HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜   作:ブラウ隊

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♪マークは今回から作業用BGMで聴いてた曲として曲名だけ書こうかなと。
もう誰が主役か分かる人の方が大半っすよね!


Mission03"海のギャングに花束を"

「幹部ー、ハンバーグまだー?」

「もうすぐだから待ってて」

「ルイ姉、手伝うでござるよ」

 

山岳地帯エリア①──秘密結社holoXが基本的に担当し、レーダー装置が目を光らせ、AIこよりがAWACSに居座る。

一方の本人、博衣こよりは基地のデスクに置いたタブレットで作業をする傍ら、先日送られてきた機体の画像を興味深そうに眺めている。

 

「ドラケン、ハリアーⅡ、タイガーⅡ…ふーむ…」

 

『こちら中央都市部エリア③、ちょっといいですか?』

「あ、こんこよでーす」

『早速なんですけど…誰か一人、こっちに派遣できます?』

「…え?…へ?」

 

誰かがいなくなる。後頭部にサッカーボールがクリーンヒットしたような衝撃を受けながらも話だけは聞いてみる。

ここの防衛を受け持つにあたって今の状態がMAX。それ以上に大切な『戦友』が欠けるかもしれない一件でもある。

 

『戦術的にも性能的にも…技量的にも今は最後の砦が脆いので』

「どんな感じです?こっちも余ゆ『クロヱさんあたりですかね…』

 

確かに一個小隊クラスには膨れ上がった。が、PCで言うコアを防衛するにあたり、気持ち的にもう少し戦力を欲しているらしい。

話を聞くに『中央ならメンバーを編成して各ミッションに投入できる』というメリットを踏まえて、らしい。

友人Aから得られた要求はこれだ。

 

『前衛を任せられる機体とメンバーが欲しい』。

 

しかし──よりによって最も親しい名前が挙がり、その人物が背後に立っていた。

なぜか他人事のように首を傾げて仮面を外し、反応を楽しむような半笑いがあざとい人物。

 

「ほぇ?沙花叉が中央都市部エリア?ウケるw」

『ちゃんと聞いてください』

「笑い事じゃないからね、これ」

 

空気が一瞬で凍りつく。沙花叉本人も『え、マジ?』という表情で画面を直視する。

友人Aはニュースの原稿よりも遥かに淡々とした口調で画像を出しながら続けた。

手慣れたコールセンターどころか機械的、かつ事務的にも聞こえるその声は冷静を通り越して──冷徹さが見え隠れする。

 

『9つのエリアで一番多くのエリアと接してるのが中央都市部③、ここは大丈夫ですね?』

「うん、沙花叉からもそう見える」

『ゲームで四方を囲まれた状態なんです、今。逆に聞きますね』

「え、うん」

 

『仮に中央都市部エリアが陥落したとします』

『データで画像を共有したような、むしろそれ以上の敵戦力が押し寄せた時』

 

『たった5機で防ぎきれますか?』

 

仮定も含めて例えがえげつない。が、実際そうなった場合をシミュレーションした場合──文字通り『全滅』。

言うことが正しい分、現実的な分──余計に心理的な部分を抉ってくる。

 

「…沙花叉でいいなら。行くよ」

「クロたん!?」

『感謝します…まずは山岳地帯エリア①、そこから総力戦を仕掛けます。その間だけですよ』

「合流、2日後くらいでいい?」

『了解です、調整しますね』

 

「えーちゃん、こよは頭冷やしてくるね…」

 

パタン、とドアが閉まる音。直後。

 

ダァンッッッ!

 

思い切り外にあるサイドテーブルに台パン、拳を叩きつけた音が響き渡る。

恐らく行き先はハンガー。研究者らしく無心で機体のソフトウェアを弄っていると気が休まるらしい。

 

翌々日。擬態を兼ねたトンネル内のハンガー。

 

「やっぱ行くのかな、アイツ」

「ひょっこり帰って来るんじゃない?」

「寂しくなるでこざるなぁ」

「あはは…みんな集まってたんだ…」

「やっべ、遅れた」

 

珍しく全員が集合し、それぞれの機体に身体を埋める。天候は快晴、敵が来ても見失わない程度には雲が少ない。

山の麓をトンネル状にくり抜いた形状の小規模な基地からまずはAWACSが空に上がる。

E-767。ジャンボジェットを魔改造して建造された本機は世界で4機のみだが、一定空域を丸ごと監視できる優れモノだ。

 

AWACS《空域に巨大なアンノウン接近 出撃を》

AWACS《訂正 6時方向から敵機が接近 その数30機 スクランブル》

AWACS《AIこよりから各機 離陸を許可》

 

La+《ラプラス・ダークネスだ!聞こえるな?》

La+《ラプター 出るぞ!》

 

Lui《鷹嶺ルイよりAWACSへ》

Lui《ラプター 発進する》

 

ラプラスは黒と紫の、ルイは赤紫と白のF-22Aで発進。轟音を響かせながら2羽の猛禽が先行していく。

早速AMRAAMが火を吹いたのか3機ほどが火球に姿を変えて墜落、残骸と化す。

 

実験機──中でもXプレーンズと呼ばれる一群がある。

一際異彩を放ち、異形と呼ぶに相応しい。そんな機体のコンペの後、制式採用を勝ち取った機体が存在している。

Joint Strike Fighter。またの名を統合打撃戦闘機。F-35C『ライトニングⅡ』である。

こよりの機体は白地に薄いピンクをぶちまけたような迷彩だ。

 

Koyori《本人からAIこよりへ》

Koyori《博衣こより ライトニングⅡ 出ます》

 

己の力だけで歩み続けた機体が存在する。

元々の出自はと言えば──共同開発に参加した国が脱退したことにある。

自国の提案は悉く却下、まして航空産業の命運を賭けた大博打。そこの乖離が、溝が生んだ副産物の側面も持つ。

その名をラファール──風真いろはの機体は空に吹き荒れる浅葱色の『突風』である。

 

Iroha《こちら風真いろは 管制機へ》

Iroha《ラファールM 参る!》

 

翼を捨てた機体がいる。もっとも、それは主翼ではない。

Su-35S『フランカーM』。推力偏向ノズルにより、Su-33のようなカナード翼をオミットするに至った。

沙花叉クロヱの機体は機首にシャチの頭をペイントし、黒地に所々赤いチェック柄が迷彩のように配置。

旧Su-35の形状を踏襲せず、Su-27に近い形状に原点回帰した機体は珍しい。

 

Chloe《さーてやりますかぁ》

Chloe《沙花叉クロヱ フランカー 行くよ!》

 

空域に到達したそばから撃墜していたせいか25機ほどに減ってはいる。が、速い。

そしてドッグファイトに向く機動性はF-22Aの先に見つけ、撃ち、撃墜するという理念を封じてくる。

 

La+《追いつかれる 性能はこっちが上のはずだろ!》

Lui《何よりこの数 相当コスパいいよ》

La+《感心してる場合じゃなくね?》

 

後継機にその座を譲らなかった戦闘機が存在する。

その機体は安く、速く、時代に合わせて改良が続き、2025年現在でも第一線を退かない。

何より特筆すべきは生産数──その数、超音速機では異例の10000機以上。

それは冷戦の最中に生まれ、老いて益々盛んな百戦錬磨の老兵である。

 

MiG-21bis『フィッシュベッド』。

なぜ未だに退役せずにいるか。それは後継機が凌駕できなかった構造のシンプルさにある。

また、整備性、操縦性がズバ抜けて高いために高価な後継機よりもこの機体を選ぶ国も多い。

 

規格が安定しないこともあるが、弱点はそれくらいのもの。

質より量。圧倒的物量で押し潰すにはこれ以上ない戦闘機であり、発展途上国の航空戦力としても重宝されている。

 

Unknown《FOX2 FOX2》

Unknown《目標ロック》

 

Chloe《追ってきてる こんこよ!》

Koyori《ナイス囮 エンジン貰うよ》

Iroha《いざ尋常に 勝負でござるよ FOX2》

 

6時方向には未だに雲霞の如く押し寄せてくるMiG-21bis。最初は30機と聞いたが撃墜してもキリがない。

文字通り終わりが見えない。ミサイルも機関砲も当然ながら有限。

 

AWACS《こちらAIこより 追加で20機接近中》

AWACS《全て同型機 迎撃を》

 

Chloe《はあぁ!?》

Chloe《いいよ 全部喰い千切ってやる》

 

隠し持っていた仮面を装着、初配信前のアイコンのような無表情さが牙を剥く。

失速寸前まで機体を減速、プガチョフ・コブラで真上の1機を、さらに後方に一回転して追ってきた1機のエンジンを機関砲で抉る。

 

クルビット。平たく言うなら戦闘機のバク転である。本来であれば実戦向きとは言い難いこの機動を十分な高度で披露、かつ敵機を撃墜している。

自分の周りを流れるように一掃する様は掃除屋に恥じない。5機、6機と撃墜スコアは右肩上がりに増えていく。

 

Iroha《沙花叉 ナイスキル!》

Koyori《それじゃ テンション上げちゃえ!》

 

♪【cover】サマータイムレコード/秘密結社holoX

 

La+《こより お前の機体どうなってんだよ…》

Koyori《アップした曲 流せるようにしたんだ》

Chloe《えーちゃん欲しがるかな》

 

Iroha《その才能 もっと違うとこに…》

Lui《でも確かに士気は上がるはず》

 

たった5機とは言え善戦どころか巻き返しているのが今の現状だ。そこに戦意高揚効果がありそうな曲がF-35Cから流れてくる。

実際、一騎当千の活躍をリアルタイムで続ける掃除屋の機動がさらに鋭くなったように見える。

 

Chloe《正面に6機 上等…!》

Chloe《全弾持ってけぇぇぇ!》

 

La+《クロヱ すげぇ… やべっ!》

Lui《いろは!ラプ!大丈夫!?》

Iroha《ルイ姉 面目ない…》

 

だが集中力も無限ではない。いろはとラプラスも機関砲が主翼を掠めて塗装が剥離してきた。

が、敵機も損失が甚大なのは言うまでもない。思惑はどうあれ、後から来た増援が急に背中を向けて撤退を開始した。

恐らく撤退する先はアナザー、もしくは近くのエリアであろう事は容易に想像ができる。

 

Unknown《作戦終了 RTB》

Unknown《了解 撤退開始》

 

Chloe《ハァ 燃料以外残ってないや》

Iroha《よし ど真ん中が開けた!》

Lui《沙花叉 花火の中を突っ切って》

La+《クロヱ! お前しか行けない!》

La+《待て こより!?》

 

Koyori《スイートピー作戦 状況開始》

Koyori《クロたん ミサイルのボタン押してみて》

Chloe《ぽちー… スモーク!?》

 

♪一番の宝物/博衣こより 沙花叉クロヱ(Cover)

 

赤黒い直線がSu-35Sの右主翼から噴き出る。ブルーインパルスのような機体ではない。

だからこそ前々日に仕込んでいた。送り出す際のイメージカラーである。

F-35Cもウェポンベイを開いた中に同じ装置を隠していたらしく、薄いピンク色のスモークが焚かれる。

 

Koyori《このスモークが切れるまで 送ってく》

Chloe《エスコートよろ》

 

『たった5機で防ぎきれますか?』

 

Koyori《holoXの本気 見えてたかな》

Koyori《えーちゃん》

Koyori《こよの『戦友』 よろしくね》

 

山岳地帯エリア①と中央都市部エリア③の境界付近。F-35Cのスモークが切れた。

むしろ計算通り。最初から先にスモークが切れるように調整しておいた。

 

Koyori《ここまでだね 一旦最後になるのかな》

Chloe&Koyori《こよクロ 解散!》

Koyori《いってらっしゃい…》

 

敢えてそれ以上は言わない。シャチと化したSu-35Sのアフターバーナーを見送るのみ。

──空にあの戦友が泳ぐ海はあるか。答えはYES。目の前にある雲海がその答えに他ならない。

 

La+《吹っ切れたっぽいな こより RTB》

Koyori《了解 今行くね》

 

翌日。いつものように情報共有のためにPCのスリープ機能を解除。

ブラックコーヒーを片手に中央都市部エリア③に回線を開く。

 

「こんこよでーす!クロたんは?」

『無事に着いてますよ』

『こんこよー!え、何、心配してんの?』バリバリ

 

ブフゥゥゥゥ!

 

思いっきり吹いた。あんなに涙を堪えて送り出した戦友、奥のソファーに座って初手からポテチ食べてた。

昨日のエモさは何だったのか。肩を掴んで揺すりたいくらいに順応めっちゃ早かった。

山岳地帯エリア①がクリアになれば再び帰って来る。それまで翌日の戦友を楽しみにするか。

 

『一応こっちで交戦した機体の内訳を…』

「ふむふむ」

 

研究者は今日も忙しい。




1/26の卒業ライブを見てから涙腺崩壊して『やるしかないじゃん』と決めて書いてたら3日過ぎてたという…
アーカイブ勢でholoX全員を推してた身として今回は沙花叉をフランカーで無双させてあげたいな、と。
少しでも推しの一人に返せたと思いたいし思うことにします!
ちなみに今回の敵機は推しマークから即決でしたw

4700字ピッタリ…w
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