HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜   作:ブラウ隊

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Mission15"羊の火祭り"

山岳地帯エリア①。不知火建設の数回にわたる基地の改修を経てholoXの機体が収まるハンガーが完成した。

5箇所の山をトンネルで繋ぎ、その出入り口を使ってハイウェイを中に通したような構造となり、誰がどこから離陸するか。いわゆる手の内を読ませない構造でいながらトンネルが剥き出しとなり、ここだけは脆い弱点となっている。

そしてここはラウンジ、時刻にして1840。こよりのモニターにはとあるメンバーが映っていた。

 

「こんこよー」

『こんぬいーwこより、使い勝手どう?』

「そりゃもうバッチリです!タイガーⅡも敵じゃないですよ」

『いいね。そうだ、中央都市部エリアあるじゃん?そこから今かなたん向かってるって』

「了解でーす」

 

こよりが話していたのは不知火建設社長、兼パイロットの不知火フレア。後輩の基地の改修という事で一枚噛んでいた。

そしてエラーズ側に学んだAIを埋め込んだ対空機銃を各トンネル付近に10基ずつ配備するなど、地形を活かした対策をこよりとの意見交換で打ち出した。

 

『そっちは変化あった?』

「ないですねぇ」

『じゃあポルカに顔出すように言ってよ』

「あ、はい」

『不知火建設で航空祭っぽいことしたくてさ』

「配信しますよねぇ?」

『もちろん』

 

やってんなぁ。まさか現界と航空祭で、しかもちゃっかり配信で繋がる実験を試みていたとなれば博士ポジの自分が一枚噛まない、とはならない。

こよりも自分なりにプロトタイプは完成、あとはブラッシュアップに漕ぎつけたシステムもある。間に合うかは別としても技術的に興味が湧いてきた。

 

「つまり社長、みこちとすいちゃんも呼ぶ気だなぁ?」

「うわぁぁぁ!」

「なら近いうちにポルカは少し留守になるね」

 

ずっとソファの後ろで聞いてただろ、と言いたくなるほどに頭を肩の横から突っ込んできたポルカ。

ラウンジに響くのはまるでホラゲ並みの絶叫、残りのメンバーが次々にラウンジに押し寄せてきた。

 

「こよ、ホラゲでもしてる?静かにしてよ」

「博士の絶叫いいよなぁ、事件性あって」

「無事でござるか?」

「トワさぁ、カップ焼きそば咽せたんだけど」

 

普通に心配してくれるの、いろはだけだった。他の面子、いつも通りだった。

そして一応録音、アーカイブ化した一連の会話を聞かせたところ大反響。ラプラスに至っては「ここでも開催すればいいじゃん」とまで言い出す始末。

確かに哨戒こそしているが、前に比べれば侵入してくるエラーズ機は目に見えて減っている。

そしてフレアが立てた航空祭の枠で既に待機している人数が4人。もしかしなくても後から来たメンバーだろうな、とこよりの勘が告げていた。

 

「吾輩、気づいたんだけどさ?今日の哨戒ってそろそろじゃね?」

「「「「あっ」」」」

「ラプ、1時間後だよ」

 

ルイの冷静なツッコミに全員からジト目を向けられる総帥。少し可哀想にも見えるが一瞬ガチで焦ったため慈悲はない。

トワは口の横に青のりを付けたまま圧をかけている…が、ラプラスはなぜか嬉しそうなリアクション。

とはいえ、哨戒が迫っているため各々でハンガーに向かう。タキシングの時間を考えれば早いに越したことはない。

AIこよりのAWACS『ビーストアイ』は一足先に離陸、空域の目となる。

 

La+《ラプラス・ダークネスより管制機》

La+《ラプター 出るぞ!》

 

Lui《鷹嶺ルイ ラプター 出るよ》

Lui《各機 油断しないで》

 

Koyori《博衣こよりからAIこより》

Koyori《ライトニングⅡ 行きます》

 

Iroha《風真いろは ラファール 参る!》

Iroha《22機くらい…にしては空が広いような》

 

1番ゲートからラプラスとルイが、2番ゲートからはこより、いろはが離陸していく。

このゲートは5番まで存在し、それなりに戦力が膨れ上がったとしても限界までは収納できる。そして編成を内部で変えることで戦局の変化にも対応できるトンネル型要塞でもある。

上から見れば五角形に配置されたゲートは先端が中央都市部エリア③に向き、援護にも向かいやすく、先端部分が5番ゲートとなっている。

 

Towa《こちら常闇トワ 対空メインで行く》

Towa《ストライクラプター 出るよ!》

 

Polka《ポルカが護衛すればいいのかな》

Polka《尾丸ポルカ ファルクラム 行くぜぇ!》

 

トワ、ポルカは4番ゲートから出撃、その22機の一角を探しに行く。が、航空戦力でこの数なら『もっと空が狭い』。

現在確認できるエラーズ側の戦闘機はF/A-18Eの10機編成くらいのもの。であれば残りは忽然と消えたのか。否。ボォォォン!という発砲音と共に南西に位置する3番ゲート斜め上の山肌が吹き飛んだ。

 

La+《地上戦力かよ! 騙された…!》

Towa《トワも装備のミスだな…クソっ》

 

真っ黒に塗装された90式戦車が悪路をものともせずに滑腔砲をぶっ放してくる。その命中精度は高く、ガクン、と車体が傾いた状態でも正確な射撃を可能とした。

その戦車は流鏑馬とスナイパーの融合体。その行動距離、350km。最高速度──70km。これが滑走路に侵入しようものなら厄介だ。

現代の電撃戦を具現化したような戦車にゲートを潰され、手段を一つ潰されたことになる。

さらに言うなら戦闘機は『速すぎる』。このため、目標はロックできても通り過ぎるケースもあり得るとなれば『ある意味で』苦戦しかねない。

 

無誘導対地爆弾やクラスター爆弾という手もあるが、これらは『周囲を巻き込む』。侵攻で使うならこれ以上ない手段だがこの基地の防衛には向かない。

周囲を巻き込むとなれば滑走路への被害も当然ながら出て来る。自分で滑走路を潰すことにも直結してくる、やり難い状況下でもある。

『戦車だけ』を狙える機体がいない。FB-22が対空装備をメインで搭載した今、詰んだ──と思った瞬間、先頭の90式の砲塔が吹き飛んだ。

南西から2機の味方機の援軍。そのうち1機が突っ込んできた。

 

Watame《わためは 悪くないよねぇ?》

 

Towa《わため!地上目標が多いから手伝って》

Watame《いいよ〜》

 

♪HOLLOW HUNGER / 角巻わため(Cover)

 

スピードを捨てたジェット機が存在する。

それは堅牢な装甲と低空、低速での運動性に振り切ったような機体であるが故に近接航空支援に特化し、一度見たら忘れられない外見を持つ。

パイロットもバスタブに例えられるチタンのケージに保護され、地上からの小火器であれば物ともしない。その上、コスパも良く修理や整備にも配慮している。

何より目を引くのはこれでもかと剥き出しになったガトリング砲、GAU-8『アベンジャー』。その口径、30mm。その重量、1.8t。

 

A-10C『サンダーボルトⅡ』。

夜間戦闘能力、そして装甲と引き換えに失った退避能力の欠如は致命的とされ、配備されて早々に退役を議論された過去を持つ。

が、一際注目を浴びたのは湾岸戦争。夜間にはAH-64やAC-130などが温存される中、本機は日中の猛攻を担当。

それは遅咲きの軍用機が魅せた青天の霹靂。敵の航空戦力を一月で壊滅させ、絶対的航空優勢を確立させるなど敵味方に存在を知らしめた。

 

この機体を操るのは角巻わため。機首に羊の角をペイントし、レモンイエローとクリーム色の迷彩はこれでもかと存在感を示す。

そして──なぜかA-10Cらしからぬ絶妙に微妙な、気持ちスピードが上がったようなそれを駆り、滑走路に迫る戦車連隊に30mmガトリング砲を叩き込んでいく。

 

Watame《恐ろしいねぇ…》

La+《自分で言ってたら世話ないっすよ》

Watame《お? 何だぁ? やんのかぁ?》

Towa《そこ 油断しない!》

 

一方、F/A-18Eを相手にするholoX、トワ、ポルカは敵機の性能の良さを肌で感じながらもこう感じていた。

マルチロール機としては現役の優等生、ではある。が──ある人物が真っ先に浮かんできた。

 

Lui《スバル先輩よりは下手だね》

Towa《いいのは機体だけじゃん》

Polka《ボロクソ言われてて草》

 

Koyori《まずは制空権から奪っちゃうよ!》

La+《こんな僻地にご苦労だな AI諸君》

La+《だが所詮AIだ 圧倒させてもらう》

 

Iroha《ん? 飛翔体が接近?》

Iroha《対空機銃が撃墜 東に何か…》

Kanata《こちらかなたそ 遅れた》

Kanata《黒いステルス機が6機いる!》

 

3番ゲートと5番ゲートを繋ぐトンネルに向けて接近したミサイルはAIを埋め込んだ対空機銃が撃墜。その反応は一瞬だけ。要するにステルス機が接近している。

F-117Aが6機。夕暮れを背に超音速を超えないスピードを活かして忍び寄っていた。ようやく合流したかなたを先頭にいろはも東へ向かう。

 

Kanata《よし 低空から背後まで突き抜ける》

Kanata《その後で旋回 後ろから叩くよ》

Iroha《了解でござる》

 

その頃、わための背後から追従してきた味方機も合流。挨拶代わりに機関砲でF/A-18Eを1機撃墜。

F-22Aをオレンジに染め、黒と黄緑の多角形を組み合わせた、整備班から隠密性って何だっけ?と言われそうなスプリッター迷彩が空中で先頭に躍り出た。

 

Matsuri《良かった 後の祭りじゃなかったね》

La+《何かヤベェの来た》

Matsuri《あ?》

Polka《ラプラス 無茶しやがって…》

 

夏色まつり。F-22Aを使うJPメンバーの中でも珍しくドッグファイトに向くとされ、機動性に重きを置いたカスタマイズが特徴でもある。

空を泳ぐような小回りで前方に敵機を捉え続け、常に先手を取るF-22Aらしくないスタイルは敵からすれば威圧感の塊。

主に遊撃を担当、時には護衛にも回れる。まつり本人曰く『暴れられるなら何でもいいや』とのこと。ラプラスが発した『ヤベェの来た』はあながち間違いではない。

 

La+《まずい ハリアーⅡが4機接近中》

La+《まつりさん 撃墜スコア更新できますよ》

Matsuri《オッケー 吹っ飛ばしてくる》

 

トンネルの防衛に配備した対空機銃に接近するAV-8Bの一個小隊。まつりのF-22Aは高度を上げて一旦後ろに。

スプリットSで背後を取りながら一瞬の背面飛行でAMRAAMを発射、エンジンを抉られたAV-8Bは全てコースをずらしながら墜落していく。

一方、F-117Aの6機編隊に向かったいろは、かなた。既に1機ずつ撃墜している背景には超音速とそうでない機体、この違いが露骨に見えている。

 

Kanata《格闘戦ができなきゃこっちが有利!》

Iroha《逃がさないでござるよ》

 

スピードの差は言わずもがな、F-117Aは戦闘機ではない。ピンポイントの空爆を主体とする攻撃機である。

さらに言えばF-117Aは機関砲を積んでいない。最初から戦う土俵が違う機体であるが故、異種格闘技戦(ドッグファイト的な意味で)など仕掛けられたら応戦そのものができない。

 

Kanata《悪いけど後ろから撃ちまくる!》

Iroha《機動性がレベチでござるなぁ!》

 

後方への視界はまるでなし、前方だけしか見えないF-117Aは後ろを取ったいろは、かなたのカモと化し、機関砲で次々と撃墜され、残り1機まで減った。

ステルスは透明化ではない。あくまで反応を小さくする手段でしかなく、機体は確かに存在する。

 

Iroha《夜になる前に墜とすでござる!》

Kanata《貰ったァァァ!》

Iroha《撃墜 ステルス機の反応なし!》

Kanata《この世のものは脆すぎる…ってね》

 

かなたのF-15Cが機関砲でエンジンを撃ち抜き、本領を発揮することなくF-117Aは全滅。東の脅威が去った今、かなた、いろはもF/A-18Eの迎撃に合流。

空中ではラプラスとトワが2機を追い回し、こよりとルイの機体がそれを待ち受ける。

 

La+《ほらほら逃げろって!》

Towa《空中戦ならこっちが上だよ》

Lui《ナイスキラーパス》

Koyori《こっちだよー!》

 

ルイとこよりは即座に反転、トンネルの上までおびき寄せる。F/A-18Eは後方からラプラスとトワに追撃され、『追うしかない』。

嫌でも進むしかない今、地上から狙われるのは必然。皮肉にも2機の蜂が対空機銃で蜂の巣にされて山肌に激突した。

 

Watame《ほーら 明るくなっただろうw》

Watame《悪く…ないよねぇ?》

Kanata《わためwww 今のはナイスw》

 

AGM-65『マーベリック』が空から降り注ぎ、地上の戦車部隊はほとんどが消し炭と化す。

残存戦力は30mmガトリングをピンポイントで叩き込み爆発で足止め。各個撃破ともなれば同じ戦術で、『単騎で』地上戦力を壊滅させたホロライブのタンクバスターがここにいた。

 

Matsuri《こっから先はお任せー!》

Matsuri《きったねぇ花火になっちゃえ!》

La+《残りは吾輩が貰っとくか 行けぇ!》

 

残り5機となった敵戦力は1機はまつりのミサイルで、残りはラプラスのAMRAAMでエンジンを貫かれ、山を越えた地点に墜落。

初となった対地攻撃も単騎で無双とはいえ成し遂げ、敵機の反応も完全に消失した。

 

La+《こちらラプラス 敵機の反応なし》

La+《各機着陸に移行 RTB》

 

Lui《了解 呆気なかったね》

Koyori《今回のパターンも考えないと》

Iroha《ステルスは焦ったでござるな》

Matsuri《まぁ対空なら任せてって》

 

Towa《まさか敵を読み違えるなんてね》

Kanata《今回のMVPはわためじゃない?》

Watame《そうかな? 照れるよねぇ》

Polka《そこは素直に受け取るモンだよ》

 

誘導灯に従って着陸、タキシング。ハンガーへと機体を入れる中、ポルカは予定が押しているのか燃料の確認などに追われていた。

中央都市部エリア③に一度立ち寄り、miCometと合流と給油のタイミングを合わせて出発、という手筈にしたらしい。

 

「あ、みこち?不知火建設の航空祭いつだっけ」

『わがんな──いってぇぇぇ!すいちゃん!?』

『今週末だから少し急がないとかな』

 

スマホ越しにmiCometの漫才を聞きながら日程を把握する。向こうからは『あんだお!?』と聞こえるあたりチョップでも喰らったと読み取れた。

少し余裕はあるとしても機体チェックに割ける時間は多くない。現地にいるならまだしもエリア自体が違う。

 

『私のフランカーはもうチェック済んだよ』

「さすが、みこちのファルクラムの整備は?」

『これから』

「早くしなさいw」

 

不知火建設が主催する航空祭だけあって集まるメンバーこそまだ少ないがReGLOSSのすぐ下に『???』と表記された欄がある。

また何かやらかす気だな?と直感で感じ取ったポルカはそのメンバーを楽しみにMiG-29の機体チェックを再開した。




あ、ありのまま今起こった事を話すぜ…!
『この回をずっと前に書き上げるはずが季節が変わっていた』
な、何を言ってるか分からねーと思うが()

お待たせしてます、今回やっとA-10出せました(´∀`*)
これから2回は航空祭とエアレース回にしようかなと思ってます!
エアレース回、カオスになりそうな予感しかしないっす…w

ちなみにF-117Aにぶつけたメンバーは
ござるさんの誕生日が6/18→F-117Aの初飛行
かなたその誕生日が4/22→F-117Aの退役日
こんな小ネタも仕込んでましたw
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