HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜 作:ブラウ隊
中央都市部エリア③。数日前にスバルが帰還した後、のどかが持ち帰ってきた情報を一度共有するために哨戒に出ているミオとスバル以外が昼過ぎの会議室に集まった。
議題は色々とある。が、まずはビーチエリア⑧の南方から敵機が飛来したことに様々な考察や仮説が飛び交う。
そんな中、そらから最有力と思われる仮説が飛び出してきた。
「もしかして…アナザー側って結構近くにあると思うんだ。時乃が言ってた一言が気になって」
「そら、続けて」
「片方に統合しないと不安定、ってことは多分こうなってると思う」
. ①
. ②③④
.⑤⑥⑦⑧⑨
.❶❷❸❹❺
. ❻❼❽
. ❾
モニターに映されたのは今までとは違う、ダイヤのマークに似た仮の地図。地図アプリとは外見から違う。
言うなれば文字通りの『裏世界』。対となり、障壁を越えるしか移動が不可能な領域から侵入するには最も腑に落ちる。
「もちろん私の予想だから全部アタリ、なんて思わないけど…こうでも考えないとエリア⑧の南から侵入できないかなって」
「沙花叉も同じようなこと考えてた…」
「あい!みこが考えてた説もいい?」
みこが挙手。そしてこの一件に隠れて誰もが疑問視していた現象と見事に結びつけてきた。
普段はリスナーから弄り倒されるくらいにはPONの塊、だが時として核心を突くエリート、それがさくらみこ。
その口から出たのは突拍子もない仮説。だが全員を納得させるだけの説得力があった。
「みこ、時空の裂け目みたいなのが気になってて。仮にそらちゃんの読みが当たってたらアナザーのどこかに転送装置みたいなのがあると思ってる」
「みこち、結構ぶっ飛んで…あ、いつもか。すいちゃんも同意見でーす」
つまりこうだ。どこ◯もドアのような施設か装置が存在するとするなら──各地に敵機が出現する裏付けになる。
そうでなければ、正面から正攻法で来るなら軍港エリア⑦かその付近で迎撃、撃墜されているはず。なぜ『いきなり』空に敵機が出現するのか。
それこそワープしたとしか思えない敵機と何度も一戦を交えてきた。例えばエリア④のように『取られている』と言える場所も実際にある。
「派遣されて結構経つけど…沙花叉も。ここも人数増えたじゃん?一極集中はちょっとマズくない?戦力差がエグいよ」
「白上もそれは感じてた。マリンとシオンのエリアなんか3機でよく回してるなって」
現在9機。中央都市部エリア③の基地は見たところ15機は入る格納庫だが地味に余裕がなくなってきた。
例外を挙げるなら工場エリア②くらいのもの、他は多くて6機程度が現在の戦力となっている。
そして何より──唯一欠けた十字の右側、エリア④を通過してきたホロメンもいる。
「僕はエリア④から来たけどジャミングが酷かったな。合流するまで恐怖しかないよ」
「そっか、私と沙花叉が行った時も追われてたっけ」
会議室でこれからの対応を練る中、哨戒に上がっていたスバルとミオが向かうのは南西。
軍港エリア⑦周辺の哨戒、およびエリア⑥の威力偵察が今回の主な目的となっている。
Subaru《こっちが未解放か 周辺に異常なし》
Mio《エリア⑥を視認 突っ込むよ》
Subaru《了解 ちょっと待て 狭くね?》
峡谷エリア⑥。直角に切り立った崖が左右にそびえ立ち、視覚的に感覚を圧迫してくる。
さらに──崖の上にはレーダーサイトが無数に設置され、耐えきれずに上昇した機体はSAMに狙われる。
その上、エラーズの所属機がスクランブル発進で追ってくるというオマケ付きだ。
Mio《あの丸いのがレーダーっぽいね》
Subaru《初めて来たけど えげつねぇな》
Mio《谷底に接触はしたくないなぁ》
Subaru《ん? 味方機の反応3! 来るぞ!》
ホームベースの空を封じられ、高度制限を強いられ、レースゲームのように決められたコースだけを進まないといけない。
そんな中で味方機の反応が一列になって突っ込んできた。合流できるのは後方、直角カーブを2回越えた先にある大きく円形に開けた場所だ。
Pekora《やべーぺこ! こっち来んなぁ!》
Aki《こんな場所まで 普通追ってくる!?》
Luna《怖ぇのらぁぁぁ》
Subaru《ぺこら!ルーナ!先に突っ切れ!》
Mio《アキ先輩も無理しないで!》
Pekora《あいあいさー!》
兎田ぺこら。群青色のF-16Cで先頭から峡谷を突っ切り、入り口付近まで一気に離脱していく。
3期生の中でもノエルに次ぐドッグファイト特化型でもあり、何より豪運の持ち主。
ここぞ、と言う時にこそ持ち前の勝負強さで何度も窮地を切り抜けたギャンブラーでもある。
Luna《無理しちゃダメなのらよ!》
姫森ルーナ。4期生では高水準バランス型とされ、薄い桃色のF/A-18Eが谷底の水面ギリギリを攻める。
また、視野が広く、一瞬の隙を見逃さないハンターの一面があるという。
正面から見た主翼の両端は目のオッドアイと同じ色で塗り分けられている。
Aki《お言葉に甘えて!》
アキ・ローゼンタール。合流した3機の中では最も指揮能力が高く、青と黄色に塗り分けたミラージュで後方へ退避。
対地、対空問わずに優秀な戦績を更新し続け、上位10人には食い込むと噂されている。
曰くミラージュが『自分に一番しっくり来た機体』だから選んだとのこと。
Mio《どうする? このまま進む?》
Subaru《多分無人機だろ 引き返す》
Subaru《何機か直角カーブにぶつけるぞ》
Mio《了解 それはウチが引き受けるよ》
後方からはMiG-29が8機。大蛇のように長く伸びた編隊飛行で器用に峡谷を抜けてくる。
スバルが反転、先行して確実に難関を通過していく中、ミオのMiG-31はギリギリまで引き付けてから加速。
歴代4位の豪速が、それを実現させたエンジンが火を吹いてスバルのF/A-18Eを視認、ピタリと背後に機体を寄せる。
Mio《お待たせ》
Subaru《怖いわ! よく直角に曲がったな…》
Mio《お陰で2機はクラッシュさせたよ》
Subaru《いや やる事が畜神すぎるんだわ》
背後で爆発音が2つ。それは『追われる立場』である以上、こちらのミサイルが原因ではない。
直角カーブを曲がりきれずに先頭が岸壁に衝突し、さらに背後から玉突き事故で衝突したMiG-29のダブルクラッシュの合図だった。
スバルからすればミオの機体は振り切った車がドリフトしながら余裕でスピード違反、そのまま追ってくるようなもの。大空警察も引くレベルの速さだ。
Mio《大空警察もビビるってコト!?》
Subaru《そりゃな! もう1回来るぞ!》
Mio《次は何機ぶつけようかなぁ》
Subaru《ミオしゃ!?》
再びスバルを先頭に同じパターンで直角カーブを曲がる。MiG-29は1機ロスト、着実に数が減っている。
何より『戦闘で撃墜した訳ではない』。ミオの腕とMiG-31のスピードで振り切っただけである。
合流地点の近くでアキからの通信が入る。それは誰もが気になっていたが考える余裕がなかった、そんな情報だった。
Aki《こちらアキロゼ 予想なんだけど》
Aki《レーダーが不完全な可能性もあるのかも》
Aki《敵が峡谷の中しか通らないもの》
Subaru《この認識 ガバガバなんじゃね?》
Mio《確かに 言われてみれば》
これほどに狭く、細い峡谷内をなぜ8機もの機体が岸壁に衝突し、数を減らしながらも追撃する理由は何か。
認識ガバガバ、パイロットさえいない。無人機が故に『ヒトが乗っている』と思われていないとなれば扱いも違ってくる。
追われている側から見れば圧迫感と緊張感、恐怖感に支配される中、それどころではない。
が、仮定としても『それっぽい理由』が見つかるだけで少しは気が楽になる。峡谷を抜け、ようやく合流できた。
Subaru《よし 全員いるな》
Subaru《スバルから各機 1機ずつ食い破れ》
Subaru《追われてたツケ 払わせるぞ!》
♪ 【オリジナル曲】ぷ・れ・あ・で・す!【ホロライブ/大空スバル】
Aki《了解 署長が板についちゃって》
Luna《しゅばとなら無敵なのら》
Pekora《倍返ししてやんよ FA FA FA》
Mio《高度制限を解除 暴れるよ》
この地形は言わば闘技場。おそらくレーダーの範囲外。退けば迷宮と茨の道が待つ瀬戸際だ。
もう逃げ回らずに済む。戦闘機の戦い方が通じるフィールドに戻ってきたという感覚が強い。
MiG-29も上昇し、本領発揮──する前に1機がロスト。
Aki《そんな簡単に高度を上げて》
Aki《容赦なんてしない FOX2!》
アキのミラージュが低空から撃ち込んだ機関砲でエンジンが火を吹き、そこにミサイルの追撃を喰らって早々に1機が脱落した。
何も上空から狙うだけが定石ではない。例えば第二次世界大戦で活躍した『月光』はB-17を下から撃墜するため、機銃を斜めにしていた。
一方、スバルーナのペアは息の合った動きでミサイルを発射し、ほんの少し高度を下げたMiG-29は2機、水面に向かって機首が傾く。
Subaru《よし 取った ルーナ!》
Luna《お前ぇ 墜ちろよぉぉぉ!》
Subaru《機体が同じだとやりやすいな》
Luna《討伐完了なのら》
ドス黒い煙が撃墜の目印となり、追い回す役割を果たすべくブレイク。
ぺこらとミオも自分の得意分野でMiG-29に喰らいつく。片や一撃離脱、片やドッグファイト。
ぺこらの追っていたMiG-29がミオとヘッドオンになってからは文字通りの秒殺だった。
Mio《運がなかったね 貰った!》
Pekora《後ろのはぺこーらのだァァァ!》
Mio《あと1機 ぺこら 逃がさないで》
Pekora《弾なら全部持ってけぺこ!》
ぺこらが最後の1機を撃墜し、8機のMiG-29は全滅。うち3機は峡谷内で自滅という結果になった。
やっと戦闘機らしく戦える空域に出たと思えば一個小隊が呆気なく壊滅。このエリアにおいては消耗品、という無人機の扱いが浮き彫りになった。
Subaru《敵機の反応なし お疲れ RTB》
Luna《みんな おりゅ〜?》
Pekora《いやー 助かったぺこ》
Aki《ここの無力化 骨が折れそう…》
Mio《とりあえず戻るよ 燃料もキツいし》
Subaru《スバルからえーちゃんへ》
Subaru《離脱してきた3機と合流 帰還する》
Control tower《了解 着陸を許可します》
ここを陥落させるには波状攻撃が必須になる。軍港エリア⑦の空母の修復も急を要する事態になった。
そして⑤〜⑨の各エリアが今度は仮の最前線となる。これを念頭に置いて戦力の増強も必須事項になってくる。
「ふぅ…早くこの子をモノにしないと」
友人Aは珍しくシミュレーターに入り浸っていた。現在、自分のクセや得意な戦術を模索している最中だという。
タキシングの音が5機。確かに思いの外、急激に人数が膨れ上がっている。
様々な情報が交錯する中、友人Aは今回のシミュレーターの結果をメモに残すべくPCと向き合った。
ハイ、峡谷エリア⑥、一番悩んだ場所だったりw
軍港エリア⑦から見て左右を海で挟むか片方に絞るか、ってとこで。
どうせなら高度制限アリ、ファーバンティの直前みたいにしてみようかなとw
まだ峡谷エリア⑥は半分残ってたりします!