ガンダムGQuuuuuuX〜よっしゃ、宇宙世紀だ……なんか違くない?   作:とりマヨつくね

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投稿、遅れてすいませんでした。
ジークアクスもクライマックスに突入し、目が離せない状況ですが、私も頑張っていこうと思います。
今回も楽しく、気楽に読んでくださるとありがたいです。
感想、評価お待ちしております。


人妻っていいよね……って言った奴手をあげなさい

 いやぁ、みんなエド・スターリングだ。

 前回、ダイスの女神がクリティカルを出してくれたおかげで、ポメラニアンズの情報を集められた俺は、次なる指令を下されていた。

 それはポメラニアンズの実地調査である。

 まぁ、実地調査というよりは張りこみの方が正しいだろう。

 無論例に漏れず逆らえず筈もなく、俺はあんぱんと牛乳をマストに任務を行おうとしたんだが━━━━━

 

「ぎにゃあああああああ!? 助けてええええええええ!?」

 

 俺は後ろから追いかけてくる、小さな影から全速力で逃げていた。

 もう隠す必要がないから言うが、その影の正体はポメラニアンだ。

 どうしてこんなことになっているかと言うと、恐らく原因はこの左手にある牛乳のせいだ。

 今から数分前、喉が渇いた俺は牛乳を一口飲もうとして瓶の蓋を開けたのが、全ての始まりだった。

 つまるところ、完全に俺の自業自得なわけなのだが、そんなこと気にしていられない。

 後ろを追いかけてくるポメの目はらんらんと輝き、俺の左手の牛乳しか目が入っていないようだ。

 というか、そこのたらこ唇の飼い主!

 お前が普段からいいもん食わしては……いそうだけど、それが原因で俺の牛乳が狙われてるじゃないか。

 くっそー! 隠れようにもこのポメ、鼻が良いせいで隠れ慣れないし、逃げようにも現場の通り逃げきれそうにない。

 さて、どうしたものか……っておかしいな、なんで俺こんなシリアスな思考してるんだろ。

 くだらな過ぎて涙が出てきそうだよ。

 そんなことを考えていると、向こうの曲がり角から一人の人物が現れた。

 

「うおわっ!?」

「キャッ!?」

 

 俺は急ブレーキをかけてぶつかる前に足を止めことができたが、同時にポメに追いつかれ飛びつかれる。

 その時に体勢を崩し、仰向けに倒れてしまう。

 

「NOOOOOOOOOOOO!」

 

 きゃんきゃん、と嬉しそうに鳴き、牛乳を取ろうとするポメに対し、俺はジタバタと格闘する。

 その様子をたらこ唇の飼い主と女性があたふたと見ていた。

 誰かー! 助けてー!

 そんな俺の魂の叫びを神様が聞き入れてくれたのか、突如ポメが俺の上から離れた。

 ……願った俺が言うのもなんだが、いったい何事?

 上半身を起こすと、赤髪の女子高生が右手を振り上げてポメを誘導していた。

 そして女子高生が前屈みになり、右手をばっと開くとそこに何もなかった。

 それを見たポメは、明らかにしょぼくれた表情をする。

 

「ふっ……バカ犬」

「あぁ!? バカ犬って、テメェ!」

 

 うわッ! 性格悪っ!?

 でもバカ犬なのは認めるからもっと言ってやれ!

 ……っていうか、コイツどこかであったような……あ、あの時の青髪の子と一緒にいた奴か!?

 でも待てよ、この制服って確か地上区画のお嬢様学校の制服じゃなかったか? 

 なんでこんな所に……

 

「あ、あの大丈夫ですか?」

 

 俺が考え事をしていると、後ろから声を掛けられた。

 振り向くと、先ほどぶつかりそうになった女性が心配そうに手を差し伸べていた。

 俺はその手を掴み、立ち上がる。

 

「ありがとうございます、助かります」

「いえいえ、お気になさらず……」

 

 と軽く会釈し合うと、先ほどの少女がこちらにステップを刻みながら近づいてくる。

 

「何かお困りですか?」

「俺は特には……そちらは?」

「あの……入り口が分からなくて……カネバンって事務所を探してるんですけど」

「そこ……ジャンク屋ですよ?」

「そう、ジャンク屋さん!」

 

 こんなおっとりしてそうな人がジャンク屋?

 妙だな……独断になっちまうけど、まぁ、客としてなら疑われないだろ。

 

「ああー、実は俺もそこに興味があったんだ。一緒に案内してもらってもいいか?」

「? 別にいいですけど……」

 

 なんかジト目で見られてるんだけど……え、俺変なこと言った?

 

 

 それから事務所に案内され、色々話したり聞いたりした。

 詳細は省くが……そこそこ有力な情報は得られたとは思う。

 ジークアクスのパイロットについてははぐらかされたが、直接的な橋渡しができるようになったと思えば、成果としては御の字だろう。

 それにしても女性……シイコ・スガイさんが、連邦軍の撃墜王でクラバの選手もしてるとは思わなかったな。

 そして今、俺はシイコさんと女子高生ことアマテ・ユズリハちゃんの三人で駅の方へと向かっていた。

 その最中、俺は表向きには情報屋という風に説明したせいか、アマテちゃんが色々と質問攻めにされた。

 恐らく彼女にとっては、あのスラム街も俺も身近にいる非日常で興味があるのだろう。

 正直に言って、俺みたいな奴は関わらないことが一番いいはずなんだかな。

 いつか絶対厄ネタ踏むことになるぞ……俺が言えた義理ではないんだけどね。

 そうこうしている間に駅の前まで着き、お別れの時間のようだ。

 

「じゃ、またいつか」

 

 と短く言葉を送り、俺はさっさと改札をくぐり抜けるが、ふと後ろが気になって振り向く。

 視線の先には、シイコさんとアマテちゃんが何かを話している。

 後ろ姿でシイコさんの顔は見えないが、アマテちゃんの顔は凄く困ったような表情をしており、そこに俺は疑問に思った。

 しかしすぐに話が終わり、シイコさんもまた改札を潜り抜けた。

 

「あら? どうかしたんですか?」

「ああ〜、なんの話してたのかなって思いまして」

 

 シイコさんは俺がまだいたことに首を傾げ、それをこれ幸いと疑問に思ったことを口にした。

 シイコさんはなんだそんなことですか、となんてこともなさそうに話を続けた。

 

「赤いガンダムのパイロットって、どんな人なのかなって」

「……ッ!?」

 

 シイコさんから唐突に出てきた単語に、思わず息を飲んでしまった。

 い、いや、落ち着け。

 ここ最近、本人とか関係者に関わり過ぎたせいで、話題に敏感になっているだけだ。

 今までだって噂程度のものだったし、過去に見た目だけ似せていた偽物だってうじゃうじゃいた。

 シュウジが乗っている赤いガンダムは間違いなく本物だが、それだって何度も偽物扱いされてきたし、今回だって多くの人間が偽物だって考えている。

 けれどなぜだろう、シイコさんから発せられた言葉一つ一つに変な重みを感じた気がした。

 俺は知っている、この感覚を。

 

 そうだ、この感覚は━━━━

 

「なあ、シイコさん。もし、もしだ、俺の考えていることが正しいとしたなら、俺としては今すぐあの戦争のことを忘れるべきだと思う」

「……どうしてそう思うの」

 

 先ほどまでの朗らかな笑みが消え、氷のように━━━━いや、何も感じさせない無表情で問う。

 俺は少し考えた後、言葉を漏らす。

 

「俺もあの戦争に囚われてるからな……」

「やっぱり同輩だったのね」

「まあ、そうだな。俺はジオンの方だったけれど」

「そう、少し場所を変えましょう。お互い、募る話もあるでしょうから」

「ああ、そうだな」

 

 俺が承諾し、シイコさんと共に駅のホームへと歩いていき、空いてるベンチに二人並んで座る。

 少しの静寂の後、シイコさんは語り始めた。 

 一年戦争でできたマヴのこと、そのマヴがNTである可能性があったこと、そしてそのマヴがガンダムに乗った赤い彗星に撃墜されたこと。

 ああ、思い出した。これは復讐心だ。

 俺が昔に多くの敵兵に向けたことがあり、同時に向けられたこともある、人間が持つ最もドス黒い感情。

 久しく忘れていた感覚だ。

 だが当然といえば当然だった。

 俺は傭兵になってからも可能な限り人殺しはしないようにしていた。

 もううんざりしていたから。人を殺したり、殺されたりする関係は。

 けれど結局の所、こうして傭兵になっている時点で俺はとんだ矛盾を抱えた人間だと言う自覚はある。

 ここ最近、再びジオン軍と絡むようになってから内心安堵に近い感情を抱いている。

 ああ、そうだ。本当に酷い話だ。

 俺はまだあの地獄にいるつもりなのだ。

 平和な世界がどうしても馴染めなくて、どこか息が詰まる。

 きっとシイコさんも、同じなのだろう。

 特に彼女のように『置いて行かれた』人間にとっては、戦争が終わったとしても到底認められないものだろう。

 ましてや、自分の目の前にその大切な相棒の仇がいるのだから。

 俺だって間違いなく怒りに身を任せ、今すぐにでも殺しに向かっていただろう。 

 そう、理解できてしまう。

 理解できてしまったからこそ、だからこそ━━━━

 

「やっぱり俺は止めるべきだと思う」

「どうして」

「今のアンタには大切なものがあるだろ」

 

 そうだ、俺と彼女の決定的に違うものはこれだ。

 家族も友人もいなくなってしまった俺と違い、彼女には帰るべき場所がある。

 確かに傷は深いだろう、けれどその傷は優しさと幸せな時間が解決してくれるはずだ。

 

「だから━━━━」

 

 と、最後の言葉を口ずさもうとした時、発車メロディが駅のホーム全体に流れ出していた。

 ふと顔を上げると、目の前には電車が扉を開けており、シイコさんは既に乗り込んでいた。

 そして反転して、短くまとめた。

 

「ありがとう」

 

 その言葉を最後に電車の扉は閉められ、電車が発進してしまう。

 俺はその様子をただ呆然と眺めることしかできなくて、やがて電車の姿が見えなくなってしまうと上を見上げた。

 そして━━━━

 

「馬鹿野郎が……」

 

 と、小さく呟いた。 

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