ることなら助けてやりたいが、そんな力も権力も俺は持っていない。
そもそもこの世界の赤いアイツは行方不明……に、なって……
━━━━ああ、クソッ、なんでこんなタイミングでそんなこと思いつくのかな。
ある可能性に気づいた俺は、そのことを言うかどうか迷った。
だってこれは祈りであり、呪いだ。
言えば俺は地獄を見るし、彼女は一生その呪いに取り憑かれてしまう。
心の中で盛大な海老反りになりながらも、決めた。
「どうかしたの? 早くしないと、追手が……」
「一つ、言っておきたい」
ララァの言葉を遮り、俺は深く呼吸する。
「約束は……いや、約束する。アンタが待っている将校さんを必ず、アンタのところまで連れてきてやる」
「ッ……それは」
「だからアンタも諦めないで生きろ」
俺はそれだけ言うと、彼女の横を通りコアファイターに乗り込む。
「ちょっと、私はまだ納得はしてないんだけど!?」
「ほらほら、詰めなさいって狭いんだから」
「だから待っ……ララァ!」
俺の搭乗を確認するとオメガ・サイコミュが起動し、そのままコアファイターが離陸した。
◇
地上が見えなくなった頃、地平線から太陽が顔を出し始め、その眩しさに俺は思わず目を細める。
「ウミダゾ、マチュ、ヨウヘイ」
「おおー」
こうして海を見るのは本当に久しぶりだな。
まぁ、今の状態で泳ぎたいとはあまり思えないが。
「本物の海……泳ぎたかったな」
よくもまぁ……あんな事があって泳ぎたいなんて思うな……若いってすごい。
俺が内心感心していると、アマテちゃんが疑問を呟く。
「でも、ジークアクスって海の底だよね。どうすんの?」
「スイリクリョウヨウ、ウチュウモバンノウ、モンダイナイ」
「は?」
「はい、対ショック姿勢ー」
この後の展開を先読みし身構えると、予想通りコアファイターは海鳥のように海面に向かって勢いよく飛び込む。
「嘘ぉ!?」
「俺もそう思う」
色んなコアファイター及びそれに類似するものを見てきたけど、潜水も出来るコアファイターは俺の知る限り初めてだ。
やっぱりこの世界の技術って、所々おかしいよな。ジオンの脅威のメカニズムって凄い。
コアファイターは深い深い海の底を潜っていき、あるところで停止する。
照明の明かりが灯り、暗い海の底が一瞬で明るくなる。
明かりの先にはジークアクスが何かに背持たれるように鎮座していた。
「何あれ……デカッ」
「バラ! バラ!」
「おいおい……マジかよ」
所々暗くて見えないが、そのシルエットは余りにも見覚えがあった。
「これがシャロンの薔薇……!」
シャロンの薔薇の正体、それはララァ・スン専用MA。
またの名をエルメス。