冰演の魔物   作:名無しの権左衛門

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はじめてのレッスン!(前編)

 

 

 キンコンカンコンと鐘の音がいつの間にか電子音になって久しい本日は、

見事な晴天に恵まれ実に心持ちまで暖かくさせる。

最近は気候変動によって気温がちぐはぐで、暑い時もあれば寒い時もあり

コーデを選ぶのにも一苦労だ。

 なお、元気いっぱいな年頃の子であるみそぎは、サングラス着用!

紫外線カットする長袖着用! 紫外線防護の長ズボン着用!

身軽に動けるようにするためのスポーツシューズと身体の可動域を確保できる

服を決め、颯爽と学校から去る。

 

 大須スケートリンク(名古屋スポーツセンター)は、

今の時間から全力で走ったとしても閉店時間に間に合わない。

 

 そこで登場するのは、ヤクザが乗ってそうな黒塗りの車だ。

悪名高きプリウスで登場したそれは、学校から少し離れ正門や学校の屋上から見てもわからない小脇の道に停めてある。

指定時間内に到着したみそぎは、にこやかに運転手へ挨拶して不透過ガラスになっている

後部座席へのりこみ、今日のレッスンのための服装へ着替える。

 

「みっちゃんさん、今日も同じ所へ?」

「はい、お願いします。絶対にさとられないで」

「かしこまりました」

 

 みそぎはビシッと決めたスーツ姿の男性にお願いし、コンクリートツリーの影へ隠れるようにして停車してもらう。

 

「ありがとうございます。帰りは同じで」

「かしこまりました」

 

 大須リンクから100m離れた所で下車し、荷物を持って軽い足取りのまま

其の場所へ赴く。そして、定時と言える時間に、見覚えのあるナンバープレートをつけた

N-BOXから、満開の表情でみそぎを迎える少女が出てくる。

 

「みそぎちゃん!」

「いのりちゃん!」

 

 本格的にプロへの道が拓け、今の状況、始まるレッスンに高鳴る感情、

それらを手を取り合って共有したら屋内へ入っていく。

すでに司は到着しており、ウォーミングアップをしていた。

 

「司先生! こんにっちは~!」

「司せんせ、こんにちわ!」

「二人共笑顔が天才!」

 

 大須スケートリンクに来たらまず最初に行うことを説明する。

ウォーミングアップと今日やること、目標は最初のバッジテストなのでこれに向けた練習を行う。

 また大会へ出場し、大きな緊張を味わって自分の感情を制御できる素敵な選手になるため、それに向けたスピンやジャンプなどを習得していくことになる。

 氷上ですでにハイレベルの跳躍を見せるいのりだが、

音楽に合わせた振り付けというものを一度も味わっていない。

よって、このままだと赤っ恥をかくことになるので、これも矯正していくことになる。

 

「じゃあ、15:30までウォーミングアップをするよ。

参考までに聞くけど、二人は今までウォーミングアップはしてたかな?」

「してました! 怪我をするからって、みそぎちゃんと柔軟と一緒に!」

「やってましたよ。夏休みでみっちりしつけられたウォーミングアップなので、

ちゃんと芯を温めてました」

 

 しつけられたとは一体なんぞや。そんな英才教育を受けて、

本日に至るのだからきっと素晴らしいものなんだろうと思い、

司は一度見せてもらいたいとお願いする。

 

「「ラジオ体操第一!」」

「ええっ!?」

 

 何を隠そう夏休みに公園で団地の子ども会が子どもたちを集めて、

参加するたびにスタンプを押すラジオ体操。そしてスタンプを集めた分だけ、特別なものをもらえる。最後にもらえるもののために、毎日参加していた子どもたち。

親の力関係や子どもたちの力関係、顔見知りなどいろんな側面があり

遅刻してでも参加しなければならない。

 参加しなかったものは、冷ややかな目でみられるというおまけつきである。

そんな同調圧力の中培ったのは、今も二人を怪我なくスケートに熱中させてくれる

宝物になっているのだ。

 

「たまに第二とストレッチマンしてるよ!」

「ストレッチマンって何!?」

「黄色いピクミン!」

「はい!?」

 

 のびーるのびーるストップ! さあ、やってみよう!

ロボットパルタやニョッキ、クインテット、にほんごであそぼ並に懐かしいかほりがする。子どもたちの情操教育をになってきた教育番組は、今でも生活の根底にあるようだ。

 帽子をかぶったもぐらや新幹線を朝シャンするカンガルーたちしか知らない司は、

世代間ショックに苦しむ。

 

「NHKかー。そういえば、ひろ◯ちお兄さんとかわくわ◯さんとかまだいるのかな?」

「おかあさんといっしょの最後にあいうえおやってないけど、別の番組で見るよ!」

「あのくまさんと一緒に図画工作してるやつだよね? あれ、おもしろいですよね!」

「まって、ご□りってくまだったの!?」

 

 司、今季最大の驚愕の一つに加えられた。

ウォーミングアップしながら、日本放送局の過去に花を咲かせた。

はたらくくるまや選挙へいこうとか、そういうものを動画で知っているという。

ネットは今と過去を結ぶ大事な役割をになってくれて、

コミュニケーションの一助となった。

 

「わたし、大会に出るんだったらプリキュアみたいなのがいいなー」

「懐かしいな、プリキュア!」

「せんせのときも放送されてたの?」

「されてたされてた! 黒と白が熱血根性で殴り合ってた」

「今のプリキュアも、最後は肉体言語だよ! 仮面ライダーみたいなものだね!」

 

 プリキュアの話をすると盛り上がる。

明るくわくわくする子に憧れていることが見て取れた。

振り付けやプログラムは滑らかな動きよりも少しアップテンポな曲で、

小さなステップ大きな躍動を取り入れようか、と司は内心思う。

 そうして、ウォーミングアップ中に、いろんな人がぼっこぼこにしたリンクが

均されたので、早速滑りに行く。

 

「最初にいった通りに、エレメントの練習を行います。

半円を連続で作り上げ、切り替えの線まで一けりで行けるようにしましょう!」

「「はい!」」

 

 




私もみそぎさんのプログラムを組みたくて色々勉強中。故に遅筆です。
分割しますね。(必至)
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