HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜   作:ブラウ隊

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Mission02"大空を拓く星"

初期戦力が揃ってから約一週間。毎度のごとく哨戒に出ては『異常なし』で帰還する毎日が続く。

周囲のエリアにも異変さえなく、ホロぐらにも似た日常でもない──身も蓋もない言い方をするなら『退屈』の二文字。

友人Aはタブレット端末のモニター越しにこよりと情報交換の最中、興味深い内容を入手したという。

 

『こちら山岳地帯エリア①、こんこよー』

「こんこよですー」

『あれから結構な画像が撮れました!多分ですけど機種は一つじゃないはずです!』

「ふむふむ」

 

これ見てください!と画面越しに前のめりになり、こよりが数枚の画像を表示する。

前よりも解像度は高く、割と輪郭がハッキリしたものもあり、尾翼の形状や全体的なシルエットが掴めてきた。

 

『怪しいのは…中央都市部エリアの境界付近かなぁ』

「こっちに来る前に堰き止める、と」

『はい!あ、各エリアで動けるメンバーも増えてますよ!』

「なるほど、いい情報をどうも」

 

他愛ない雑談を最後に情報交換は終了。確かにエリア間の境界は盲点だった。

いずれ今の哨戒が役に立つ日が来るはず、とコーヒーを飲みながら管制塔の椅子に座って一息。

そろそろ夕暮れも近い。予定していた夜間飛行訓練を兼ねた哨戒の時間を知らせるべく放送を入れる。

 

『ホロメン各員へ。そろそろハンガーで待機を』

『誘導灯は点灯したのでそれに沿って着陸してくださいね』

 

「お、白上たちの出番ですかな」

「早いとこ終わらせるにぇ」

「じゃあまた滑走路でね」

 

ア◯ビ大全のルドーを一時中断。そら、みこ、フブキはハンガーへ向かい、コクピットに身を預けた。

MiG-31、MiG-29、F-22Aの順に滑走路に向けてタキシングが始まる。

何よりも違うのは今回は対空兵装を積んだいわゆる「ガチ」の状態で飛び立つ、という点にある。

目標は境界付近。単騎で飛び回るのはハイリスクと判断され、山岳地帯エリア①に近い場所での情報収集も兼ねた内容だ。

 

Control tower《全員のタキシングを確認》

Control tower《友人Aより各機 状況を開始》

 

Fubuki《フォックスハウンド 出るぞい!》

Control tower《今回も頼みますよ!》

Fubuki《あいよー!》

 

Miko《ファルクラム 行ってくるにぇ!》

Control tower《色々と気をつけて》

Miko《色々って何だよぉ!》

 

Sora《ときのそらよりコントロールタワー》

Sora《ラプター 行きます》

Control tower《了解 頑張って》

 

矢継ぎ早に離陸、見慣れた都市部がみるみる小さくなり、荒々しい山肌が見えてきた。

夜間に飛ぶとなれば遠近感が狂い、機首から突っ込む事も容易に考えられる。

ここを悠々と、かつ安定して飛べるとするならば──さらに高高度を飛ぶ大型旅客機くらいのものだ。

現在高度700m前後、眼前には自然が作り上げた狭すぎるサーキットが広がる。

 

Miko《暗くなってきたにぇ…》

Sora《地形も複雑なんだね 気をつけて》

Fubuki《上手く使えば不意打ちとかも?》

 

Control tower《こちら管制塔 友人Aより各機》

Control tower《12時 9時 6時方向からアンノウン接近!》

Control tower《その数12機! エンゲージ!》

 

Sora《じゃあ敵だね?》

 

4機編成が3グループ。山岳地帯エリア①に程近いこの地域に陣取っていたと思われる。

正面から突っ込んでくる4機の姿が次第に顕になってきた。

 

教養ある婦人と称される小型機が存在する。

その機体は初飛行から60年以上が経つ今でも現役、総生産数にして2236機に及ぶ。

F-5E『タイガーⅡ』。優れた整備性と操縦性を備え、安価な割に長く使えるという利点もあった。

何より──不整地や未舗装の土地さえも滑走路に変える意外なまでのタフさも本機の特徴の一つである。

 

Miko《小さいくせに速い 待てっての!》

Miko《フブさん 左のグループは任せるにぇ》

Fubuki《はいよ!》

 

垂直離着陸。これを可能とした航空機は多くはない。

が、この機体は貧弱な滑走路であろうとも関係なく──小規模な飛行場からもすぐさま発進できる。

AV-8B『ハリアーⅡ』。艦上攻撃機の性能を持ちながらヘリコプターのように上昇、ブレイク。9時方向から接近してきた。

 

Fubuki《チッ 遅いから狙えると思ったのに》

Sora《背後のは私がやる》

Fubuki《了解!》

 

コンパクトさ。この項目で恐らく右に出るものはいない機体が存在する。

J35J『ドラケン』。小型機でありながらマッハ2級を叩き出し、主翼を外せば貨物列車でさえ運搬できる機体となっている。

一方、飛行制御システム『フライ・バイ・ワイヤ』がなく、乗り手を選ぶ玄人向けの機体だが本機の初飛行は──1955年である。

 

Unknown《FOX2 FOX2》

Unknown《ミス》

Unknown《囲い込む》

Unknown《ウィルコ》

 

3対12。数の上では圧倒的に押し負けている。

さらに言えば3人とも今回が初陣。物量差が発する威圧感、山肌の圧迫感がプレッシャーと化して襲ってくる。

ひっきりなしに鳴り続けるミサイルアラートが集中力を一気に奪っていく。

 

Sora《やっぱり数が多い みんな大丈夫?》

Fubuki《何とか 山肌に吸い込まれそうです》

Miko《さっきからコイツらの無線…人間?》

 

確かに不自然ではある。この12機は無線でのやり取りこそ見て取れるが──単語のみでの会話、程度にしか聞こえない。

それこそ有名なゆっ◯り、ずん◯もんに代表される読み上げソフトのような雰囲気がある。

下手をすればもっと無機質で無表情な──AIにも似た冷たさが恐怖を倍増させる。

 

Miko《すいちゃん… どうしよ…》

Fubuki《こちら白上 接近する3機の機影を確認》

Fubuki《IFFは…味方!? 2機墜ちてる!》

 

AZKi《目標に命中 guess!》

Sora《あずちゃん!》

 

最も有名なジェット戦闘機は何か。その答えは千差万別。ではハリウッドにまで進出し、主役を飾った機体は何か。

その機体のレーダーは約200km先を見据える千里眼。代名詞のAIM-54『フェニックス』の射程距離も200kmを超える。

 

F-14D『スーパートムキャット』。AZKiの乗るそれはベージュ、マホガニー、マゼンタのデジタル迷彩。

J35Jが2機、エンジンにミサイルが突き刺さって墜落していく。

 

Miko《ヤバいヤバいヤバい…》

Suisei《今日の撃墜スコア 見つけたァ!》

Miko《すいちゃん!?》

Suisei《みこち 呼んでたよね お待たせ》

 

フランカーシリーズ。この一族はバリエーションが豊富な事も知られるが──本機は主翼と水平尾翼を折り畳むことができる。

上空での機動性を確保するためカナード翼を採用し、シルエットはSu-27と大きく異なる。

 

Su-33『シーフランカー』。コードネームをフランカーD。全長21.19m。この大きさで──艦載機である。

星街すいせいの機体はノーズ部分以外を真っ青に染め、主翼先端のみがチェック柄。

あっという間に3機を機関砲で食い千切り、F-5Eは残り1機になった。

 

Fubuki《んー やっぱ大回りに旋回しないと》

Subaru《横っ腹 ガラ空きなんですケド?》

Fubuki《スバル ナイスキル!》

Subaru《これ以上 好き勝手させるかって!》

 

マルチロール機。この機種を代表する機体の一族が海軍には存在している。

本機の売りは対空、対地、対艦、対レーダー、偵察など任務を選ばない汎用性。

空母打撃群として一種の最適解のような機体は現在でも主力として甲板に君臨し続けている。

 

F/A-18E『スーパーホーネット』。大空スバルが操るそれはグレーを基調とし、主翼部分はライトブルーと白のストライプ模様。

マッハ1.6の適度な遅さはAV-8Bをすぐに捕捉。フブキのMiG-31に近い機体を2機撃墜した。

 

これにより──MiG-31の本領でもあるスピードを活かしたヒット・アンド・アウェイが可能となる。

ムダ撃ち防止のセーフティを解除、マッハ2.83の元、2機のAV-8Bへとミサイルを叩き込んでいく。

 

Fubuki《FOX2! FOX2!》

Unknown《直撃 操縦不能》

Unknown《戦闘継続不可能》

Subaru《ナイスキル! ハリアーは片付いた》

 

同時刻。miCometは残ったF-5Eを執拗に追い回していた。

すいせいがピッタリと背後に張り付き、プレッシャーを与えながら山肌ギリギリを攻め、みこは低空飛行で迫る。

オーバーシュートが難しいこの地形。遠近感が狂い始める今、みこが一か八かの賭けに出た。

 

Miko《まだ…もう少し ここぉぉぉぉぉ!》

Unknown《帰還不能 帰還不能》

Suisei《それ低空でやる?》

 

プガチョフ・コブラ。急激に減速、機首を垂直に近い角度まで上げ、水平に戻す曲技飛行である。

そして──ホロライブ屈指の豪運は伊達ではない。この一連の流れで機関砲を『低空で』F-5Eのエンジンに命中させ、山肌に激突させた。

 

後方から迫ってきたJ35Jを迎撃するそら、AZKiも仕上げの段階に入っていた。

当然ながら最初に狙われるのはAZKiのF-14D。だが当の本人は想定通り、と言うように速度を下げた。

 

AZKi《やっぱり狙ってきた このまま引き付けるね》

Sora《了解 後は任せて FOX3!》

Unknown《直撃 航続不可能》

Unknown《エンジン停止》

 

3機を追うそらのF-22Aが機体下部のウェポンベイを開き、AIM-120『AMRAAM』が顕になった。

バシュゥゥゥ、という発射音に合わせてF-14Dは急加速。取り残され、AMRAAMが突き刺さったJ35Jはエンジンから徐々に炎に包まれて爆発、四散。

 

Fubuki《こちら白上 敵機の殲滅を確認》

Suisei《ちゃんと全員生きてるよ》

 

Control tower《こちらのレーダーにも敵影なし》

Control tower《各機 着陸まで油断しないように RTB》

 

エリアの境界を離れるにつれて見慣れた夜景が出迎える。が、夜間の着陸は滑走路が暗闇と同化して見えるためか各々が慎重になる。

誘導灯がある、とはいえ地面に突っ込みそうな着陸は誰もしない。前回の着陸でジェットコースターを披露したさくらみこでさえも。

 

「イノナカ両名、これからよろしくね」

「さって、スバルも頑張るかぁ」

「フランカーに乗るすいちゃんは今日もー?」

 

食堂に全員が集まり、改めて顔合わせする。が、元々顔見知りな面子である以上、再会の二文字が相応しいかもしれない。

そして──すいせいの決まり文句を多少アレンジして発すると同時に一人だけ違う返しで反応する人物が。

 

「「「「可愛いー!」」」」

「態度デカーいッ!」

「みこち?倉庫裏で待ってるね」

「ごめんなさいッ」

 

この圧である。他の面子は口元が引き攣る者、通常運転と割り切る者、爆笑する者──反応は様々だ。

今回の哨戒、実戦で判明した『敵機』の存在。これを踏まえ、こより達と連携して対応するに足りる情報源は確保できた。

機種が複数ともなれば画像で一致しない部位がある、という仮定の裏付けにもなる。

 

小型機でありながら神出鬼没のコンパクトさ、マッハ2級の速度を得たJ35J『ドラケン』。

不整地を物ともせず、そのコスパの良さから何度も一戦を交えるであろうF-5E『タイガーⅡ』。

垂直離着陸を可能とし、配備された場所や状況によっては不意打ちが怖いAV-8B『ハリアーⅡ』。

 

「そろそろ食堂行こうかな…」

 

機体の画像を調べ終わり、デスクの椅子から立ち上がる友人AはPCに背中を向けた。

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