ガンダムGQuuuuuuX〜よっしゃ、宇宙世紀だ……なんか違くない? 作:とりマヨつくね
いつの間にか、評価に色が付いてて驚きました……
あれから一日が経った……なんとか逃げ仰せたけど、あれからもとんでもないことが起きた。
勝手に赤ガンダムのサイコミュが起動したり、シュウジは誰かに向かって話しかけたりも大変だったが、一番頭を抱えたのはホワイトベース……あ、今は違う名前なんだったか。
えーとえーと、面倒くさいから木馬でいいや。
その木馬がコロニーにダイレクトエントリーしてきたのだ。
テレビでは木馬の件でひっきりなしだ。
幸い、ミノフスキー粒子を散布してないおかげで戦闘になる様子はないが、いつそうなってもおかしくなくて戦々恐々だ。
恐らくあの新型のガンダムを運用しているのは、あの木馬だ。
目的は間違いなく、赤ガンダムことオリジナルのガンダムだよなぁ……
はぁ、憂鬱だ。逃げ出せるならさっさと逃げたいけど、NT能力で察知されそうだしな。
一番厄介なのは、相手のNT能力がどの程度かが分からないのが嫌すぎる。
下手に共鳴なんかもされる訳にはいかないし、今はあちらさんが諦めてくれるまで潜伏するしかないか。
はぁ……やだやだ。いつまで経っても戦争している気分だ。
いや、そうだな。きっとまだ俺の中で戦争は終わっていないんだろうな。
戦争が終わって、ジャンク屋になって、でも平和が慣れなくて、こうしてまた硝煙と血の香りを漂わせている。
きっと俺だけじゃない。あの戦争を経験した奴の中には、俺みたいな奴は山ほどいるはずだ。
けどそんな奴だって、折り合いをつけて今を生きようとしている。
「俺は何をやってるんだろうな……」
ソファから身体を起こし、立ち上がるとアジトを出た。
地下は昨日の戦闘のせいであちこち建物が崩壊してるわ、そうでなくても今にも瓦礫が落ちてきそうだ。
ここにいる住人は慣れているのか、そんなのお構いなしに普通に生活している。
これはどこのコロニーでも同じで、結局ジオンが勝ってもスペースノイドの生活は良くなってないのは皮肉だな。
俺はそのまま隠し通路を通って地上に出ると、さっきとは打って変わって近未来的な街並みが広がっていた。
上を見上げると、堂々と空(?)を飛んでいる木馬の姿があった。
「あらあら、まぁ、緑に塗られちゃって……あれじゃ、グリーンベースだよ」
とはいえこうしてリアルで見てみると、やはり壮観というかある種の感動があるものだ。
ガンダムの時は違ったのかって?
うん、感動はしたよ。パイロットがあのクソボケど天然じゃなかったらな。
というか、アイツどこに行きやがったんだ?
多分、どっかであのニュータイプ空間の絵でも描いてるんだろう。
初めて見た時は、まったく意味が分からなかったけど、シュウジと話していくに連れて描いてるものの正体が分かったのだ。
それだって、本編の知識があるから分かったのであって、それがなかったらアイツがニュータイプであることすら気づけず、精神科に叩き込んでただろう。
まぁ、いくらニュータイプだからって、あのど天然には本気で腹立つ時はあるし、そのせいで何度かトラブルに巻き込まれたこともあったが。
身に覚えのない借金で、マフィアのガチムチ黒服に追われた時なんか本当に怖かった。
幸い、軍警の介入とか色々あった結果、マフィア組織そのものが消えて借金踏み倒しましたから良かったが、二度と怪しい壺を購入しないようにシュウジをきつくシメといた。
流石に今回は、アイツのガンダムのインストーラー・デバイスは破損してるから、面倒ごとに巻き込まれるってことはないだろうけど。
ないと……いいなぁ……と、ボクはキメ顔でそう言った(言ってないけど)。
そう言えば、今月のおこづかい渡しそびれたけど大丈夫か?
「……ま、いいか。帰りに弁当でも買えばいいか━━━━のわっ!?」
そうやって思考の海から浮上しようとした時、目の前からチャリがこちらに向かって走ってきた。
慌てて避けるが、少し反応が遅かったら轢かれていた。
「おい、危ないだろ!」
俺が少しキツめに言うと、チャリに乗っていた奴はビクッと身体を震わせた。
そのせいで体勢を崩し、近くの街頭に自転車に激突する。
ヤベッ、そんなに強く言ったつもりはないんだけどな。
けど、俺のせいで怪我でもしたら流石に見過ごすわけにはいかないしな。
「おい、大丈夫か……ってお前……?」
慌てて駆け寄ると、見覚えのある顔に眉を寄せた。
青みがかった黒髪と一対の黄色の髪、サングラス越しから見える金色の目、そして紺色のブレザーが特徴的な制服。
間違いない、昨日戦闘に巻き込みそうになった女子高生だ。
でも、どうしてこんな所にいるだろう。
学生ならこの時間は学校に行ってる……いや、そういうことか。
「大丈夫か?」
「い、いえ……」
「そうか、気をつけろよ。いくら慌ててるからって、周りやアンタが怪我したら意味か……ってちょっと見せてみろ」
「え、ちょ……」
俺はサングラスを外し、顔を確認すると左の目尻の方に青いあざが出来ていた。
ま、まさか、さっきぶつかった時に……!
「よし、ドラッグストア行くぞ!」
「はい!?」
「いや、本当にすまない。女の子の、それに可愛い顔に怪我させてしまった。これは大人の男として、ちゃんと責任を取るよ」
「かわッ……!? いや、わ、私急いでるから……」
「大丈夫、俺もそのバイト一回やったことあるから勝手は分かる。いざって時は俺のせいにすれば良いから……!」
なんか、これすごい必死にナンパしてる男みたいで、すごい嫌なんですけど。
でも前世と今世の母親は、女の子に怪我をさせたらちゃんと責任を取りなさいって言ってたしな。
ひとまず自転車を起こし、女子校生の手を取りながらドラッグストアを探す。
それほど時間も経たずにドラッグストアは見つかり、消毒液とガーゼ、それから軟膏と絆創膏を購入した。
すぐに開封し、消毒液をガーゼに染み込ませる。
「ほら、目を閉じて。少し染みるぞ」
「痛っ!」
「悪いな、もう少し待っててくれ」
軟膏を薄く塗った後、最後に絆創膏を貼り付けて治療はお仕舞いだ。
「よし、終わりだ」
「あ、あの、ありがとうございます」
「別にいいさ、半分は俺のせいだしな。だから詫びとしてコイツもやるよ」
そうやって俺は、さっきドラッグストアで買ってきた水とサンドウィッチを手渡した。
「え、いや……ここまでは流石に」
「いいんだよ、食える時に食っとかないと身体が持たないぞ。特に支援もしてもらえない違法難民は」
「ッ!?」
「ああ、待った待った。誤解すんな、私服警官じゃねぇよ。俺も似たようなもんだからな」
「そ、そうですか」
俺の言葉を信じたようで、ほっと息をついて警戒を解く。
なんかこの子、凄く猫っぽいな。
いや、違法難民なら当然の警戒心なんだけども、それにしてはいささか警戒心を解くのも早すぎるし。
「さて、俺ができそうなのはここまでかな。ほら仕事があるだろ、行ってきな」
「は、はい……そのありがとうございました」
大袈裟なくらいに頭を下げ、女子高生は自転車で走っていった。
ずいぶんと慌ただしい目にあったが、一件落着ということで一安心だ。
前回の戦闘の時にも思ったが、このコロニーは特に難民が多く感じる。
一年戦争が終結してからというもの、多くの人間は居場所を奪われた。
戦禍に巻き込まれた一般市民、敗戦した連邦の兵士、単純に職を奪われたジオンの兵士。
大半の奴は、ジャンク屋になったり夜の街の仕事になったりしたが、全員がそうなれる訳ではない。
俺のように傭兵になったりする奴もいれば、クランバトルのような違法賭博の選手になったりもした。
それだってMSを元々持っていること前提で、違法の戦闘用コンピュータであるインストラー・デバイスを入手する経路の確保が重要だ。
入手するルートはいくつかあるが、最もメジャーなのは○berや○mazonのような配達業者に偽った運び屋から受け取るルートだ。
俺も傭兵になる前に何回かやったことはあるが、リスク高すぎる上に報酬があんまりではっきり言って割に合わないが、今日を生きていくのにはなりふり構っていられないのだ。
かくいう俺も軍人時代に貯めた貯金がなかったら、今頃あの子と同じ道を辿っていたのかもしれない。
俺はただ運が良かった、ただそれだけの話だ。
さて、ブルーな思考はここまでにして、本来の目的に戻るとしよう。
ある程度は想像できるが、ジオンと軍警の動きが気になる。
こっそり脱出するにしろ、このまま潜伏するにしろ、この二つの陣営の動きが分からないとどうにもならない。
まずは情報屋を見つけてそれから……
「ちょっといいですか」
「ん?」
俺がこれからのことについて考えていると、誰かに話しかけられ後ろを振り向いた。
視線の先には、緑色の髪と瞳を持ったハンサムが、俺がドラッグストアで買った者と同じ買い物袋を持って立っていた。
隣には茶髪の青年が控えていた。
コイツら……立ち方からして軍人、だよな。
いや、問題はそこじゃない。
こんな所でどうして軍人というかジオンが、一見善良な一般市民に話しかけてくるか普通?
まさかバレ────いや、まだ早い。
……今は笑顔を作って、全力で誤魔化せ!
大丈夫、ララァやアムロみたいなNTじゃない限り誤魔化せる筈だ。
「ええと、どちら様?」
「ああ、これは申し遅れました。私の名前は
……やっぱり、無理かもしれない。
◇
それから時間が経ち、すっかりコロニーは夜間モードになり、辺りはすっかり暗くなった頃。
俺はなぜか、初対面の人達とお酒を飲むことになってしまった。
いや、なんでそうなるねんと思うかもしれないが、相手が相手だったので仕方なかったのだ。
俺は隣で優雅にカクテルを飲んでいる男、ああ……ハンサムのほうね。
で、ハンサムの方の男が、思いの外大物であった同時に最も会いたくなかった人間の一人だった。
シャリア・ブル、確かTV版の39話にのみ登場したNT……そう、NTなんだよ。
これ、マジで下手なこと口走ったら、速攻で連行される未来しか見えない。
しかも隣の茶髪イケメンも、なんか妙に俺のことを警戒してるしよー。
せっかく高い酒なのに、味もクソもねぇぞこの野郎。
更に一番酒を不味くしているのが……目の前で行われているクランバトルの映像だ。
クランバトルは確かに違法な賭け試合だが、娯楽としてはとても人気がある。
ま、当然だよな。今時、本格的なMS戦なんて見れるもんではないからな。
今時はネット配信なんかもあるから、ちょっと前まで娯楽の少なかったコロニーでは余計に流行る訳だ。
かくいう俺も選手として参加したことがあるが、余裕を持って勝てばそこそこ実入もいい。
けど、少しでも接戦だとダメだな。
修理費とか弾薬費がかさむから、あまり儲けがあるとは言えないんだよなぁ。
……と、そんな現実逃避的な思考はそろそろ辞めにして現実に戻ろう。
心の中で盛大に息を吸い、改めてモニターを見た。
モニターの向こうでは赤いガンダムが戦っていた、それも例の新型のガンダムと。
どうしてそうなった。
え、そもそもなんで動かしてるの?
さっきも言及したが、アイツの機体はインストーラー・デバイスが破損して戦闘行動ができないはずだ。
どこかでインストーラー・デバイスを入手するにしても、アイツ金を持って……いや、それかぁ。
どうせ金がなくて借金返済の為に、クラバに参加したんだろう。
アイツ、自分がどの組織にも狙われてる自覚あるのか?
というか、あの新型ってジオンの奴じゃないの?
シャリアさん、いいんですか。オタクのガンダムが賭け試合に参加してますけど。
「大佐がマヴの先陣を譲ることなんてあり得ませんよ」
いや、なに堂々と会話してるの?
しかもなんか機密っぽいことぺらぺら喋ってるんですけど。
お願い青年、君も仮にも軍人なんだから上官を止めて!
あ、ダメだ。なんかあわあわしてるだけで、止められそうにないや。
そうだ、ま、マスター。おい、明らかに聞こえてないふりすんじゃねえ!
ああ……早く、早く店に出たい。
胃が、胃がぁ……!
それから永遠とも言える時間が経ち、新型のガンダムが相手二機の頭部を破壊して試合が終了した。
よし終わった、やっと終わった、会計をしてさっさと店を出よう。
「ま、マスター……会計を」
「おや、もう帰られるのですか」
俺が会計をしようと立ち上がると、シャリア・ブルに声をかけられた。
「あ、ああ……用事を少し思い出しまして」
「おや、あの赤いガンダムのマヴをしていた割には随分と小心者ですね!」
「ッ!?」
クソッ、やっぱりバレていたか!
俺はすぐに腰にしまっていた拳銃を取り出し、シャリア・ブルに向ける。
しかし既に隣の青年が接近しており、蹴りで拳銃を弾き飛ばされる。
すぐに近接戦を行おうとすると、一発ストレートを殴られ体術で取り押されてしまう。
「ぐっ……!」
「なるほど、いい判断です。ですが、エクザベ少尉は正規の軍人です。体術を仕掛けたのが間違いでしたね」
「そんな、こと今はどうでもいい、だろ……!」
「そうですね、ではいくつか質問させて頂きますね。ソドンまでご同行お願い致します」
シャリア・ブルはそう言った。
今までの柔和な声ではない、そう、心の底から恐怖を抱きそうになるほど冷たい声だった。