HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜   作:ブラウ隊

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Mission04"銀雪は焔と共に"

工場エリア②。中央都市部エリア③に隣接する要所である。

ここを拠点にオプションパーツや様々な特殊兵装、果ては機体そのものも建造されている。

そして先日、holoXを追い込むも撤退したMiG-21bisが移動したとの情報が入った。

 

このエリアには元からアナザー側に通じる裂け目が存在しない。手始めに攻略、制圧するには恰好の場所だ。

防衛部隊は当然配備されている。が、要所と言う割にはこのメンバー、割とゆるい。

 

「誰か団長に牛丼プリーズ」

「ラミィに日本酒ぷりーず」

「ほら起きる!今日の任務残ってんだから!」

 

白銀ノエル、雪花ラミィは休憩室のデスクに顔から突っ伏してまるで違うものを所望する。

欲望に正直すぎる二人を一喝する声が響く。この寒い盛りにドアは全開にして喝を入れられ、思わず寒さと怯えの二重の原因で震えるラミィとノエル。

 

「ったくもー…」

 

不知火フレア。ここの暫定的な隊長機を務める一方、不知火建設の社長も兼任する。

ちなみに、このエリア②は彼女の手腕で開拓して工場エリアとして確立した。

ノエル以外の社員は現在各地に散らばっているが、不知火建設の手掛けた工場がここには無数にあり、今でも動き続ける。

 

「こっちにイレギュラー来るかもって。こよりから一報あったんだよ」

「確か隣接したエリアはえーちゃんの通信が届くんだっけ」

「団長よく分かんないな…あとドア閉めてぇ…」

 

ノエル自身も認める脳筋ムーブ。見てらんないと言わんばかりにラミィが即席ポインタを展開。

メガネも装備して利発さも気持ちアップ、講師のように解説を始める。

 

「ノエたん注目」

「はい」

「今いる工場エリア②が…そぉれぇ!ここッ!」

 

.  ①

. ❷③④

.⑤⑥⑦⑧⑨

 

地球儀があればマダガスカルが鉄板な方の海賊ネタを交えて今のエリアを黒で表示。

しれっとソファーに座り、紅茶を飲むフレアが吹き出す寸前までツボったらしく小刻みに震えている。こうかは ばつぐんだ!

 

「エリア③、ここ中央都市部にはAWACSがないの分かるー?」

「うん、近場だから?」

「そ、だからAWACSを1機造ってる」

 

『そこから先は私が』

「「「えーちゃん!」」」

 

噂をすれば何とやら。壁に友人Aの姿がタブレット端末経由で映し出される。

やはり場数を踏んだ者からの説明が一番分かりやすい。

三人でソファーに座る様子は講義室そのものだ。

 

『建造を急いで貰ってるAWACSありますね?完成したら違う場所に派遣する予定なんですよ』

『まぁ大枠はラミィさんの解釈で合ってます。要するに前線基地、通信網の拡大ですね』

『通信網の拡大が成功すれば下のエリアの調査、もしくは奪還も進むはず』

 

「だからここが要所、かつ急所。ウチの工場は火遊び厳禁だからね」

「フレア眩しいってぇ」

「さすが社長兼任」

『そういう事です!MiG-21bisの迎撃、頼みます!滑走路の状況は良好でしたよ』

 

プロジェクターが切れる。ふっ、と不敵に笑うフレアは雰囲気だけで知らせる。

ハンガー行くよ、付いてきて。その両脇を二人が固める。

歩き始めて数分。各々の機体に自分の体を預けてタキシング。まだ日は高く、敵機も視認しやすい。

 

Control tower《こちら友人A》

Control tower《3時方向から12機が接近》

Control tower《各々のタイミングで離陸を》

 

Lamy《雪花ラミィから管制塔へ》

Lamy《シーフランカー 行きます!》

Control tower《離陸を確認 気をつけて》

 

Noel《白銀ノエル フランカー 出ます》

Noel《燃えてきたぁぁぁ》

Control tower《出番ですよ ご武運を》

 

ラミィは淡い青と白のグラデーションを採用したSu-33で先陣を切り、一気に急上昇。

ノエルはモノクロのデジタル迷彩に加えて主翼の縁のみゴールドのSu-35Sで離陸、低空で待ち受ける。

侵入するのは質より量のベストセラー機、だが迎撃するのは共に機動力に優れたフランカーの一族だ。

 

国境を超えてDNAが刻まれた機体がいる。

背景は冷戦まで遡る。注視している国家から次々に登場する新型機ラッシュ。

開発陣は危機感を募らせ、自国の機体を見ても『相手がレベチ』に近い状況となりつつあった。

 

──共同開発。結果は1カ国が離脱、これがラファール登場の伏線に繋がる。

とはいえ、制空戦闘機を望む2カ国、マルチロール機を望む2カ国のニーズを満たしている。

ハードポイントの数も多く、機動性も高く、使える兵装も豊富。

 

その機体は4カ国のハイブリッド機、タイフーン。

AWACSや僚機は当然、レーダーサイト、イージス艦、空母などとも連携が取れる。

合理的な作戦を展開でき、台風の目となる存在である。

 

Flare《こちら不知火フレア 火遊びを止める》

Flare《タイフーン 出るよ!》

Control tower《了解 グッドラック》

 

黒字にオレンジとクリーム色のスプリンター迷彩のタイフーンも上空に到達。情報通り12機の反応が迫ってきた。

 

♪怪物/不知火フレア(Cover)

 

Flare《全員上がったね 内容はシンプル》

Flare《AWACSの生産ラインを撃たせんな》

Flare《不知火フレアより各機 状況を開始!》

Noel&Lamy《了解!》

 

接近してきた高度は700m。一番近いラミィに合流後、各々がMiG-21bisを食い千切る。

目下に広がる広大なフェンスはサッカーのゴールのようなもの、侵入を許せばどの建造物が被害を受けたか確認だけで一苦労だ。

 

Noel《逃がせないんよ これでトドメだよ》

Unknown《主翼損傷 飛行困難》

 

Noel《こちらノエル 今すれ違った機体…》

Lamy《見間違いじゃない 誰も乗ってないよ》

Flare《調べる必要アリだね》

 

今までの戦闘を振り返っても誰一人として脱出──ベイルアウトした姿を見ていない。

混線した無線も会話どころか単語の羅列。人間的な抑揚も感情もない。

だから『こういう』作戦ができる。本来なら大規模な部隊編成で蹂躙すればいいだけ──それがない。

 

Lamy《やめなー! FOX2!》

Unknown《エンジン被弾 高度低下中》

Unknown《僚機ロスト 作戦続行》

 

Flare《いくつか理由は想像できる》

Flare《でも確証がまるでない…》

 

故に工場エリア一つさえ陥落させられない。フレアは考えていた。

機体はどうせ消耗品。そう割り切っているかパイロット自体がいない、もしくは不足しているか──

もしくは自分達の知らない技術が根底にあるのか。

 

Flare《とりあえず全部叩き落とすよ!》

Flare《FOX2! FOX2!》

Unknown《直撃 直撃》

 

Flare《ノエちゃん そっちに2機》

Noel《はいよ!》

 

Lamy《ラミィも援護入るわ ん?》

Lamy《飛翔体接近! 敵が墜ちてく…》

 

AIM-54『フェニックス』。トムキャットシリーズにのみ搭載された超射程のミサイルが4発、MiG-21bisに正面から突き刺さる。

開かれた通信は最高クラスのエイムを持つホロライブのスナイパーだった。

獅白ぼたん。F-14Dをグレー、白、モスグリーンの迷彩で染め上げ、後方から猛追してきた。

 

Botan《ふぅ 間に合ったかな》

Botan《全部ヘッドショットしといた》

Lamy《ししろん!》

 

Noel《団長に格闘戦で挑むのは危険じゃよ?》

Noel《こっちの間合いに入るから!》

 

確かにMiG-21bisの機動性は侮れない。が、それ以上にSu-35Sに注ぎ込まれた技術の差は埋まらない。

戦闘機の世代差ではなく時代の差。どうしても『できない』としか言えない部分がある。

Su-35Sが減速し、オーバーシュートしてその先へ突き抜けるMiG-21bisは機関砲が直撃、エンジンから胴体に火が回り爆発、四散した。

 

Botan《今ので最後だね キャプチャークリア》

Flare《みんな 戻るよ RTB》

 

Lamy《了解 無人機かぁ》

Noel《気味悪いの見たな…》

 

──無人機。UAVとも表記されるその兵器はヒトならざる機体。

パイロットがいない分、いくらでも変えが効く文字通りの『手駒』でもある。

故に無謀だろうが無慈悲だろうが粛々と任務を遂行する。命令違反も敵前逃亡もない、感情さえ持たない。

例えるならアニメの終盤でよく見るサイボーグのような存在だ。

 

それに相応しい機体は何か。ローコストで実績があり、性能も当時としては高性能。

かつ大量生産が可能でマッハ2級、と至れり尽くせりな条件を揃えるMiG-21bisはその要求をほぼ全て満たす戦闘機といえる。

着陸、タキシングの後で各自解散。フレアは情報共有のために一人PCを立ち上げた。友人Aがモニター越しに手を振る。

 

『あ、お疲れ様でした!被害は?』

「見た感じだと無傷、最後の方はぼたんが潰してくれたよ。ただね」

『もしかして何か分かりましたか?』

「あいつら、無人機だった」

『え?』

 

実際に対峙しないと分からないオーラのような何か、としか例えようがない。

管制塔を担当する友人Aは統括する身。現場で一戦交えた事がないからこそ、の反応を見せる。

さらに──情報を聞くにこれ以上ない人物が派遣された。

 

「沙花叉も来たんだっけ?それなら都合いいか」

『ふむ…と言うと?』

「中央都市部エリアのメンバーとholoXなら情報ないかなって」

『何を聞けばいいですかね?』

「今まで一人でも脱出した敵がいたか、これだね」

 

そんな余裕は実際、ない。ミサイルアラートが鳴り響く中、体がGに晒される中──敵の脱出を視認するなど至難の業。

見たとするなら自分以外の誰かになる。ただ一人としてその証言がないとすれば。

全て無人機、という事実の裏付けになる。

 

『了解です。ミーティングで聞いてみます』

「こっちは例のアレ、急ピッチで進めとくね」

 

PCをシャットダウンし、どの工場も正常に稼働している様子を再確認する。

ここからもう1機のAWACSが送り出される。縦のライン、①、③、⑦が機能すれば他のエリアの奪還へ貢献してくれる。

さらにこの3カ所にメンバーを集め、内容に応じてスタメンを組むなど柔軟にも動ける。

 

「常に一手先を読んで、かな」

 

ここも安全、という訳にはいかない。唯一隣接するエリア⑥は未確認飛行物体の目撃証言が多い。

派手に一戦を構えたりしない以上、ごく僅かな懸念材料でしかないのが逆に不気味でもある。

当面は南方を警戒、編成はこのまま。仮に勝てなくても負けない──現状維持の戦いも幕を開けた。

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